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247話 こんな扱いはちょっと初めてです

少し長いです

 拠点の確保もできたし、当初の目的通りにサクッと冒険者登録しに行きましょー。

 大丈夫、歩き回った際に地図はちゃんと作った。当然冒険者ギルドの場所も確認した。忘れ物もたぶんない。

 ならば目的地向けてレッツゴー!





 宿屋から歩くこと10分くらい、冒険者ギルドに到着。

 外見はなんだろ、鉄の箱って感じかな? 壁が一面金属、屋根も金属、窓には格子があって出入り口はガラスの扉とか、よく分からない建物だわ。

 確かにこの街の建物ってレグラスとかとは違うけど、この建物はその中でも異質って感じだわ。


 まぁいいや、とりあえず中に入りましょーてって、あれ? なんだろ、銀色に光る鉄板っぽいのが落ちてる。

 扉の横に縦長で少し大きな街灯があるけど、その裏に落ちちゃってるね。わたしのように、初めて来たので見まわすような事をしないと見落としちゃうね。

 せっかくなので拾って……ふむ? ただの鉄板かと思ったら、地球にあったタブレットに近いのかな? 前面にガラスがはまってるわ。落ちてたのに割れて無いとか、ナカナカの耐久度っぽいね。

 これは落とし物として、ギルドの人に渡しましょー。





 さてさて、中はどんな……うへぇ、中も異質な感じだわ。

 金属でできたカウンターだけでなく、置いてある机とか椅子のすべてが金属の骨組みに、ガラスの板をのっけたような物になってる。

 なんていうか、暖か味が一切ない、冷たい無機質な空間って感じだわ。


 しっかし人が多いなぁ、何人いるんだろ?

 たぶん冒険者だと思うけど、カウンターにもたくさん、依頼が貼ってあるっぽい壁にもいっぱい、パーティ募集してるっぽい人ももりだくさん。


 ただ、装備がちょっと変わってるね。

 科学技術が進んでいるのか、剣や盾、鎧を装備してる人よりも、銃や大砲、後はよくわからない機械がいっぱい付いた服の人が多い。見ただけじゃどういう構造なのかわかんない物もあるねぇ。

 普通の装備と科学装備、どっちが強いのかな? ちょっと気になるね。


 まぁいいや、時間がもったいないし、さっさと並んで登録しちゃいましょー。

 まずは列に並んで……むぅ、前の人がすごくでっかいから、圧迫感がすごい。とゆーか、ここに居る人、みんなデカい。デカくないと冒険者としてやっていけないのかな?


 だからかなぁ、やっぱりわたしは目立ってるようで。

 確かに小さくて、おまけに巫女服なんか着ちゃってるから、場違い感が確かにすごいよね。

 それによく見ると、魔法職っぽい人がほぼいない。それっぽい女の人でも、いわゆるローブ姿でなく機械が付いた長袖長ズボンだったりする。露出控えめどころか、ちょっとかわいくないです!

 わたし、この国の生まれじゃなくてよかったかも。やっぱ可愛くない服とか、着たくないからね!





 順番待ちをしてから30分くらいかな? ずいぶん待ったけど、ようやくわたしの番。

 流石にこの見た目だからか、珍しいどころかちょっと異様っぽいようで、待てる間にナンパとかが無く良かったわ。そういうトラブルはこりごりだし。


 さてさて、それじゃ……むぅ、やっぱカウンターが高い。背伸びして何とか、かなぁ。

 それになんだろ、この獣寄りな獣人族のおねーさん、少しぶっきらぼうというか、めんどくさいって顔してる。話す前からこれとか、ナカナカですね。


「お嬢ちゃん、何の用だい?」

「えと、冒険者登録したいんですけど」

「登録って、はぁ? アンタの様なガキンチョが?」

「そうですけど……。もしかして、年齢制限とかあるんですか?」

「はぁ、そんなことも知らないのかい。それに〝冒険者〟じゃなくて〝ハンター〟だってのに、一体どこから来たんだか」


 むぅ、なんかすっごい嫌そうな対応されちゃってる。わたし、そんなに世間知らずっぽいのかなぁ。

 それにしても、どうやらこっちだと〝冒険者〟でなく〝ハンター〟って呼ぶのね。名称の違い以外は差異が無さそうだけど、どうなんだろ?


「ハンターは10歳以上でないと登録無理だよ」

「あの、今年12歳なんですけど?」

「はぁ? そんなちっこい体で? 嘘ついてるんじゃないでしょうね」

「ウソじゃないです。んと、はいこれ、わたしの身分証」


 ギルドカードを出したけど、うん、なんだコレって顔されたわ。やっぱそうなるよねぇ。


「まぁいいわ、年齢詐称しての登録なんてよくあるし」

「よくあっちゃダメだと思うんだけど……」

「知らないわよ。こっちは登録するだけ、詐称して罪になるのはアンタらだけだし。じゃ、これに名前とか書いて」


 なんかすごいこと言ってるんだけど、大丈夫なのそれ? 登録を許可した側には罰則無いって、ありえるの?

 まぁツッコむのは後にしましょう。まずは出された用紙に……むぅ。


「あの、代筆ってお願いできますか?」

「アンタ、馬鹿にしてるの? 文字も書けないようなガキが登録するとか、ハンター舐めてんの?」

「えっと、こっちの国の文字がまだ読み書きできないので、その……」

「面倒なガキだね。しょうがない、まずは名前から――」


 なんかすっごく嫌々な対応されてるなぁ。とゆーか、この対応はちょっと初めてですね。

 ルアスで登録した時は、既に仲良くなっていたフローラさんが親切丁寧に対応してくれたし、他の職員さんや冒険者の人たちもほぼ全員わたしの事を知っているのもあってか、みんな優しかった。

 冒険者登録だけでない、いつでもどこでも親切な対応されるのが当たり前になってる感じだった。


 だけど、ここはその真逆。親切どころか優しさの欠片もない感じで、結構きますね。

 いくら目的のためとはいえ、ちょっと心折れそうだわ。味方が一人もいない状況でこれは、かなりきついのです。怒られたら泣いちゃいそうだわ。





 キツイ対応されながらも、なんとか登録完了。ふぃ~、ちょっと疲れたよ。


「これがアンタのハンターカードよ」

「カード? ただの紙っぽいんだけどこれ……」

「そりゃそうよ。最底辺である10級ハンターは紙で十分。紙以外のカードが欲しければ級を上げていくことね」

「あの、級って?」

「あーそういうのはこの冊子を読みなさい。全部書かれてるから」


 そう言って少し薄めの本を渡してきたけど……。


「その、文字が……」

「そんなの知らないわよ。登録は終わったんだからさっさと行きなさい」


 手でしっしとやられて、説明を聞く前に追い払われてしまった。

 なんていうか、これが塩対応ってやつなんですかね? 精神面が脆いと泣いちゃうくらい、ちょっとヤバいですね。……泣かなかったわたし偉い!





 だけど困ったな、文字が読めないとどうにもできない。

 それとさっき拾ったタブレットモドキも預けたいんだけどなぁ。


 もう一回並ぶかなぁと見まわしたところ、別の受付で職員のおにーさんと、黒い全身ローブを着た人が話し合ってるのが目についた。ここに全身ローブとか、珍しいですね。

 興味本位で見ていたら、なんだろ、しきりに手で四角いものを描いてるんだけど。とゆーか、職員の人しか喋ってないのかな?


「おや? どうしましたか?」

「あ、え、えと」


 いかん、興味が湧きすぎたからか、自分でも気づかぬうちに接近しすぎてたわ。案の定、職員のおにーさんに声を掛けられちゃったわ。

 さてどうしたもの……ん? 後ろからじゃ分からなかったけど、このローブの人、変な仮面を付けてる。

 しかもその仮面、なんとなく悪魔の仮面に似ている感じ。悪魔特有のあの嫌な魔力は感じないから、悪魔じゃないとは思うんだけど。


 おや? ひょっとして


「これですか?」


 何となくわたしの手元、というか拾ったタブレットモドキを見てる感じがしたので、カウンターの上に出したら、仮面の人がコクコクと頷いた。どうやらこの人の持ち物だったらしい。

 早速起動して何かを入力し、こっちに見せてきたけど……。


「読めにゃい……」


 予想通りだけど、こっちの文字なんだよね。

 まぁ基本文的なのを解読しちゃえば、翻訳の魔道具なり術式で他の文章も読むことができるようになるんだけど、解読がまだできてないからなぁ。

 わたし達の使う文字や、前世で使った文字の類似なら何とかなるんだけど、これは全く知らない未知の文字だし。

 音声の場合、感情も乗るからか直ぐに訳せるのになぁ。ほんと文字って厄介ね。


「えっと、なんて書いてあるんですか?」

「これは『拾ってくれてありがとう』と書いてありますよ」

「なるほどー。翻訳ありがとうございまーす」

「いえいえ。どうやらお嬢さんはこちらの文字に不慣れなようですし、依頼などで読めない物がありましたら、遠慮なく私達職員に聞いてください。依頼の選定でも構いませんよ。手が空いていれば対応できますので」


 そう言ってくれたけど、なんかさっきの受付のおねーさんとは違って、このおにーさんは良い人っぽいね。

 となると、ギルド全体がさっきのおねーさんみたいな人じゃないってことか。ちょっと安心だね。


「んじゃ早速で悪いんですけど、雰囲気が分かるような簡単な依頼をこなしてみたいので、何かお勧めのください!」

「分かりました。では捜してきますので、カードを準備してお待ちください」


 そう言っておにーさんが依頼が貼ってあるっぽい掲示板の所へ行った。

 どんな依頼が来るんだろ? ちょっと楽しみ。


 にしても、この仮面の人、言葉が話せないのかしら?

 タブレットに何かを入力してたけど、わたしに見せる前に消したりとかしてる。何か伝えたいなら口に出せばいいだけなんだけど、それをしないって事はそういう事だよね。


「えっと、何かあるんですか?」


 そう言うとコクコクと頷いて、タブレットを指さした。


「タブレットのこと? 違う? えっと……」


 首をフルフルってされたので違う事らしいけど、なんだろ? ん~……。

 タブレットを指さしたのにタブレット自体ではない。


 となると


「ひょっとして文字?」


 今度はコクコクと頷いた。

 そしてわたしを指さした後、今度は自分を指さして、そしてまた文字を指さして……これはアレかな?


「もしかして、わたしに文字を教えてくれるんですか?」


 またまた頷いてたわ。

 なるほど、タブレットを探したお礼に文字を教えるってことですね。

 ギルドの人に教わろうと考えてはいたけど、この人に教わるのも悪くなさそうね。


 それに、仮面は置いといて、嫌な感じはしないからたぶん大丈夫。まぁ何かあってもわたしなら対処できるけど。


「んじゃお願いするねー。んと、わたしはユキって言います! それで……あぁそっか、まずは名前を聞くためにも色々と覚えないとダメなのか」


 自己紹介して貰おうにも、文字が読めないんじゃどうにもならないね。

 これはなかなか大変そうだなぁ。文字の習得、何時間くらいかかるかしら? 1日以上掛かるとかになったらヤダなぁ……。わたし、そこまでおバカじゃ無いハズだもん!

塩対応の受付嬢ですが悪人ではないです…たぶん

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