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303話 トンデモ展開とか回避したいよね

少し長いです

 権限使ってのごり押しって感じだけど、一応まとまったのでちゃっちゃと帰りましょう。

 まずはエレンに魔道具の通信機能を使って連絡……おや?


「どーしたの?」

「んっと、メイも魔道具の通知見れば分かるけど、エレンが弟君関係で今日は実家に帰る事になったんだって」

「あっ、ほんとだ! みんな宛にきてる! ほー、仲の良い他家との懇親会みたいなのするんだね」

「弟君が引き継ぐにはなっているけど、今までエレン中心だったのが結構あるらしく、その引継ぎというか顔合わせみたいなのは結構かかるみたいだからねぇ。今日もそんな感じの会が入ったみたいだね」


 エレンの通知を見ながら改めて思うけど、結構面倒そうなんだよなぁ。

 手続きとかは一通り済んではいるみたいだけど、だからっていきなり「今後一切会いません」とか「交友終わりです」にはならないわけで。

 そのため、定期的というかちょくちょく弟君と一緒に顔合わせみたいなことが続いてる。回数を減らそうとはしているみたいだけど、目に見えて減った感はあまりないかな。


「貴族って大変だなぁって思っちゃうわ」

「貴族あるあるだね! とゆーか、あたしもそういうの結構あるけど、おねーちゃんは無いの?」


 メイが不思議そうな顔してわたしの顔を見てくるけど、まぁそうだよね。すっごい他人事って感じに語っちゃったし。


「わたしの場合、うちの巫女としての儀式はあるけど、それ以外はあまりないんだよねぇ」

「すごい貴族なのにー?」

「うん。皆無ってわけじゃないんだけど、またかーって感じにはならないくらい少ないね。王家とかお父様とお母様のお弟子さん的な人との会食みたいなのはちょくちょくあるけど、他は思いっきり少ない状態って言うべきかな」


 あくまで身内優先だからなぁ。

 まぁその身内が、わたしをあまり外に出したくないというか、どうでもいい家との関係を構築させたくないって意思が強いようで、他国や他貴族との会食を最小限にしているって気もするけど。

 とはいえ、わたしも結構人見知りだからね! 知らない人との食事とかはなるべく避けたいので、そういう機会が少ない方が良いのです。


「それはともかく、目立つから帰るよー」

「えー? 戦闘はー?

「もちろん回避します!」

「ぶーぶー!」


 ほんとどこまで期待してるのよ……。

 このままだと冗談抜きに戦闘発生とか騒動悪化といった面倒なことが起きるかもしれないので、さっさと帰るよー。





 少しぶーたれたメイを引きずって、入り口の馬車乗り場に移動。

 やれやれ、予想通りだけど、強引に買った感じの機械人形も連れていたからか、道中ジロジロみられまくったわ。

 わたし単独でも見られるから諦めてる部分はあるけど、外装が無い機械人形まで連れていくのはすっごい目立ったねぇ。他の運び方無いからしょうがなかったけど、少し恥ずかしかったわ。


 それでも無事に着いたので、馬車に全員急いで乗り込み! もたもたすると声かけられるので素早くなのです!

 乗り込んだら屋敷に向けってはっしーんっと。待機して人が集まってくると面倒なので、これも素早くです!


「ぶーぶー! 完全回避ぶーぶー!」

「どういう抗議よそれ……。わたし、そういう面倒ごととか、戦闘狂じゃないからね? 発生してもうれしいとは思わないんだからね?」

「でもあたしが楽しい!」

「楽しいって、見るのがでしょ? 当事者はすっごい面倒なんだけど?」

「えー? だっておねーちゃんがあたしをかばって戦うとか、ピンチな状態をあたしが助けるとか、良いでしょ?」

「定番ではあるけど、う~ん……」


 メイがニコニコしながらわたしの手や尻尾をにぎにぎしながらそんなこと言ってくるとはねぇ。まぁ気持ちはなんとなくわかるので、わたしもそう強く止めないけど……。

 それになぁ、メイの場合は生活環境の反動もあって、そんな状況になるのを期待しちゃってるんだろうなぁ。


 メイの場合、わたしと比較すると平和というか、戦闘になるとか誰かが面倒事を持ってくるとか、そういうのがほとんどないって言ってたからねぇ。

 だからか、ちょっとそういうのを期待しすぎちゃうんだろうねぇ。対象が主にわたしなのは、わたしとのイベントとでもいうか、そういうのを期待してるのもあるんだろうけど。

 それにまぁぶーたれはするけど完全拒否とかではなく、わたしの気を引こうって感じが強いからなぁ。甘えん坊みたいなものかな?


「まぁそういう状況にはならないので、諦めよーね?」

「むー、残念過ぎる」

「それに、もう屋敷に着いちゃうし」

「早すぎるんだよ!」

「早ければ回避できるからね!」


 素早い移動は大事です!

 まぁゆっくり走っても死角から敵兵が! とか、大地が崩落し! ってのは無いだろうけど。





 屋敷に着いてもテキパキと。

 アリサとコレットちゃんには夕飯の準備とかをお願いし、わたしとメイは2体の人形を連れて地下の工房に。


「おー、危なそうなものがいっぱいある!」


 工房に入るなりメイが周りを見ながらそんなことを叫んだわ。そういえばこっちの工房、まだ案内してなかったわ。


「えっと、こないだ案内した庭の工房は比較的安全なというか、だれでも好きに使える工房になってるの。危険な魔道具とかもないね」

「こっちは?」

「こっちはわたし専用だね。素材の倉庫も兼ねてはいるけど、うちの国で作った殲滅兵器とか、少しでも操作を間違うと辺り一面焦土にする魔道具とか、そういうのも置いてあるんだ」


 人形を部屋の中央にある机に寝かせながら軽く説明っと。

 今の説明でドン引きになる人も居るだろうけど、メイはやっぱり違うねぇ。棚にある物とか積んである箱の中身とか、いろいろと触ったり動かしたりしてるわ。

 とはいえヤバい物が多いので扱いは丁寧、暴発とかの危険はない感じだね。


「おもしろいのが多い! これも対象を分子分解しちゃうヤバい兵器だよね! いいなー、あたしも欲しいなー」

「欲しいならあげるけど、何に使うの?」

「えっとー、おにーちゃんに使おうかなーって」

「……はい? ちょ、ちょっと待とうか?」


 突然の発言で目をぱちくりさせちゃったよ。

 まずは冷静になるためにしんこきゅー、すー、はー。

 えーっと、記憶があってれば、メイはあの兄という存在との仲はそこまで悪くなかったはずなんだけど、なんで?


 というか


「アレを分子分解するのは問題あるんじゃないの?」

「あるといえばあるね!」

「あるのに、そうにこやかにドーンというのはどうなのかな?」

「むふー!」

「褒めてないからね?」


 予想できない突然の謎展開過ぎて、頭がこんがらがっちゃうよ。


「だって、分解しても元に戻せばだいじょーぶだよね!」

「大丈夫と言えば大丈夫かもだけど……。でもね、その兵器で分解しちゃうと、わたしでも戻せないんだよ?」

「え? そうなの? おねーちゃんの力が足りないとかじゃなくて?」

「うん。普通の分子分解と違って魂とか存在って言うべきかな? そういうのも含めたすべてを分解しちゃって、完全な無にしちゃうっていう兵器なんだよ。たしかお母様でも戻せないって言ってかなぁ」


 月華の鳳凰を使おうが水の精霊進に頼もうが、どうやっても戻すことができないトンデモ兵器。

 ダンジョンで見つけたお宝の一つではあるけど、さすがにヤバい兵器なので持ち歩かずにこの工房に置いておき、工房への入室も制限してはいる。

 なので、誰かが持ち出して殲滅とか、事件発生であたり一面分解されとかは無いので大丈夫。


「そこまでなんだぁ。となると、あたしでも戻せないだろうから、これを使うはダメだねー」

「そうだねぇ。とゆーか、なんでアレに使おうと考えたの?」

「えとねー、おねーちゃんへの嫉妬が強くなりすぎたからか、ちょっと積極的になりすぎてねー」

「積極的に?」


 メイが兵器を元の場所に戻したあと、トコトコとわたしの傍に寄ってきて尻尾をモフリ出しながらそんなこと言いだしたけど、どういう事かな?

 たしかにあいつ、わたしへの嫉妬というか敵対心はすごかったけど、メイへの積極って?


「嫌いじゃないけど、あたしも割と冷めてるの」

「冷めてるって、なんか破局した恋人同士の展開に聞こえるんだけど」

「それに近いかなー。ちょっと距離置こうとしてるんだけど、いろいろときちゃうんだよね。たとえばー、ごはん一緒とかはいいけど、お風呂とかベッドまで一緒にしようとするんだよ? ありえないよねー?」

「ん~、相手によってはたしかにありえないかも」


 そう、相手によってはなのです。

 わたしだってアリサ達への好感度が高いからお風呂とかも一緒だけど、低かったらそれは無いからなぁ。


「今のところは何度か断ってるから大丈夫なんだけどねー」

「何度もな時点でダメダメだよって、わたしはちょっと思っちゃったよ」

「だよねー! な、の、でー、しつこいときに脅しがてらの警告しようかなーってちょっと考えたの!」

「あー、なるほどね。未知の兵器ならばアレも対応できないから脅しになる、ってわけね」

「そうだよ!」


 尻尾モフモフどころかニコニコしながら抱きつく感じにメイがなってきてるけど、何とも気苦労がマシマシな状況が発生してるみたいだねぇ。

 しかもメイを追ってなのか、メイの方に居たヘンテコ貴族もこっちに来たわけだし、うんざりのぐったりになっちゃいそうね。

 事件発生とかのイベントをやけに期待してたのもその反動かしら? 鬱憤発散したい、みたいなので。ちょっと同情しちゃうなぁ……イベント発生は回避するけど!


 それにしてもあいつ、メイの気持ちを無視しての積極行動に移るとか、ちょっとヤバいな。

 メイの方が圧倒的に強いし、メイの両親や周囲も抑えたり対策したりしてるだろうから、きっと最悪の事態にはならないだろうし回避もできてるはず。

 だけど、それでも心配しちゃうのがわたしなのです。となると、お父様とお母さまにも相談して、メイの安全を確保するために何らかの策を練っておいた方が良い気がするね。

 いっそ期日になっても帰らせないって方法もあるけど、それは最終手段。

トラブル発生の期待大なメイちゃん

しかしヒロイン願望もある、そんな感じです

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