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227話 やっぱり混んでた!

 ご飯を食べた後、休憩を挟んでからみんなを冒険者ギルドに案内することに。

 だけど、すんなり出発できない状態なわけで。


「しっかり勉強もするのよ?」

「は~い」

「それと体にも気をつけて、後は……」

「サユリさん、心配しすぎですよ? それに、次の休日になればユキさんも帰ってきますし」

「分かってはいるのだけれど、どうしてもねぇ」


 そう、お母様がわたしを心配しすぎて、どうにも解放してくれないのだ。

 これはあれかな、ちょっと甘えすぎたからかな? お昼の時ずっとだっこして貰ったしねぇ。


「そうですよお母様。お父様が言ったように、次のお休みにも帰ってきますもん」

「そうよね……はぁ、ほんと私もダメねぇ。ユキちゃんが家に居ない事に全然慣れないわ」

「むぅ、それ言われると、わたしの方がヤバいです」


 一番慣れてないの、わたし自身だからね。

 アリサたちと住むのが嫌というわけじゃないし、楽しくないってことも無い。

 だけど、やっぱりわたしはお父様とお母様が居るこの家が大好き! きっとこれは大きくなっても変わらないだろうねぇ。


 だからか、お母様の発言はね、結構後ろ髪を引かれちゃうのです。それこそ学園に通うのをやめたいくらい、引かれちゃうのです。

 とはいえそれをしちゃうと、今度はレグラス王家に迷惑かけちゃう事になるので、何とか我慢するのです。





 しばらくお母様にぎゅーっとしてもらったり、お父様になでなでしてもらったりして、何とか気持ちを切り変える。

 わたしだけでなく、お母様も意識しないと切り替わらないみたいだしねぇ。


 色々と堪能したところで一呼吸……うん、だいじょうぶ。


「それじゃ今度こそ行ってきまーす」

「気をつけてね」

「は~い」


 みんなに手を振って、さてさて冒険者ギルドに向かいますか。


「なんていうか、結構な大事になるのね」

「かも? まぁそれだけ家族大好き集団ってことなんだけど」


 歩きだしたらすぐにマナミがそんなことを言ってきたけど、茶化してって感じじゃないね。単純に驚いただけっぽいわ。

 でもまぁ確かに、大事になってるのは事実だねぇ。悪い事じゃないけど、冷静になるとちょっとだけ恥ずかしいです。


「でもユキくん、昔よりも楽しそう」

「かも? まぁ、ちょっと家族愛強すぎかもしれないけどね~。そういえば、前世のわたしって両親居たっけ?」

「忘れちゃったの?」

「うん。今のわたしの両親はあの二人だから、正直どうでもいいんだけどね。なんとなく気になっただけなの」


 もしも前世の両親が目の前に現れても、親子という感情は一切沸かないと思う。

 だけど、ちょっとだけ謝りたいかなって気持ちがある。

 ミツキほどじゃないと思うけど、わたしが急に居なくなったせいで暗くなっただろうしねぇ。まぁ親子仲良かったかも覚えてないんだけど。


「話した方が良い?」

「んー、ありがたいけど聞かないでおく。なんて言うかな、前世は前世、今世は今世って考えてる部分があるから、知って前世の感情に左右されたくないってのもあるの」

「そう、なの?」

「うん。ちなみにそんな感じだから、ミツキたちと仲良くしたいってのは前世の関係で渋々じゃなく、今のわたしが考えてることだから、安心してねー」

「それって、その、つまり」

「ま、そゆことだよー」


 うん、ミツキが笑顔になって、ちょっといちゃいちゃ気味に手を握ってきましたね。ほんとグイグイ来ますね! 嫌じゃないけど。

 まぁ最初は前世のことを思い出して、そしてわたしを頼ってくるから仲よくしようって考えもあったけど、今はちょっと違う。前世でなく、今世のわたしがそうしたいって考えてるからねぇ。





 そんなことを話しながら歩くこと数分、やって来ました冒険者ギルド。


「大きい……」

「「「とゆーかデカ過ぎ!」」」

「まぁそうかも? いちおうレグラスで2番目の規模だからね。ちなみに一番は王都にあるギルド本部ね」


 そういえばこのやり取り、アリサの時にもあったよーな。

 同じことを思ったのか、アリサもちょっと懐かしいって感じの顔をしてるね。


「あれからもう8年近いんですね」

「だねぇ。長いようであっという間って感じだねぇ」

「ですね。そういえば、ここに来たという事は」

「あーどうだろ、忙しいだろうからなぁ」


 窓からちらっと中を覗いたけど、うん、時間が時間だからか結構混んでる。

 となると、この時間を避ける可能性もあるねぇ。


「二人とも、何を話してる、の?」

「それは~……ひみつー」

「ですね」


 なんとなくアリサと二人で、ちょっと企んでます風の顔をしてしまったけど、秘密なのです!

 大丈夫、ちょっとした洗礼みたいなものだから! なので、そんな怪しんでないで中に入るよー。





 中に入ると窓から見た以上に混んでいた。むぅ、これは来る時間帯、完全に失敗したわ。

 どうやらダンジョン帰りの冒険者が多いみたいね。報酬の査定や鑑定など、受付がいつも以上にごった返してるわ。


 まぁしょうがない、とりあえずフローラさんの受付を……うげぇ。


「超長蛇の列って、マジかぁ……」

「いつもよりも多いですね……どうしますか?」

「う~ん……いつも通りフローラさんにお願いしたいけど、これは悩む」


 ぱっと見た感じ、並んでも1.2時間はかかりそうなんだよねぇ。

 普段ならそのくらいは平気だけど、今日はちょっときついなぁ。


「やはり、お嬢様も気付かれましたか」

「そりゃねぇ。だけど、どうしてこんなにルアス以外の冒険者が多いんだろ?」


 入ってすぐに気付いたのは人の多さだけでなく、ルアス在住以外の冒険者が多いってこと。

 ルアスの冒険者であれば、そのほとんどの人とは顔見知りなので問題ない。とゆーかルアス在住でわたしのことを知らない人って皆無だし。


 だけどルアス以外、特にレグラス以外の国の人だと、わたしのことを知らないって人がほとんどいなる。

 わたしのことを知らないという事は、当然うちの規模とか家柄に気付かないわけで。となると、冗談抜きのナンパがあるわけで。わたし、自他共に認める美少女ですから!


「失敗したなぁ。時間を変えるか、予約しておくんだったわ」

「ですねぇ。とりあえずどうしましょうか? 並ばれる場合、少し覚悟が必要ですけど」

「ん~、みんなは並びたい?」

「また奇妙なことを聞いてくるわね」


 おっと、マナミだけでなく、みんなも少し訳が分かんないって顔をしたわ。

 あーでもそっか。この場合、どうしてわざわざ一番長い列に並ぶんだって事になるからか。ちょっと説明不足過ぎたね。


「んとね、並ぼうとしている列で担当してくれるおねーさんって、わたしが小さい頃からお世話になっている人なの。それに、うちと家族ぐるみの付き合いで、お母様のお弟子さんの一人でもあるの」

「つまり、安心して任せられる人ってことね?」

「そゆことー。他の職員さんも親切丁寧なんだけど、最初はやっぱりフローラさんにお願いしたいって感じなんだ」


 依頼の受注や報告、納品なんかは、フローラさんが忙しいときは職員さんにお願いすることが多い。

 だけどね、やっぱ最初の登録はなんとなくフローラさんじゃないと嫌なのだ。


「まぁユキが拘ってる理由も何となく分かるし、ウチは並ぶのに問題ないわ」

「私も」

「ボクとトースケもだな。それに、ここに居る冒険者の様子を見るのも勉強になりそうだし」


 そう言って、コータは周囲の人の装備や体つきを見てるね。確かに〝これぞ異世界〟って感じの人も居るから、興味もわいてそうね。


「それじゃ並びますかー。とりあえずトースケ、かわいい子が居ても急に声かけるのは止めなさいよ?」

「なっ!? いやいや、オレがそんなことするわけないだろ?」

「ほんとにぃ~? さっきから視線、テーブル席に座ってる〝妖精族のおにーさん〟に釘付けだよ?」

「ば、ばれてたのかよ……って、ちょっとまて! お、おにーさん?」

「うん、あれは男性だよ」

「ま、マジか……異世界こえぇ……」


 トースケが少し唖然としてるけど、まぁ気持ちは分かる。

 この世界、中性的な顔立ちの人って結構いるからねぇ。特にエルフ族に妖精族の男性はさらにって感じだし。


 まぁトースケの中では、同性でそういう関係になるのは無理っぽいから、あえてその道を勧めるのは止めておきましょう。

 だけど、ちょっとだけそういうのも見た……くは無いな、うん。冗談でも勧めるのは止めよう、マジに。

BL展開の予定はないですよ

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