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239話 いろんな人が参加するみたい

少し長いです

 馬車に揺られること数分、セイリアスの王城に到着っと。

 しっかし歓迎会を王城で開くとか、相当力を入れて迎えるってことかな?

 正直なとこ、異世界から来る人を歓迎する意味ってそんなに無いから、歓迎する気満々なのはちょっと意外というか、なんか納得できない感じ。


「何か難しいこと考えてますの?」

「いやぁ、なんていうか、どうしてここまで歓迎してるのかなぁっていう疑問がね。確かにセイリアスも勇者召喚してるけど、今回は他国が召喚した人、セイリアス側の希望した人材じゃ無いハズだし」

「そう言われると、そうですわね。しかも数人でなく数十名ですもの、利点よりも負担の方が多い気がしますわ」


 隣に座ってるエレンが少し真面目な感じで言ってるけど、うん、わたしの尻尾モフモフしながらってどうなんですかね? まぁふっくらしてて大きいから、モフモフしたい気持ちは分かるけど。


「おそらくですが、お嬢様に気を遣っているからだと思いますよ」

「ですよねー。仲が良い悪いは置いといて、お嬢様の前世の知り合い、というか同郷ですから、適当にできないって事だと思いますよー」

「そうなのかな? べつにわたし、ミツキたち以外がどう扱われようと、そこまで深く考えて無いんだけど」

「そのあたりは知らないと思いますよー。なので念には念、じゃないかなーと」

「お嬢様を不快にするというのは、レグラスとの関係にひびを入れる事と同様、そう考えてそうですね。それ故に少し過剰な対応をしている、といった感じでしょうか」

「むぅ、わたしだってさすがに国同士の関係にひびを入れる様なことしないのに」


 わたしが思っている以上にわたしの存在が大きいのか、それとも周囲が慎重になりすぎてるだけなのか、なんとも言えない感じだなぁ。まぁしょうがないって考えちゃうけど。





 馬車から降り、兵士の案内で控室に向かう。

 う~ん、やはりわたしという存在が目立っちゃうからか、案内する兵士さんといい、すれ違う兵士さんにメイドさんとかも少し緊張してるなぁ。

 そんな腫れ物に触るような感じにならなくてもって考えるけど、立場があるから無理そうね。


「こ、こちらの部屋をご使用ください!」

「ありがとうございます。それではお嬢様、エレン様、入りましょうか」

「ほーい」


 ほんと緊張しすぎでしょ……。多少の無礼があっても気にしないのに。


 中に入ると、高そうな絵画や壺、それによくわからない像が置いてある、これぞ貴族向けって感じの部屋になってた。

 ふ~む、前来た時よりも豪華な部屋になってるなぁ。今回はエレンも居るから、さらに上の部屋を用意したってことかな?


 とりあえずソファに座ってっと……フカフカですね。


「それで、レイジはもう来てるんだっけ?」

「ですね。ベアトリーネ嬢達をセイリアス側に引き渡すためですね。手続きが終わり次第こちらに……来ましたね」


 アリサが気付くと同時位に、ノックの後にレイジが入ってきた。

 うん、入ったと同時に少しぎょっとしたね。やっぱこの部屋、貴族向けすぎでちょっと異様だよねぇ……。


「なんていうか、成金レベルが高い部屋だね……。えっと、ベアトリーネさん達の引き渡しは完了しましたよ」

「ありがとー。何か問題とかあった?」

「問題というほどじゃないですけど、一部は今回の歓迎会、参加辞退するそうですよ」

「やっぱりそうなったかぁ」


 おそらく、クラスメイトを危険にしたという罪悪感から顔を合わせにくいって人と、未だに妬んでる人の二種類だろうね。

 まぁどっちも時間が解決するのを待つって感じかな。


「そういえば、ベアトリーネさんがユキ様にお礼を言いたいと」

「えっ!? あのベアトリーネが?」

「僕も詳細聞いてるから分かるけど、さすがに驚きすぎじゃないかな? ちなみに、ここに来るまでに少し話してた感じからですけど、ずいぶんと真面目な感じの子になってましたよ」

「マジかぁ……。いやまぁわたしと話した時も、なんとなく旬が過ぎたツンデレっぽい感じにはなってたけど」


 前世の糞女バージョンを知ってるせいか、それって別人でしょ!? って感じになってるんだよねぇ。

 もしかしてお父様、悪魔の力封印に合わせて何か別の術も掛けたんじゃ……。

 お父様もだけど、わたしが危険になったり、脅威になったりしそうな存在を見つけたら、有無を言わずに排除、もしくは修正するって事をしちゃうもん。過保護も極まってる感じだわ。





「それと、参加者の大まかな一覧表を貰ってきましたよ」

「おー、気が利いてるじゃない」


 どんな人が居るか気になってたからね、事前に知っておくのは良い事です。

 さてさて、レイジから一覧表を受けとり確認っと。


「あら、一般の方も多く参加しますのね。わたくし、てっきり貴族の方ばかりだと思っていましたわ」

「確かに珍しいですねー。言ってはアレですけど、お嬢様のお友達の方以外って少し強い只人族程度ですよねー?」

「ズバッというねぇ……まぁ事実だけど。確かにミツキ達、というかミツキ以外って正直珍しい能力とかないからね。成長しても『異世界から来た恩恵』ってのはほとんどなさそうだし」


 ミツキはわたしのせいで精霊力が強くなり、少し特別な存在になってるけど、マナミ達は召喚時の特殊能力が少しある程度の只人族止まり。

 修行とかすれば強くなるけど、この世界の人よりも圧倒的に強くなるってことは無い。圧倒的に強くなる可能性があるのは、レイジのような特殊な種族になった人だけだし。


「とはいえ、特殊能力が有ると無いとでは大きな差がありますからね。そして、そういった能力目当ての冒険者も大勢いらっしゃいますし」

「確かに。少し会場を覗いてきたけど、勧誘目的の冒険者が多かったかな。少しでも強い、もしくは便利な仲間を見つけたいんだと思うよ」

「なるほどねぇ。でもまぁ勧誘があるのは良い事かな」


 おそらく冒険者としてやっていく人が結構居るはず。そういった人の場合、ギルドで仲間を集めるより、こういった場所で勧誘して貰った方が楽だし安全だね。

 ただ、セイリアス側で詐欺パーティとかの参加を拒否してるのが大前提ではあるんだけど。


「それにしても知らない名前が一杯だなぁ。レグラスからの参加者は全員知ってるけど」

「レグラスは貴族だけなんですの?」

「だよ。勧誘目的でなく、レグラスとしてもこの世界で生活するのを歓迎しますよって意味で来ただけだからね」

「なるほど、確かにここでレグラスからの参加者が居ない場合、レグラスは歓迎していないって事になってしまいますものね」

「そゆこと。まぁそこまで気にする人達じゃないんだけどねぇ」


 国が違うどころか世界も違うから、どこまでが許容される、どこから先はダメってのは分からないからしょうがない。こっちの常識と異世界の常識が一致するなんて、普通は思わないからなぁ。

 まぁ神聖王国とかだと、自分たちの考えに全部従えっていう押し付けになるからまた厄介ではあるけど。


「おっ、ショージ君たちも参加するんだ」

「そのようですね。あの三人でダンジョンに潜るのが少しきつくなってきたからでしょうか?」

「かもしれないなぁ。壁役が一人、もしくは回復特化が入れは楽になるとは思うけど」


 ショージ君たちはバランスが悪いって程じゃないけど、安心感がないんだよね。

 わたし達みたいに個々の力が化け物で、攻守回復補助と全てが高い水準ならどうとでもなるけど、ショージ君たちは違う。だからか、遺跡ダンジョンの深い層とかだと結構ギリギリなわけで。

 そういった現状を打破するため、仲間を増やすって方法を考えたわけだね。


 悪くはないんだけど、ちょっと残念かな。

 ショージ君たち自身がもっと強くなるだけでなく、攻守だけでなく補助や回復もできるように成長すればいいだけなんだけど、難しいのかなぁ。

 どうにもわたし達以外の成長ってよくわかんないわ。無茶なこと言ってそうな気もするしなぁ。





「とゆーかアリサ、大丈夫?」

「何かありました?」

「だってほら、ミスト君も居るんだけど」

「あぁ、駄犬の事ですか。大丈夫ですよ、こちらに来ない限り」

「来ない限りって、なかなか言うわね……」


 そうでしょうか? って感じにキョトンとしてるけど、結構すごいこと言ってるんだけどなぁ。

 でもまぁ事実、アリサのミスト君に対する評価って落ちたまま。

 ミスト君もそこそこ強くなってるとは思うけど、未だに精霊魔術は微妙、というかほぼ使えない状態。カイルの協力もあって精霊魔術の発動一歩手前くらいにはなってるけど、発動には至ってないからなぁ。


「ですけど、少し懸念はありますね」

「そうなの?」

「簡単に言ってしまえば、ミツキ様に嫉妬し、また良からぬことにならないか、という事です」

「そんなまっさかぁ」

「ですけど、駄犬は焦ったままですよ?」

「そうだけど、心配しすぎじゃないかなぁ」


 アリサは真剣な眼差しでそんなことを言ってるけど、可能性は低いと思うんだよなぁ。

 確かにバカなことをしたミスト君だけど、ちゃんと反省はしたし、一応前に進んでるからねぇ。


「ひょっとしてアリサさん、ユキさんがミストさんに盗られるかもしれない、と危惧してるのではありません?」

「そ、そんなことは……」

「あーその様子、あるっぽいねぇ。ほんとアリサってば変なところ心配するなぁ」


 ひょいっとソファから降り、そのまま少し慌てていたアリサに抱きつき! はふぅ、やっぱ良い抱き心地です。


「いつも言ってるけど、わたしはミスト君に対して特別な感情皆無だよ? だから安心してねー」

「そうなんですよね……。分かってはいるのですけど、どうにも……」

「でもアリサさんの気持ちは少し分かりますわ。わたくしも、たまにユキさんが他の方のもとに行くのでは? と心配になりますもの」


 そう言ってエレンが後ろからぎゅーっとしてきた。むぅ、完全にアリサとエレンに挟まれる形になってしまった。これはなかなかマズいですね……わたしの理性が!

 しっかしエレンまでそんなこと言うって事は、何かあるのかなぁ。


「ひょっとして、ミツキのせい?」

「かもしれませんわね。ミツキさんが悪いというより、ユキさんが次々とお相手増やしそうな感じが、ですわ」

「ですね。あ、浮気性という意味ではありませんよ」

「むぅ、浮気性でなくても、なんか複雑だわ」


 それっていわゆるハーレム的なアレでしょ?

 だけどわたし、そういう願望ないですよ? 着実に増えてるけど、無いですよ?


「お嬢様ってホント無自覚に相手をその気にさせちゃいますからねー」

「ちょ、ノエル、それは言わない方が良いよ。ほら、ユキ様も少しガーンって感じになってるから」


 無自覚でとか、ちょっと衝撃的です。そりゃ好感持たれやすい体質なのは分かってるけど、そんなにかいな……。

 さすがにマズいし、これから気をつけ……ようにも自覚できないから無理かも。ほんと困った存在になっちゃったなぁ。

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