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305話 原因は謎なので適当にしたいです

少し長いです

 エレンからの連絡で厄介だなぁって感情が思いっきり出ちゃったけど、さてさてどうしたものか。

 わたしへの直接的な影響はないと思うけど、問題が起こした人形と同じと思われる人形を持ってきちゃったからなぁ。


 まぁいいや。

 エレンがレイジに詳細情報の収集とまとめを頼んだようで、その報告書っぽい情報が魔道具に来たのでサクッと確認しましょう。

 どれど~れっと


「ん~、新しく導入した機能と新型の制御装置の組み合わせ、もしくは設定が悪かったのか、制御できずに暴走状態になった、ねぇ」

「それっぽい感じ?」

「それっぽいと言えばそれっぽいけど、ただなぁ」


 ずいぶんと密着して通知を覗き込んでいるメイの髪を指にクルクル絡ませながら少し考え……うん、わたしの髪同様いい質感ですね。母親が姉妹なのもあってか、わたしとメイが似ているってのを再実感できちゃう。

 っと、意識が完全に違う方向行ってたけど、暴走に関する流れがどうにも納得できないわ。


「軽く説明したけど、こっちの機械人形って安全装置がしっかりというか、かな~りぎちぎちに設けてあるの」

「そういえば言ってたね! あーもしかして」

「そっ、安全装置を全部無効化しての暴走とか、ありえないんだよねぇ」


 もしもがあったら絶対にまずいので、暴走などの危険な状態が絶対に起きないよう、何重にも安全装置が設けられてる。

 違法の機械人形だと安全装置が無い場合もあるかもだけど、学園で用意した機械人形ならそんなことはまずありえない。


 となると、今回の暴走は〝何重にもあった安全装置をすべて無効化できた〟ってことになるけど、それってどう考えてもありえないんだよなぁ。


「機械人形の安全装置って一つの国が作ったものじゃなく、世界中の技術者が結集して作ったものなんだ。しかも何百年も更新し続けていて、欠陥や不具合があれば即修正に即改良をしている。そういうのもあってか今の機械人形は品質が非常に高いだけでなく、どんな状況でも決して誤動作せず強制終了もせず暴走もしない、とても安全で優れてた物になってるんだよ」

「すっごいってことだね! となるとー、今回みたいな暴走は絶対にしないってことでいいの?」

「うん。新しい機能と装置が誤作動しました~、ってくらいじゃ安全装置は停止しないし、暴走もしないはずなんだよねぇ」


 安全装置の開発はうちの国も関わってるくらい、相当力を入れてるもの。

 それを学園の生徒が作った機能か装置で無効化とか、どう考えてもありえないわ。

 むしろ本当に無効化でできたとしたら、この学園は世界中の技術者よりも凄いとか天才とか、そんな存在になっちゃうし。


「となると、偶然じゃないってことだね!」

「簡単に考えるとそうなるんだよねぇ。でもまぁそっちもそっちで矛盾してるんだけど」

「あー、どうやってそんな状況作り出せたとかだね」

「そそ。安全装置をすべて無効化、もしくは停止させる機能なり装置をあらかじめ装備させる、もしくは取り外しておくってことしないとダメだと思うんだよね。そんな大事、さくっと片手間にやりましたとか無理なわけだし」


 これがしょっぼい機能とかなら片手間でもなんとかなるだろうけど、こればかりはなぁ。


「ん~、気にはなるけど」

「けど?」

「だからってわたしが色々と調べるのもなぁ……とも思ってるんだよねぇ」

「そのこころは?」

「機械人形を持ってきてはいるけど、そもそもわたしには関係が無いから!」


 ドヤァ。

 いやまぁ自慢できることじゃないけど、わたし発端とか、わたし狙いとかじゃないっぽいからなぁ。

 なので適当でいいんです! とゆーか、適当にしたいんです! だって面倒な事態に自ら突入とか、嫌過ぎるもの。





 さてさて、すこ~し気になるというか厄介感が拭えないけど、一旦おいておきましょー。

 当初の予定通り、なんでこの人形がわたしの命令に従ったのか、いろいろとふかーく調べちゃおー。


 ではでは装甲や片腕とかが無い未完成っぽい人形の方はそのまま分析の魔道具などで調べておき、完成しているっぽい人形の方は装甲版とかを外していきますか。

 とはいえあてずっぽうで外そうとせず、貰ったというか強制提供させたこの機械人形の設計図を空間に映し、それを見ながらテキパキと剥いできますか、テキパキ。


「人っぽいけど肌とかは固いんだね」

「そういえばそうだねぇ。この人形は戦闘用として作っているせいかもしれないけど」


 人形の胴体部分をガサゴソしている間、メイが人形の肌を突っついて感想を述べてるけど、まぁ気にはなるよね。

 見た感じ、この機械人形の肌は人と同じで柔らかそうな印象を受ける。

 だけど実際に触ると固く、金属のような冷たさも持っている。見た目だけ人肌っぽい状態だね。


「費用を思いっきり使えるとかなら人肌同様にできるんだろうけど、これは量産前提だからか、なるべく費用を抑えて戦闘面の高性能のみ追求した人形みたい。日常生活に溶け込ませるとかの考えはないんだろうねぇ」


 戦闘専用とかちょっと悲しい存在ねって少し思っちゃうけど、機械人形は人でなく物って扱いだから、こういう割り切った仕様は多いんだよなぁ。

 そういうのもあるからか、なんか好きになれません。


「戦闘専用とか、逆に効率悪い気がするなー」

「それはあるかも。日常使いもできる存在であれば無駄な待機が無いだけでなく、近場などで急な戦闘が起きてもすぐに対応できる。だけど戦闘特化の場合、まずは格納庫にある人形を戦闘が起きた場所へ派遣しなきゃいけないっていう手間があるし、戦闘が無い期間の保持や管理作業も必要になっちゃう」


 必要なときのみ使うって意味での効率性はいいかもだけど、戦闘以外の時間の方が圧倒的に多いのを考えると、どうしても勿体ないって思っちゃう。

 それこそせっかく人型にしたのなら、日常生活でも有効活用できる方が効率的、もしくは費用対効果が良いって考えちゃうわ。


「ちなみにだけどー、おねーちゃんならどう作る?」

「ん~、わたしならうちの従者と同じ感じにするかなぁ。戦闘特化でなく、日常のお世話とかはもちろんできて、戦闘面もバリバリできるって状態ね」

「普段使いもできますってやつだね!」

「そんなとこ。まぁわざわざ機械人形を使ってやる必要がないんだけどねぇ……」


 大体の事はうちのメイドさんや執事さんで完結しちゃうからなぁ。

 人形の方が優秀とかなら立ち位置というか存在理由はあるかもだけど、今のところそんな機械人形は存在してないし。そもそもうちの従者並みの人形を作るとか無理だし! 作れるならうちの国が販売してますってくらい無理!


 まぁ性能面がうちの従者と同等の人形を作れたとしても、人と違って感情というか自意識が無いのが人形なわけで。

 そう考えると、あまり甘えたいとは思えないわけで。


「でもそうなるとー、機械人形は安全だね!」

「安全って?」

「だっておねーちゃん、機械人形そこまで好きじゃないんだよね?」

「そうなるかなぁ。ぬいぐるみとか模型とかはいっぱい持ってるし、結構作ってるけどね!」


 わたしの趣味部屋、ぬいぐるみやら模型やらが増えすぎて、空間の拡張や部屋自体の追加をガンガンしているからなぁ。

 でも悪いことはしていないので、増やすなとは一切言われてない! なので増やしちゃう! 好きなものはドンドン増やしちゃいます!


「とゆーことはだよ、おねーちゃん好みの女の子を作ったとしても、おねーちゃんのお嫁さん化はしないってことだよね!」


 ニコニコしながらそんなことを言ってきたけど、いやいやまてまて。


「そりゃまぁ大会に向けて機械人形作るには作るけど」

「でしょ? となると、外見はもちろんおねーちゃん好みの子でしょ?」

「ん~、やっぱそうなるかなぁ。機械です! って感じのゴッツイのも嫌いではないけど、どうせなら日常でも使えそうな見た目にしたいかなぁとは考えるわ」


 うちの従者ほどは無理だけど、その補助くらいはできそうな性能ならなんとか行ける気がする。

 だとすれば日常で浮かないとか圧迫感が無いのをって考えちゃうわ。


「だとすると、ひじょーに危なかったとあたしは思うのです!」

「また大げさなぁ」

「大げさじゃないよ! だって、おねーちゃんが望んだりしたら、きっと機械人形が人格持ったりしちゃったんだよ!」


 そう言いながらメイがぎゅーってしてきたけど、いやいやそんなことは……ありえるなぁ。

 わたしが強く望んじゃった場合、精霊たちが何らかの手助けというか現象を起こすってのは考えられるからなぁ。精霊に好かれすぎてるわたしならではの現象ともいえるけど。


「まぁメイ達が居なかったとか、メイドでなく執事さんばかりの環境で育ってたら、自分好みというか理想の子を作って、人と同じ様になるのを祈るってのはありえたかなぁ」

「でしょー?」

「あくまで〝そんな環境だったら〟だけどね。まぁそんな環境じゃないので、そんな希望はもたないけどねぇ」

「ちょっとでも希望したらダメだからね!」

「希望しないってば。ずいぶん念を押してくるねぇ」


 そう言いながらメイのほっぺをフニフニしてるけど、なんていうか「絶対に機械人形に人格持たせるな!」って感じなんだよねぇ。なにか予知でもあったのかしら?

 もしや、人格を持った機械人形がとんでもない化け物となって


「だって、おねーちゃんのお嫁さんがさらに増えるってなると、あたしが独占する時間が減ることになるんだよ! それは嫌なんだよ!」

「へ? なんかの事件が起きるのを防ぐとかでなく?」

「あたしとおねーちゃんのイチャイチャ時間の為だよ!」

「まじかぁ……」

「まじだよ!」


 バシッと言い切ったらしく今度は頬ずりしてきたけど、なんていうか、考え過ぎたわたしのおバカって感じがふつふつと。いろいろあっての流れだったから少し考え過ぎたってことだね……。

 でもまぁ、うん、イチャイチャ時間は重要だからね、わかります。わたしもイチャイチャするのは生き甲斐の一つになってるからね!

 まぁ直ぐにわたしのお嫁さん化に繋がるのはどうかと思うけど。


 となると、わたしも全力で機械人形に人格が宿らないように注意しないとなぁ。変な問題発生はもちろん嫌だけど、メイにブーブー言われるのも辛いだろうし。

 もっとも人格宿すような装置を組み込む予定はないから大丈夫だと思うけど、一応念には念を置いておこうっと。

分かり切っているネタバレ

 作る機械人形は女性型です

 男性型を作る予定は無いです

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