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223話 理由は超べた!

 複雑でモヤモヤしてるけど、ふと気になった。


「ところで、さっきのおめでとうは何?」

「それは」


 そう言って指をさしたけど……ミツキ?

 わたしが確認したからか、今度はわたしを指さし……って、あぁ、そういう事か。


「アンタがカズヤだっての聞いたからね。なら今の状況、よかったんでしょ」

「それはまぁ、そうだけど」

「しかも婚約したんでしょ? ったく、再会したらすぐとか、手が早いわね」

「ちょ、ちょっとまった! 婚約って、いや、どういうこと?」


 超初耳なんですけど!

 いやまぁね、そうなるのは分かり切ってるからいいんだけど、いつ決まったのよ。


 少し慌ててたら、あれ? お父様が苦笑いしてる。まさかこれって……。


「えぇ、実はサユリさんが宣言してしまいまして。現在ユキさんと婚約状態にあるのは、アリサさん、エレンさん、そしてミツキさんの三名です。メイさんはまだ青年期前なので予定、とはいえ事実婚みたいな状態ですか」

「ま、マジですか? わたし、全然知らなかったんですけど」

「もちろん正式に決まるのはユキさんが13歳、青年期に入ってからです。なので予約状態、と言ったところですね」


 婚約の予約って、それはまたそれでちょっとあれですね。

 しかもこれって破棄は絶対にできない奴だよね? まぁする気は無いんだけど!


「でもでも、どうしてそうなったんですか? なんとなく急すぎる気が」

「実は、ミツキさんの立場が問題なのです。ミツキさんの術装はユキさんが作った物というのが少々厄介でして」

「もしかして、所持しちゃいけないとか、そういう話があったんですか?」

「そうです。私達やレグラス王家としては問題無しにしたかったのですが、国家としては難しいのです。それだけユキさんの作った術装は世界にとって強大で、おいそれと譲っていい物では無いのです」


 お父様が真剣な眼差しでわたしを見ながら話してくれたけど、たしかになぁ。

 量産型の術装ですら国家機密なのに、わたしの術装である月華の子供みたいな術装を所持しちゃったからねぇ。

 そんな術装がもしも国外に出たら……ってことなんだよね。


 国外に出ないようにするためには、国で管理すれば良いとなるのは当然。

 そしておそらく、ミツキとは比較にならないほどの強い人に持たせた方が有効活用できる、そんな意見も出たと思う。わたしの想いは理解するけど、国としては鵜呑みにできない、そんな感じね。


 だけど、わたしの婚約者、つまりうちの一員となってしまえば問題ない。他国に渡る心配が無く、管理もうちがしっかりやるってことだもんね。

 アリサのように専属メイドにするのも方法の一つだけど、あえて婚約にしたのはお母様の意思っぽいわ。

 なんせミツキの夢ってお嫁さんなので、お母様としてはそれを叶えようとしたわけですね。なっとくです。


 だけど


「お前に祝福されるとか、なんか違和感」

「そうでしょうね。まぁ嫌味は入ってないから安心なさいな」

「その方が余計に違和感だわ!」


 嫌味すらなくて普通に祝福とか、本当にあの糞女ですか? 信じられません!





 違和感は置いといて、そろそろお仕事の方を進めないと。


「まぁいいや、それで、サレストとの橋渡しだっけ?」

「そうよ。あの方は王子様、ワタクシが望んでも簡単には会えない、そこでアンタの出番ってわけ」

「出番って、なんでわたしに頼むのよ」

「ワタクシの依頼を請けてくれそうなのが、アンタしか居ないからに決まってるでしょ」


 おぅ、真剣な眼差しでそんなことを言ってきたけど、それはそれでちょっと悲しいわね。

 わたししか請けない、つまりは他の人じゃ請ける可能性は皆無って言う、ある意味孤立状態ってこと。

 こいつに同情するのもおかしな感じだけど、少し、ほんのすこーしだけかわいそうだとは思った。


 嫌いな糞女だけど、こいつだって好きでこの世界に来たわけじゃない。

 それどころか召喚失敗か何かで、神聖王国以外のところに飛ばされて、挙句に悪魔化して人類の敵になったわけだし。

 これが日本のままだったら助けないし、依頼なんて絶対に請けない。


 だけど……はぁ、なんだかんだでわたし、お人好しなのかねぇ。

 嫌なはずなのに、しょうがないなぁって感じで依頼を受けようとしてるんだもん。

 ひょっとして、こういう考えになるよう、お父様とお母様ってわたしを教育していた? 請けそうな感じを察したからか、お父様が少し笑顔だし。う~ん、ますますそんな気がしてきたわ。





「受けるかどうかは置いといて、どうして会いたいのよ」

「それは、まぁ、アンタには関係ないでしょ」

「いやいや、依頼を請けるかどうかの理由に大いに関わるよ? 悪い事ならもちろんお断りなので、さっさと吐きなさい!」


 両腕を組んでビシッと言い放つ!

 だけど、むぅ、なんとなくこんななポーズとったけど、わたしが腕を組んでも全然威圧感が無いみたい。

 見ていた人がなんとも微笑ましいというか、ほっこりって感じなんだもん。これにはちょっとだけ残念。


「なにやってんのよアンタ……。ワタクシを魅了でもする気? 悪いけど、そっちの趣味は無いわ」

「そんなつもりは無いから!」


 しかも思いっきり誤解されたし。

 むぅ、自分の可愛さが憎らしく……は無いね。可愛いは正義だし!


「まぁいいわ、理由だけど単純よ」

「ほほー。まさか惚れたから、とかじゃないでしょうね?」

「……」

「マジか……」


 まさかなーと思ったら、マジっぽいね。なんか照れ臭そうにそっぽ向いたし。


「悪かったわね、こんな理由で」

「悪いというかなんというか、その、どういった経緯で?」

「それも単純よ。あんたに捕まった後、ワタクシ達はセイリアスの牢で尋問されてたわ。セイリアスも必死だったわね、少し行き過ぎた尋問を受けてたわ」

「行きすぎって……まぁそうか、悪魔は世界共通の敵だから、捕虜としてではなく魔物扱いってことか」


 魔物ならば何をしても良いってこと無いけど、どこまでやるのかは国によって違う。

 なによりセイリアスは、レグラスやアルネイアに対して劣等感を持っているから、悪魔の情報を得るのに躍起に他なった可能性もある。悪魔の情報を仕入れるだけで、その国が上に立てるのかは別問題だけど。


「そして、あの方が見に来たのよ。最初はただの興味本位だったのかもしれないわね。そこでワタクシ達の状況を見た途端、尋問官を殴りつけ、対応を改めるように本気で怒ってくださったのよ」

「ほえ~、あのロリコン……じゃなかった、サレストがねぇ」

「ロリコンって、まぁいいわ。翌日からは無理な尋問が無くなるどころか、今まで放置されていた傷なども治療されたわ」

「傷の放置までしてたって、ある意味徹底してるなぁ」

「ま、敵なんだからそれが普通なんでしょ? その後はアンタの方が詳しいんじゃない?」

「かもね」


 ベアトリーネたちをレグラスで受け入れるとか、そういう流れがあったようだしね。

 たしかそれを推し進めたのもサレストだっけ?

 そういえばサレストって最初にアリサを奴隷にした理由も、他の勇者の対応が酷すぎるからだったね。酷いことは見過ごせない性格なのかもねぇ。





「なるほど、つまり助けられた恩が進化して恋心になった、そういう事ね」

「そういうことよ。まぁ別に実らなくても良いけど、ただ、助けてもらった感謝ぐらいはしたいわけ」

「へー」

「何よ、その奇妙な物を見る目は」

「いやだって、お前本当にあの糞女? って感じなんだもん。なんていうか、少し丸くなってない?」

「どうかしらね、自分じゃ分かんないわ」


 そう言うなり少し恥ずかしいのか、そっぽを向いたわ。こういう所もらしくない感じだねぇ。

 記憶にある糞女はもっとトゲトゲしてたのに、それが無いんだもん。


 これ、悪魔の力を抑えただけでなく、元の悪い部分も浄化したんですかね?

 だとしたら……レグラスの浄化、万能すぎです!

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