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263話 予選の開始です・・・2

少し長いです

 まずは舞台にのぼって……へぇ、舞台は石材じゃなくてコンクリートでできてるのか。石材より脆い気がするけど、修復はし易そうね。


 さてさて、それじゃ最初に他の参加者を確認って、でっかいなぁ。獣寄りの獣人が多いせいもあってか、2メートルどころか3メートル近いのまでうじゃうじゃいるよ。

 あとは案の定、わたしの様な人寄りの獣人は一人も居ないみたいね。ほんとこの国だとヨワヨワな種族って事なんだろうねぇ。


『これより、第13組の予選試合を開始します! 選手の皆さんは構えてください!』


 周りを確認してたら、会場に響くくらいの大きな声が流れたね、いよいよって事ですか。

 周りの人もそれぞれ武器を取り出してるなぁ。とゆーか今更だけど、木刀とかじゃないんですか? しかも刃落とししてる感じも無いんだけど、大丈夫なの?


『制限時間は15分、勝者は最後まで舞台に残った方です! なお敗者判定は舞台からの落下、降参の自己申告、そして致命傷を負った者となります!』


 うへぇ、判定に致命傷を負った者があるとか、ちょっと物騒ですよ。

 まぁお遊びじゃないって意味と、緊張感をそれなりに持たせるためだとは思うけど、結構ヤバいねぇ。


『それでは……試合、始め!』


 大きな声と同時に、カーン! っていう前世にあったゴングの鐘みたいな金属音も鳴ったわ。なんとなく終了時にも鳴らしそうだなぁ。

 それと、開始と同時に観客から「うぉぉぉぉぉぉぉ」って感じに超野太い声で雄叫びを上げるとか、何とも暑苦しい感じがするわ。女の人も居たはずなんだけど、男の人が圧倒的の多いってことかしら?

 まぁいいや、それじゃちょっとだけがんばりましょうかね。





 さーてと、さくっと勝ち抜き……おや?


「う~ん、コレって、わたしが狙われてるって事なのかな?」

「ボケーっとしてるようだが、残念だったな嬢ちゃん。こっちも必死なんだ、弱い奴から狙わせてもらうぜ」

「痛い思いをしたくなければ、先に場外に避難した方が良いぜ?」


 5人かな? わたしを取り囲むように移動してきたけど、まぁそうなるか。

 こっちだと人寄りの獣人はヨワヨワって認識だから、まずは弱い者を狙って数を減らそうって事ね。複数人だったのは、同じ考えの奴が揃たって事か。しかもこの5人、獣寄りの犬族獣人だし。


 でも5人だけかぁ……。


「もっと大勢なら一気に減らせたのになぁ」

「何寝ぼけたことを言ってるんだ? ほら、早くしないと痛い目見るぞ?」


 そう言って一人が機械式の剣の切っ先をこっちに向けてきたけど、脅してるつもりなのかしら?

 とゆーかこの剣、ディラックが使っていた物より安物っぽいなぁ。機能も少なそうだし、なによりも柔らかいし……って、あら。


「ごめんなさい。つい摘まんで曲げちゃった」

「な、なぁっ!?」


 向けられた剣に手を伸ばして、ちょっとひねったら簡単に曲がっちゃったんだもん。

 既に魔力である程度腕力とかを強化してたけど、ここまで脆いとは思わなかった。だって今の状態ってミスリル製の武器なら曲がらないような、ほんとよわーい力なんだもん。


「お、おい、どうなってるんだ!? あいつの剣、簡単に曲げられたぞ!?」

「オレが知るか! こんなこと、今まで見たこともねーよ!」

「め、目の錯覚なんだろ、きっとそうだ」


 おやまぁ衝撃的だったのか、他の奴らがしどろもどろになったわ。ここまでなるって事は、こっちだとこの程度の事もできない人が多いって事かしら?

 となると、力加減がほんと難しそう。武器がこの程度って事は防具も同程度だろうから、適当に行くと体ごとどぱーんしちゃうわ。


「術式は本選までは使わないでおきたいから、すっごい手加減しないとダメかぁ」

「手加減だと!? クソッ、こうなりゃ自棄だ、お前達も手伝え!」

「お前が命令すんな! まぁいい、行くぜ!」

「あ、ようやく来るんですね」


 死を覚悟した必死の形相みたいな感じに5人がどわっと迫ってきたけど、おっそいなぁ……。この感じだと、修行始める前のショージ君程度の力しかないかな。

 となると、殴ったらほんとにどぱーんしちゃうから、ここは平和的に行きましょー。


 両手にちょっとだけ魔力を込めて、そのままパンッと柏手!

 柏手を打つことでちょっと弱めの魔力による衝撃波が発生。これで軽く倒れ……え?


「うぎょぉぉぉぉぉぉ」

「な、なんだとぉぉぉぉぉぉぉ」

「ひでぶぅぅぅぅぅぅ」

「う、嘘でしょ……。なんで今のよわーい衝撃波だけで、思いっきり吹っ飛んでるのよ……。しかも5人だけじゃない、少し離れたとこに居た奴も含めて20人くらい吹っ飛んだとか、意味が分からないよ」


 ちょっと足に力を入れてたら受け止めることができる程度のはずだよ? なのに思いっきり吹っ飛ばされるとか、マジでどういう事?

 しかも致命傷になったのか、傍にいた5人は血だらけになってるし。


「お、おい、あの人獣なんかヤバいぞ」

「あ、あぁ。あんな力、見たことがねぇ」

「バケモノだ、バケモノが居る……」


 しかも衝撃波を少しくらう、もしくはくらってない奴らがことごとく、わたしをすんごい恐ろしい者的に見てくるんですけど。今の、そんなに強い攻撃じゃないんですけど?

 う~ん、ひょっとしたらこっちの人達、魔力が使えないどころか魔力耐性もすっごい低いのかしら。ちょっとの魔力でもこんなになるとか、普通の人じゃありえないし。

 これは力加減、ほんとーに難しそうだなぁ……。





「今度はこのくらいで……えいっ!」

「「「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁ」」」

「これでもダメなんかい……」


 力を弱めながら魔力の衝撃波でどんどん倒しているけど、ほんと調整が難しい。今だって3人ほどの重傷者を出しちゃったし……。

 衝撃波が出ないギリギリだと範囲が狭いから意味ないし、範囲を広くしたらどぱーんしちゃいそうな感じだし、ほんと大変。


「ん~、残り時間ギリギリまで調整するのもちょっと面倒だし、どうしよっかなぁ」

「チャンスだ! あのバケモノ、腕を組んで止まりやがった!」

「マジだ! 手を貸すのは癪だが、あのバケモノを倒すならしょうがねぇ、やるぜ!」


 ちょっと止まって考えてたら、今度は4人くらいがどわっと迫ってきたけど、ほんと単純だなぁ。

 最初の奴らもそうだったけど、なんであからさまに「切り落としたる!」とか「突き刺すぜ!」って感じに、攻撃内容がバレバレな感じに武器を構えてくるんですかね? そんなんじゃ防ぐも避けるも、すっごい簡単なんですけど。


「これは戦闘技術も相当低いって事かなぁ。とりあえず……えいっ!」


 さっきよりもさらに弱めた感じの魔力の衝撃波を発生させ……やっぱダメか。


「な、なんなん、ぐはっ」

「しん、死んじまうぅ」

「だいぶ弱めた魔力でも地獄絵図になるとか、ほんと難しいんですけど!」


 あまりにも弱くて、こっちが逆ギレしちゃいそうだよ。

 とはいえ魔力使わないと、わたしってホント弱いというか力が無いからなぁ。まぁ体内の魔力が完全に枯渇、もしくは封印されるでもしない限りはヨワヨワにならないけど。そして、枯渇も封印もあり得ないけど。

 枯渇するって時は、おそらく死ぬ間際とかそんな状態くらいだし、封印もお母様の魔道具で封印攻撃自体無効化できるはずなので、そんな状況はまず無いわ。


「ん~、魔力の衝撃波で潰していくのも面倒になってきたし……力技で終わらせるかぁ」


 術札を取り出し、サクッと飛行の術式展開。そのまま舞台の上空にサクッと移動っと。

 ルミィから機械式装備の種類をある程度聞いたところ、飛行するための機械もあるって事だから、わたしが飛んでいてもそこまで不自然じゃない。それに、この予選でも数人飛んでいたからね。


 だけど、うむぅ、視線がいっきに集まっちゃったわ。

 わたしは術式なので、機械式と比べるとだいぶ速い速度で上空に移動できたから、すこーし目立っちゃったかしら。

 もしくはアレかな? 可愛いわたしが急に空に現れたから、みんな気になったって方かもしれないね! と自画自賛しちゃってみたり。まぁこの国だと獣寄りの獣人にはウケが悪いみたいだから、こっちの可能性はそれ程じゃないっぽいけど。


「な、なんなんだあいつは!?」

「どうして人獣如きが高価な飛行武装を持っているんだよ!?」


 あー、またこれですか。

 少し聞こえてくる獣寄りの獣人の声に耳を傾けたら、人寄りの獣人に対する侮辱というか偏見というか、そういうのばかりだわ。この国ってほんと人寄りの獣人に対して優しくないですね。


 まぁ只人族からは聞こえてこ


「なんで見えないんだよ!?」

「あんな短いスカートなのにおかしい! 見えるように修正を求める!」


 ……。

 い、いや、まぁ気持ちは分かりますよ? いつものように短いスカート型の巫女服を着ているから、普通なら上空に居れば中も見えますよね。

 しかしそうは問屋が卸さない! 角度だけでなく袴のなびき方も完璧に制御できるわたしにとって、たとえ空中だろうと中を覗かせないなど朝飯前なのだ! まぁ真下に来られたらさすがにダメなので、そこは細かい移動で避けるけど。





 ほぼほぼ全員が冷静さを欠いてる状態だし、一気に終わらせますか。こういうチャンスは見逃さない!

 ではでは右手にサクッと魔力を集めて~、それをうすーく伸ばして~、どんどん広げて~……こんなものかな?

 広さは舞台全体を被えるくらいだけど、薄いので威力は最低限。とはいえこっちの人って魔力耐性が低いみたいだから、それでもダメージが大きい気がするけど……。


 それではこの魔力の塊を~


「えいっ!」


 舞台目掛けて振り落とし! 空中に居た奴も関係なし、全員舞台に叩き付けだよー。


『うごぉぉぉぉぉぉ!?』

『ぬわぁぁぁぁぁぁ』

『だ、だずけてぐ』


 ……ヤバイ、予想以上に地獄絵図な状態になったわ。悲鳴をあげながら血だらけになったり関節が変な方向に曲がったりする者がほとんどとか、ヤバすぎませんかね。

 おっかしいなぁ、いったいどうし……あっ、そっか。魔力の衝撃波で吹っ飛ばすのでなく、今って押し付けての圧殺みたいな状態になっちゃったのか。なるほど納得……って、マズイマズイ! このままだと大量殺人者になっちゃう!

 急いで対消滅させるための魔力を作成して~


「よいしょっと!」


 魔力の塊を舞台に投げつけ、最初に投げた塊にぶつけ対消滅させる。

 ぶつかった瞬間、パーンッ! って弾けるような大きな音がしたから驚いた観客多数だったけど、そこは勘弁してください。無音で対消滅させるのはちょっと無理だから。


 さてと、術札を取り出してサクッと生命探知の術式を発動……うん、死亡者は居ないみたいね。あまりにも酷い地獄絵図だったから、蘇生させないとダメな奴が居るかもって少し危惧したけど、大丈夫だったみたいね。

 ただまぁ……うん、これじゃわたしが魔王みたいなものだね……。舞台が血の海になってるとか、マジでヤバすぎ。

 う~む、とんでもない状況を作っちゃったけど、このまま予選に参加し続けることってできるのかしら? ちょっと不安になってきちゃった。

決して有象無象には下着を見せないプレイスタイル

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