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259話 武器を見るのは定番です!

 何度か依頼を達成したおかげで、目標だった選抜大会的な行事への参加条件を得たので、今日からはのんびりよー。

 なので、後回しにしていた街観光しちゃうのです。

 しかも案内役にルミィが立候補してくれたからね。見知らぬところにふらっと入るのも良いけど、案内してもらった方がやっぱ良いもの。


『マスター、ご希望はありますか?』

「ん~、ご飯にはまだ早いから、まずは魔道具屋さんかなぁ」

『魔道具関連の専門店ですと、この国では1級区画への立ち入り許可がないとダメなので……』

「あーそういえばこの国、級で区切られているんだっけ」


 貴族街みたいな区切りがこの国にもあるって、こないだルミィに教わったんだったわ。

 いわゆる一般市民が3級、出世中の準貴族みたいなのが2級、貴族的な人が1級だっけ。どこにでもあるんだねぇって印象だわ。


『昔は2級区画にもあったそうなのですが、魔石の出土が年々減っているので縮小、現在は1級区画のみになってます』

「なるほどねぇ。まぁあのダンジョンで手に入った魔石も小さいのばかりだったから、魔道具作成大変だろうなぁとは思ってたけど」

『ですです。マスターの国でしたら、小さな魔石でも有効活用できると思いますが』

「この国にはそこまでの技術が無いって事ね。まぁうちの国って、国ごとチートみたいなものだからなぁ」


 他国を圧倒する技術力と戦闘力があるだけでなく、超豊富な資源に精霊達が同居しているとんでもない国だからねぇ。

 そんな国の中でも更にとんでもない家に生まれたとか、わたしってホント運が良い……というか良すぎるわ。


「それじゃ機械式の道具が売っているお店かな。ディラックの機械剣はもらったけど、他の物も見てみたいし」

『魔道剣と交換されたのでしたっけ?』

「うん。あの剣自体、わたしの国だと誰でも買える品なのと、割と普通というか結構良い奴だったからね」


 わたしの級上げを手伝ってくれたのもそうだけど、人寄りの獣人に対する差別意識も特になく、同性うんたらに対しても特に抵抗が無かったのが大きい。

 味方がほとんどいない見知らぬ土地で、味方になってくれる人ってのは貴重です。ならばわたしもそれ相応の対応をするのです。

 まぁ一番は、わたしの勘がディラックは悪い奴じゃないって言ってるからだけど。


『本当にマスターの住んでいる国は凄いのですねぇ。それではマスター、お店に案内しますね』

「おねがいねー」

『任せてください!』


 フンスって感じに気合を入れたけど、そこまで意気込まなくても……って思ったらダメですかね?

 なんとなくだけど、ルミィってわたしに命令されると嬉しそうなんだよなぁ。眷属化の弊害かしら?





『こちらですマスター』

「ほえー、かなりおっきい」


 ルミィに案内されて辿り着いたのは、大型店って言っても良いほどのお店。しかも量販店じゃないっぽいから、相当儲かっているんだねぇ。

 そのままルミィに連れられて中に入るけど……凄いな。


「商品も多いけど、お客さんもいっぱいだねぇ」

『ここは評判のお店なので、お客も多くなります。ちなみに1階は比較的安価な物で、ディラックさんが持っていた機械剣と同程度の物が売られています』

「大衆向けって奴だね」

『ですです。そして2階は高級品、3階は会員限定の品が置いてあるそうですよ』

「会員限定? とゆーことは、かなり性能の良いのが売っているの?」

『でもないみたいですよ。私が知る限り、装飾が増えていたり有名な作家が起用されていたりと、性能以外の付加価値が多いとか』

「あー、そういう方向なのね」


 戦闘に使う為でなく、見栄の為に買うような物って事ね。

 そりゃダサい武器よりかはカッコいい武器の方が良いとは思うけど、会員になってまで欲しくなるものなのかねぇ。よくわかんないや。





 そのまましばらくルミィに説明してもらいながら1階、そして2階を見てまわったけど、予想通りだなぁ。


『マスター、何か気になりました?』

「あー顔に出ちゃってた? んと、予想外の物が無いなぁって思ってたの」

『予想外? もしかして魔道具ですか?』

「それもちょっとはあるんだけど、魔道具を超える機械を少し期待してたの。これは魔道具では再現できない! とかがあったらよかったなぁって」


 魔道具は万能だけど、機械にしかできない物もきっとあるはず。特に魔道具が普及していない国なら、予想外の機能を持った物もあるかもしれない、そう期待してたんだけどなぁ。


「この機械剣も刀身が振動するという発想は良いんだけど、魔道具で既にあるからねぇ」

『新鮮味に欠けるという事ですね』

「そゆこと。見るのは楽しいんだけど、ちょっとがっかり感もあるという、わがままな状態なのです!」


 だって見知らぬ土地なんだもん、少しは期待しちゃうよ。

 そのせいか、がっかり感がちょっとすごいんだけど。


「ただ、ちょっとだけ気になってることがあるんだけど、ねぇルミィ、ここだとこういう武器が一般的なの?」

『こういう武器と言いますと、種類の事ですか?』

「んーん、材質の方。下の階もそうだったけど、ミスリル製品が一個もないんだよね。オリハルコンとかアダマンタイトは無いとは思ってたけど、ミスリルすらないのかぁって」

『マスター、この国ですとミスリルも貴重なんです』

「マジ? だってただのミスリルだよ? 鉱山掘ったら腐るほど出てくるミスリルだよ?」

『この国だと違うんです。鉱山で手に入るのは鉄鉱石が主、銀や金、プラチナも取れますが希少金属です』

「マジかぁ……」


 こういう所も違ってるのかぁ。

 魔石は小さい、定番のミスリルも貴重、そして魔法を使える人も少数……魔道具が発展しないのも当然ね。


「でもいろいろと納得だなぁ。いわゆるふつーの鉄とかを使っているから、ここの武器って重いのね」

『ですです。チタン製もあるにはありますが、鉄製の武器よりも値段が高いので、このようなお店でも取り扱いが少ないのです』

「チタンかぁ。あれって魔力の通り悪いから、わたしは嫌いなんだよね」

『ふふっ、マスターらしいですね。確かにマスターが使うとしたら、チタン製よりも普通の鉄、もしくは銀製の武器の方が強くなりますね』

「魔力の伝導率はホント重要だからねぇ。まぁチタンであろうと、わたしが魔力を流すと耐えきれないんだけど……」


 ほんと、わたしの魔力ってなんか異常なんだよね。わたしと同じくらい魔力が高いエレンが壊さずに使える武器であっても、わたしが使うとなぜか壊れちゃう。

 お母様曰く魔力の性質が特殊だかららしいけど、ちょっと厄介な体質です。まぁわたしには月華と術札があるから問題ないけど。





「にしても……う~む、重い!」

『ま、マスター!? あ、危ないです!?』


 展示されている大剣を手に持って掲げようとしたけど、重くてふらふら。

 よろっとしたら、ルミィに抱きかかえられてしまったわ。むぅ、重さと長さの関係で、わたしの体格じゃ無理そうね。


「魔力で腕の力を上げればいけそうだけど、それやるとこの剣も壊しちゃいそうだしなぁ」

『もぅ、危ないのでほどほどにしてくださいよマスター』

「ごめんごめん。ちょっと興味が湧いたからね、やりたくなったの」


 小さい体に相反する巨大な剣を持つとか、ちょっとカッコイイって思っちゃう。実際に使いこなすってなったら難しそうだけど。

 というかルミィ、結構強めに抱きしめてない? わたし、そんなによろっとしてたのかなぁ。


「だけどこの重さだと、使える人が少なそう」

『なので、この国ではマスターの逆、獣寄りの獣人の方が重宝されているんですよ』

「あーひょっとして、普通の筋力でこれを振り回してるの?」

『ですです。この国では魔力操作ができる者自体少なく、武器の多くは筋力の使用を前提とした物になります。その為、生まれながら力の強い獣寄りの獣人の方の地位が高くなる、というわけですね』

「なーるなる。逆に人寄りの獣人は筋力でなく魔力が高い人が多いから、この国の武器には適応しにくい、故にヨワヨワ判定なわけね」

『ですです』


 色々と納得だよ。

 筋力だけで言ったら、人寄りの獣人は只人族と同じくらいしかない人が多いからね。とゆーかわたしなんて只人族よりもないし……。





「まぁいいや、それじゃ剣を戻して次を……っと、その前に」

『どうしまし……え!?』

「うん、やっぱ素顔の方が可愛い!」


 抱かれたままだったので、どうにも気になっていたこと、そう、ルミィのお面を取っちゃったのだ!

 ルミィはこの街だとお面を付けているのが当たり前だったようだけど、それはそれ。しかも理由は力を封印するためだったから、今まで通りの外見を維持するって意味しかないんだよね。

 となると、今後はわたしの従者みたいな立ち位置になるんだから、わたし好みにしても良いって事です。


『あ、あの、マスター!?』

「あら、顔を赤くしちゃって、可愛いですね」

『え、えっと、そのですね!?』


 どうやらルミィは可愛いと言われるのに慣れてないようで、結構わたわたしちゃってる。


『マスター、えっと、その、このままですと、私』

「照れてますねー。んじゃ武器屋はこのくらいにして、呉服屋さん行ってみよー。そこでルミィのお洋服を買いましょー」

『マスター!?』

「それじゃ案内よろしくねー」


 やっぱね、女の子は可愛い格好しないとね!

 わたしの手持ちでも作れるけど、まずはこの街の洋服を見て、流行とかを確認しておくのだ。

 ふっふっふ、最高に可愛い格好にしちゃうよー。


『案内は良いですが、その、このままだと私、マスターを襲いそうなのですが……』

「ん? 何か言った?」

『い、いえ! なんでもありません!』

「ならいいけど?」


 なんかボソッとルミィが言ったけど……まさかね。

 襲いそうというちょっとすごい言葉が出てたけど、まさかまさかそんなそんな……あるのかしら?

 もしかして、直視すると発情するとか? 気になるし、あとでいろいろ聞いてみよーっと。


 とりあえず抱かれ続けてると目立つので、さっさと行くよー。

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