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310話 すごいけど高級なんです

 なんともズルズル引き延ばされちゃったけど、人形に行っていた検査も無事終了したので、今度こそバーンとお披露目だよー。


「それじゃサクッと起動」


 検査の終了画面の最下部に出ている起動の項目ボタンをポチっと。

 すると2体の人形が目を開き、2~3回ほど目をぱちくりして状況を確認、よしよし、設定通りの動作をしているね。

 確認できたようでピョンと立ち上がり、わたしの前に来てぺこりとお辞儀したわ。うん、これも設定通りの動きだし、完璧だね!


「お、お嬢様!?」

「ちょ、アリサ、慌てすぎだよ」

「ですけど! その、今の仕草は」

「すっごい人っぽいですよねー。お嬢様、やっちゃったんですかー?」


 みんなキョトンとするわ、アリサがわたしの両肩掴んでガクガクしてくるわ、ノエルまでジトーって見てくるわで、なんかトンデモナイ事になっちゃった。


「さすがのユキさんでも、これはダメだと思いますわ」

「だよね! 結局生命体作っちゃうとか、どういうつもりなのかはっきりと説明してよね!」


 エレンとメイがキョトンとしたのから戻って来るなり、何ともすごいツッコミをしてきたよ。

 残るはレイジとコレットちゃんだけど……うん、何とも言えない呆れ顔してるわ。

 まさかこういう反応になるとは、ちょっと想定外だったよ。


「えーっと、最初に言っておくけどこの2体には人工知能、正確に言えば自己意識や感情生成といった特殊な装置は搭載してないよ」

「本当ですか?」

「ホントホント、わたしウソつかない!」

「ですけど、ずいぶんと人のような動作をしているのですが」


 アリサがすっごい疑っている感じに2体を見てるけど、まぁそうかも。

 2体はわたしにお辞儀した後、全員にもぺこぺことお辞儀したり、周囲をきょろきょろしたり、互いの衣服の状態を確認しあったりと、機械っぽくない動きしてるからねぇ。


「えとね、禁止されている装置は一切使わず、これらの動きはわたしが組み上げた動作なの」


 検査に使っていた魔道具をちょいちょいっと操作し、起動後の動作などを設定した式をズラズラっと表示する。

 ん~、式が多すぎるからか画面が大きくなりすぎるなぁ。軽く説明するためだし、一部分だけにしておこう。


「これは起動時の初期動作だけど、こんな感じに状況確認の動作や仕草を何兆通りも設定して、って、おや? またキョトンとしてるけど、どうかしたの?」


 全員キョトンというかポカーンとしてるんだもん、少し気になっちゃうわ。


「おねーちゃん、もしかしてそういう設定、他にもいっぱいあるの?」

「あるねぇ。相手の感情や仕草で反応を変えたり、場所や時間でも変えたりと、思いつくのは全部入れたかな」

「そこまで細かいと、禁止されている感情や自己意識有りの人形にならないのー?」

「そこは大丈夫だよ。ママ様に大丈夫かの確認をとりながら作っていたのと、出来上がった物を渡して、問題ないかの最終確認もしてもらったからね」


 より人っぽくだと、どこまでは大丈夫でどこからはダメってのはあるからなぁ。さすがにそういうのは理解できてないので、頼れる人に全部聞いちゃうのだ。

 でもまぁ確かに人っぽい動作をもりだくさん入れているので、禁止している装置付きなんじゃ? って思われるのも当然かな。

 実際は状況に合わせて設定した動作を順に流しているだけではあるんだけど、そう思わせないように細かいところまで設定した効果が出てるって事ではあるね。


「でもユキさん、どうしてここまで人に寄せたのですの? 動作もですけど、外見まで人ですわ」

「あーそれはね、わたしの好みかな」

「好みですの?」

「うん。どうせなら可愛い方が良いからね!」


 ドヤァ。

 カッコイイも良いけど、可愛い方が大好きなのです。


「あとはそうだなぁ、機械部品もりだくさんのロボットとかも良いには良いんだけど、わたしの従者に近い立場を考えての外見を選んじゃうと、結局こういうのになったってのもあるかなぁ」


 こっちに居る時ももちろんだけど、実家に帰ったときはさらにメイドさんに執事さんが増える環境だからなぁ。

 そんな中に厳ついロボットが入るとか、違和感有りすぎて無理だね。





「従者として作られたという事は、この2体は私達メイド並みの能力があるのですか?」

「んーん、そこまでは無いよ」


 アリサが少し心配そうな事して聞いてきたけど、まぁそうだね。従者って考えたら心配、というよりも不安にはなるかな。


「確かに思いついた最新機能とか高級部品はもりだくさんにしたので超高性能ではあるけど、それでもうちのメイドさんや執事さんほどじゃないんだ」


 わたしが言うのと同時に、2体もコクコクと頷く。うん、こういった些細な動作も完璧に動いてるね。


「簡単に言うと、うちのメイドさんと執事さんってレベルが高すぎて、それを機械で再現するとか無理なんだよね」

「そうなのですか? お嬢様ならそれを上回る技術も持ってそうなのですけど」


 アリサが真面目な顔してそんなこと言ってきたけど、わたしってそんな印象あるのかぁ。

 まぁ確かに色々とやってはいるので、そうなるかなぁとも思ったりもするけど。


 でもね


「さすがにそこまでの技術は無いよ。閃きとか発想は結構あるけど、技術の基礎はうちの国の物だからねぇ」


 前世の技術がすごかったも特に無し、転生ボーナスですごくなったも無し、純粋にコツコツと学んでいっただけ。コツコツやるのはホント大事です。


「この2体に関しても、たぶんママ様ならもっと低予算で、もうちょっと上の性能で作れるんじゃないかなぁ。それでもうちのメイドさん執事さんほどにはならないだろうけど」

「断言されますねぇ」

「そりゃねぇ。だって、うちのメイドさん執事さん以上の人形が作れるなら、すでにうちの国が販売してるよね」

「そう言われると、確かにそうですね。ですが、実際は作られてはいませんね」

「どうしても埋める事ができない差があるってことなんだよねぇ。あとはメイドさんと執事さんという土台がしっかりできているから、人形の従者を新しく作ろうとあまり考えられなかったのもあるかな」


 国によるけど、貴族の家には従者が居て当たり前ってのがある。その従者も機械人形よりも早くに人の従者存在したのもあってか、人形を従者にってのはあまり根付いていない国も結構ある。となると、これはもう歴史の差みたいなものだねぇ。

 その従者も性能というか品質や評判みたいのもあるので、うちのメイドさんや執事さんという超優秀な従者を雇っていると一種のステータスになるようで、他家からの評判とかも良くなるとかなんとか。


「ちなみに性能だけど、基準点としてアリサを100とした場合、頑張って50、通常時だと25くらいかな」

「私の半人分という事ですか」

「頑張って、だけどね。わたしの持っている技術やら素材やらを大量投入してもその位なので、うちの従者さんの方が圧倒的に優れているのよ」


 アリサはわたしの専属メイドなのもあってか、家事とかの従者能力は結構高いし、戦闘面も天魔でないとはいえそこそこ強い。まぁそんなアリサよりも上の従者がごろごろ居るのがうちの従者なんだけど……。

 そんなアリサの半分くらいの力が頑張ってようやく出せる程度では、うちの古参の従者さんの方がどうしても強いし、雇いたいよねってなるわけで。


「なので従者に近い立場、つまり従者の補助要員って感じで作ってみたの」


 わたしの言葉と同時に、2体がババーンとカッコいい感じのポーズをとる。うん、こういうさりげない動作もちゃんとしてて、わたしは満足です!


「補助要員、ですか。しかし……」


 おっと、アリサがなんとも言えないって感じの目でジトーっとみてきたよ。

 まぁ気持ちはわかるけど。


「わたしも予想外だったけど、補助要員なのにすこ~しお金かかり過ぎたのがねぇ」

「だと思いました。ちなみにですけど、1体は幾らになりますか?」

「え~っと……」


 使った材料を頭の中でまとめまとめ。ん~、技術料とかは算出難しいので、今回は材料費だけにしておこうかな。


「精霊石みたいなちょっと特殊なのは省くけど、素材だけでだいたい1体で王金貨100枚ほど、かなぁ」

『王金貨100枚!?』

「おっと、全員そろって驚いたねぇ」


 みんなびっくりして、何ともおもしろ


「笑っている場合じゃありませんよ……」

「えー?」

「白金貨ならまだわかりますが、その上の王金貨とか、ちょっとどころではないですよ……」


 アリサが「どうして私のお嬢様は金銭感覚がたまにぶっ飛びすぎるんでしょう」ってぼやいてるけど、わたしも悪気があってじゃないんだからね?

 でもまぁたしかに王金貨1枚は白金貨100枚相当なので、それが100枚とか、ちょっとハンパない金額なんだよねぇ。


 そういえば小国なら王金貨100枚程度で建国できるんだっけかな? となると、建国できちゃうくらい大金つぎ込んだ超高級人形って事になるのかぁ。

 あー……うん、やばいね、ちょっとじゃなくてすっごくやばいね。

 素材の調達はもちろんのことお金だって自分でドカーンと稼げちゃうからか、必要なのはドンドン投入していき、適度に抑えるってのが抜けてぶっ飛んでたわ。

 さすがわたし、トンデモナイ存在。

念のための補足

 王金貨1枚は日本円だと100億円になります

 なので人形の日本円価格は、100億円の硬貨がx100枚ということになり…

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