表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
246/363

246話 拠点を確保しましょー

少し長いです

 やって来ました知らない国!

 サレストの提案から1日も経っていないのに、とんとん拍子で進むんだもん。まぁ時間が無いから早い方が良いんだけど。


 許可を取るためにお母様にも報告したら、案の定、わたし一人で行くのにすっごい心配してたなぁ。

 だからか、新しいネックレス型の魔道具持ってきてくれたし。

 従来の耐性強化だけでなく、万が一わたしが死にかけた状態になると強制的に転移術が発動するという、ちょっと最新技術すぎませんかっていう代物。安心安全がさらに強化された感じだね。


 とはいえ、お母様だけでなくアリサ達もすっごい心配してたけど、今回はしょうがない。

 転移門を使用できるのが一人だけってのはホントどうにもならないからなぁ。まぁ心配しすぎてる感じだから、さっさと終わらせてお土産を買って帰えれるようにしましょう。





 それにしても、世界を移動するっぽい転移門だからか、ちょっと気持ち悪かったなぁ。

 普段の転移門は部屋同士をドア移動するような感じで抵抗が一切無いのに、なんか押し戻される中を強引に進むって感じだったわ。この辺も技術不足なのかねぇ。


 そしてこの国、確か名前は〝アスカロン〟だっけ。絶対に転生者が付けたんだろうなぁって名前ですね。

 見た感じ、ちょっと近未来というか、科学が発達してる建物ばかりだね。道路には地球に有った感じの車が走ってるし、たぶん電線かな? それぞれの建物にケーブルが接続されてるわ。


 見かける人もちょっと違う。

 只人族が少なめで、獣の寄りの獣人族と、魔物から進化したであろうロードの人たちが多い。

 とゆーか、魔王うんぬん騒いでるのに、魔物から進化した人はちゃんと受け入れてるのね。ちょっと意外だわ。


 見たとこ以外にも違いがある。

 特に大きいのは、大気中に霊素が一切無いってのと、魔素が少し濃いめってとこだね。


 霊素が無いって事は、おそらくこっちには精霊が居ないってこと。霊素が無いと精霊は生きていけないからねぇ。

 わたしも半精霊だからか、この感じは好きじゃない。生命活動に支障はなさそうだけど、精霊力を使った行動がきつくなりそうだわ。精霊を顕現させての行動も厳しそうだなぁ。

 まぁわたしの精霊力を常時供給すればなんとかなるとは思うから、必要な時には顕現して貰おう。





 さてと、なんとなくこっちの世界の雰囲気が掴めたし、まずは拠点となる宿を見つけましょう。


 とはいえ……参ったな。予想はしていたけど、こっちの文字が読めない!

 言葉は翻訳用の魔道具があるから何とかなる感じだけど、文字に関してはお手上げだわ。

 辞書っぽいのがあれば良かったけど、今回は無いからなぁ。まだ開拓段階だからか、文字を訳した辞書はセイリアスの国家機密らしくもらえなかったのがほんと痛いわ。


 しょうがない、外見からそれっぽい建物にどんどん入って見るしかないわ。入った店が雑貨屋とかなら、そこで買い物しつつ訊ねるってのもいいね。

 さすがに街を歩いてる人に声をかけるのは怖いので止めておきましょう。

 そもそもわたしってすっごい人見知りだから、知らない人に声をかけるとか無理だし。それに、今は代わりに聞いてくれるアリサも居ないしねぇ。





 魔道具に街の地図を記録しながら歩き回ること1時間、ずいぶん歩いたわ。

 宿屋っぽいお店はいくつかあったけど、ここだ! って感じのが無い。人が多すぎたりお風呂が無かったり、相部屋しかないってのもあった。ひょっとしたらこの国だと、そういう宿屋しかないのかねぇ。

 だとしたら……ちょっと困る。いっそのこと、街の外で自前のテントを使った野営にしようかしら。


 なんて考えてたら、うん、ちょっと派手というか豪華な宿屋っぽいお店を発見。お客さんの鞄を持った従業員が目についたからそう思っただけだけど、違うかしら?

 とりあえず中に入って見ますか。うん、ここも自動ドアだね。なんとなくだけど、近未来っていうか地球っぽいなぁ。


 入ってすぐ目に付くのは、豪華さよりもどっかで見たような受付ロビーの方だね。

 ロビーにある椅子にはお客さんっぽい人が座って談笑してるし、奥の方には売店らしきのもある。何かを元にして設置したって感じがするわ。


 まぁいいや、まずは受付で聞いてみましょう。

 ふむ、店員さんは只人族の男女で列も同じくらいか……。それなら女の人の方が良いよね! ではではさっそく並んでっと。

 これで空いてる部屋があればいいんだけど、どうだろなぁ。また相部屋しかないなんてオチは勘弁です。





 待つこと10分くらいか、ようやくわたしの番。

 ではでは……むぅ、目の前に来たら分かったけど、受付カウンターがちょっと高いです。届かないってことは無いけど、少しきつい。ほんと低身長なのを再認識しちゃうなぁ。

 しょうがないので術式で浮こうと思ったら、別の店員さんが踏み台を持ってきてくれた。なんか恥ずかしいわ……、


「えと、ちょっと聞きたいんですけど」

「どうしたの、お嬢ちゃん。お母さんとはぐれちゃったの?」

「あ、いや、そういうのじゃないんですけど」


 踏み台のせい? 思いっきり子供扱いされてるよ? まぁ子供なのは事実だけど。


「んと、泊まりたいんですけど」

「なるほど、お母さんかお父さんに頼まれたのね」

「いや、わたしだけなんですが」

「え!?」


 うん、すっごい驚かれてる。

 そういえば他の宿屋もそうだったけど、子供が一人で泊まるのって珍しいみたいね。妙に驚かれちゃうわ。


「という事は、お嬢ちゃんはお客様、で良いのかな?」

「そうでーす」

「な、なるほど。えっと、それじゃどんなお部屋が良いのかな?」

「ん~、一番安全で快適な部屋かな? お風呂も個別が良いです」

「い、一番って……。確かに空きはあるけれど、その、ちょっと言い難いんだけど、ここは少し高いホテルなの。だから、お小遣いじゃちょっと厳しいんじゃないかな?」

「んと、お金は持ってないけど、これで支払うで良いですか?」


 ポーチから20センチほどの真っ赤な水晶を一つ取り出し、それを受付に置く。そしたら店員さんだけでなく、他のお客さんまで驚いたわ。

 ふむふむ、この反応からして、ソコソコな値段で売れるみたいね。


 サレストに聞いたけど、こっちは独自通貨らしく、金貨や銀貨が使えないって話だったからなぁ。

 なので、軍資金用に売れそうな物を幾つか持ってきだけど、ホント正解だったわ。


「え、えっと、お嬢ちゃん? こ、これって……」

「レッドドラゴンの魔石を加工した物だよ」

『ど、ドラゴン!? あの伝説の!?』


 みんな一斉にハモったんだけど、そんなに驚くことかな?

 魔物の魔石は魔道具の材料になるだけでなく、加工すれば魔晶という宝石になる。そして質の良い魔石、特に強い魔物の魔石は加工後の色がとても鮮やかになる。

 この魔晶もその一つだけど、普通のレッドドラゴンのですよ? 伝説って程じゃないんだけど、こっちだと違うのかな?


「しょ、少々お待ちください! すぐに支配人をお呼びいたしますので!」

「そんな大げさな……」

「い、いいえ! 伝説のモンスターから作られた宝石をお持ちなど、大げさになるなと言われる方が、む、無理ですっ!」


 ……そんなに?

 店員さんも驚くというか興奮してる感じだし、よっぽどなのかしら? ただのレッドドラゴンなのに。

 いざってときはエンシェントドラゴンの魔晶を出そうと思ってたけど、レッドドラゴンでこんなだしなぁ。余計な事になりそうだし、よっぽどでない限りは出すのをやめておこう。


 とゆーかあれね、子供扱いだったのが目上というか、畏怖する相手への対応になったね。

 別にわたし、馬鹿にする感じじゃなければ子供扱いでも気にしないんだけど。





 少し待っていると、慌ただしい感じに、初老に入ったくらいの少し偉そうな人が来た。どうやら支配人さんみたいね。


「お待たせいたしました。本日は当ホテルへご来店いただき、誠にありがとうございます。早速ですが、宿泊でのご利用と伺っておりますが、期間は決めておいででしょうか」

「ん~、大会に出た後の休憩も考えて15日位かな?」

「15日でございますね。そしてお支払いですが、そちら、で間違いございませんか?」

「そうだけど」

「なるほど……。それでは少し調べさせていただきますね」


 そう言って魔道具っぽい何かを取り出して調べだしたね。

 おやおや? 測定が進みだすとなんかすっごい慌てだしたね。きっと偽物だろうって思ってたんだろうなぁ。


 だけど、う~ん、レッドドラゴンの魔晶一個だと足りないのかな? 慌てたのも束の間、今度は少し難しそうな顔したわ。

 高級な宿はべらぼうに高いってのもあるから、ここもそんな感じかしら。


「足りないなら、えっと、これがブルーのでしょ、こっちがイエローので」

『はい?』

「あら、またお客さんと一緒にハモってるね。んと、レッド以外にもあるんだけど、何個必要かな? あとあと、レッドよりも高いのとかあるのかな? たぶん全種類あるはずなんだけど」

「しょ、少々お待ちください!」


 おっと、すごい焦った感じで中断されちゃったわ。

 しかも少し離れて他の店員さんと話してるけど……あぁ、そゆことね。

 足りないんじゃない、高すぎるって方ね。小さな声で『たった15日では、お釣りで我がホテルがつぶれてしまう!?』『そ、それどころか、この街の財源全て渡しても足りませんよ!?』とか言ってるわ。

 どうやら思ってた以上に高いようで。世界が違うとこうもなるんだねぇ。


 まぁこのまま話が流れるも嫌だし


「あのー」

「は、はいっ! な、なんでございましょうか!?」

「そんな怯えなくても……。んと、このレッドドラゴンの魔晶1個で泊めてくれるのなら、お釣りは要らないよ。そっちも換金する手間とかもあるだろうし」

「よ、よろしいのですか!?」

「うん。あーでも、おいしいご飯が食べたい! だから、そのあたりは考えてくれると嬉しい!」

「畏まりました! では、お部屋ご案内させていただきます!」

「あれ? 手続きとかは良いの?」

「お嬢様でしたら何も必要ございません! それではこちらへどうぞ!」


 おっと、なんかすごいグイグイ来たわ。しかもお客さんじゃなく、お嬢様扱いですか……まぁ実際にお嬢様だけど!

 何はともあれ、これで拠点は確保できて一安心。

 あとは冒険者登録とかだけど、まぁそっちも大丈夫でしょう。年齢制限、無いと良いけど……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ