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3話 基礎知識はお母様から

 怒涛の転生から5ヶ月くらいかな、平和に過ごせてるのは良いことだわ。


 でもおっかしいなぁ、よくある転生だと赤子の状態でもある程度体が動かせる印象なんだけど。なのに全然動けません! ハイハイとかもまだできません!

 知識とかはたしょー覚えているけど、魔法はほとんど封印している。そのため、前世の魔法を活用して動けるようにするのを考えても、肝心の魔法が使えないので試すことすらできない。ちょっと封印しすぎたかもしれないなぁ。


 あと思ってた通りだけど、性格とか精神は体に引っ張られるみたいね。女の子っぽくしようと意識してるわけじゃないのに、もう完全にそうなってるわ。たった数ヶ月でこの状態とか、思ってた以上だよ。まぁ家族やメイドの人に可愛い可愛い言われていれば、女の子であるのを受け入れるしかないのも事実なわけで。さすがに性別を変える魔法とかはないだろうし。


 でも女の子かぁ……。彼女いない歴イコール年齢だった自分が女の子になるとはねぇ。ちょっと複雑な気分。


 この数ヶ月でわたしの置かれている状況が把握できた。

 まず、わたしの両親はこの国で相当偉い人なのが分かった。もしかしたら王様よりも偉いのかな? 王様と王妃様だけでなく、王子様と王女様までわたしを見に来るくらいだしなぁ。立場が下であれば、逆に見せに行くはずなのに。


 そしてそんな両親は不老不死なようで、見た目に反して相当生きてるみたいね。娘であるわたしもそうなるってことかな。兄も一人いるけど1000歳以上はなれてる。年数の規模がとんでもないとしか言えないわ。


 あとはメイドさんに執事さんが大勢いたから察してたけど、そうとうなお嬢様みたいね。これはちょっと運が良いですよ!


 しっかし前世の性格考えると、うん、完全に別キャラだわ。もしも〝前世の私〟が見たら、間違いなく顎外れるくらい驚くね。まぁ前世も最後の方、結構無理やりキャラ作ってたからいいんだけど。今世はキャラ作らないで自然体でいきたいなぁ。





「ユキちゃ~ん、お外いきましょうか~」


 笑顔で部屋に入ってくる巫女姿の女性、わたしのお母様ですね。“ユキ〟それが今のわたしの名前。当たり前だけど前世とは違う名前だわ。同じ名前だったらそれはそれで怖いけど。


「よいしょっと、う~ん相変わらずかわいいわぁ。これは間違いなく私に似て美人になるわ!」


 そう言いながら抱っこされる。お母様、毎日べた褒めしすぎです。照れます。でも期待に応えますよ!


 最近は魔力で強化しなくても視力はそこそこ、言語もいつの間にか理解して聞こえるようになったけど、子供ってこんな感じなのかな? こういう時、お隣に転生者さんとかほしいなぁ。そして比較したい!


「そうそう、ユキちゃん。あなたは天才だから、きっとお母さんの言葉が分かっていると思うけど、無理はしなくていいのよ」

「うにゅ?」


 たしかに言葉は理解できても、それを声に出すことがまだまだできない。脳内は活発だけどなぁ。

 でもそうかー、わたしは天才なのかー。努力すればさらに完璧ってことですね!


「たぶんまだうまく喋れないこととか、動けないことを気にしてどうにかしようとしてないかしら?」

「だぁだぁ!」


 さすがですお母様、その通りです。だって基準がわからないので気になるんです。


「転生しちゃったせいで頭の中でいろいろ考えてるのよね。でも大丈夫よ、自然と喋れたり動けるようになるから」


 はい、うちのお母様、わたしが転生していることなんてすでにまるっとお見通し、最初言われたときはびっくりしたなぁ。この世界は転生してきた人がそこそこいるようで、少し珍しい程度だっけ。でも、それを簡単に見抜くお母様ってどんな目をしてるんだって気もするけど。


「あとはそうねぇ、魔法使えないのも気にしてないかしら」

「だーだー!」


 めっちゃ気にしてます! 封印しちゃったけどいくつか残した初級魔法すら使えないんです。封印術のような特殊な物ならなんとか使えはするけど、翻訳魔法のような便利な物すら使えないのはほんと困る。


「その答えはユキちゃんの種族のせいなの。私たちは狐族の最上位で〝天魔狐〟っていうんだけど、魔力が非常に高いのよ。その中でも尻尾が複数あるとさらに強いわけ。今のユキちゃんは0歳なのにもう3本あるから、それはもうすっごい高いの」


 なんですと!? う~ん、確かに自分の魔力が高いのは感じるけど、何がいけないんだろ。前世も結構高かったけど特に弊害なかった気がするんだけどなぁ。

 というか〝天魔〟ってなんだろ? いろいろ聞きたいことあるなぁ。あとわたしって尻尾3本あるのね。


「高すぎるとね、魔法がうまく発動しなくなるの。少し難しく言うと、発動時に使用する魔法陣が耐えきれなくなって魔力が逃げちゃうの」


 あーなるほど、この世界は魔法陣を形成しないと発動しないのね。となると前世のクイックスペル(魔法陣無しでの魔法詠唱)は無理そうね。そして強すぎると陣自体がもたないわけね。う~んこまった。


「そのために私たちはね、これを使うの」


 胸元から1枚の紙をスッと取り出すけど、そのしぐさエロカッコイイですよお母様。


 しっかしお母様って、まず見た目がどう見ても10代後半で美人というか可愛い系でしょ。さらに光輝く金色の長い髪と碧眼、もちろん狐耳に狐尻尾も完備。そしてスタイルがちょっとね、すごすぎるよね。身長は少し低めだけど、圧倒的な破壊力を持つ胸部装甲を装備してるんだもの。しかも締まるとこは締まってるというのがね。


 というかお母様もすごいけど、うちに住んでる人たちみんなレベル高いのがまた何とも。お世話してくれるメイドさんがみんな美人でスタイルすごいとか、執事さんが全員イケメンだったりダンディだったりするし、ほんととんでもない家に生まれた気がするわ。

                                            

「これは〝術札〟って言って、魔法や術を発動させる物なの。この術札を通せば私たちの強い魔力でも魔法や術が使えるようになるの。もちろん召喚術にも使えるし、刀とかの武器まで作ることができるわ。さらに“ヒトガタ〟って言う術札を使えば、人形などを動かしたりもできる優れものよ」


 そう言いながら術札を手に持たせてくれる。ほえ~、この札ってただの魔法媒体でなく物質創造までできるんですか。何でもありに見えてきたわ。でも逆に考えると術札がないと魔法が使えないっていう致命的な弱点もあるのね。


「ふふっ、たぶんユキちゃん、術札がないとどうしよ~とか思ったんじゃないかしら?」

「だぁ~」


 お母様、あなたはエスパーですか!? わたしの考えてることほんと分かっているなぁ、すごいとしか言えない。これ、お父様が浮気とかしたら一発でばれるんだろうなぁ。まぁラブラブっぽいから浮気自体まずない感じだけど。


「そういう場合は尻尾の毛を使うのよ。これは術札の代わりではなくて、魔法陣を私たちの魔力に耐えれるように強化するの。わからなかったら大きくなった時にまた話してあげるから安心してね」


 へぇ、尻尾の毛は魔力触媒になるってことかな。なかなか便利な物を持ってるんだね。でもそうなると狐族って魔法素材として狙われてそうだなぁ、平和な世界だといいんだけど。


「それとユキちゃんにはもしかしたら残念なこと、私たちは筋肉を鍛えてもほとんど力はつきません。なぜかっていうと、私たちは生物っていうより精霊に近いの。ただ魔力が上がれば力もつくから心配しないでね」

「だー」


 精霊に近いとか、なんかすごいわ今の体! しかも魔力が高ければ強いんでしょ。で、その魔力が生まれながらすごいんでしょ。転生ボーナス無かったって思ったけど、有ったようなものねこれは。





 そんな説明をお母様に抱っこされながら聞いていると、神官服を着たイケメンが入ってきましたよ。


「おやサユリさん、ユキさんの所にいたんですね」

「あらタツミさんもユキちゃんに教えたいことがあったのね。モテモテね、ユキちゃん」

「だーだー!」


 はい、わたしのお父様です。イケメンです、身長高いです、細マッチョです。う~ん、これファザコンになるべきかな? マザコンとどっちがいいのかな? むしろ両方がいいか。

 そういえばお父様、実は日本人でこの世界にむかーし召喚されたんだっけ。でも日本への未練は全く無いとか。お母様とラブラブだもんね、わかります。


「教えたいこともあるけど、それは別の日にしましょう。本題ですが、今日のおやつ何がいいか聞きに来たわけですよ」

「もうそんな時間なのね。そうねぇ、あんみつかしら。ユキちゃんも大きくなったら、お父さんが美味しいおやつ作ってくれますからね」

「だー!」

「これは相当期待されてますね。大きくなるまでにもっと美味しい物を作れるようにしないといけないなぁ」


 そう言いながらまんざらでもない顔をするお父様。ご飯はお母様が、おやつはお父様という布陣みたい。食べてみたいなぁ。

 う~早く大きくなりたい!



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