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243話 新キャラは眼鏡君!

少し長いです

 しぶしぶって感じではあるけど、勇者達が納得したのでお開きに。

 向かう準備ができたらこっちから連絡する事にはなったけど、まさかミツキが勧誘できていたら、今すぐに魔王退治に向かおうとしてたとは思わなかったわ。行動力ありすぎだよ。


 そんな勇者達が去るのと入れ違いで、ショージ君たちがやってきた。

 ただ、すれ違った時にショージ君が二度見してたけど、何かあったのかな?


「なぁ、今のって勇者だよな?」

「そうだけど、どうしたのよ。来て早々の第一声がそれとは、ちょっと謎だよ?」

「あぁスマン。実はな」


 そう言ってショージ君が何もない空間から雑誌を取り出した。なるほど、アイテムボックスって本当に何もない空間から取り出すんだ。初めて見たのでちょっと新鮮。

 アイテムボックスは神様って奴がくれる能力らしいけど、初めから持ってる人と後から手に入れる人の二種類が居るんだったかな。共通してるのは転移、もしくは転生した人だっけ。

 ショージ君も修行の成果なのか、アイテムボックスが使えるようになったらしく、そこにいろんな物を詰めてる。聞いたところ、ゲーム的な感じのメニューが出るらしいけど、周りは視認できない。ちょっと見てみたかったなぁ。


 とゆーか、なんでわたしには無いんですかね? いっぱい修行とかしてるんだから、アイテムボックスくらい使えても良いと思うに。

 まぁ無くてもポーチがあるから不便とかは無いけど、でもやっぱ使ってみたいのだ。


 そう言えばレイジもアイテムボックスを使えないんだよね。

 ん~、ひょっとしたら、あの世界を経由しちゃうと使えないってオチなのかしら? すこーし気になるなぁ。





 ショージ君が取り出した雑誌だけど、見覚えあるなぁ。


「たしかその雑誌って、男性冒険者向けの奴だっけ? ダンジョンの攻略とか、アイテム、魔物の情報とかも載ってたよーな」

「割と馬鹿にできないからな、この雑誌の情報。それでっと、あぁ、ここだ」


 ショージ君がページをめくって見せてきたけど


「このキワドイ水着のおねーちゃんが好み、とか?」

「こういうエロい水着って良いよな! って違う! こっちだこっち」


 見開きページの片方に男性向けの雑誌だけあってそういうのが載ってたけど、もう片方を見せたかったわけですか。紛らわしいなぁ……。


「えーっと『期待の新人、それは伝説の勇者達!』ねぇ……」

「まぁユキが勇者に対して良い印象無いのは知ってるが、それでもほら、この写真」

「あぁ、さっきの二人だね。それにもう一人はこないだレグラスでミツキをナンパしてきた奴だわ」


 勇者三人の写真と、そこに各パーティの傾向やら構成を書いてあるけど、なんていうかアイドル特集みたいな感じかな?

 ページをめくるとそれぞれのインタビュー記事と勇者の簡単な自己紹介、それに好きな物とか嫌いな物とか、いろいろ書いてある。


「ここまで書かれるって事は、相当期待されてるのかな?」

「だと思うぞ。俺も雑誌でしか知らないが、この三人のパーティは連合から来た他のとは違って冒険者登録したらしく、既に銀級になったと先週号に書いてあった」

「先週号って、何度も取り上げられてるくらい人気なのね。しかし銀級かぁ……」


 銅級ならわかるけど、銀級となるとそれなりに強くないとダメだからなぁ。ショージ君達ですらまだ銅級なのに、その上とはねぇ。


「確か冒険者登録して6ヶ月って書いてあったかな? そんな早さで銀級とか、相当だよな」

「あー、まぁ、うん、そうだねー」

「お嬢様、本心が駄々洩れ状態ですよ」

「だってねぇ……」


 ショージ君はどういう事だ? って顔してるけど、正直なぁ……。


「んとね、わたし以外はみんな1ヶ月で銀級になってるの。だから、その、早いのは分かるんだけど、あまり衝撃的じゃなくてね」

「1ヶ月って、マジかよ……」

「それにまぁ、その、わたしは1週間で銀級に上げられちゃったので……」

「は? いやまってくれ、1週間!?」

「本来は金級に上げたかったみたいだけど、そこは年齢云々で何とか阻止したんだ。ちなみに、銀級への昇格最短最年少記録の保持者がわたしです」


 うん、ショージ君たちがポカーンとしちゃったわ。

 しかもなぁ、言えないけどギルドの内部記録では、わたしって銀級でなく金級以上になってるんだよね。なので、ギルドの登録記録を見たら銀級以外も最短最年少の保持者になってるわけで。結構ヤバいですね。

 まぁギルドとしては、わたしという存在が全ての級で最短最年少記録を持っていた方が宣伝効果もあるって考えなんだろうけど、ちょっと特別扱いすぎませんかね? まぁ誰も損しない事だから良いんだけど……。





「まぁそこそこ強いってのはなんとなくわかったわ」

「俺はユキ達が化け物だって再認識したけどな……」

「そこは否定できない! ところで、さっきから気になってるんだけど、そこの眼鏡君は誰?」


 ショージ君達の傍には見たことが無い男が居るわけで。身長はショージ君と同じくらい、小太りで伊達じゃない眼鏡を付けた男子ですね。


「あぁ、紹介がまだだったな。こいつは俺達の新しい仲間になる」

「お初ダス。オラはヨシュアっていうダス」

「ん? 翻訳の魔道具使ってるのかな? なんか妙な訛りが聞こえるんだけど」

「スマンダス。オラの国は独自の言語を使っていたダスから、翻訳を通しても少し変に聞こえてしまうダス」

「とゆーことは、例の同盟から来た人なの? だけど、う~ん……」


 翻訳の魔道具は異世界に来た人や、共通語が喋れない特異な種族に対して使うのが主。この世界の人って文字は国や種族特有があっても、言語に関しては共通だからね。

 だけど、このヨシュアって人は普通の只人族っぽい。特異な種族が集まった国でないのに言語が違うとなると、それは異世界って事になる。

 でも連合ってこの世界のはずなのに、どういう事だろ? 他の連合の奴らの思考もだけど、なーんか色々と食い違ってるんだよなぁ。


「まぁコイツの口調は気にしないでやってくれ」

「そうだね。んで、どういった経緯で仲間になったの?」

「それなんだが……その、なぁ」


 あら? ショージ君が少し言い難そうな顔しながら眼鏡君を見てるけど、何かあったのかな?

 でもね、わたしって焦らされるの嫌いなの!


「はい、さっさと言う!」

「その、オラ、勇者様のパーティから追放されたんダス」

「追放って、はいぃ~?」


 前世の記憶でうっすらあるけど、定番の一つである追放系って奴ですか? まさかこの世界でも聞くことになるとは思わなかったよ。


「オラも一応『賢者』に就いてはいるんダスけど、時代は『聖女』らしくて」

「ナニソレ」

「馬鹿みたいな話だろ? 俺も聞いたとき正直呆れたぜ。実力とか関係なく、ただ聖女を入れたいがために、役が被りそうな賢者や僧侶を追放したんだとさ」

「うへぇ、すっごいアホだわそれ。しかも聖女が仲間にならなかったら、ただの戦力低下にしかならないじゃん。ほんとアホでバカだわ」

「俺もそう思う。まぁおかげでパーティにスカウトできたんだけどな」


 ショージ君達としては戦力強化ができ、眼鏡君としては新たな仲間が見つかってめでたしめでたし、って感じかな。

 しっかしお仲間ってことは、この眼鏡君もわたし達が鍛えることになるんだろうなぁ。めんどいけど、一人だけ仲間外れはダメだろうし。

 いっそのこと、ミスト君とセットでカイルに丸投げ……は報酬関係でアリサが拗ねそうだからやめておこう。





「ところで気になったダスけど、皆さんは勇者パーティに所属したんダスか? さっきすれ違ったの、オラも知っている有名な勇者さんだったんで」

「いんにゃ。まぁミツキを欲していたけど、それは断固拒否だし」

「うん。私は、その、ユキくんの、だから」


 そう言ってミツキが抱きついてるけど、うん、さっきの勇者問題からずっとですね。

 まぁこの状況を考えたら、この方が良いっちゃ良いかなぁ。ここに割って入って勧誘してくるバカは居ないはず。

 特に今日ってわたしとエレン狙いではなく、ミツキ達異世界からの来訪者狙いの人が多いからね。他の面子はどうでも良いと言えばどうでも良いけど、ミツキだけは絶対に渡したくないので、この方が良い気がするわ。


「他国の有象無象などに、ユキさんのお嫁さんであるミツキさんは渡せませんものね!」

「お、おぅ、エレンってちょくちょくわたしよりもハッキリ言うよね」

「かもしれませんわ。ひょっとしたら、竜族特有の少し好戦的な性格も影響しているのかもしれませんわね」


 エレンが頷きながらそう言ってるけど、たしかにありそうだなぁ。

 まぁエレンの場合、好戦的とはちょっと違う気がするけど。積極的とか情熱的とか、そっちに近い印象だわ。いつもぐいぐいくるしねぇ。


「それはさておき、ヨシュアさんは勇者パーティに所属していたんですのよね? でしたら、魔王について何か知ってますの?」

「オラが知っているのは、魔物を操って領土をどんどん広げているのと、広げた土地に魔王の部下やその家族が住みだしたのと、オラたちじゃとても敵わない強さを持っているって事だけダス」

「あれ? 世界征服とか、人々を蹂躙してとか、武力で領土を奪ってとかは無いの?」

「聞いたことないダス。ただ、オラの住んでいた国のそばまで領土を広げて来たんで、王様たちが慌てていたのは覚えてるダス」


 ん~む、さらにおかしなことになってきた感じ。

 魔王って存在自体意味不明だったのに、やってることが悪逆非道ではなく、なんとなーくただの領地運営してる人っぽく見えてきたわ。

 魔物を使うのだって、人手が無ければ賢い手段なわけだし、領土も奪わず空き地を支配するってだけなら問題ないわけだし。


「これは向かう前に、魔王も含めて色々と下調べした方が良さそうですね」

「だねぇ。まぁ問題はどうやって調べるかなんだけど」

「勇者を片っ端から脅しますかー?」

「ちょ、ノエル!?」


 ノエルがちょっと物騒なことを言いだして、流石に焦ったわ。

 よく見ると、ノエルだけでなくアリサ達もすこーし苛立ってる感じだし、どうしたんだろ?


「えっと、僕達としてはユキ様からミツキさんを奪おうとしていた勇者連中に、少し嫌悪感を抱いていてね」

「あーそゆこと。そりゃわたしもムカッとしたけど、わたし以上に怒ってる感じだね。とゆーかレイジもなの?」

「なんだかんだで僕も、従者としての立場が染みついちゃったからね。公では僕の主はエレン様だけど、ユキ様も同じようなものだし」

「ですわ! わたくしはユキさんと全て共有したいので、従者も共有ですわ!」


 そう言ってミツキとは反対側からエレンが抱きついてきたけど、なるほどそういう事ですか。よくあるアレだね、夫婦の財産共有的なのだね。

 だけど、従者まで共有はどうかなぁ……って思ったけど、ノエルをエレン付きにしてる時点で今更か。

 ノエルはうちのメイドだから、所有権はエレンでなくわたしの方なんだよね。だけどノエルをエレンに付けてるって事は、既に従者の共有をしてるってことになるわけで。ほんと今更すぎだったわ。


「とりあえず脅すのは無し。まずはギルドに聞いて回って、それでも情報が無ければ当事者、つまりあの勇者二人に直接聞くって感じかな」

「直接聞く際は私達にお任せください!」

「ぼっこぼこにして吐かせますよー!」

「だからそれはやり過ぎだって……」


 ノエルだけでなくアリサもちょっと殺る気だし、ほんとうちのメイドが好戦的です困ります……。

 まぁそれだけわたしを過保護にしてるって事だから、ちょっと嬉しいって感情もあるわけで。だからか、こういうのを強い態度で止めさせることができないもどかしさもあるわけで。なかなか困ったちゃんですね、わたしも。

新キャラだけど、出番がほぼないモブキャラになる可能性が高いのが眼鏡君です

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