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298話 始まる前にはお菓子です

 受付を済ませたら席の指示があったので、目的の席までトコトコと。

 その間に周りを確認してるけど、知り合いって感じの人は居なさそうだなぁ。今日は出身がレグラス以外の人を集めた日だったのかな?

 でもまぁ知り合いが居ないなら、多少適当でも


「お嬢様、また悪いこと考えてませんか?」

「えー? そんなことないよ? ただ、知り合いが居ないから適当でもいっかなぁって思っただけだよ」

「はぁ、やっぱりそう考えてましたか……」

「ちょ、何その残念そうな顔は!?」


 アリサがなんとも言えない感じでジトーって見てくるんだもん。そんな風に見られたら、さすがに反抗しちゃうよ? プンプン。


「えっとですね、お嬢様の考えられている知り合いは確かにいません」

「でしょ? なら問題無いんじゃないかなぁ、ここの学科も受けてないし」

「えぇ、本当に知り合いが居なければ、多少羽目を外されても問題ありません。ですが」


 そう言ってアリサが何人か指差したけど、はて? まったく身に覚えがない人ばかりなんだけど、何だろ?


「今指差した方々は、お嬢様と知合いです」

「うそん!? でも、ぜーんぜん記憶に無いよ?」

「そこは、まぁ、お嬢様ですから……」

「ちょ!?」


 あぅ、今度は少し呆れ気味の目で見られちゃったよ。

 てことは、あー、そゆことか。


「もしかして、どこかで話したとかそんな人たち?」

「それどころか懇親会などにも招待され、お嬢様が相手宅に伺ったことがある家の方々です」

「……マジ?」

「マジです。予想はしていましたが、本当に覚えてないですねぇ……」


 やっぱりそういうことかぁ……。

 たぶん、というか今見ても、なーんにも興味沸かない奴らだから、記憶することを拒否しちゃってるんだろうなぁ、わたし。

 しかもこのアリサの呆れよう、おそらく一度会ったではなく、二度三度会ったことがある奴らなんだろうけど、ほんとーに記憶にございません!

 やれやれ、我ながらこの〝興味の無いモノに関しては一切記憶しません機能〟、ほんと厄介だわ。


「ぷぷー、おねーちゃん、記憶力無さすぎー。それに対し、あたしはちゃーんと」

「おっとー? そう言う姫サマもわりと覚えてないですよねー? こないだも人の名前、間違えてましたしー?」

「そ、そんなことないよ!」

「そんなこと言っていいんですかー? ここに録画した映像が」

「わーわーわー!」


 あらまぁ、コレットちゃんの指摘で、わたしをおちょくろうとしていたメイもやられちゃったわ。

 というかメイさんや、お前もなのか……。

 これはもうあれね、うちの一族の女性陣にもれなく付与される特殊機能という事ね……あまりほしくない機能だけど。





 そんなこんなで席に到着。

 ふむふむ、安っぽい椅子でなく少しモコモコした感じのソファだからか、座り疲れとかはなさそう。机は用意されてるけど人数の関係か、軽食とかは出ないっぽいなぁ。

 ん~、飲食禁止じゃないし、周りを見てると自前で用意してる人も多いし、それなら


「おねーちゃん!」

「はいはい、ちょっと待ってなさいって」


 案の定、メイが催促してくる感じに、隣に座ってるわたしの腕をくいくいって引っ張ってきたわ。食い意地はってるなぁ……わたしもはってる気がするけど。


 それはさておき、何にしようかなぁ。音が出るものとか匂いが強いのは避けておきたいなぁ。目立ちにくいのにしておきたいのです。

 となると……あれにするかな。

 ではではポーチの中からゴソゴソと取り出しっと。出すと同時に、アリサがお茶をササっと用意してくれたわ。さすがですね!


「おねーちゃん、これってもしかしてアレ? 地球の日本にあった」

「そだよー。アイスをお餅でくるんであるあのお菓子です。白いのはバニラで、赤っぽいのは中にイチゴ、こげ茶のはチョコレートって感じに、色が付いてるのは中身も変わり種になってるよ」

「おぉー。ちなみに作ったのは?」

「もちろんわたし。お店で売っているのは混ぜてないよ」

「さすがおねーちゃん、わかってるね!」


 うん、メイの反応も上々ですね。

 まぁ実際のとこ、わたしの料理技術と厳選されし食材を用いて作ったのでなく、お店で売ってるのも悪くはない出来、と言うか普通においしい出来なんだけど、今回はメイが居るからねぇ。

 なんとなくだけど、わたしも作れるのに買ったのを出すってやると拗ねそうな気がしてしまうのだ。


「ちなみに出してはいないけど、ネタで超激辛わさび入りとか、傷みがヤバい唐辛子入りなんてのもあるよ」

「……それ、だれが食べるの?」

「わたしは試食したことがあります! ちなみにアリサもあります!」

「思い出させないでください……」

「あっ、ごめん」


 メイが呆れてるけど、やっぱね、試食は大事なのです。

 ただまぁ付き合いで食べてもらったアリサが、当時のあの壮絶な状況を思い出して項垂れたのは失敗だったわ。……まぁアリサだけでなく、わたしもヤバかった記憶があるけど。


「まぁネタ用だからね。よっぽどなことが無い限り、わたしのポーチの中で眠ったままになるかな」

「あたしに食べさせたら怒るからね!」

「やらないから、ネタでもやらないから」

「絶対だからね!」


 ふ~む、メイの反応が予想以上だわ。

 ひょっとして、わさびとかが駄目なのかしら? もしくはトラウマ持ってるとか? ちょっと気になるね。





 しばしお菓子食べたりでのんびりしていたら、どうやら始まるみたいね。演題の方にいかにも学者ですって感じの格好をした数人が現れたわ。

 そしてその後ろに格子、いやフレームって言うべきかな? それに囲われた人型の何かが4体配置してきたわ。


「アレが今回の作品って事かな」

「見た感じフツーだね。あたしの国にも魔導人形はあるけど、あんな感じかな」


 メイがあっさりした感じで見てるけど、たしかにどこにでもある魔導人形、もしくはロボットと同じ感じだわ。

 4体の衣装は執事、メイド、土木、そして衣装無しになってる。しかも体系の差があることから、性別とか役職での設定はあるみたいね。


 衣装無しのは素体って感じだけど、おかげで造りの見当がつく。

 既存の人形やロボットと同じで、骨格の周りに筋肉や皮膚を張り付ける形で間違いなさげ。ただ、真っ白でのっぺりとした皮膚だから、人とは別の存在とわかる造形になってる。

 頭部は目とおぼしき物が存在するけど、鼻と口が無い、衣装人形みたいな造形になってるね。誰かに似てるとかを避けるためかな?


「ん~む、特別発表するような技術もなさそうなんだけど。ねーねーアリサ、事前資料に何か載ってなかった?」

「私も気になったので今見直しているのですが、核心に触れる部分の記載は一切ないですね。新技術を盛り込んだ次世代型、というのがやたら強調されていますが」

「次世代型ねぇ。見た感じ、造りが特殊とかじゃなさそうなんだけど、どのあたりが新技術なのやら」


 第一印象で惹かれるとこが無いとか、わたしのがっかり度がさらに上がったよ。まぁ期待はもともとしてなかったけど。


「そういえば、おねーちゃんの家とかには魔導人形って無いよね? それってやっぱり、人形の方だと融通とか臨機応変ができないから?」

「ん~、一応うちの国の最新鋭機ならソコソコなんだけど、うちの場合は従者の質が高すぎて、人形が勝てる要素が皆無なんだよ」

「ですね。魔導人形であれば費用が浮く環境もありますが、当家では魔導人形以上の効率を出すのが当たり前となっていますから」


 アリサがドヤァって感じになってるけど、ほんとうちの従者ってヤバいからなぁ。

 身体能力が高いだけでなく、術式やら魔道具やらも活用しまくるので、ちょっとの時間があればすぐに片付いてしまう状況ばかり。そんなんじゃ人形に放置して任せるも無いよねと。


 あー、でもそのせいだなぁ、わたしが今回の興味が全然沸かないのって。

 やっぱね、イケメン執事さんと可愛いメイドさんいっぱいの方が良いのです! 人形も嫌いじゃないけど、やっぱ生身が良いのです!

あのお菓子は雪のなんたらです(一応伏せ)

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