表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
308/362

308話 人形の披露!・・・のはずが

少し長いです

「これでよしっと」


 結局作ることになった機械人形に対し、最後の設定を入力用の魔道具からしていたけど、それも完了したので作成はほぼ終わりっと。

 うん、特に暴走とかすることなく、椅子に2体の人形が普通に座ってる。まぁ作ったのはわたしなので、予定外の動作とか暴走とか、するわけないんだけど!


「ふぃ~、ちょっと疲れたわ」


 万歳してのび~っと。結構頑張っちゃったなぁ、機械人形の作成。

 あの機械人形暴走祭りから今日で3日、つまり3日間も作成に没頭していたわけで。なかなかの大作ですよ、これは。


 まず、身長はわたしよりも少し低い100センチ程度に。普通の機械人形はもっと大きいのばかりだけど、小さいのはダメって言う規則は当然無い。ならば小さくしちゃうのだ。

 そんな小さな機械人形の外見は、わたしがドーンと太鼓判を押せるくらい可愛い女の子状態。犬族風娘と猫犬族風娘にしたこともあり、小さな獣耳と尻尾がとても可愛いです。

 もちろん外見だけでなく、内部も相当力を入れた。家事全般だけでなく、エンシェント級の魔物なんかもさっくり倒せる力も備えた。やり過ぎた感はあるけど、能力が低いよりかは高い方が絶対に良いので、これでよし。


「さ~てと、起動前の最終検査もさくっとしちゃおっかな」


 棚からいくつもの魔道具を取り出し、人形にテキパキと装着っと。

 機械人形は安全性が売りだからか、起動させる前の最後の検査がけっこうある。検査に引っかかる部分が1個でもあれば修正をしないと合格しないっていう、かな~りキッチリガッチリした内容。

 とはいえ、そんな検査を通過したのに暴走したのが3日前の出来事だけど。





 映し出される検査の情報を椅子に座ってポケーっと眺めてたら


「おわったー?」


 と、メイが扉を開けながらそう言い、みんな連れてゾロゾロとこの部屋に入ってきたわ。実家に行っていたエレンも帰ってきたので、ほんと全員でゾロゾロと。


「今は起動前の最終検査をしているから、もうちょっとかな」

「さすがあたし、ちょうどいいタイミング!」

「よすぎる気もするけど、わたしも似たようなことあるからナントモカントモ」


 ここだ! って時に何かをするとか、結構あるからなぁ。悪い事じゃないから良いけど。


「この2体ですの?」

「そだよー」

「なるほど。なんて言いますか、すごく変わっていますわね」

「機械じゃ無いみたい!」


 エレンとメイが人形を覗き込みながらそんなこと言うけど、たしかにそうかも。

 世の中にある機械人形の外見は、もっと機械っぽかったりロボットぽかったり、石造っぽいのが多い。

 学園で作っていたヴァルキュリアみたいなのは人に近い外見はしているけど、肌の質感や造形から、どうしても石造寄りになっている。

 人に近いのはあるにはあるけど、日常使いでなく、特定の用途専用だったりする。


 そんな中、わたしが作った人形は完全に人寄りで、特定の用途向けですか? って聞かれても良いくらい、機械とか石造っぽくない。そりゃ気になりますよね。

 それに、作成途中は見せていたけど、外見は見せていなかったからね。まぁ驚き半分の、わたしならやっぱこうなるよねって感想の半々って感じかな。


「でもおねーちゃん、この見た目って事は」

「大丈夫、メイが想像している用途で使う用とかじゃないから。単純に、わたしが持つなら人っぽい見た目が良いなぁってだけだよ」

「ほんとーに?」

「ほんとーにだよ。前にも言った気がするけど、自分の欲望全開の人形を作って傍に置こうとする理由、わたしに無いからね?」


 作る前からメイは気にしていたけど、ほんと理由がないからなぁ。恵まれ過ぎている環境で過ごしているからなので、悪いことは一切ないので、あまり深く考えないけど。


「あら? この子たち、額に宝石がありますわね。でも、これは……」


 エレンがまじまじと犬無味娘のオデコを見てるけど、やはり気が付いたか。まぁ隠すように作らなかったけど。


「それはね、宝石でなく精霊石なんだ」

「やっぱり精霊石でしたのね」

「うん。実はこの2体、魔石と精霊石を組み込んだ特殊な機体なんだけど」

「え? 人形に魔石と精霊石の両方ですの?」

「そだよー」


 あっけらかんな感じに答えちゃったけど……オカシイナ、エレンだけでなくアリサ達も、というか全員ポカーンとしちゃったよ。メイまでポカーンとしてるとか、まじ?


「おねーちゃん! 魔石と精霊石を組み込むって、特殊な魔道具でやろうとしないかぎり、普通無理なんだけど!」

「そうなの? わたし、結構やっちゃうんだけど、日常で使う魔道具とかでも……」

「前科持ち!?」

「だってわたし、精霊力も結構高いでしょ? だったらそれ活かすために、普段使いの魔道具でも組み込んである魔石だけでなく、精霊石も組み込んだ方が効率よくなるよねぇって感じにやってたんだけど……」


 両方使えるならそれを活かそうと思っちゃうよね。

 って、あれ~? また全員ポカーンしてるだけでなく、アリサがすっごいため息ついてるんだけど。


「お嬢様、それってつまり、誰にも言わずにこっそりやっていた、という事ですよね?」

「あー、そういえばそうかも? でもでも、原理はお母様たちにも言ったし、ママ様にも言ってあるよ」

「なるほど。でも作業したのは?」

「い、言ってないかなぁ……。で、でもっ、使っていて問題ないでしょ? 利便性だけでなく安全性も思いっきり考え抜いて実装しているから、違和感も無かっただろうし変な動作も無かったと思うんだけど」


 普通の道具に組み込むため、ほんとーにすっごく考えたからなぁ。

 想定外の使い方とかをしても誤作動が絶対起きないよう、何重にも安全策を設けておいたし。


「あ、あの、使っていてって事は、その」

「うん。うちにある家具とか魔道具といった、わたし達が普段使う道具類のほとんどに組み込んで、って、あ、ちょ、まって、ほっぺつねらにゃいで」


 あぅ、アリサがジトーって感じの目でほっぺをつねってくるわ。ちょっと痛いんですけど!


「お嬢さまー、さすがに先輩が怒るのも無理ないですよー」

「ちょ、ノエルまで!?」

「だってそれ、世紀の大発明に近いことやってるんですよー?」

「まったまたぁ。だって作り方はすでに」

「報告してるって言うんでしょうけど、それで実際作っているとか、聞いてますかー?」

「そ、それは……」


 ノエルまでジトーって見て来てるけど、たしかに報告したけど製品化したってのはまだ聞いてなかったわね。


「まだ世に出回ってない物を、お嬢様はポンポンと作っちゃって、それをみんなが使えるようにしちゃってるんですよー?」

「あ、それだけ聞くと、なんか大問題な気が」

「ですよねー。おそらくですけど、特許回りとかもまだなんじゃないですかねー」

「商品化どころか、技術発表も国や学界からもありませんからね。なので、そういった道具を第三者、特にお嬢様が知らない者が手に入れ発表したら……問題なの、わかりますよね?」


 はぅ、さらにつねつねされて、かなり痛いんですけど。

 でも確かにそうだなぁ。うちの国の資産になる技術が他に流れるどころか、それを奪われて逆に使えなくなるって事態もあったわけか。

 いやぁ、そこまで考えて無かったよ、うっかりうっかり。


「もっと前に報告できたらよかったわけだね。もっと前なら色々と済んでいただろうし」

「え? あの、もっと前、と言いますと」

「んっと、連絡したのは10日前だったかな? 家じゅうの道具を改良したのもその辺りだったって、ちょ、いにゃい」


 またジト目でつねられてるんですけど! このままじゃほっぺが伸びちゃんだけど!


「で、でも、ちゃんとお父様とお母樣、それにシズクさんには言ったよ」

「先ほどは〝言ってない〟と聞いた気がしますが」

「あー、えっと、精霊石を組み込むのは言ってないけど、もっと使い勝手がよくなるように改良しても良い? ってのは言ったので、大丈夫かなぁと」

「はぁ……」

「ちょ!? すっごいため息つくとか、やっぱりダメ?」

「さすがにその発言内容だけで、お嬢様が魔石と精霊石の両方を組みこんだ道具の作成に繋がるとか、誰も想像できませんよ……」


 あー、まぁ、うん、やっぱそうだよね……。なんとなくわかっていたわ。

 そのままアリサが、少し呆れたような、しょうがない子だなぁって感じでわたしを見てるわ。


「お嬢様らしいと言えばお嬢様らしいのですけど」

「従者泣かせですよねー。子供ゆえに行動力あり過ぎる! って思っちゃえますし」

「もう少し落ち着いてもらいたい、とも思ってしまいますね……」

「まって? 二人とも、わたしが目の前に居るのにズカズカ言いすぎじゃない?」


 怒ったりはしないけど、こう、目の前でズカーンと言われると、もにょもにょしちゃうんだよ?


「とりあえず、ノエルはこの屋敷内の道具の確認をお願いします。私はシズク様に内容を報告し、対応を聞いてきます」

「了解ですよー」

「レイジとコレットさんはその間、お嬢様方のお世話をお願いします」

「了解だけど、なんかすごいことになったね。人形の完成披露の予定が、ユキ様のやっちゃった発表会になったというか」

「でもその内容のおかげでー、姉姫サマってなんかヤバいくらいの能力持ってるのがわかりましたねー。姫サマもそう思いませんー?」

「思う! すっごい思ったよ!」


 え? メイがすっごい思うって、そんなに? ニコニコ顔なので悪い事じゃないのは分かるけど。


「おねーちゃんってあたしよりも弱いけど、技術とか知識がほんと広すぎの有りすぎるだよね!」

「ですわね。それにユキさんは、わたくし達が思いつかない事もどんどんやって、常に前を走っている気もしますわねぇ」

「そんなにかなぁ。わたし、自覚ないんだけど」


 二人がさも当然のように言ってきたけど、ほんと自覚ないですよ?

 まぁ思いついたことをドンドンやってはいるけど、そこまですごいことはない……ハズ!


 しっかしほんと、なんでこんな流れになったのやら。

 話題は人形中心のはずが、なぜかわたし中心になっちゃうとか、予想外すぎだわ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ