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216話 やっぱりメイドって謎

 帰ろうとしたらサレストが引き留めてきたけど、どうやら独断のようね。国王や宰相の人とか、目が点になってるよ。


「それは私たち、というよりレグラスに今回の首謀者を引き渡す、という事かしら?」

「その通りです。ご存じの通り、我が国は悪魔関係だけでなく、術や精霊に関しても知識不足です。であれば、我が国よりも詳しい貴国に委ねるのが正しい判断だと考えました」

「あら、だいぶまともな意見ね。この父親とはだいぶ違う考えを持っているのねぇ」


 お母様が関心のような、少し呆れのような、そんな感じの反応をしてるわ。

 どうやらこの王様、相当ダメダメなんですね。愚王って言葉がピッタリ当てはまりそうだなぁ、勝手な印象だけど。


「ま、まつのだサレスト。そのような勝手なことを」

「ですが父上、悪魔関連は我が国で処理できる範疇を超えています」


 ほう、サレストは現実がちゃんと見えてるみたい。国王と違って、こういう所は良いですねぇ。





 少しサレストたちが言い争うというか、ちょっともめてるけど、どうなるのかな?


「ねーねーお母様、サレストの依頼は受けるんですか?」

「そうねぇ、悪魔に関しては情報が欲しいところだから前向きに、かしら。それに少し酷だけど、セイリアスじゃ情報を得るどころか、逆に汚染されてしまうわね」

「対策が全然ってことですか?」

「そうよ。だけどね、おバカな国王様はそれが分かっていない、もしくは分かっていても、どうしても見栄を張りたいのかもしれないわね」

「あー、お願いしますが言えない典型的なアレですね」


 たしかにこの国王さん、敵じゃないっぽいけど、すごい上から目線だったしなぁ。

 それに国王だけじゃない、他の大臣さんとかもそんな感じ。腐ってはいないとは思うけど、これはこれで嫌だねぇ。





「さてと、ユキちゃんたちはもう帰りたいわよね?」

「はい、帰ってお風呂に入りたいです」

「分かったわ。それじゃシズク」


 お母様が何かを決めたらしく、いつものようにシズクさんを呼んだけど、ここに居ませんよ?

 うちだったら呼べばすぐ来てくれるけど、ここはセイリアスの王城、流石にむ


「お嬢様達がご帰宅できるよう、馬車を1台手配しておきました。念のためレグラスからの親衛隊を10名ほど待機させていますので、安全面も問題ないかと」

「うそん!?」


 シズクさんはお母様が呼んだすぐくらいに、後ろからスッと出てくるんだもん。

 これがうちならわかるけど、ここでもソレってどうなの?


「ねーねーシズクさん、どうやって来たの?」

「もちろんサユリ様に呼ばれてから、個人用の転移門を使ってですよ」

「あ、うち以外でも呼んだら来てくれるんだ」

「メイドとしては当然の事ですから。いずれアリサもこの程度はできるようになりますので、お嬢様も安心してくださいね」

「できちゃうのかぁ……」


 ほんとメイドって何なんですかね?

 盗聴していたとか通信機を使ったのでもなく、呼んだら来てくれるとか謎すぎるわ。


「それとサユリ様、会議のために一室用意させましたので、すぐにでも交渉を行えます」

「さすがシズクね。という事はシエラちゃんと資料の方も」

「準備できております。シエラ様はすでに会議室の方に居られますので、あとはサユリ様とセイリアス側の代表者が向かうだけとなります」


 いやいやまってまって超まって! どんだけ準備できてるんですか!?

 先読みもここまで来ると、すごい以前に恐ろしいレベルだよ。

 だけどシズクさん的にはこれが当たり前なんだよなぁ……ほんとメイドって何?


「そういうわけだから、ユキちゃんたちは先に帰ってくれるかしら?」

「交渉ってわたしたちは居なくていいんですか?」

「大丈夫よ。それにあの国王を少し脅し……説得をしないとダメだから、ユキちゃんたちは面白くないと思うの」


 お母様、まーた脅すって言っちゃってるよ……。

 セイリアスの国王、ホント嫌いなんですねぇ。ひょっとして、お母様に言寄ってきた過去でもあるのかな?

 だって敵に対する辛辣な対応と違い、単純にキライって方だもん。お母さまがそうなるの、たいていウンザリするようなバカが相手な時だからねぇ。


 まぁいいや


「わかりましたー。ちなみに早く帰えれそうなんですか?」

「あらまぁ、そんな表情されちゃうと、私たちも早く終わらせて帰らないとダメそうねぇ」


 そう言ってお母様がなでなでしてくれる。

 ふっふっふ、この反応からして『ちょっと上目遣いでのおねだり』はお母様にも十分な破壊力という事ですね!

 まぁなんとなくやってみたけど、これは予想以上ですね。だってお母様、なでながらすっごい緩んだ顔になってるもん。

 お母様ですらこうなるという事は、アリサたちにやったらどうなるんだろ? 気になるし、こんどやってみよーっと。





「それじゃ依頼について、詳細を詰めに行きましょうか」

「ちょっとまて! 何がどうなっているのか説明しろ!」

「はぁ、ほんと察しの悪い国王ね。シズクがここに現れた時点で気付きなさいな」


 いやいやお母様、呆れた感じでそんなこと言ってますけど、普通に無理ですよ?

 とゆーか。シズクさんが急に現れたことが既に驚愕の事態なわけで、大臣さんたちが少しパニックになってますよ? 衛兵とかを呼ぶか呼ばないか、そんなことも悩んでそうだし。


「細かい説明は後回しにするけど、まずはユキちゃん達を帰してもいいかしら? 疲れてるようだから、早く帰らせたいのよ」

「くっ、駄々をこね続けるとこちらが不利か」

「そういう事よ。うちの国と対等であり続けたいのなら、引き際は間違えないこと、それが重要よ」

「よかろう。退出を許可する!」


 威厳たっぷりにそんなことを言ってきたけど、そもそも許可っているのかなぁ……。

 案の定、サレストがまた『父上がすまない』ってボソッと言いながら頭を下げてきたわ。ほんとこいつ、最初の印象と違ってすごい真面目君ですねぇ。ロリコンだとは思うけど!


「では先に帰ってますね~」

「気をつけて帰るのよ? シズク、念のため馬車のところまで」

「お母様、さすがにそこまでしなくてもだいじょーぶですよ……」


 ホント過保護ですねぇ、嫌じゃないけど。

 帰る前にもう一度お母様にぎゅーっとして、うん、お母様もぎゅーっとしながら、ななでなでもしてくれたわ。むふぅ、このまま抱きついていたい気持ちがどんどん強くなるけど、さすがに場所が場所なので抑えましょう。


 後ろ髪を引かれつつ、ひょいっと離れてからもう一度挨拶をし、そのままエレンたちと一緒に馬車の方へ向かう。

 ふぃ~、ようやく帰れるわ。


 しっかし、結局お母様たちに丸投げになっちゃったなぁ。

 う~ん、申し訳ない気持ちがあるし、今日はわたしがお母様たちのためにご飯を作りましょー。

 家族とはいえ受けた恩はね、ちょっとずつでも良いから返したいのです!

ちなみに、普通のメイドはシズクみたいなことは出来ません

全てのメイドがこんなだったらさすがに…

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