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270話 本戦ですかー・・・4

 何事もなくドラトカゲの攻撃防いじゃったけど


「あ、ありえないドラ……。ワレのテクニックだけでなく、渾身のハンマーすら防ぐドラなんて……」

「相当自信あったみたいですねぇ。まぁわたしとしては、この程度の攻撃で何するの? って思っちゃったんだけど」


 おっといけない、今の発言もあってかドラトカゲが少し怯えた感じになっちゃったわ。少し震えながら後ずさりしたし。

 対するわたしは〝竜宝〟とか言う物の正体を、今の一撃で分析できたので大満足です! まぁ分析結果にはちょっとがっかりしたけど。

 てっきり術装の亜種とか未知の装備だと思ってたのに、単なる魔道具の一種なんだもん。まぁこっちだと魔道具自体珍しいようだし、どこかで手に入れた普通の魔道具が家宝とか伝説の武器になったんだろうねぇ。


「さてと、それじゃ反撃しよっかな」

「まだだ、まだ終わらんドラ!」

「それも定番の返しだなぁ……。まぁいいや、せっかくだしこっちも術式にしておこうかな」


 ポーチから術札を一枚取り出してっと。

 どうやらお母様は、尻尾を隠さないで存在感を出すだけでなく、力も徹底的に見せつけて変な気を起こす者を徹底的に無くそうって考えてるみたいだからね。ならば派手なのをドカンとやるのが一番な気がするのです。


『ユキ選手が何かを取り出したようですが、あれは何でしょうか? 紙のように見えますが』

『わかりません。ですが先ほど〝ジュツシキ〟という謎の単語を発していたので、おそらくそれ関係かと』

『〝ジュツシキ〟ですか、気になりますね!』


 う~む、尻尾の影響からか、司会と解説の人だけでなく観客もだんだんわたしに興味を持ちだしたようで、批判的なヤジがガクッと減ってきてるわ。それに「今度は何をするんだろう?」的なワクテカした声が多いかしら?

 となると少しは派手な感じの術式の方が良いかな?

 ん~……


「審判さん、一つ質問が!」


 手をびしっと上げてって、うん、この癖ほんと抜けない。


「な、なんでしょうか」

「なんか怯えてるなぁ、まぁいいけど。んと、相手を殺しちゃった場合、すぐに蘇生しても失格になるんですか?」

「そ、蘇生!? そんなことできるわけが……」

「できるかどうかの確認は後にして、できるという前提で話を進めてもらいたいんだけど」


 あくまで質問なんだから、余計な疑問を挟まないでもらいたいね。これが綺麗なおねーさんだったら話が長くても……って、いかんいかん、つい余計なこと考えちゃう。


「え、えーと、命を奪う攻撃は禁止していますので、蘇生できたとしても失格となります」

「むぅ、それはちょっと困った」


 腕を組んでうーんうーんと唸っちゃうくらい困った。

 派手な術式の場合、わたしの魔力だとまず間違いなく致命傷になる。なのでサクッと蘇生して殺しちゃった判定を回避しようと考えてたけど、それが使えないって事だもん。

 でもなぁ派手な術式でないと「何が起こったか分かりません!」って反応になるから微妙な気がするんだよなぁ。観客の求めてるのはそういうのではない! って感じだし。

 となると……あれしかないか。


「よっし、決まった!」

「何を決めたのか知らんドラが、いつまでもそのバリアを保てると思うなドラよ!」

「ほんとビミョーに締まんないなぁ……」


 ちょっと呆れ顔になっちゃうけど、向こうはいたって真面目というか殺気まで出てきたね。これは恐怖を克服したってとこかしら? ずいぶん簡単に克服したなぁとは思うけど。

 そんなドラトカゲがハンマーをさらに強く握って魔力ではなく闘気って奴かな? 力を込めだしたようでうっすら光りだしたわ。


 そして準備ができたのか、少し光っているハンマーを


「ドラァァァァァ!」


 叫びながら思いっきり叩きつけたり、薙ぎ払ったりしてきた。ハンマーによる連続攻撃って感じだね。

 まぁばちーんばち―んって感じに、ぜーんぶ結界に弾かれちゃってるんだけど。この程度の攻撃じゃ魔力消費も全然ですよー。





「さてさて、それじゃ反撃といきましょー」

「な、なんて硬さドラ!? こ、このままではワレのスタミナが」

「この程度で体力が尽きるのかぁ」


 何時間も攻撃し続けたならわかるけど、短時間だからなぁ。ひょっとしたらその闘気みたいなの、体力を思いっきり消費する技術なのかしら?

 まぁいいや。それじゃサクッと術式書いて~


『ユキ選手、何かをやる気だぁぁぁ!』

『先ほど取り出したか紙が光りだしましたが、一体何を……』


 あらま、司会と解説はすぐに気付いたね。というか、ドラトカゲの攻撃内容に関する解説とか省いてませんかね? 依怙贔屓はダメだよー。


「んでは、術式展開、我が前に顕現せよ、エンシェントドラゴン!」


 術式では手加減が無理ならば、手加減ができそうな子を呼ぶまでなのです。

 詠唱が完了すると、わたしの目の前に巨大な魔法陣が形成され、黄金に輝く鱗を持った巨大なエンシェントドラゴンがゆっくりとその姿を現していく。ドラトカゲが相手なので、こっちもドラゴンで挑んじゃおう大作戦です!


『な、なんなんですかあれはぁぁぁ!?』

『巨大なドラゴン!? ど、どうやって!?』

「どういう事ドラぁぁぁぁぁぁ!?」


 おっと、予想以上の反応ですね。観客の方もすっごい声、というか悲鳴も出てるよーな。

 そんな周囲なんてお構いなしに、顕現してきたエンシェントドラゴンが頭を下げ、わたしにすり寄ってくる。ほんとかわいいやつですねぇ、よしよし。


「し、審判、こ、これは、反則ではないドラか!?」

「そ、そう言わ、言われ、まして、も」

「むぅ、そんなに怯えなくてもいいのに。この子、わたしが命令しない限り襲ったりしないよ? それに優しい子だから、そうあからさまに怖がられると泣いちゃうんだよ?」


 エンシェントドラゴンの頭を撫でながらそう言うけど、ダメみたいね。審判の人、今にも気絶しそうだわ。ドラトカゲもすっごい震えてるし。


『様子からして、あのドラゴンはユキ選手のペットなのですか!?』

『そのようですね……。正直、未だに信じられない光景ではありますが』

『そもそも、どのようにして呼んだのでしょうか? 飛来してきたのではなく、舞台に描かれた模様から現れたように見えましたが』

『おそらくサモンの一種だと思います。ですが……』

『テクニックも使用していましたね……』

『はい……。ここまでくると、ユキ選手が本当に人獣なのか怪しくなってきました』


 いやいやまってまって超まって!

 わたしって狐耳と尻尾がある、れっきとした獣人ですよ? まがいものじゃないですよ? そこを疑われるとかちょっとどうなのよってマジで思っちゃいますよ?





 さてさて、少し会場の悲鳴が収まってきたことだし、やっちゃいますか。


「し、しかしその大きさ……ま、まさか貴女はメガ、いやギガ級のドラゴンを呼び出したドラか!?」

「ん~、そのメガとかギガの分け方自体よくわかんないけど、最高峰のドラゴンなのは確かかな?」


 まぁアビスドラゴンとかも居るけど、一般的にはエンシェント級が最高峰だからね。


「とゆーわけで、いっくよー」

「く、くそったれドラ!」


 そう愚痴りながらもドラトカゲは武器を杖に交換して、今度は雷の魔法かな? またチャージってのをしだしたね。相殺する気かしら?


「んじゃブレスお願いねー。でも殺しちゃだめだよ? 威力は抑えて、吹き飛ばすようにだからね?」


 撫でながらそうお願いすると、コクンと頷いた後に頭を挙げ、ガオーって感じに叫んだわ。

 そしてドラトカゲを睨むように顔を向け、口を開いてエンシェントドラゴンの超手加減ブレスをドガー! って感じに放った。


「やってやるドラ! 究極テクニック、その名もメガサンダードラァァァァァ!!」


 向こうもチャージが終わったようで、杖をこっちに向けて今度は雷属性のブレスっぽいのを放ってきた。

 ただなぁ、究極って言ってるけどなぁ


「しょぼい」

「な、なんでドラァァァァァ!?」


 エンシェントドラゴのブレスとぶち当たったけど、拮抗するとか全く無しに、あっさりブレスに呑まれてそのままドラトカゲに直撃。そのままドラトカゲを場外まで押し流したわ。

 おもいっきり手加減させてこれとか、どこまで弱い攻撃だったんですかねぇ。


「あっ、追撃しなくていいからね。場外に出すだけで十分だから」


 あぶないあぶない。

 先に言っておかないと、良い所を見せるのに必死になっちゃう癖があるからね。それでやり過ぎちゃったらヤバいヤバい。でもまぁこういう所もかわいいんだけどね!

補足みたいなもの

 手加減ブレス=少し強めの風(狐娘視点)=耐えきれない暴風(相手視点)

 このような感じになります

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