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225話 改心できちゃうんですかね

 30分くらいかな、ミツキたちが話しているのをぽけーっと見てたけど、ナカナカですね。

 マナミたちが少しキレ気味に問い詰めたり、ベアトリーネが土下座に近い感じで謝ったり、ミツキがあたふたしてちょっと可愛かったりなどなど。

 だけどまぁ平和的って感じかしら。キレ気味なのともかく、殴り合いとかの暴力沙汰に放ってないし。


「そろそろ終わるかな?」

「ですね。ちょうどお昼が近いですし、このまま食堂へお連れするのが良さそうですね」

「だねぇ。お母様、何を作ってくれたんだろ? すっごく楽しみ!」


 お母様の作るご飯って、世界で一番おいしいからね! お菓子ならお父様に軍配が上がるけど!

 世界で二番目はいっぱい居るけど、一位はお母様とお父様だけなのです。

 まぁ二人の娘だからそう感じるってのが大きそうだけど、おいしいのは事実なので問題ありません!


「張り切られてるようですし、お嬢様の好きな物ばかりになりそうですね」

「やっぱそうかな? だけどなぁ、わたしって好きなのいっぱいだからなぁ、ほんと楽しみ!」


 トラウマになったセミ料理と、辛すぎる奴以外は大体何でも好きだからね。

 でもなぁ、ここまで嫌いなものが無くお肉も野菜も、お魚だってちゃんと食べてるのに、小さいのは何なんですかね?

 魔石の修復に魔力を大量に消費したままなのはわかってるんだけど、もうちょっと身長が伸びても良いんじゃないでしょーか!





 アリサと話していたら、どうやら終わったみたいね。ミツキたちがこっちに来……むぎゅ。


「待った?」

「そこまでじゃないよ。とゆーかいきなり抱きつくのね」


 こっちに来た途端、ミツキがぎゅーっとしてきたからね。ほんと大胆ですなぁ……わたしもしょっちゅうやってるけど!


 まぁこの状況の理由はなんとなくわかるわ。

 ベアトリーネと話して、和解したかどうかは置いといて、昔の事とかも思い出しちゃったんでしょう。

 昔は昔、今は今って割り切れたとしても、実際に話すとなんとなく不安になったり、悲しくなったりするものです。ミツキもそういう感じなわけですね。


 なので、わたしからもぎゅーっと! こういうのは受けるだけでなく、ちゃんと気持ちを込めて返すのは大事です!


「んで、結構キレ気味だったりしたけど、話は終わったってことで良いんだよね?」

「互いに言いたいことは言い合ったから、だいぶスッキリしたわ。ただ、あの女がだいぶ丸くなったのは意外だけど」

「それはボクも思った。なんていうか、キツイ性格はそのままだけど、昔と違って話を聞かないってことは無い、反省もちゃんとしているって感じが見えたな」

「だな、あれならマナミくらいのキツイ女って感じだから大丈夫だと思うぜ」


 マナミたちがそんなこと言ってるってことは、やっぱり相当変わったみたいね。

 やっぱり悪魔の封印を応用すれば悪い子も改心ってことになるのかな?

 だとすれば、これはすごい発見になるね。改心できるってことは、犯罪者の更生がはかどる可能性があるからねぇ。


 にしても


「トースケってほんと勇者だね!」

「なんでだ?」

「いやぁ、ほら、その」

「苦笑いしてどう……げっ!?」


 ようやく察したのか、般若の如く睨んでいるマナミに気付いたようで、トースケが冷や汗だらだらって感じになったわ。

 確かにマナミってキツメの性格だけど、それを面と向かって言っちゃぁいけないよ。

 それにマナミって実はかわいい物好きで、割と少女趣味なところあるんだから、キツイ女って言われると傷ついちゃうぞ?


「ユキの考えもだいたい分かってるんだけど?」

「なぬ!? でもでも、悪い事は思ってないよ?」

「ユキの場合、悪気が無いから余計に対応が困るのよ……」


 おっと、今度はすごいため息ついちゃって。でもまぁしょうがないよね!





 みんなが話し終わったそうなので、もう一度ベアトリーネのもとに。

 なのでミツキさん、そろそろ解放を……あ、いや、離れたいわけじゃなく、一応お仕事ですので。だからそんな悲しそうな顔しないでください……。


 ミツキがようやく、というか渋々開放してくれたので、今度こそ向かう。

 ふーむ、また足を組んで外を見てるね。ひょっとしてそのポーズ、気に入ったのかな? まぁいいや。


「ちゃんと謝ったみたいね。少し意外だったけど」

「ま、日本でのことや、こないだの戦闘の様子見れば無理ないわね。正直、ワタクシもなんでここまで穏やかなのか、理解できないくらいだし」

「へぇ、そんなに違うのかぁ。ますます興味が湧くなぁ」

「アンタ、その顔はどうかと思うわよ?」

「ん? なんか変だった?」

「珍しいおもちゃを手に入れて喜ぶ子供、って感じだったわ」


 おっと、ジト目でそんなことを言われちゃったわ。

 だけど、うん、否定できないかも。わたしって新しい物を見つけたり、知らなかった知識得たり、珍しい現象を見ると、ちょっとはしゃいじゃうからね。

 今回のも悪魔の力を封印すると改心に繋がるかもっていう新たな発見に、ちょっとワクワクしてるから。


「まぁそれは置いといて、肝心の依頼だけど、謝罪もちゃんとしたから請けてあげるわ」

「そ。一応ありがとうって言っておくわ」

「うはぁ、あの糞女がお礼を言うとか、ほんと効果がすごい!」


 ツンデレとかそういうのではなく、絶対に感謝しないって奴だったからねぇ。

 性悪とかクソッタレとか、そういう言葉がピッタリだったのに、ホント別人ってくらい変わるなぁ。


「凄い言い様ね。まぁワタクシ自身も意外に感じてるけど」

「自覚アリってことね。精神操作とかじゃないのに変わるとか、ほんと興味津々です!」


 っと、いかんいかん、つい研究者魂に火が付きそうになっちゃったわ。

 さすがのベアトリーネの引き気味だし、ここまでにしておきましょう。とゆーかこれ以上やってると、アリサに怒られちゃいそうだわ。


「んっと、依頼は請けるけど、すぐに会えるかは分からないよ。サレストも一応王子だから、ひょっとしたら予定ぎっちぎちの可能性もあるしね」

「橋渡ししてくれるなら時間は気にしないわ。それでも限度はあるけど」

「それは大丈夫かな。いざとなればわたしがお願いするという、レグラスで最上級の権限を発動しちゃうから!」

「お願いって、そんなので動くもんなの?」

「動きます! そのうちお父様や研究者さんとかから話聞くかもしれないけど、わたしって相当なお嬢様というか、レグラスのお姫様だからね! あっ、王族って意味のお姫様じゃないよ!」


 わたしがお願いすると、ほんと冗談抜きに国が動いちゃうからねぇ。

 レグラスはもちろんだけど、アルネイアにセイリアスとかも、レグラスに対して良いところを見せたい気持ちがあるらしく、わたしのお願いは無下にできない。

 そしてわたしのお願いを聴くという事は、レグラスに対して良い印象となるわけで。ほんとヤバいね、わたしの権力!


 とはいえ、転移門の個人使用の許可みたいに、わたし個人の利を追求するものは通らない。だけど、今回の依頼の様に、誰かの為のお願いなら通る。

 こういう所はしっかりしてるなぁっていつも思うわ。

 もしもなんでも思い通りだったら、きっとわがまましまくりのダメダメな性格になってたんだろうなぁ。コワイコワイ。





「ま、そういうわけだから、それまでは女でも磨いてなさい」

「アンタにそんなこと言われるとはね」

「でもサレストのこと、本気で落としたいなら努力はしないと無理よ。日本と違いこの世界だと、王族や貴族ってすごい上の立場だからね」


 一般の人と付き合っちゃダメってことは無いけど、結構厳しいんだよね。

 貴族は貴族同士、と考える人が多いからしょうがないんだけど。


「まぁ努力はするわよ」

「そうしたまえ! まぁ本気なのが周囲からも見て取れるなら、ここに勤めている女性職員さんが手伝ってくれるよ。知ってると思うけど、ここに居る人って内面も外面も綺麗な人ばかりだからね!」

「そ。なら頑張ってみるわ。色々とありがとう」


 そう言ってベアトリーネは軽く頭を下げてきた。……ほんとに変わったな。

 対応もそうだけど、努力とか頑張るって絶対にしない奴だったのに。


 このままなら改心もうまくいきそうね。

 過去のモヤモヤはあるけど、今は改心できるって事実を喜びましょうか

悪いものを封印→悪い心も封印 みたいな感じです

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