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311話 でっかい会場で発表会みたいなの

少し長いです

 試験運用も兼ねて日常に作った人形を導入したけど、特に問題は無かったかな。

 家事の方は想定通り、アリサ達の補助をする形でしっかり働けてたし、邪魔になるとか仕事を奪うってことも無かった。補助要員みたいな立場がしっかりできてるね。


 戦闘面も想定通りだったかな。

 ショージ君たちの訓練にも使ってみたけど、やり過ぎず程よい感じに抑えることもバッチリできた。

 ただ、色々と設定したのがわたしだからか、戦術とか行動がわたしに近くなっちゃったのは少し考えものかな? まぁわたしの行動とかを完全把握している人が敵に居たら、それはそれで逆にすごいから問題はないかもだけど。


 あとは、わたしの想定外って戦闘が一切ないのは良いのか悪いのか、ちょっと考えちゃう。

 かといって想定外を増やすために人形自身の自由度を増しすぎると、それが人形に対し禁止されている自意識を持たせる行為に繋がりそうなわけだし。ほんと難しいなぁ、この微妙な調整というか塩梅というかが。


 まぁ課題や要望が出てくるのは想定内ではあるので、観察やら細かい改良やら改修などを、長い時間をかけてじっくりやっていこーっと。





 そんなことをしていたら、あっという間に人形の大会みたいなお祭りの開催日になったわけで。ほんとあっという間。


「大会無視するってのしないんだね!」


 会場に向かう道中、メイが何となくそんなことを言ってきたけど、少し気になっていたっぽいね。

 たしかに、あまり乗り気じゃなかったのにちゃんと参加する、だからなぁ。


「さすがにしないよ。わたしが知らないところで決められた事とか、交渉一切なしで完全に一方的だったのとかなら無視しちゃうかもだけどねぇ」

「権力で握りつぶす! とかもしないの?」

「しないしない。とゆーか、にこやかにサラッととんでもないこと言うなぁ」


 たしかにすごい権力はもっているけど、そういう強引なのはしませんよ?

 権力が必要な状況なら容赦なく使うけど、些細な事とか民事の内容とかでも使う暴君的な存在じゃないもの。


「乗り気でなくとも約束をしたのであれば一方的に破らない、ですわね」

「だねぇ。ちょっとめんどくさいなぁとか、行きたくないなぁって思ったりはしちゃうけど」

「ありますわねぇ。わたくしの場合、家絡みで仕方がない事ばかりではありますけど、イラっとする約束が多くて本当にウンザリという事が多々ありますわ」

「あたしも! パパとママのためにやるってのがあるけど、どうでもいいんじゃないかなぁってのが多くて、ほんとーにムカムカしちゃうの!」


 エレンとメイも約束関係でいろいろあるようで、そんな愚痴っぽいことを言ってはきたけど、ほんと貴族あるあるって感じだなぁ。


「わたしは周囲が超過保護なのもあってか、事前お断りが多いからまだいいかなぁ」

「それはうらやましいですわ。わたくしの場合、家の立場はもちろんですけど、弟への引継ぎや仲介などが未だに増える一方で、どうしても外せないものばかりで参ってしまいますわぁ」

「あたしもそうかも? おにーちゃんがマトモとか、出来の良い弟か妹でもいればあたしの出番も減るんだけど、どっちも無いから大変なんだよ!」

「二人とも苦労してるんだねぇ」


 貴族のあれこれは知ってはいるけど、こういうところでもわたしって恵まれてるなぁと再認識しちゃうわ。





 話しながらトコトコ歩くこと数分、学園内に設けられたおっきな会場に到着っと。

 外からぽけーっと見渡すけど、う~ん、巨大な体育館みたいな建物だわ。装飾もいっぱいあるので、安っぽいとかの印象は全くないけど。


 まずは入り口から中をチラッと……おーおー、人が盛りだくさんだわ。

 今は準備の時間だから屋内に居るのは参加者関係だけだけど、それでもかなりいる。1000人は軽く超えてるね。結構人気なんだなぁ。


 さてと、それじゃわたし達もこの中に入っていきますか。

 ポーチから参加者向けの資料を取り出し、わたしに充てられた場所を確認してテクテクと。

 う~ん、予想通りではあるけど、こっちを見てくる人が多いなぁ。それだけわたし達が目立つ存在ってのはあるんだろうけど。


「敵がいっぱいだね!」

「敵って、さすがにそれは」

「この全員が持っているロボットが襲ってくるんだよね!」

「それも無いからね? それに、今日は展示会みたいなものだから、戦闘力が無い人形も多くいるの」


 視線が多いせいかメイがちょっと過激なこと言ってるけど、周囲を見ると戦闘向けじゃない人形がほとんどだね。

 人型だけでなく、特殊用途用らしく獣っぽいのとか蛇みたいにニョロニョロしたのとか、いろいろあるね。


「見たことが無い機械人形が多いですわね。試作段階が多いのかしら?」

「だろうねぇ。ここで発表し、学園とか機械人形の会社とかに売り込んだり、買い取ったりしてもらうのがほとんどじゃないかな」

「それはありそうですわ。未完成と言っては失礼かもですけど、模型と構想を記した書類だけ展示している方も居ますわ」

「完成させるには資金とか場所とか期間とか、色々と課題もあるからだねぇ」


 展示している物の中には「設計に10年かかりました!」ってのもあったりする。

 そういうのを見ちゃうと……うん、わたしってやっぱとんでもないね。

 設計だけでなく素材やら費用の調達、そして実際の作成時間も含めて数日でやっちゃったからなぁ。ほんと性能高すぎだね、わたし。





 割り当てられたところに来たけど、結構良い場所っぽいなぁ。わたし相手だからか、端っことか人が来なさそうな位置とかの適当な場所を避けたてことかな?

 まぁいいや、それじゃちゃちゃっと配置とかしちゃいましょう。


 飾りつけはみんなにまかせちゃって、わたしは用意されていた机の上には機械人形の説明書というか、簡単な広告みたいなのをどかどかっと置く。

 念のため多めに用意したけど、さすがに足りないってことは無いよね。


 次はうちの人形が動いてお客さんに行動を見せる場所をちゃちゃっと改良かな。

 もとは普通というか面白みもない四角形の台座だったけど、ちょっとやそっとじゃ壊れないくらい頑丈で、派手過ぎない装飾を設けた円形のものにっと。

 さらに、アイドルとかじゃないけど、お触りは厳禁だからね。特定の者以外は近寄れない特殊結界も張っておきましょー。


 あとは説明とかする際に必要な機材とかを用意っと。

 人前で大声出すとか恥ずかしいし無理なので、それなりに高級な音響機器の導入は必須だもんね。


 よっし、5分くらいで準備完了っと。みんなでやったからすぐに終わったね。

 まぁ準備をしていたわたし達の動作が速すぎたからか、わたしの両隣で展示を予定している人達が、あんぐりして作業止まってるけど。


「こんなところかなぁ」

「なんていうか、おねーちゃんって時々自重皆無でやっちゃうんだね!」

「ですわねぇ。他の方のところより、小さな飾りからして高性能や高級な物を選ばれましたし」

「ま、まぁ、そこは、ねぇ」


 メイとエレンだけでなく全員が呆れ顔というか、やっぱそうだよなぁって顔してるけど、しょうがないのです。

 気乗りしない催しとかでも自分が参加するならば、どうしても自分の納得する物で揃えたくなる性分なのです。できることなら会場から作り変えたい! なんて思っちゃうくらいだけど。





「でもユキさん、本当に大丈夫ですの?」


 エレンが少し心配そうな顔して訪ねてきたけど、どうしても気になっちゃうわけだね。


「んっと、最初の方は人がそこまで来ないはずだから、みんなに情報取集してもらうは大丈夫だと思うんだ」


 この大会自体に興味はないし、機械人形に対する興味もほとんどない。

 だけど、自分が作った機械人形を改良するための情報とか、わたしが知らない技術があるかの興味はある。

 なので、初日の午前中くらいなら宣伝もしていないわたしの展示を見に来る人も少ないと思うので、その時間を使ってみんなに情報を集めて来てもらおうと話し合って決めた。

 本当はわたし自ら見て回りたいけど、そうすると機械人形の説明とかって誰もできないから無理なんだよねぇ。機械人形の構造とか仕様といった諸々の説明、まだ途中だもの。


「ですけど、たぶん来ないだろうって予測だけですわよね? それって大丈夫ですの?」

「たぶん大丈夫じゃないかなぁ。参加者向けの資料には確かにわたしの名前が載ってるけど、わたしの名前って割とよくある名前なので、わたしと紐づいたので押し寄せるってのは無いハズだよ」


 参加者向けの資料を取り出し、パパーっとわたしの記載個所を出したけど……うん、特別感が全くない記載だね。

 書かれているのは名前と展示予定の人形が何体あるのか。あとは学園の生徒かどうかと、どの学科に所属しているかだけだね。


「最終日も展示日になってるけど、そっちだと午前中から無理だとは思うので、今日しかないともいえるかなぁ」

「あぁ、そう言われますと、確かにそうですわね。戦闘力の為の大会が明日からありますけど、そこでユキさんのお人形は優勝してしまいますものねぇ」

「優勝するかはわかんないけど、ソコソコいいとこは絶対に行けると思うからねぇ」


 うんうんと頷きながらそんなこと言っちゃうわたし。それなりに頑張って作っちゃったからね、しょぼい結果とか考えられないくらいやっちゃったからね。


「まぁアリサが居るから、もしもがあってもだいじょうぶだよ」

「たしかに、アリサさんが居ればいざという時でも問題無いですわね」

「あの、信頼されているのは嬉しいのですけど、私にも限界がありますよ?」

「だいじょーぶ、アリサだから!」

「お嬢様のその断言は、どこから来るのですかねぇ……」


 アリサが少し困惑というか恐縮って感じだけど、本当に大丈夫なのです。

 ほんと冗談抜きにすごいからね、わたしの専属メイドさん。わたしがポカーンとするくらい、万能だったり凄かったりするからねぇ。メイドって何だろう? って思うことも多々あるくらいすごい存在だもの。

 な・の・で~、困ったときはアリサに泣きつく! これで大丈夫です!

困ったらメイドさん頼み

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