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233話 映画館に決めた!

 依頼も請けたことなので、みんなの観光案内がてら色々見てまわりましょー。


「んじゃ、最初は映画館だね!」

「この街にも映画館ってあるのね」

「あるよー。感じとしては日本の奴よりも優れてるかな?」

「優れてるって、あんたは知らないだろうけど、日本のも凄くなったのよ? 音響がより立体的で迫力が凄くなったし、スクリーンも複数使うのもあるし、体験型だって昔とは違うんだから」

「へぇ、そんな風になってたのかぁ」


 映画大好きのマナミが熱く語りだしたけど、なるほど、日本というか地球も進化してるのね。

 わたしが居たときは、体験型ってイロモノ扱いでほとんど無かったし、複数のスクリーン使うのなんても無かった。音響もマナミが熱くなるほどじゃなかったかな?

 まぁ映画館に行くこと自体あまりなかったけど。映画館で見るより自宅で見る派だったからなぁ。


「だけど、たーぶんこっちの世界のを見たら、映画大好きマナミさんは感動で泣いちゃうね」

「言うわね。それだけ期待させてへぼかったら……分かってるでしょうね?」

「もっち! それじゃ答え合わせのために、さっそくいっくよー」


 ふっふっふ、この世界にある映画館のすさまじさ、とくと味わうがいいわ!





 歩くこと数分、大衆向けのごく一般的な映画館に来た。少し大きい程度の建物だから、流石にみんなも驚いてないようね。

 んでは中に入ってっと……ふむふむ、そこそこ混んでるけど座れないってことは無さそうね。


「それじゃ早速……こんにちわー」

「あら、いらっしゃいユキちゃん。今日は映画を見に来たのかな?」


 入り口近くで受付兼売店をしている店員のおねーさんに声をかける。

 案の定、おねーさんがわたしのことを知ってる事にミツキたちはちょっと驚いたわ。そういえばアリサやエレン達も最初はこういう反応だったなぁ……ちょっと懐かしい。


「そだよー。それとギルドの依頼で、新しい魔道具の使い勝手を聞きに来たの」

「なるほどね。それにしても初めて見る子もいるね。新しいお友達かな?」

「そんなとこだよー。んで、今日のお勧めって何?」

「この時間からだと、こっちの異世界物か恋愛物お勧めだよ」


 おねーさんが魔道具を操作し、空間ディスプレイを立ち上げて映画のあらすじなどを軽く説明してくれる。

 ふむふむ、内容としてはどっちも王道で1時間くらいの上映、良い感じですね。

 だけど、う~ん


「ミツキ達からしたら既に異世界なのに、そこでさらに異世界ってちょっと変か」

「そう、だね。となるとこっち、の?」

「だね。それじゃおねーさん、こっちの恋愛物のを6人分で」

「ありがとねー」


 いつも通りギルドカードで支払いをしつつ、新しい魔道具の決済の早さとかも確認。うん、たしかに早くなってますね。

 っと、いけないいけない。


「忘れるとこだった。おねーさん、追加でキャラメルソースたっぷりのポップコーンと、イチゴとバナナとチョコの三連アイスと、メロンソーダを6人分くーださい」

「はいよー」

「「「また食べるの!?」」」

「そうだけど、映画館って言ったら必須でしょ? ミツキもそう思うよね?」

「うん」


 マナミコータトースケの三人が驚いたけど、やっぱ必須だよね? アリサは言わずもがなだけど、同じ地球人であるミツキも同意なので間違い無いハズ!


「いやあんた、さっきお昼食べたばっかでしょ……しかも大量に」

「それはそれ、これはこれです!」

「別腹って気持ちは分かるけど、太るわよ?」

「でもほら、わたし、一切太らない体質なので!」

「そういえばそうだったわね……」


 うん、マナミが少し呆れ気味だけど、事実なので!

 でもそっか、ミツキ達はまだ食べたら太る体質なのか。そのうち目覚めると良いんだけど、どうなるかなぁ。





 入場券とポップコーンなどを受け取り、上映される部屋に移動する。

 そんななか、ミツキが疑問に思ったことがあったのか、わたしの方を見て口を開いた。


「ねぇユキくん、空間ディスプレイと魔道スクリーンの違いって、何? さっきのフローラさんは魔道スクリーン使っていたのに、今の人は空間ディスプレイで、よく分からない、の」

「あーそれね。原理や機能はほぼ同じなんだけど、用途が少し違うの。空間、もしくは空中ディスプレイは画面に触れて操作する場合に使うの。地球の感じで行くと……タブレットかな?」

「そうなんだ。それじゃ魔道スクリーンは?」

「こっちは映像とかを映し出す、地球でいう所のテレビみたいなものだね。まぁスクリーンでも触れて操作できるよう設定することもできるし、ディスプレイも映像を映し出すことができる。ただ、それをやると魔力の消費が大きくなっちゃうの」


 どっちも同じ機能が使えるけど、魔力の消費量に差が出るんだよね。

 映すだけなら魔力消費を抑えられる、操作だけなら魔力消費を抑えられるなど、機能に特化すれば燃費が良くなるのだ。


「基本的に『似た名称の魔道具は内容が似ている』『似た魔道具同士は設定次第で同じ機能が使える』って覚えるといいよ」

「そうなんだ。それはわざと、なの?」

「そだよー。特定の魔道具が手に入らなくなったとしても、似た魔道具を使えば再現できるって感じになってるの。これは魔道具の製造元が1機能を独占販売して、横柄な状態にならないようにするためだね」


 魔道具関係の特許を持っているのは大体ママ様だけど、製造し販売しているのは違う組織。魔道具化した後の製品特許なども別の人になる。

 違うという事は、悪い人だって参入する可能性がある。市場を独占し、悪い金稼ぎをする人だって出てくるからねぇ。しょうがない事だけど、ほんと困ったものです。





 そんなちょっとした魔道具のお勉強をしつつも上映される部屋に到着。300人くらいは入れるのかな? そこそこ広いね。

 通路を歩きながら入場券に記載されている席を探して……あ、あそこか。ほぼ部屋の中央にあるナカナカ良い席です。

 まぁその席だけど


「え? ちょっと、なんで一人分がこんなに広いの? しかもソファが高級というか、すごいふかふかなんだけど」

「あーそれはね。体格が大きい人も居るってのもあるんだけど、周囲にある魔道スクリーンだけでなく、目の前に魔道スクリーンを立ち上げて見ることができるからだよ」

「それって、つまり」

「個室にもできるってことだよー。添え付けの魔道具を使えば周囲を遮る壁もできるしね。ちなみに音は特に設定しなくても、自分を中心とした周囲の空間から最適な距離間隔で聞こえてきます」

「完全にプライベートシアターじゃないのそれ。それを格安料金で提供って……」


 マナミが少し呆れてるけど、たしかにそうかも。

 今回はあえて一般向けの座席にしたけど、それでもここまで揃ってるからね。しかも銀貨10枚、日本円だと1000円かな? ずいぶん安いって感じかもねぇ。


「ちなみに、字幕や内容の補足なんかを、別のスクリーンを使って手元に表示させることもできるよ。あとはそうね、画面の中に入ることもできます」

「画面の中に入る?」

「えーっと、なんて言ったっけ、地球のアレだよ、ゴーグルみたいなのを掛けるアレ」

「VRのこと?」

「そうそれ! そんな感じに、実際に画面の中に入って見ることもできます、って、どうしたの? すごい呆れた感じだけど」

「ヘッドセット無しのVRって、どんだけ進んでるのよ……」

「かな? ちなみにどうやってるかの説明もできるけど、聞きたい?」

「遠慮しとくわ。なんとなく、聞いたら怖い気がするから……」


 あらまぁそんな怖がっちゃって。

 ちょっと精神を別空間に移動させ、そこで見るだけなのにねぇ。仮想空間とか、この世界だと当たり前の技術だから、怖いこと一切ないのに。


「この広さなら、三人で座れる、ね」

「ですね。それではお嬢様、どうぞ」

「あ、やっぱそうなのね」


 うん、予想はしていた、絶対に一人で座るはないだろうなって。

 まぁ良いんだけど、この状況でわたしは映画をちゃんと見るのができるのでしょーか? 映画そっちのけにいちゃついて終わり、な気がするんだよねぇ……。

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