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26話 術装を手に入れてみよう・・・2

 あれから今日で7日目、がんばりもあるけどやっぱ才能もあるんだね。昨日、何となく術装を感じるこができたって聞いたときはびっくりしたよ。普通の天魔の人ですら術装の感じをつかむまでに20日位かかるのに、ほんと早かったねぇ。


 そもそも術装の覚醒で一番大変なのって術装を感じること。術装の所持者として最適化されていなければ感じることができないけど、逆に感じることができたら術装の持ち主として最適化されてきてるって証拠。


 ここまでくればゴールも間近、ひょっとしたらそろそろ顕現できるんじゃって思えるくらいの状態。

 そんな順調なアリサを見ちゃうと、わたしの応援にも熱が入るわけで


「はいアリサがんばってー」

「あ、あの、お嬢様、その恰好はいったい?」

「チアガールって言う応援する時に着る服だよ。注文してたものが届いたので着てみた! ちなみに手に持っているのはポンポンって言います」


 応援するには形も重要ですから!

 昨日は応援団用の学ラン? とかいうの着たけど、あまり可愛くないからか評判がいまいちだった。せっかく買ったけど今後着ることはなさそう。


 というか過去の転生者、ほんといろんなものを節操なく広めすぎでしょ。まぁ広まったということは需要がこの世界にもあったってことだけど……。


 それはさておき


「どうどう? 似合う?」


 くるっと回ってからバンザイジャンプ。こういう動作は慣れたものです、慣れていいのかはわかんないけど。


「感想を、って見ればわかるか」


 アリサが悶えてる、どうやら相当良いってことだね。ただこの反応みると、間違ってもうちの人たち以外には見せられないわ。


 どうもわたしって他の4歳児が比較にならないほどの圧倒的な可愛さらしいから、ほんと注意しないとだね。まぁ可愛さについては自画自賛するときもあるけど、まさかそこまでとは思わなかったよ……。


「そういえばアリサ、何となくでもいいけど、自分の中の術装がどんな形かわかる?」


 覚醒が近づくにつれ、アリサの術装がわたしの予想通りなのかちょっと気になってる。

 予想通りならわたしの作った術装の素が正常に作用している、でも違った場合は素の生成に失敗していて、変な術装ができる可能性があるんだよねぇ。


 どうしよ、どでかいバトルアックスとか、小さいピコピコハンマーが術装ですってなったら。


 どでかいバトルアックスを担ぐメイド、うん、いろんな意味で怖いわ。

 小さいピコピコハンマーを手にするメイド、うん、戦闘力皆無のギャグキャラだね。


 うー、いろいろ考えだしたらわたしの方が不安になってきた。詳しい文献も無いからなおさら不安だよ。


「そうですね、なんとなくですが大きくて」

「大きくて?」


 まさかどでかいバトルアックスじゃないでしょうね?

 バトルアックス使いさんを否定するわけじゃないけど、アリサには似合わないので!


「長い棒? のようなイメージです」

「大きくて長い棒、ね」


 ということはやっぱあれかな。いやでも棒ってことはあっちもあるか、うーん大丈夫かな?


「なるほどねー。じゃぁそのイメージがもっと明確にわかるようにしていきましょー」


 少し不安だけど、わたしは自分の技術とアリサの才能にかけてみる!





「そろそろ一回通してやってみましょー」

「わかりました。えっとまずは魔力を集中して……」


 何度か通しでやってもらってるけど、そろそろな気がするんだよねぇ。狐の勘は当たるのです! たぶん。


「その魔力を維持して集中ねー。そのまま魔石の中の術装を意識して、それを目の前に導くような感じねー」

「導くように……あっ、お、お嬢様、なにか、私の中から何かが!」

「おーついに来たね。そしたらそのままの状態維持してわたしの言うこと復唱して」

「は、はい」


 ほんと早いわ。才能もそうだけど、あきらめずに頑張った成果だね。


「術装解放! 顕現せよ、我が内に宿りし新たなる力よ! って言ってみて」

「えっと、術装解放! 顕現せよ、我が内に宿りし新たなる力よ……あっ」


 成功したようね。

 わたしが使うのと同じ魔法陣が形成され、これまた同じ金色に輝く光の玉が顕現する。

 そして光が収束し姿を現わすのは鉄のような金属できた一振りの大太刀、やっぱり刀だったね。薙刀や槍の可能性もあったけど、わたしの魔石の影響が強く出た形だねぇ。


 ふむふむ、天魔じゃないから本体は封印状態、出てきたのは力の一部を宿した〝模造品〟ってことね。


「おめでとー、それがアリサの術装です!」

「あ、あの、ありがとうございます。でもなんでしょう、ただ大きな刀にしか感じないのですが」


 現実味がなく唖然としてる感じだけど、それでも確かめるように大太刀を軽く素振りしながら答えてる。

 素振りの状態から〝模造品〟でも重さ調整はできるみたいだね。あの大きさの刀だと、普通は本体重量と重心の関係で簡単に振り回せないはずだし。


「最初に教えておくね。実はそれ〝模造品〟なの」

「模造品、ですか?」


 何のことかさっぱりって顔してるね、こればかりはしょうがないわ。それじゃ誤解させないようにちゃんと説明しましょー


「そもそも術装は天魔に進化してないと使えない物なんだ。確かにアリサの術装は覚醒しているけど封印されている状態、その刀は本来の術装の力の一部のみ宿した別物なの。だから〝模造品〟っていうんだ。それに刀の名前も頭に浮かばないでしょ?」

「確かに何も浮かびませんね。と言うことは、術装というよりも丈夫な刀に近い物になるのでしょうか?」

「今の状態だとそんな感じだねぇ。でも天魔に近づくにつれて術装の封印が解けていき、最後はちゃんとした術装としての真の刀が出てくるから安心してねー」

「つまり天魔になった時のお楽しみということですね」


 うん、術装が封印状態の〝模造品〟ってことにも悲観もしてないし、大丈夫だね。


 しかし振り回す姿がすごく様になってるなぁ、シズクさんに大太刀の使い方習っていたのかな? アリサにはどんな武器でも使いこなせるように鍛えるって言ってったけど、その中に含まれてたってことかしら。


「ちなみに次からは 術装展開! 顕現せよ、我が内に宿りし力よ! っていう詠唱で呼び出せるよ。封印が解ければ真の名前と正しい詠唱が頭に浮かんでくるよ~」

「なるほど。それにしてもこれ、出しているだけでも魔力を消費するのですね」

「それも天魔しか使えない理由の一つなんだ。天魔に進化した人のほとんどは魔力が膨大だし、自然回復もそれに見合った効率になってるから使える、つまり維持し続けることができるってことね。ちなみにしまい方は流している魔力を止めてやるだけで大丈夫だよ」


 でもアリサ、模造品だけど顕現を維持できているんだよねぇ。まさかもう魔人になったのかな? 只人の魔力じゃ維持できるのは数秒程度なんだけど、見た感じ1時間くらいはもちそうだし。

 ふーむ、今度調べさせてもらおうかな。


「ところでお嬢様、術装を顕現させる際、光の玉は必ず金色に輝くのですか? お嬢様の術装以外では見たことがない色だったので、もしかしたら術装の顕現特有の色なのかなって思いまして」

「あー、えっと、そうかもねー」


 やばい、これ答えたら怒られる。ここはごまか、あ、そんなジト目で来ないで。ちょ、ムニムニしないで、答えるから。


「えっと、アリサの術装の素はわたしの魔石を半分くらい使って、それを加工して作った物なの。元がわたし自身みたいなものなので、術装もわたしの月華と同じような物になったのです。なので顕現させる時の魔法陣も光の玉も全部同じなわけ。あとはそうね、真の状態は月華と同じ様な性能や能力を宿してるんじゃないかな。いやぁがんばったかいがあったよー」

「魔石を半分くらいって、お、じょ、う、さ、まぁぁぁぁぁぁぁ」

「ひぃっ! そ、そんな怖い顔で近よっむぎゅ」


 急に思いっきり抱きしめられたんですけど、どうしたの。あれ? アリサ泣いてる?


「お嬢様がお優しいのはわかっています。この術装も何か理由があったのでしょう。でも、これ以上ご自身を傷つけるような事はしないでください。おねがい、します」

「あー、うん、心配させてごめんね。わかったわ、これ以上は控える。でも緊急時は諦めてね」

「本当は諦めたくないのですが分かりました。でもそれ以外は絶対にやめてください、絶対にぜーったいにしないと約束してください」


 しぶしぶって感じだね。でもそういう緊急時が絶対に無いとも言えないからね。


「えっと、破ったら嫌いになる?」

「嫌いになりたくないですけど、なるかもしれません」

「嫌われるのはヤダ。だから絶対にしないって約束するね!」


 これは思った以上に堪えるわ。

 でも、そうね。うん、嫌われたくないのは事実だから、本当に気をつけよ。

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