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255話 昨日の整理と目標決めだよ

執筆の関係でちょっと章を変えています

(7章の前半後半みたいなものと考えていただければと)

 むぅ、ちょっとまぶしい。もうちょっとベッドでモゾモゾしてたいのに、もう朝のようね。

 起きなきゃダメだけど、まだふわふわしてるし、二度寝しちゃおっかなぁ。それに、今はアリサが居ないから怒られない!


 そうと決まればもう一度……はふぅ、この感触、たまりません。

 ……ん? わたし、何を抱きしめて感触を堪能してるんだろ? アリサ達じゃないし、抱き枕という名の大きなぬいぐるみも持ってきてないし。

 だけど、この感触はわたし好みなんだよなぁ。ふわふわしてて程よい反発が……


「はっ!?」

『あっ、おはようございます、マスター』


 眠気眼を何とか開けて正面を見たら、うん、ルミィが目の前、というかを抱いていたわけでして。ヤバい! これ、ぜーったいにメイに浮気言われる案件だよ。

 とりあえず現状を理解しよう……だけどこの抱き心地、良いですねぇ。アリサやエレンとも負けず劣らずだし。そういえばまだメイとミツキとは……って、馬鹿な考えは後にしよう。


 えーっと、たしかお風呂で色々聞こうとしたけど、少しのぼせそうだから部屋にルミィを呼んで話してたんだっけ。

 だけど途中でお子様だから、わたしがうつらうつらしたので……。


「うん、不可抗力だね!」

『はい?』

「あ、気にしないで良いよー。ちょっとメイ、えっと、わたしの妹みたいな子に対する言い訳を考えただけだから」


 不可抗力なら納得してくれるはず! というか納得してください、お願いします。





「それはともかく、ちょっと昨日のおさらいをするね」

『はいっ!』

「んと、まずは――」


 昨日聞いたことをまとめだすと、なかなかちょっと複雑なんだよねぇ。


 まず、ルミィの種族は吸血鬼と女淫魔のハーフという、なかなかぶっ飛んだもの。だけど外見は普通の只人族なのは、祖父母が男淫魔と只人族だったからその影響みたい、と。

 ここで厄介なのが『吸血鬼』と『淫魔』の力を受け継いでること。


 『吸血鬼』という種族は、血を吸ったり眷属を増やしたりの定番。コウモリに化けるとか、日光に弱いとかもあったかな。

 だけど、ハーフだからかルミィの吸血衝動は皆無だし、日光に弱いということも無い。吸血鬼固有の眷属化や血液を使っての物質操作は使えるようなので、悪い部分だけうまいこと引き継がれなかったって感じかしら。そういえば昨日持っていた剣も、血液を使って作った剣みたいね。


 『淫魔』のほうも定番で、人を魅了してエッチな事をして力を奪い取るとかの奴。そういえばエッチな事をしないと生きていけないって聞いたこともあるわ。

 でも、これもハーフが関係してるのかルミィには淫魔的な思考というか、魅了して力を奪うとかは無いと。ただし男女両方の淫魔の力を濃く受け継いでるので、淫魔特有の強い魅了の力を持っている。しかも男女両方に通用する、なかなかヤバいやつ。


 これらが重なったせいか、ルミィは他人を簡単に魅了でき、魅了した者を眷属化できちゃうという存在になったと。本来の眷属化とは違う手順で眷属化できるとか、ちょっと変わってるね。

 しかも意識せず、目で見た相手の魔力に触れるだけで魅了し、眷属化できちゃう優れもの。配下増やし放題って感じだなぁ。

 成功率はルミィの魔力より低い者なら確実、同等の者なら五分、上の者だと不可だっけ。わたしが反射しちゃうのは想定外、というかありえない事態だったようだけど。


 それと、音としての言葉を発せないのは種族が混ざり過ぎた弊害。発声器官はあるけれど、声が出せない状態とかなんとか。

 まぁ太古の淫魔は精霊に近い存在って聞いたこともあるから、ひょっとしたら会話方法は淫魔の先祖返りしただけかもしれないね。

 とはいえこの会話方法には大きな問題があり、魔力が圧倒的に低い者だと汚染、最悪廃人にしちゃう危険な方法。魔力使っての会話だから当然ですね。まぁわたしは魔力高いから汚染されないし、うちの方だと汚染されないための魔道具も安価に売ってるから、魔力が低い人でも問題ないんだけど。


「あとは、持っていた仮面が魔力と魅了を封じ込める装備になってるんだっけ?」

『ですです。なので、本来はこのように素顔を晒せるのは、めったにない事なんです』

「なるほどねぇ。だけど封印する物だから戦闘力自体も半減する欠陥品、って感じだねぇ」


 外に漏らさないようにするだけなら良いけど、力を押さえつける方だからなぁ。

 軽く見た感じだけど、ルミィの魔力はわたしやエレンよりも高そうなんだよね。だけど魔力以外はそうでもないから、魔力を封じ込めると一気に戦闘力が落ちる状態なわけで。


「ん~、わたしの魔道具使えばどうにかできる気がするんだよなぁ」

『そうなんですか?』

「うん。わたしの付けてるコレも似たような効果があって、狐族特有の魅了を少し抑えてくれる効果があるの」


 そう言ってお母様の作ってくれたネックレスを手で弄るけど、ほんとすごいよねぇ。

 魅了を抑えるのもそうだけど、尻尾の偽装に各種耐性の強化……というかほぼ無効化。おまけに意識失うと結界が自動発動するし、危険な時にはお母様のもとに自動転移できる機能まである。

 まぁわたしは自他共に認める程可愛いので、魅了に関しては完全に抑え込めてないっぽいけど。とゆーか魔道具でも完全に抑え込めない魅了とか、わたしっていったい何なんですかね?


『でもでも、それを取られたら、危ないのでは?』

「あー実はこれ、わたし自身も外せないの。所有者指定の術式を付与すると、その人以外は外せない効果が発動するんだけど、これにはそれに似たものが掛かってるの」

『似たもの?』

「うん。所有者は確かにわたしなんだけど、着脱者はお母様になってるの。つまり、お母様以外は外すことができない物なの」


 たしか、わたしが騙されたり操られたりして、自分から外しちゃって危険な状態にならないようにするためだったかな。念には念って奴ですね。


「んで、これに近い魔道具はいくつか持ってるんだけど、それ使えば何とかなるんじゃないかなぁって」

『それはすごいですね……。私の持っている仮面は一族に伝わる秘宝みたいな物なのですが、それでも封印が限界なのに。マスター達はほんとすごいです!』


 目をキラキラさせながら言ってくるけど、うん、たしかにすごいよね。

 こんなのあったら良いなぁ、できたら良いなぁ……というのを実現しちゃってるんだもん。実現できない物がどんどんなくなるとか、ほんとすごすぎだよ。





「まぁ仮面の代わりになる魔道具はどうにかなるとして、その、やっぱり〝マスター〟なの?」

『ですです!』


 わたしとルミィの間で眷属化が発生しちゃったからか、ルミィにとってわたしは主人、すなわちマスターという立場なようで。

 そして眷属となった者は下という立場なのか、奴隷とかスレーブと言われるとかなんとか。


「わたしは配下にしたって気持ちはないんだけど……」

『でもでも、これは私達にとっては伝統の様なものなので、そこはお認めください』

「むぅ、伝統と言われると無下にできにゃい」


 わたしからしたらおかしな事であっても、ルミィから見れば当たり前の事だとしたら否定できないからねぇ。


 しっかし困った。これ、詰んだんじゃないかしら?

 マスター呼びうんぬんとか、ぜーったいメイにふかーくツッコまれるよ。何かうまい返答、考えておかないとなぁ……。


「とゆーか、わたしがマスターで本当に良いの? 会って間もないし、この国の人じゃないし」

『問題ありません! それに、我が家では〝眷属化は運命であり良縁である〟と言う家訓がありまして、マスターとの間に契約が為されたのも運命だと考えているのです』

「運命かぁ。ん~、そう言われるとあながち間違ってないような気もしないではないかなぁ」


 わたしがこの国に来てたまたまタブレット拾ったら、それはルミィが落とした物だったり、付き添いの冒険者としても指名されたり、貸し切りだったはずのお風呂でも遭遇しちゃうなどなど、偶然にしては詰め込み過ぎよね。


「まぁルミィ自身が嫌がってないならいっか」

『ですです。ところでマスター』

「な~に?」

『昨日お話しされた内容から、ハンターランクを上げる必要があるのですよね?』

「だね。魔王討伐パーティの選抜大会になるのかな? それに出ることが可能な状態にしないとダメなの」

『なるほど。でしたら、ダンジョンに行ってみますか?』

「えっ!? こっちにもダンジョンってあるの!?」


 ちょっと意外、こっちにはダンジョンが無いと思ってたよ。

 となると、転移門使ってやってくるこの国の冒険者って、ダンジョン遠征以外の目的でもあるって事なのかしら?


 そんな事を考えてるわたしとは違い、ルミィは全て知っているからか少し微笑んでますね。ふ~む、これは何かありそうだね?


『もちろんありますよ。ただ、普通のハンターだと少し厳しい場所なんです』

「どういうこと?」

『マスターも知っていると思いますが、こちらでは機械式の武装が一般的です。ですが、ダンジョンでは機械式の武装が通用しないモンスターが多いのです』

「あー、ひょっとして物理耐性めっちゃ高いってこと?」

『ですです! さすがマスター!』


 パチパチパチと拍手されちゃった、ちょっと照れます。


『ですが、私はもちろんマスターも機械式の武装は使いません』

「だね。魔力を載せた攻撃か、術を主体にするから、魔物の物理耐性が高かろうが関係ないって事になるわけか」

『です! そして、こちらのハンターが厳しいという事は』

「その分報酬とかっも良いって事だね。なるほど、それなら目標達成もすぐにできるかもしれないわ」


 昨日のニワトリ討伐だけでサクッと上がってくれたらよかったけど、どうもそうはならないっぽいからね。

 ならば報酬が良い仕事をガンガンやっていくしかないのだ!


「よっし、それじゃ今日はそのダンジョンに行ってみましょー」

『了解しました!』


 ルミィも手伝ってくれるから、これはサクッと行けそうだね。

 ではでは、目標達成目指してちょっとだけがんばりましょー。


 あっ、その前にルミィの眷属化とか魅了対策の魔道具を用意しないと。ダンジョン行くのも大事だけど、こっちも超大事だしね!

吸血鬼うんぬんの補足ですが

 眷属化できない→対等、もしくは上位の者として対応する

 眷属化できる →下位の者として対応する

 眷属にされる →ご主人様!

だいたいこんな感じです

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