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315話 面倒なんだよ!

今回もメイの視点です

そして今回もそこそこに長いです

 おねーちゃんほどじゃないにしても、あたしも変な運をひいちゃう体質だよ。

 さっさと見回るの終わらせて、おねーちゃんと合流したいってのに。


「あら? その様子だと、ただ見て回ってるだけなのかしら」

「は? それ以外するわけないでしょ」

「おやおや、今日はずいぶんと噛みつくわね」

「仲良くする意味ないでしょ?」


 ったく、最初からあたしがイライラするように煽りを含めた感じをだしててそれとか、嫌な奴だよ。


「まぁいいわ」

「あたしはよくないんだけど?」

「それよりもどうかしら、アタシ達が改良を施した新型ロボットは」


 そう言って後ろに待機していた2体を呼び寄せたけど、そういうこと。


「知らないロボット連れてるなって思ってはいたけど、広告代わりに持ち歩いてただけと」

「ずいぶんな言い様だけど、その通りよ。でも、見ればわかるでしょ? この品質と性能の良さが。こちら側のヴァルキュリアなども元性能が良かったけれど、そこにアタシ達が手を加えたらこの出来よ。従来のロボットなんて目じゃないわ」


 相当自慢なのか、性能回りもズラズラと説明しだしてきたけど、なんだかなぁ。

 ヴァルキュリアとかの性能は確かにいいけど、価格に合わせた適度な性能としか思えない物だったので、それの向上って言われてもビミョー。なにより外見がジャラジャラと装飾品多いわ、高身長でスラっとしてのいかにもカッコいいのを目指しましたのが前面に出ていて嫌い!

 それになー、おねーちゃんの作った人形と比べるとなー、自慢している性能も外見もすっごいしょぼい!


 それはさておき、こっちでそんな広告をしてるなんて、コイツらは本気でこっち側に進出する気って事ね。

 あたし達は進出するとかはなく、おねーちゃんの家と所属している国と仲良くなりたいってだけ。その差がこういうところにも出てきたって事かぁ。


「それにしても残念ね。てっきり子狐チャンもロボットを作っていると思っていたのだけれど」

「は? なんであたしがそんな事すると?」

「なんでって、当たり前の事じゃない。こちら側の技術はアタシ達とそう変わらない。だったら勝っている部分を前面に出し、よりよい交渉ができるように」

「交渉って、はい~?」


 うん、完全に話がかみ合ってない!

 こっちに来た目的自体違うから、ほんとかみ合わないわ。こういうのもあるからほんと嫌い!





 ほんとーに面倒になってきたけど、どうしようかなー。


「でも残念ね」

「急に話変えたよコイツ」

「だって子狐チャンもガッカリしたでしょ? このような発表の場を設けておきながら、予想の範囲外の展示が無いじゃない」

「予想の範囲外ねぇ」


 自分らの作ったのと同性能の展示があるって考えてたのかなー?


「あぁでも、あのエレメント、こっちでは精霊力って言ったかしら? それを組み込んだ展示だけはすごいと思ったわね」

「あーそれって」

「子狐チャンも見たのね。元のヴァルキュリアよりかは性能が落ちたそうだけど、実用化したのはすごいと思ったわ」

「あ、そう……」


 あの展示の方かー。

 あたしは、てっきりおねーちゃんの方だと思ったのに、そっちじゃないとかダメだね!

 まぁおねーちゃん、事前配布の資料にもその辺りは詳しく書かなかったみたいだからなぁ。ある程度の技術者にしかわからないようにしてる書き方でもあったし。

 もっと自慢してドーンと広告を出しても良いのいなぁって少し思っちゃうけど、おねーちゃんって結構人見知りだからしょうがないよね!


「あの技術を取り込めば、アタシ達の技術はさらに上がるのは間違いないわ。それはとても素晴らし事だと子狐チャンも思うでしょ?」

「まーあー向上心は良いと思うけど、それをあたしに言って何になるのかね?」

「あらあら、その冷めた反応はどうなのかしら? だって子狐チャンは将来、アタシ達の国に住むことになるのに」

「まーたそれか! ほんとうっざーい!」


 もう何度目よソレ。ほんとーにうっざい!


「姫サマー、気持ちはわかりますけど、暴れたらだめですよ?」

「そこはあたしもわかってるよ。ここで暴れると、おねーちゃんの評価に関係しちゃう!」


 コレットがまだ心配そうな目で見てるけど、ほんとーにわかってるからね?

 あたし達はおねーちゃんか呼んだお客扱いって立場もあるから、あたし達が問題を起こすと、当然その対応やら後始末におねーちゃんが出てきちゃう。

 それでおねーちゃんが怒るは無いだろうけど、好感度を下げる行為なのは間違いないからね。さすがにそれはダメだね!





 そんなあたしとコレットのやり取りを見ていたからか、なんかハッとした顔になったわ。もうメンドクサイの嫌なんだけどー。


「そう、それを聞きたいのよ子狐チャン」

「あたしは聞かれたくないんだけどー」

「どうしてあんな女に好意をだすのか、教えてもらいたいわね」

「は?」


 思わずイラっとしたけど、なんだって?


「アレは弱いし特別な能力もない、成長もできない只の子供でしょ」

「へー、ずいぶんな言い方」

「なのに、どうして子狐チャンが気にしているのか、理由が聞きたいわ」


 コイツ、真面目な顔して挑発してきたね! おねーちゃんを何だと思ってるんだ、ほんと。


「姫サマー、落ち着かないと駄目ですよー」

「そうは言うけどコレット、あたしが落ち着けると思う?」

「まぁ厳しいですよねぇ。完全に姉姫サマのこと、なめ切ってますからね」


 ほんとそう!

 他者を見下す感はコイツらはほんとーに多く、今も思いっきりそれがでてるわ。


「あら、何か間違っていたかしら?」

「コイツ、ほんとーにふざけてるね!」

「だけど子狐チャン、あんな女のどこが良いのか、アタシには全く分からないのよ? 特別凄い存在という情報もないわけだし」

「情報って、あーまぁそうかぁ」


 そういえばおねーちゃんの能力とか、色々と伏せられたり、偽装された情報が広まってたりするんだっけ。親はすごいけど娘はそうではない、みたいな情報もあるとかって聞いたね。

 その情報はおねーちゃんの家主導だけでなく、国絡みで流してるとかってのも聞いたなぁ。

 たしか、この学園内みたいに浸透できないところもあるけど、できる限り他国に詳細な情報は渡さないようにしてるとかだったかな。それでも強い情報部がある国や偉い人には結構知られてるみたいだけど。


 そういったことをする理由は、おねーちゃんの存在がそれだけ特別って事だからだね。

 能力に関しては、あたしと比べてまだ真名な部分は多いけれど、精霊関係の技術とかはあたしよりもすっごく進んでたりもするから、人によっては相当すごい技術の持ち主って事にもなるわけだし。

 でも一番は、あのかわいさだね! かわいいのに能力もすごいとか、そんなの当然みんなが興味持っちゃう存在なわけだから、そりゃ隠そうとしちゃうよね!


「技術の差、こういうところでも出るんだなー」

「なにを言っているのかしら?」

「そのままの意味でーす」


 いたずらっぽく返したけど、コイツに対してまっとうに答える気なんてないし!

 まーあー、おねーちゃんの情報をちゃんと知れないアンタラは、所詮その程度の存在なんですよーって言ってもいいんだけど、さすがにそれ言うと余計に面倒だからね。余計な面倒は回避!





 しっかしコイツ、いつまであたしに絡む気なのかしら。今はさっきのおねーちゃん関連の事をうだうだ聞き続けてきてウンザリしてきたし。


「だから、どういう事なのかを教えなさいよ」

「面倒なのでやだでーす」


 プチっとキレて余計なこと言っちゃう可能性があるからね。だから教えない!


「そもそもさぁ、ずっとあたしに関わってないでそのロボットの広告を」


 して回ったらって言おうとしたら、急にドカドカドカーンって大きな音がしたんだけど!?


「いったいなんの音!?」

「音と同時に地面も揺れましたよね。姫サマ、ちょっと注意してくださいね」

「そりゃもちろんだけど、いったい何が」


 周囲をきょろきょろすると、煙が上がったなぁと思ったらどっかーんと爆発音が何度もしたり、人の悲鳴みたいのが聞こえてきたりと、なんかすごくやばい感じ!

 しかもドッカーンって音と振動が絶えることなく、何度も何度も起きてる。


「魔物とかではないようですけど、ちょっと嫌な感じですねー。何かが落ちてきて、暴れてるのは間違いなさそうです」

「落ちてきてって、この会場、天井にはバリアが張ってあるんだよね? それを貫通してってこと?」

「みたいですよ、ほら、あそこ」


 そう言ってコレットが指差した天井の先を見ると、ひびが入ったと思ったらバカっと穴が開き、そこからロボットかな? 四腕に剣と銃を持った黒ずくめの人型がゾゾゾって落ちて来てる。

 しかもそれだけではないようで


「うわー、さらに大きな穴ができたなぁって見ていたら、とんでもなくデカいロボットまで落ちて来てる」

「ですねぇ。だけど、う~ん……あれは少し似ているかなぁ」

「ちょっと、あれは何なのよ!? 子狐チャン、説明しなさいよ!」

「いや、急にあたしにふられても」


 あたしとコレットとは違い、ずいぶんと慌ててるね。

 最初はこいつらがまた何かしでかしたかと思ったけど、どうやら違うみたい。まぁしでかしてた方が答えはあっさりだったんだけど!


 でもコレットは何か知っているのかな?

 デカい方を見て、何か思い当たるのがあったみたい。


「姫サマ、少し危険ですけど、数体倒してみましょうか」

「情報収集のため?」

「です! 倒すというより鹵獲して分析って方なので、大小それぞれ1体で良いかもですけど」

「なるほど! それじゃさくっと」

「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!」


 鹵獲しようとしたら、まーた間に入ってきたよ。

 友達でもないんだから、いいかげん他に行ってくれないかなー。


「未知の危険な存在に対し、なんでそんなに簡単な反応できるのよ!?」

「いや特に危険じゃないでしょ。よーく耳を澄ますと、倒されるのではなく倒してる人も結構いるみたいだし」


 声の様子から、小さいのはヴァルキュリアと同程度らしく、何とか対応できてる様子。大きい方も倒せはしないけど、耐えることは出来てるようだし。

 そしてそのヴァルキュリアは、あたしからすると弱いロボットに属するからね! なら危険じゃないです!


「まーあー、そういった把握がすぐにできるかできないかが、あたしとアンタの差って事だねー」

「姫サマー、煽ってないで行きますよー?」

「おっとそうだったね! よっし、いくよー!」

「ま、待ちなさいよ!?」


 まだ絡んできそうだけど無視!

 こっちはこっちでやることをやるのだよ!





 少し移動したら、ちょうど天井を破って大きいのと小さいのが揃って落ちてきたので


「コレットは小さいのを、デカいのはあたしがやるよー」

「わっかりました。ただ姫サマ、コアがある頭部は残してくださいねー」

「いいよー。というか、頭部にあるの?」

「ありまーす!」


 コレットが真面目な顔して断言してるけど、本当なのかな? まぁいっか。


 落ちてきたロボットは、拠点を作るのか最初に大きいのがバリアっぽいのを発生させて、その周囲を小さいのが囲んで陣を形成してる。

 陣ができたところで小さいのが続々とこっちに向かってきて、大きいのはそのまま両腕をガシャガシャと変形させて銃とか大砲っぽいのにし、どかーっと撃ってきた。

 なるほど、これがコイツらの作戦って事かー。


「多少は素早いですけど、それだけですね。簡単に潰せちゃいます!」


 そう言って、コレットがあっさりと小さいのを重力で圧殺!

 ほんと、小さいのが隠れたり不規則な動きをせず、ただ構えながら向かってくるだけだから簡単だね。


 それじゃあたしもっと。


「ほいっと!」


 右手に魔力を固め、それを巨大な刃にして横に一閃! 手加減はしたので空間が切れるとか、範囲が広すぎて巻き込み多いとかは無い、完璧な一閃!

 その一閃を食らった大きいのは、首と胴がスパ―ンと切り離され、ずっしーんと巨大な音を立てながら倒れた。見事なまでにあっさり!

 とはいえ


「あたし達が相手だからあっさりだけど、普通の人なら厳しそうね」

「ですねぇ。それじゃぁ調べますねー。どらどらっと」


 コレットが圧殺した小さいのからいくつかのパーツを取り出し、分析用の魔道具で見ているけど、なんか困った顔してるね?


「なんかまずい?」

「まずいですねぇ。これ、ガーディアンです」

「へ? ガーディアンって、あの面倒って言われてる?」

「えぇ、あの面倒なガーディアンです。しかこ厄介なことに、ボクが知らない新世代のガーディアンです」

「新世代のって、それってもしかして」


 なんとも嫌な予感がするなぁ。コレットもウンザリって顔してるし。


「恐らく、あの世界が直接襲ってきたか、こちら側に拠点を作ったか、こちら側に協力者が居るかの3通りですね」

「それは面倒!」

「ですねー。さて姫サマ、どうしますかー?」

「そうだなぁ」


 ガーディアンがどうして来たのとか性能どうこうは後回しにするとして、ここに落ちてきているガーディアンをあたし達で殲滅はできるけど、それってしていいのかちょっと悩むー。

 ガーディアンに対抗できない人ばかりだったら、おねーちゃんからの依頼って事で相手するもできるけど、そうでもない。

 だとしたら、あたし達が手を貸すと手柄を奪ったみたいな余計な摩擦が起きるかもって場合もあるわけだし。


「んー、とりあえずおねーちゃんと合流する!」

「それが無難ですね!」

「なので、あの面倒なイタチが来る前に、移動するよ!」


 追いかけてきてそうだから、さっさと移動!

 決しておねーちゃんに癒してもらいたいって理由が強くてすぐに行きたいって気持ちが大きいからじゃないけど、ともかく移動するんだよ!

ガーディアンもあっさり

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