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25話 術装を手に入れてみよう・・・1

 作ったポーチはアリサが喜んでくれたので良かった良かった。


 色々入れているけど、なにその最新鋭の魔道カメラ。メイドなら必須、シャッターチャンスの時にさっと出して使うの、へぇ。

 え? 被写体はわたし? ちょっとそれ恥ずかしいんだけど、っていうかそれがメイドの必須ってどういうことよ……。





「それともう1個あげるね。はいこれ」

「術札、ですか? 術札自体もですが、見たことがない術式も書かれてますね」


 渡した術札をしげしげとみてるね。まぁ見たことない術なのはあたりまえなんだけどね。驚くかなー驚いてくれるかなー。


「その術札を胸の所にあてて」

「こう、ですか」


 不思議そうな顔してるね、でもまだ始まってもいないよー。


「そしたら術装梱包って言ってみて」

「えっと、術装梱包、え、なに、きゃぁ」


 術札が金色の光を放ち、そしてアリサの体に吸い込まれていく。へー、実際に見るとこうなるのね。


「あ、あの、お嬢様、えっと、その、せっかく頂いた術札が消えてしまったのですが」

「そんな慌てなくても大丈夫。体に違和感とかない? 痛いとか苦しいとか」

「特に変わりはないのですが、あの今のはいったい」


 うん、さすがわたし、ばっちりできてるね。だからアリサ、そんな心配な顔しなくていいのに。


「今のはアリサに術装をあげたのです!」

「はい?」

「今の術札は術装の素を仕込んだ物で、それをアリサが取り込んだの。なのでアリサも術装持ちです!」

「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」


 驚いてる驚いてる、作戦成功だね! こういうイタズラ、大好きなんです。


「はい落ち着いてー、深呼吸しましょー」

「ふぅ、お見苦しい所をお見せしました」

「気にしない気にしない。んじゃ説明ね。さっきの術札はアリサに合うようにわたしが作った術装の素が入っていたの。それをアリサのここ、魔石に取り込んだのがさっきの現象ね」


 アリサの胸をツンツン。ここね、ここに魔石が。


「あ、んっ、お、お嬢様、あの」

「あー、えっと、それでね」

「……お嬢様、覚悟はよろしいですね?」


 あ、いや、セクハラしたくなったわけじゃないから、女の子にしちゃいけないの忘れてただけだから。そりゃちょっとは興味あったけどって、あ、うん、謝るから、だからジト目でほっぺ引っ張らないでー。





「うー、アリサがどんどん遠慮なくなってきた気がする。まぁその方がうれしいけど」

「サユリ様とシズク様に遠慮なくやっても良いと言われていますので」

「犯人は身内にいた!?」


 わたしに同年代の友達ほとんどいないから仲良くさせるためってのはわかるけど、なんか負けた気がする!


「えっと、それで今のが術装の取得方法なのですか? ということはお嬢様も昔、同じように術装の素を取り込んだのですね」

「あー、実はわたしの場合、生まれたときから術装を魔石に宿していたんだ。ちなみにお母様もそうだから遺伝だね」


 生まれながら魔石に術装を宿すのはすごい珍しいのに親子揃って、しかも武器まで同じ二振りの精霊刀だからね。

 さらに術装の名前も似ているし能力もほとんど同じ。使えない能力はわたしの成長と修行が足りないだけで、いずれは完全に同じ能力になるとか。

 ほんとわたしってお母様要素がいっぱいだわ。


「説明を続けるね。魔石に宿った術装は最初に覚醒させないとダメなの。今はただ魔石に宿ってるだけだから、それを使えるようにするってことだね」

「手順が必要なのですね」

「そゆことー」


 この覚醒がなかなか難しく、そして厄介。

 せっかく術装を生まれながら持っていても、覚醒できなければ使うことはできない。そして覚醒できないまま長い時間が経過すると、宿っていた術装は消えてしまう。


 消えた術装は他の者に宿るとか、別の形で出現するとかいろいろ言われてるけど、実際そうなのかは不明。こればかりは誰も調べることができないからしょうがないね。


「覚醒させる方法だけど、まずは魔石に魔力を思いっきり集めます。次に術装の存在を感じるまで魔力と精神を研ぎ澄まします。最後にその状態を維持したまま〝術装解放〟って詠唱すれば覚醒し、術装が顕現するよ」

「存在を感じるというのは難しそうですね」

「まぁねぇ。それにそれだけじゃないんだ。大前提があって、まず術装が認めた存在であること。次に魔力の質、属性、波長の三つが術装に適合してないとだめなんだ」

「装備の方が使用者を選ぶんですか、大丈夫かな」


 あら、心配そうな顔になっちゃった。選ばれなかったら~っていう不安が出ているってことだねぇ、分からなくもないけど。


 そういえば勇者の持つ聖剣とかいうのも人を選ぶんだっけ。術装よりも使用者の選定緩そうだけど。


「気負わなくて大丈夫だよー、気楽に試してこう」

「わかりました、では一つずつ試していきますね」


 心配する必要まったくないんだけど、理由は黙っておこうっと。答えを先に言ったらアリサのためにもならないだろうし。

 それに術の才能も悪くないから、たぶん1ヶ月もあれば顕現できる気がするなぁ。





 1時間くらいかなぁ、軽いアドバイスだけで結構形になってきてる。予想以上に順調で良きかな良きかな。


「あの、お嬢様、その、ずっと見られてますと」

「恥ずかしがらなくていいのに。はいがんばってー」


 でも行き詰ってきたかな。術装の存在をどうすれば感じとれるのかわからなくなってきたみたいだね。ん~ちょっとだけヒントあげるべきかな。


「ねーアリサ、術装ってどんな物だと思う?」

「えっと、強い武器でしょうか。何か間違ってますか?」


 あら、割と即答だったわ。しかもこの答えってことは完全にわたしのミス、これなら最初に聞いておけばよかったかも。


「えっとね、実は術装って武器じゃないの。確かに見た目は武器なんだけど、本質は術具、術札の延長なの。なので武器じゃなくて術札のような、こう何でもできる秘密アイテムって感じでやった方がいいよ」

「何でもできる……、確かにお嬢様を見てると術札で術に召喚、物質創造までされてますね。それと同じ、ですか」


 たぶんわたしの月華のせいなんだろうなぁ。思いっきり刀だし、あの勇者との戦闘時に〝わたしの武器〟って言っちゃったしねぇ。

 もうちょっとアドバイスというかイメージ付きやすくしてあげよう。


「どういうことかというと、術装展開! 魔石に宿りし精霊よ、汝の力を我に示せ! 顕現せよ、精霊刀『月華』! っと」

「お嬢様、急に何を!? というかまた術装出して、立てなくなったらどうするんですか! もうっ」


 と言いながら、なんかうれしい顔してますよねアリサさん。立てないとわたしに付きっきりになるからかな? これがメイドのお世話する精神ってやつだね!


「えっと、確かにわたしの月華は刀なんだけど、術式展開、我が前に顕現せよ、スノーラビット!」


 月華の剣先に魔法陣が現れ、そこから一匹の白い小さな雪ウサギが召喚される。うん、相変わらずかわいいウサギさんです。

 あっ、この子またわたしの頭の上に乗ってくる。召喚するといつもこうなんだよなぁ。


「というように、術札と全く同じことができるのです。うちで使ってる術札の使い方って、実は術装で術を使うための物でもあるんだよ」


 術装に墨で術式書くとかできないからね。でも術装に墨のようなものを使って術式を書き、術装自体強化する人もいるらしいけど。

 だけどそれって効率悪いし、隙もできるし、そこまでして術装強化する必要あるのかな? ってわたしは思う。それなら術装がもっと強くなるよう、持ち主がもっと魔力を高めたりした方が効果的だと思うし。


「でもね、術式を使う時の魔力効率は術札のほうがいいから、術装で術式を使うのは戦闘中に術札が出せない非常時くらいになると思うよ」


 術札タイプの術装だったら効率も変わりそうだけど、たぶんアリサの術装は違うし。

 それに術札タイプの術装って、言ってはなんだけどハズレなんだよねぇ。使い捨てじゃない術札のような物にしかなれないから、戦術も戦闘面も強化されない残念な存在。

 まぁ魔法が使えない戦士の人が、魔法使いの杖のような術装を持つよりかはましだけどさ……。


「なんとなくわかった気がします。もう少し頑張ってみます」

「はいがんばってー」


 ウサギと一緒に手を振る。あ、アリサが悶えた。どうやらこの組み合わせはなかなかの衝撃らしい、なるほどなるほど。


 でも応援かぁ、使うことはないだろうって思っていたアレ、ちょっと注文してみようかな。アレがあれば、もしかしたらアリサの効率が上がるかもしれないしね!

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