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30話 ダンジョンの中でほのぼのと

 アリサに連続展開を覚えてもらったけど、ほんと才能あるなぁ。

 3個以上になると若干遅い感じはするけど、実用できるレベルにはなってるんだよね。このまま順調にいけばきっとわたしと同じくらいになるはず、ほんと将来が楽しみだねぇ。


「あ、宝箱はっけーん。さぁアリサ、ドーンと破壊しちゃって!」

「あの、そこは開けるとかでは?」


 おかしなこと言いますねって顔された。でも理由があるんだよ?


「だってこれ罠付きだよ? なので壊して手に入れましょー」

「まずなぜ罠なのがわかったのか疑問ですが、まぁお嬢様ですし」

「なんか納得された!?」


 狐の勘は当たるのになぁ。非科学的だけどあたるものはあたるのです。


「では壊しますね。術技、裂空!」


 アリサが大太刀で一閃すると宝箱が真っ二つに。よしよし。


 術技は術の力を武器に纏わせて放つもの。

 その中の〝烈空〟は真空の刃を作り出して切り払うという技。シャキーンって感じになるのでちょっとカッコイイ。


 術技を使うには発動専用の術具を使うのが一般的。わたしみたいに術装を自由自在に使いこなせるなら不要になるけど、アリサはまだ無理だしねぇ。


 そんなアリサのためにわたしは民生品でなく、アリサ専用の術技発動用術具を作ったわけだけど、その効果は絶大だわ。

 術技の威力は申し分なく、術具が動作する際に生じる隙もほぼ無い。ちょっと珍しい素材大量投入した甲斐があったわ。


「宝箱の中身は……これは傷を回復させるポーションでしょうか? 品質が少し悪そうですね」

「罠があるやつだからねぇ、鍵が厳重な奴なら期待できるかな。まぁポーションは要らないけど……」


 ダンジョン産のポーション、まずいんだよね……。薬草そのまま抽出し、材料の味をそのまま活かしています! みたいな。

 エリクサーあたりでないと、そのまずさのせいでギルドの買値も低いんだよねぇ。外れ景品って印象だわ。


 でもダンジョンってほんと謎。なぜか宝箱生まれたりするし、魔物の死体は放置すると消えたりするし、あとダンジョンによっては時間の流れが違ったりするね。

 こういうのって前世にあったゲームと同じなんだよねぇ。どこかの転生者の願いでこうなったって説もあったかな。


 そんな摩訶不思議なダンジョン、もうちょっと探検しましょー。





 ダンジョン内には安全が保たれている休憩スペースがなぜかあるんだよね。まぁ助かってるからいいけど。


「ねーねーアリサ、そっちの一口ちょーだい? わたしのもあげるから~、ね?」

「いいですよ。はいどうぞ」

「ありがとー、あむっ。ん~、イチゴクリームもよかったけど、チョコバナナもやっぱりいいわぁ」


 せっかくの休憩スペースなので、わたしたちは休憩のため持ってきたクレープを食べてるわけだけど、なんだろ、周囲の目が痛い。

 いいじゃない、友達と仲良くキャッキャしてたって。わたしの楽しみの一つなんだから文句は言わせません。


 しかし、どこの国かわからないけど、わたしたち以外に3パーティもいるとは思わなかったわ。念のため尻尾2本隠しておいて良かった。


「お嬢様、口の周りにクリームついてますよ。拭きますのでちょっとそのままで……はい、これで綺麗になりました」

「ありがとー。ん~、食べたからかな、ちょっとだけ眠い。よっし、ここは休憩も兼ねてお昼寝するよ~」

「それでは少し片づけますね」

「おねが~い。んじゃテント出すねー」


 なんだろ、今度はお前ら舐めてるのかって視線が飛んできてる。そんなにピリピリするほどかなぁ。


「簡易テントをぽいっと。さぁアリサ、中に入りましょー」

「簡易というには大きい気もしますけどね……」


 わたし作成のポーチ、ログハウスだって余裕で入ってるけど、さすがに周りの目があるから自重したのです。さっきからすごい嫌な視線だし。

 それはさておき、今回ちょっと自信作のテント出してみたけど、中を見て驚いてくれるかな~。





「ようこそ、わたし作成の簡易テントへ。まずお風呂はそっちでしょ、キッチンはあそこで~」

「あのお嬢様、これってテントですよね?」

「テントだよ?」


 あれ? 額に手を当てながらため息ついて、なんか困った子を見るような反応なんだけど。

 むー、期待していた反応とちがーう。


「普通のテントにはお風呂もキッチンもありません。あるとしても専用のテントです、一つのテントに全ては設置しません」

「がんばってテント内に全て作りました!」

「あ、はい、ソウデスカ」


 おかしい、完全に呆れられている。快適性を求めただけなのになー。もっと奇抜なもの配置すべきだったかなぁ、ゲームコーナーとかカジノルームでも今度付けようかしら。


「まぁいいや。んじゃ軽くお風呂入ってそのあと少し寝ましょー。さぁアリサ、お風呂行くよー」

「はぁ、わかりました。ほんと私のお嬢様は規格外すぎですよ」


 そこまできっぱり言われると照れちゃうね! え? 褒めてない? ソウデスカ……。





 二人でお風呂にゆっくり浸かる。ほんと頑張ったおかげで10人くらいは余裕で入れるほどの檜でできた浴槽、そしてそれに合わせた巨大な空間。空間拡張の術フル活用しただけあるわ。


「ここがテントの中だとは思えませんねぇ……」

「わたしだからねー。快適性はこだわるよ~」


 お湯の中でぐだー。いつかは持ち運び可能な温泉を開発したいなぁ。術式でなんか再現できそうな気はするけど、今は入浴剤で我慢。こういう商品は転生者さんに素直にありがとうって言いたいです。


 それにしても


「ねーアリサ~」

「なんでしょうか?」

「大きくなった?」

「大きく、ですか? 一体何が……あの、お嬢様?」


 ん~アリサは自覚無しっと。わたしの勘違いかなぁ? ちょっと失礼して


「……うん、大きくなってるわ」

「あ、あの、お嬢様? 急に、その、触られますと」


 この感じは間違いないわ。やっぱ気が付かなって、あれ? アリサの顔が真っ赤だけど。あーそっか、またやっちゃった。


「えっとね、アリサの魔石のことね。わたしがあげた魔石がこの短期間で結構大きくなってたの。今の大きさなら魔人になるのに問題ない感じだから、進化もそろそろかもしれないよー」

「そ、そうなんですね。でも、その」

「あー、うん、急に触ったのはごめんね。魔力で感知するには肌に触れないとわからないからねー」

「な、なるほと、それなら、はい」


 決してやましい気持ちがあったわけじゃないです、魔石が気になっただけです。……だけど歳の割に発育もいいような。

 前世と比べてこの世界の人って成長が早かったり発育がいいとは思ってたけど、生活環境が充実するとさらに成長するみたいね。


 そもそも成長が早いのは魔物が多い世界ゆえに、生存率を上げるため適応してきた進化の結果。

 悪いことじゃないんだけど、外見と年齢が一致しないことが多くて困るわ。うちの両親みたいに、実年齢は1万を軽く超えてるのに見た目は10代後半とか20代な人までいるしねぇ。ほんと不思議な世界です。


 まぁそれは置いといて、魔石が順調に育っているのはよかったよかった。

 魔石譲渡の文献なんてほとんどないから心配なことばかりだけど、少し安心かな。





「さっぱりしたー。んじゃアリサ、1時間くらい寝ましょー」

「1時間ですね、わかりました」


 時間を決めたらすぐさまベッドへダイブ。

 むぅ、結構ねもい。やはりおやつと快適なお風呂の組み合わせは強敵だったわ。でも、これならすぐにぐっす、り、zzzz









「起きてくださいお嬢様、そろそろ1時間経ちますよ?」

「ふぁーい。んーっ! 結構疲れてたのかなぁ、だいぶすっきりした」


 わたしは特に戦っていなかったんだけどなぁ。

 ギルドでの忠告があったからちょっと広範囲の索敵はしてたけど、わたしにとっては負荷と言えるようなものじゃなかったはずだし。

 

 もしかしてこれも魔石が小さくなった影響かなぁ。

 広範囲の索敵って魔力操作が複雑だから、魔力効率の悪い今の体だと負荷が高いのかもしれない。


 まぁそれならそれで索敵に優れた魔物を呼び出せばいいだけだから、悲観するほどじゃない。むしろ魔石が元の3割くらいの大きさなのを考えたら、この程度で済んでいる方が奇跡かもしれないわ。


「ところでお嬢様、時折妙な音がしているのですが何でしょうか? こう、物が当たるような音なのですが」

「あーそれ、たぶん外にいるやつらが侵入しようとして弾かれてる音。さっきの奴ら、なんか目が嫌だったから念のため通常の結界と反撃用の防御壁も展開しておいたんだ」


 わたし、防犯にも手を抜かないので! 女の敵には容赦しないよー。


「そうなのですね。お嬢様のことだから何かしてるとは思っていましたが」

「そりゃねー。わたしのアリサに指1本触れさせるわけないじゃない!」

「狙われるならお嬢様の方だと思うのですが……」


 むぅ、アリサが少し呆れてる。冗談抜きにアリサもかわいいから、変な人に狙われる可能性って結構高いと思うんだけど。


 それにしても気のせいか、外にいる奴らの気配が違うんだよね。

 やだなぁ、またこれトラブル引いたのかなぁ、遺跡のダンジョンには居ないんじゃなかったのってホント言いたいよ。


 とりあえず身支度して出ましょうかねぇ、嫌な予感が当たらないといいけど。

ダンジョン産のポーションは青汁(昔の不味いやつ)の方が美味しく感じるくらいの不味さ

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