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284話 転送召喚って上手く行かないものね

 お母様がミツキとルミィに魔道具の具体的な使い方を説明してくれている間に、わたしは部屋の中央にトコトコと。

 見た感じこの部屋って結構広いから、仮に100人の大量召喚なっても大丈夫そうね。消費する魔力と精霊力もたぶん大丈夫でしょう。


「ユキちゃ~ん、こっちは終わったわよ~」

「は~い。それじゃ始めま~す」


 お母様が手を振りながら終わったのを教えてくれたので、まずは二人の持っている魔道具との接続を確立しましょう。

 ポーチから新しい術札を取り出し、サクッと術式書いて展開っと。


 ふむふむ

 ほむほむ


 二人の魔力と精霊力に乗る形で、ルミィのお母さんが用意した魔道具の機能や使用者の紐付けとかも頭に流れ込んできたけど、なかなか洗練されてるね。これなら召喚に必要な情報の抽出もらくちんだわ。

 んではその情報をもとに、お母様のくれた術札に術式を追記してっと……これで大丈夫かな? 初めてだからちょっとだけ心配だわ。


 残りは発動に必要な魔力と精霊力の確保かな? 術式を見た感じソコソコ余裕はあるけど、確実性を取るために少し多めにしておいた方が良いかな。

 それじゃ精霊力と魔力を少し高めて……おや?

 高めた瞬間、なにかの音がしたのでちらっと振り向いたら、ミツキとルミィが尻もちついてるわ。どうやら魔道具から逆流したわたしの魔力と精霊力の大きさに驚いて、立っていられなくなった感じね。

 でもまぁ表情を見る限り、畏怖とかでなく単純にその大きさに驚いたって感じみたい。まぁルミィのお母さんがお母様に状況を聞いてるあたり、力の振れ幅が知らない人からすると相当だったみたいだけど。





 ではでは、念のため深呼吸して~気を落ち着かせて~……よっし!


「いっきま~す。術式展開、転送召喚!」


 術札に魔力と精霊力を込めて発動っと。

 かなーり大きな魔法陣がわたしを中心とした円形状に形成され、床に描かれたねたね。半径10メートルくらいかしら?


 そのまま術式を起動し続けると、だんだんと魔法陣の上に光の玉が現れてくる。召喚術が組み込んであるからか、いきなり体がポーンと出てくるでなく、こういった状態に遷移するんだねぇ。

 だけど、これってちょっとまずいよーな。魔道具からの情報で召喚するのは20人だったはずだけど、どう見ても玉の数が20よりも多い。

 これはアレかなぁ、安全性削った弊害で巻き込み召喚になっちゃってるのかなぁ。とゆーか、この状況での巻き込みって……


「ユキちゃ~ん、気を付けなさ~い。きっと敵も来るわよ~」

「やっぱりですか~?」


 少し大きな声でお母様と話したけど、敵ってつまり討伐に来てた勇者連中って事だよね。

 まいったなぁ。ここの国としては魔王討伐するのが正義だけど、それに反して仲良くしているどころか、転送召喚を使って救出までしちゃったという事実がバレバレになってしまう。

 しかもお母様が居るこの状況だと、わたしの単独犯ではなく、レグラスが国を挙げて介入していると思われてもしょうがない状態。

 そうなると、レグラスに対しての遺憾の意とか抗議をここの国がしてくるだけでなく、他の国を巻き込んでの大問題に発展する事だってあるわけで。隙あらば叩こうって国もソコソコ居るからしょうがない事だけど。


 なのでバレないようにしたいけど、精霊神衣を顕現させた状態だと偽装関係の魔道具が使えないだけでなく、認識阻害の術式も使えない状態になっちゃうから、隠れるも別人に成りすますもできないんだよなぁ。

 原因はたしか、わたしは精霊との相性が良すぎるのもあってか精霊神衣を顕現させると強くなりすぎるため、魔道具が許容できる魔力と精霊力を軽く超えちゃうのと、偽装関係の術でも隠し切れないどころか強制解除になっちゃうからだっけ。強すぎる力を持つ者特有の欠点だねぇ。


「召喚が完了する前に、コレを被っておきなさ~い」


 そう言って、お母様が亜空間から何かを取り出し投げてきたので、両手でキャッチ!


「お面?」

「早く被るのよ~」


 ふ~む、見た目は白い狐のお面、縁日とかでありそうなやつだね。額に精霊石が埋め込んであるけど。

 それにどうやら魔道具ではないっぽい。コンコンと指で叩いてみたけど、ほんと普通のお面。精霊石がお面自体にも練り込まれてるみたいで、頑丈っぽい感じだけど。

 これはアレかな? お母様でもどうにもできない状況なので、せめて顔を隠してバレないのを祈るって事かしら。お母様達は離れているから認識阻害の術式とかで何とかなるので、わたしだけが問題になるって状況だし。


 それじゃ運任せだけど、お面を着けて……似合うかな?

 若干不安だけど、なるようになれーって感じだわ。最悪、生きて返さなければ問題ない。まぁ、あまりやりたくない方法だけど。





 わたしの不安はさておき、召喚は無事完了。

 目の前にはボロボロで拘束具っぽいのを着けた人が20人と、比較的綺麗な身なりをしたのが7人か。見た感じこの7人の方は、討伐に行った勇者パーティの一部っぽいね。


「ここは……どこだ? 城内の確認に向かったメンバーが居ないどころか、天光の城ですらないぞ?」

「気をつけてください! 得体の知れない者が立っています!」


 ふ~む、タブン勇者な金髪男の反応に、賢者っぽい眼鏡男が注意を促してるわね。司令塔はあの眼鏡って事かな?


「だが弱そうだチュ? だけど弱そうなくせに、派手な格好をしてるチュ」

「いったい何者なのでしょうか?」

「これはアレよ、ボーナス用の裏ボスよ」

「流石にそれは無いと思うワン。まぁさっきの魔王より弱そうなのは確実だワン」


 んで、格闘家風のハゲ鼠がわたしを弱そうと判断し、三つ編み絶壁な推定聖女が疑問を持ち、ドリルにケバイ化粧の魔法使い女がゲーム感覚な発言をし、銃使いなのか両手に短銃を持っている白黒模様をしたデブ犬男が他の魔王とかと比較してると。

 なんていうか、モブキャラ感が凄いわ。なにより、全員わたしの好みじゃないね。むしろ好意どころか嫌悪感が強いわ。

 しかも変な翻訳用魔道具使ってるのかな? 鼠と犬の語尾がなんか変だわ。獣人で語尾が変わるのは創作物の定番だけど、現実にはありえませんよ。


「お、お前ら、さっさと倒して、安全を確保するのじゃ」


 そして、なぜか武器ではなく白い壺を抱えた髭ジジイがビクビクしてると。こいつだけは外見で職業が判別できないけど、おそらく商人かアイテム持ちだろうね。

 しっかし7人とも強そうには見えないなぁ。まぁ隠された真の力とかが無いとも言えないから、多少は警戒しておくけど。


「お前は何者だ!」


 わたしの初見が終わったあたりで金髪が睨みながら剣を抜き、剣先をこっちに向けテンプレ的な事を言ってきたわ。なんとなく自分が主人公って思ってそう。


「えーっと、答える必要ってあります?」

「隠す気か!」

「さぁ? 相手するのがめんどいだけかも?」

「キサマ、なめるなよ!」

「落ち着いてください! 外見と声からして女、しかも子供のようですが、おそらく奴も魔王です。天光の魔王や幹部ほどの力は無いどころか、ノーマルのコカトリスやワイバーン程度に見えますが、隠された形態もあるはずです!」

「す、すまない」


 金髪が癇癪を起こし気味だけど、眼鏡は冷静だね。しかも分析に入ってる感じだわ。ただまぁ案の定、精霊力を感じられないからか、力のモノサシが間違ってそうだけど。でも隠された形態って、わたしはゲームのボスなんですかねぇ。

 にしても、わたしも魔王扱いですか。となると、ここは魔王っぽくやった方がバレにくいのかな? 魔王っぽいってのがよくわかんないけど。


 まぁいいや。

 魔王と思ってるならそのまま勘違いさせておいて、そのままサクッと片付けちゃいましょー。こっちか正体とかをばらす必要なんてないもんね。

少し補足

 巻き込みの有無は大体こんな感じになってます

  召喚の術式=巻き込み無し

  勇者召喚 =巻き込み有り

  転送召喚(安全てんこ盛りVer)=巻き込み無し

  転送召喚(安全を削ったVer) =巻き込み有り

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― 新着の感想 ―
[良い点]  逆になぜ得体の知れないところに連れてこられていると言うのに勝てると思うのか。
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