表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
286/363

286話 ジジイとのバトル?

少しだけシリアスっぽいです

 ジジイが割り込んできた感じだけど、長引かせるのもまずそうなのでさっさと終わらせましょうか。

 んでは術札を取り出し


「どういうことだよ! お前、そんな力があるなら最初から協力しろよ!」

「ふむ、可笑しな事を言うな。いつオレが仲間だと言った?」

「なんだと!? サポーターが、図に乗ってるんじゃねーぞ!」


 おやおや、わたしそっちのけで金髪がジジイに噛みついてるわ。まぁ仲間じゃなかったうんぬんは、わたしも少しだけ気になるけど。

 しかしジジイ……なのかな? さっきの口調と違うのもそうだけど、なーんかにおうわ。


「本来の計画では駒候補であるお前達に吸血鬼連中を倒させ、強制進化を促す予定だったのだがな」

「強制進化? いったい何を言ってやがる!」

「ふむ、進化についても知らないとは、力量だけでなく知識も乏しいとは思わなかったぞ。これではオレの駒にするメリットがない、ただのムシケラ未満の存在だな。やれやれ、新たな餌を調達するか切り捨てるか、計画自体を見直必要があるな」

「さっきからごちゃごちゃと、いいかげんにしやがれ!」

「威勢だけは良いな。だが、それだけだ」

「なぐっ!?」


 金髪が立ち上がってジジイに殴りかかったけど、簡単に払われて背中から床に叩きつけられてるわ。

 う~ん、完全にわたしを無視して二人の世界に入ってるなぁ。とはいえ絶好の機会でもあるし、まとめて潰しちゃおうかな。

 となると、ジジイの強さが未知数なのもあるから精霊力を少し強めにしてっと。


「ふむ、お前は狙っているな」

「へぇ、これに気付くんだ」

「馬鹿にするな。オレはこいつらとは違い、お前が行使している力が精霊由来なのは既にわかっている」


 ジジイが金髪を足で踏みながらこっちを見てそんな事を言ってるけど、なんかおかしいな?

 こっちには精霊が存在しないから、精霊と言う単語自体出てくるのは不自然だし、精霊力についても知らないはずなんだけど。

 誰かから教わったのかな? だけど教わるだけじゃ認識できないはずだしなぁ。う~ん、よくわかんない!





 まぁいいや、考察は後回し!


「ともかくぶっ潰しちゃう! 精霊術式展か」

「遅いな」

「え!?」


 術札に式を書き込み、精霊力を使って発動しようとしたら、ジジイが一瞬で間合いを詰めるなり薙刀を下から切り上げて、わたしが持っていた術札をバッサリ切りやがったわ!?

 うへぇ、まじかぁ。たしかに術式の発動を阻害するには良い手だけど、そんな事できるのってわたしと同等かそれ以上の存在くらいなんだけどなぁ。いくら最速での発動じゃなかったからって、術式展開前に術札を切るのは相当難しいんだよ?


「しかし、判断は素早いな。回避するだけでなく、既に反撃の体勢まで取っているとはな」

「そりゃどーも。にしてもまいったな、ちょっと真面目にならないとマズそうだわ」


 切られる直前で術札を手放し、すぐさま後退したのでダメージは無し。そのまま次の術札を用意するにはしたけど、手加減での発動だとまたバッサリになっちゃう気がするわ。

 だとすると手加減無しの全力で行くか、術装を使うかってとこだね。ん~、どうしようか。


「早く出したらどうだ? お前の術装を」

「え? 術装って、え?」


 ちょっとちょっと、なんなんですかこのジジイ。精霊関係もそうなんだけど、どうして術装のこと知っているのかな?

 ここまでくると、こっちの世界の住人でなく別の世界、それこそわたし達の住んでる世界から来た奴と考えるべきか。


「隠す気か? お前ほどの力を持つ者が術装を所持していないなど、ありえないのだがな」

「知識関係で気になる点はあるけど、それは推論ってわけね」

「出す気が無いのは勝手だが、その様な状態でオレの力を受け止める事が出来るのか?」


 そう言うなり、ジジイがむんっ! って感じに気合を入れると、どわーっと魔力と精霊力に似た力が押し寄せてきたわ。力を開放でもしたのかな? 結構な威力だったので少し後ずさりしちゃったけど、まだまだ脅威って程でもないわ。

 力を開放したジジイはそのまま自分の顔に手をやると体全体が一瞬光り、体格だけでなくジジイ顔が別の顔に変化していったわ。偽装の術みたいなものかな? ぱっと見は40~50くらいのオッサン顔になったわ。

 う~ん? よく見ると、なんか既視感があるようなないような顔になったんだけど、はて?


「次は手加減しないぞ」

「へぇ、わたし相手に手加減してたんだ。ずいぶんと余裕ね」

「余裕、か。どうやら、お前は力の差が見えていないようだな」

「力の差って何よ?」

「それは……こういう事だ!」


 ジジイ改めオッサンが薙刀を下に構えて突っ込んできたけど、結構速いな。

 だけど、わたしが回避できないほどじゃ


「ユキちゃん! 距離を置いて防ぎなさい!」

「え!?」


 お母様が大声で叫んだのでちょっと驚いたけど、すぐさま半歩ほど後退して術札に結界の術式を書き込んで展開!

 展開が完了したギリギリの時に、オッサンの薙刀が切り上げ……てぇっ!?


「……ほう、何者かの気配を感じていたが、お前だったか。となると、そいつはお前の娘か」


 オッサンが切り込む瞬間、お母様がとっさに割り込むや否や、術装で迎え撃っちゃったんだもの。その瞬間、ちょっととんでもない威力の衝撃波がドカーンと発生。うへぇ、展開した結界にひびが入っちゃったよ。

 てか、これってお母様もマジ状態って事? 天衣や精霊神衣は顕現してないけど、術装は顕現させてるし。

 とゆーか、お母様が割り込まないとダメだったって事は、さっきの攻撃はわたしだと回避できなかったって事だよね……。途中で速度が変わったのは判断できたけど、お母様が抑え込みにいかなければどこまで速くなったのやら……おっそろしいなぁ。


「娘で悪い?」

「良し悪しを付ける気は無い。だが、所詮はアイツとの子だな。オレの予想未満の力でしかない劣等種とは、笑わせてくれる」

「私のユキちゃんに、ずいぶんとふざけた事を言うわね」

「事実を言ったまでだ。お前のような存在の娘にしては明らかに劣っているだろ。ましてやオレの攻撃に耐える以前に、見失うとは拍子抜けだぞ」

「それは自慢のつもりかしら? それに、今のユキちゃんが全力全開状態だと、だれか言ったかしら?」

「全力であろうがなかろうが、お前が割り込む時点で底が知れるのだがな」


 うわぁ、鍔迫り合い状態のまま言い合ってるけど衝撃波とかも発生したままだから、なかなか怖い状態。

 しかもお母様がかなーりピリピリの冷たい状態になっているし。ここまで冷たい状態、初めて見たかも……。わたしの前だと冷たい状態よりも甘々な状態が多い、というか激甘が多いから、余計にそう感じちゃうだけかもしれないけど。





 鍔迫り合いから1分くらいかな? お母様とオッサンが少し離れたおかげで衝撃波とかも収まったので、ちょっと状況の確認をしましょう。


「え、えーと、お母様?」

「ごめんなさいね、詳しい話は帰ってからするわ。ただ、この状態は望んでいないのだけれど、こうなってしまうとねぇ。私がもっと早くに気付けたら回避できたのだけれど」

「お母様が気付けなかったんですか?」

「えぇ、この男が力を開放するまではね。力の制御もユキちゃんより上だからか、姿だけでなく強さも誤認識させてるわね。ほんといやらしい性格」


 そう言いながら、お母様はオッサンを睨み続けてるなぁ。

 とゆーか、これって相当ヤバくない? お母様の探知を無効化できるって、わたしよりも相当強いって証拠だよね? うへぇ、マジかぁ。


「当たり前だ。お前達に気付かれると計画が頓挫するからな、相応の対策はしている。それに、隠れていたのはお前もだろ。お前がこの場に居るとはオレも思わなかったぞ」

「おかしな事かしら? 娘を心配して付き添うとか、親として当然よ」


 お母様が睨みながらそう言ってるけど、ちょっと過保護も入ってませんかとは思ったり思わなかったり。まぁ過保護の方が愛されてる感が強くて嬉しいんだけど!


「まぁいい、オレとしてもお前と遭遇するのは想定外だったが、これも運命、もしくは宿命だな。いっそこれを契機に、表へ返り咲くのも良いかもしれんな」

「あら、この場から逃げ切れると思っているのかしら? まさか、私を倒せるなんて馬鹿な事を考えてないわよね」

「お前を倒す、か。可能性はゼロではないが、オレにメリットはない。メリットがない行動をオレがしないのは、お前も知っているだろう」

「知らないわよ。この際だからハッキリ言っておくけれど、好意も興味も一切無いわ。自意識過剰で事を進めようとするのも気持ち悪いとしか思えないわ」


 こわっ!

 お母様が強烈な殺気を放ちながら喋ってるけど、今の状態って殺気だけで敵を殺せちゃうくらい強いのだよ? こんなの初めて見るよ。


「ずいぶんな言い草だな。だが、オレはお前を手放す気は無いぞ」

「また勝手な事を言うわね。私はお前の所有物じゃない、それこそ過去にさかのぼっても一度も無いわ」

「やれやれ、これではまた平行線になってしまうな」

「なるも何も、交わったことは一度も無いわよ」


 ふ~む、どうやら二人は知り合いどころか、相当昔からの知り合いみたいだね。お父様の事も知ってそうだし、もしかしたら同世代なのかしら?

 にしても、このオッサンもお母様狙いだったのか。まぁお母様は綺麗で可愛くて強くて女子力もすごく高い完璧な人だからね、惚れる人が多いのも納得だわ。ただし脈は皆無だけど!

母は強し!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ