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235話 花嫁衣裳のターン?

 依頼をこなしながら街を見てまわってるけど、やっぱり異世界色が強い所だとみんなワクワクした感じになるねぇ。魔道具屋とかマンの販売所など、日本じゃありえないお店の受けがほんと良いし。

 逆に過去の転生者が持ちこんだ技術を再現したお店には苦笑いしてたけど。まぁ気持ちはわかるけどねぇ。


「ユキくん、次は?」

「んっと、呉服店かな。わたしもちょくちょく使ってるお店だけど、高級店とかじゃないよ」

「あんたのその発言ほど信用できないのは無いわよ……」

「おっとマナミさん、その呆れた感じの発言はどういう事かな?」

「だってあんた、さっきの喫茶店だってなーにが『貴族向けじゃない』よ。広いし綺麗だしウェイターとウェイトレスのレベルも高いし、なによりショートケーキひとつが日本円で1万円って、どう考えても大衆向けじゃないでしょ」

「ソンアコトハ、タブンナイヨ」

「あっ、ユキくん、目をそらした」


 う~む、これは分が悪い。

 休憩がてら、いつも利用する喫茶店に入ったけど、まぁ、うん、高級店と言えば高級店でしたね。

 でもでも、本当に貴族向けじゃないんだけどなぁ。ただ『貴族も使えるお店』ってだけなのになぁ。





 案内すること数分、やって来ました馴染みの服屋さん。


「外見は日本のお店と同じ感じなのね。ガラスウィンドウ傍に服を着たマネキンを配置しいて、外からも見えるようにしてるとか」

「宣伝を兼ねてるからねぇ。まぁ地球からしたらここは異世界だけど、考えてることはだいたい同じってことなのです」


 転生者も多いから、そういった知識が生まれやすかった可能性もあるけど、転生者が居なくても同じ考えてになってそうだなぁ。

 まぁどうでも良い事なので、さっさと中に入りましょー。


 入店すると、今流行りの服で着飾った人形が多数配置されてるのが飛び込んでくる。

 それと同時に、でっかい魔道スクリーンを使って服の組み合わせや、人気の靴や鞄の紹介映像も流れてる。こういうのは気になって、つい同じ物を買っちゃう人って多いんだよね。なかなか良い作戦です。


「わぁ、綺麗な服が、いっぱい」

「ほんとねぇ。とゆーか、やっぱり高級店じゃない!」

「それは気のせいだよ!」


 貴族専門店ほどじゃないけど、マナミ達からしたら確かにここも高級店の部類かも。

 まぁ普段着を買うお店でなく、ちょっとバイト代を貯めて買いに行く、そんな感じなんだけどねぇ。値段のわりに高級感がある商品が多いから、少し勘違いしてるってのもありそうだけど。





 とりあえずみんなで見てまわる。とはいえ他のお客さんも居るし、下着が置いてある場所には行かないでおこう。行ったらからかえるとは思うけど、流石に度が過ぎる感じがするからね。嫌がらせする気は無いのです。


「それにしても色々な服が……なあユキ、アレってなんだ?」

「アレって……あぁ」


 コータが指さした先にあったのは、ツタのような物を着てる人形。服なのか? それとも何かのまじないなのか? とか、そんな感じだろうね。意味がわからないって顔をしてるもん。


「アレは樹人族、わかるように言うとドリアードとかドライアドね、その人たちの民族衣装だよ」

「なるほどなぁ。だけど民族衣装ってことは」

「うん、今の樹人族って体にツタを巻いたりしないで、普通の人と同じ姿をしてることが多いの。ツタが無いと色々便利なこともあり、進化の過程でツタを巻かなくても良い体になったそうよ」

「だけど文化は残したいから民族衣装にした、ってことか」

「そゆこと。あとはそうね、樹人族の結婚式なんかだと、新郎新婦共にあの衣装を着るそうだよ」

「新郎って、男もか……」


 うん、コータの発言でみんな想像したのか、何とも言えない複雑な顔をしたわ。

 確かにねぇ、男の人が裸当然でツタだけ巻いた姿とか、エロいではなく変質者! って印象しか浮かんでこないわ。

 やっぱね、どうせ見るならアリサみたいなかわいい……


「お嬢様? また変なこと考えてませんか?」

「そ、そんなことないよー」


 ほんと、アリサってばわたしの考え全部お見通し過ぎだわ。おかげで悪い事が全然できません! しないけど。


「ねぇユキくん、狐族にも民族衣装、あるの?」

「ん~、あるといえばあるかなぁ。知っての通り、わたしとお母様って巫女服なり、ちょっとした和服を着ることが多いでしょ? それが民族衣装に近い物なの」

「和服……日本人みたい」

「まぁねぇ。お婆様も巫女服とかを着てたってお母様に教えてもらったから、ひょっとしたらお婆様自身かその家族に、日本人の転生者が居たのかもしれないわ」


 創作物の定番である『東の方に島国があって、そこが日本そっくり』なんてのはこの世界には無いから、そう考えるのが自然だね。





「へぇ、こっちは披露宴用のコーナーなのか。燕尾服のような物から、ボク達が着ていた学生服に似たのもあるな」

「この世界だと冠婚葬祭だけでなく、お披露目会や親睦会とか、そういった人が集まる行事が結構あるから、専用の売り場を用意してるお店が多いの。せっかくだし、みんなの分も買ってく?」

「確かに礼服はもっておいた方が良いか」

「だな。そのうち着そうだし、準備しておいた方が良いよな」

「ん? わたしを見て、どうしたのよ」


 トースケがニヤニヤしてるんだけど、どういう事かな?

 ん~? わたし見て、ミツキを見て、頷いた後にニヤニヤって、そういう事か!


「言いたいことはわかるけど、結構先よ? 婚姻ってわたしの種族の場合、成年期になるまではできないから。婚約なら青年期にできるけど」

「そうなのか。でも先とはいえ、するんだな」

「そりゃまぁって、なーにみんなしてニヤニヤしてるのよ! ほら、ミツキが照れちゃったじゃない」


 言質を取ったというやつなのか、マナミ達はニヤニヤして頷き、ミツキは両手で顔を隠してイヤンイヤン状態だし。

 でもまぁ大丈夫、こういう時は冷静なアリサが何とかしてくれる。


 そのアリサは少し目をつむって頷いた後、ミツキに対し


「ミツキ様、せっかくなのでお嬢様にアレを着てもらいましょうか」

「アレって……あっ!」

「素晴らしい気がしませんか?」

「する! ユキくん、アレ、着てくれない?」


 あれ~? わたしの想いとは裏腹に、なんか別の方に進んでるんだけど。しかも鎮火させるでなく、さらなる燃料投下した感じだし。


「とりあえずアレって……マジ?」


 ミツキが指さした先を見たら、純白のウェディングドレスがあるわけで。

 まぁ話の流れ的に予想はしてたけど、本当にくるとは……。


「だめ?」

「うっ、その上目遣いで言われちゃうと、断りにくい。むぅ、しょうがない、着るかぁ。それじゃアリサ」

「試着室ですね、分かりました」


 ミツキだけでなくアリサまでニコニコしちゃって、そんなに着させたいんですか……。気のせいか、手を引くアリサの勢いも強めだし。

 しかもこの流れ、きっと他の衣装も着せられるんだろうなぁ……。お母様やお姉様もそうだけど、みんなわたしの着せ替え楽しみ過ぎです。

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