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201話 朝食からのイベント突入?

「へ? わたしと話したい、ですか?」

「そうなのよ」


 みんなで朝食を食べていたら、お母様がふと思い出したようで、そんなことを言ってきた。

 突然の内容だったので、お箸で掴んでいたウィンナー(もちろんタコさん!)をポロッと落っことしちゃったよ。


 話すだけなら特に驚かない。お偉い人がうちに来て、わたしも話をしないとダメって経験は何度もあるしね。

 だけど今回はなぁ……。


「セイリアスの王子様からとか、これはお嬢様への求婚ですかー?」

「ちょ、ノエル、そんなこと言ったら」


 その相手はセイリアスの第一王子らしく、すっごい嫌な予感がした。

 だけど、うん、さすがノエルだわ。思ったことをそのままズカッと言っちゃうのね。


 ただね


「ユキちゃんとの結婚は、お姉ちゃんが絶対に許しません!」

「わたくしも、断固反対ですわ!」


 予想通り、お姉様とエレンが猛反対。

 まぁ、ちゃんと反対の意見を出す二人は良いんだよ、二人は。問題は……


「すみません、ちょっと出かけてきますね」

「ちょーっとまってアリサ! その『これから殺りに行きます』って感じなのは止めよーか!」

「私も、行こうかな」

「ミツキまで!?」


 アリサだけでなく、一緒に朝食をとっていた前世の幼馴染組の一人でもあるミツキまで実力行使に移ろうとするとか、ほんと勘弁してください。

 普段はお姉様やエレンの方が行動に移すことが多いのに、こういう時だけ逆なんだもん。





「えっと、どうしてそんな話が出てきたんですか?」

「あー、それは……」


 あれ? 珍しくお母様が慌ててるというか、はっきり答えてくれない。どうしたんだろ?


「それはですね、サユリ様がセイリアスの国王や王子といった王家の者に対し、お嬢様の自慢話を1時間以上語ってしまいまして」

「ちょっとシズク、それはユキちゃんにはナイショにしてって言ったわよね?」

「あっ……。すみません、お嬢様が気にされたので、つい」

「はぁ、シズクもユキちゃんにはホント甘いんだから」


 えっ? 犯人はお母様ですか!? ちょっとポカーンとしちゃったよ。

 とゆーか1時間も自慢話するとか、それはそれでちょっと恥ずかしいんですけど。


「ごめんなさいね。向こうが息子自慢をしてきたから、ついカッとなって、ユキちゃんを自慢しちゃったの」

「私もサユリ様の発言に補足する形で援護射撃を」

「お母様とシズクさんの合体攻撃ですか……」


 二人同時って、ある意味史上最強の攻撃なんじゃ?

 しかも二人とも『後悔は無い、全力を出した』って感じの表情なので、これは相当言ったね……。むぅ、ますます恥ずかしい気がします。


「私とアリサちゃんがセイリアスの王妃様と共に謁見の間に戻ったら、サユリ様たちが言い争っていたのはそういう事だったのですね」

「そうなの。ちょっと大人げない争いだったから、シエラちゃんとアリサちゃんには説明できなかったの。ごめんなさいね」


 そう言ったお母様だけど、う~ん、本当の理由は別っぽいね。

 おそらく、説明したらアリサだけでなく、お姉様まで行動に移す可能性があったから、かな?

 さすがに行動したら問題だからね。最悪、レグラスとセイリアスで戦争になる可能性もあるから、念のため伏せたってわけですね。





「それでお母様、その王子ってどんな人なんですか?」

「そうねぇ、一言で表すなら……バカね」

「バカ?」

「勢いがあれば何でも解決できる、そんな感じのね」


 うわぁ、それってめっちゃ暑苦しい感じのする奴なんじゃ。わたし、そういう人って苦手なんだけど。会いたくないなぁ。


「断っちゃダメなんですか?」

「ダメではないのだけれど……」


 そう言った後、お母様はお姉様の方を見た。もしかして、国家間の問題になるかもってこと?


「そうだねぇ、私も断っちゃって良いと思うけど、断っちゃうと国同士の仲が少し悪くなるかな?」

「少しですか?」

「もともと仲はそこまで良くないから、これを機に何かあるかも? ってくらいだよ」

「同盟国でも仲が良いとか悪いってあるんですね」

「そうだよ~。みんな仲良くできたら良いのだけれど、それぞれ思惑があるからね。特にうちは他国と違い、資源に技術、それに精霊関係がとびぬけているからね。どうしても妬ましく思う国が多いの」


 お姉様が少し呆れてる感じだけど、すっごいわかるわ。

 アルネイアみたいに妬むのではなく、共に発展しようとする国なら問題ない。

 だけど、セイリアスを含む多くの国は欲するだけなんだよねぇ。ほんとダメダメです。


「私個人はユキちゃんをあんなバカ猿に会わせたくないんだけど、レグラス王家としては会ってもらいたいって感じかな」

「バカ猿って、お姉様らしからぬ過激な言い様……。でも、う~ん、責任重大っぽい」

「あ、そこまで深刻にならなくていいよー。正式な会合とかじゃないから、悪くなるのはセイリアス王家内のレグラスに対する心情だけ。それが国家間の仲にも少し悪い影響を与えるかもだけど」


 大事にはならないけれど、王家同士の感情が悪いことに繋がるかもってことね。

 う~ん、どうしよっかなぁ。





 朝食後、部屋のソファにぐでーっと腰かけ、天井をぼけーっと見る。

 会うかどうかの判断はわたしに委ねることになったので、ちょっと一人で考えたいのだ。まぁ室内にはアリサも居るけど。


 そもそもここまで悩むのは、今のわたしって結構な人見知りだからなんだよね……。

 お母様の娘だからか、誰かと比較されたり値踏みもされたり、子供相手に下心を全開に出す大人も多くて、いろいろ嫌になったのが原因だけど。


 しかもなぁ、今回はバカな王子ってのも面倒だけど、お見合いに発展するのが確実で嫌。

 貴族間の付き合いというか面子の関係でお見合いするってのは、わたしも何度か経験している。ほとんどは断れるけど、どうしても断れない相手ってのは居るからねぇ。


 そして今回も断れない感じの相手、そう、他国の王族関係、というか王子ってのがね。

 普通の貴族相手なら簡単に断れるみたいだけど、王族は国同士の付き合いがあるから、ズバッと断れない。レグラスだけなら問題ないけど、他国が絡むとなかなか厄介です。


 それに、シズクさんが調べてくれた内容だと、その王子はもともとわたしに対する興味が相当らしく、今回の件もノリノリだとかなんとか。

 ノリノリって事は、貴族の面子のためではなく、マジなお見合いになりそうなわけで。そりゃお姉様が猛反対するわけだよ。

 とどめと言わんばかりに、その王子は婚約者を絶賛募集中らしいから、冗談抜きに迫られそうでほんと嫌。


「ねーアリサ~、わたしが面子のためじゃない、割とマジなお見合いすることになったら、どうする?」

「それはメイドとして答えた方が良いですか?」

「アリサ自身の答えで良いよ~」


 紅茶を淹れていたアリサに本音を聞いてみるのだ。

 メイドとして答えてもらうだと、なんとなーくはぐらかした内容になりそうなので、それは却下です。


「本音、ですか。そうですね、ご破談となるのは分かりきっているのですが、それでも嫌ですね」

「お見合いするってこと自体が?」

「そうです。嫉妬とは違うのですが、なぜか、こう、会わせたくないと言いますか」

「ほほー」


 よくわからないけど嫌ってことですね。独占欲みたいなものかな? もしくはお見合いの結果次第では捨てられるかもって言う恐怖かしら? アリサってわたしに対する依存度がすっごい高いからねぇ。


「ただ、断った後にお嬢様が負い目を感じるのも嫌ですね」

「あー、それはありそう。特にお母様やお姉様といった、家族の負担に繋がる内容はすごく敏感だし」


 わたしのせいで忙しくなったとか関係が悪化したとか、そういうのってすごく嫌だし、同時にすごく怖い。

 ほんと、今世のわたしって妙なところが臆病だねぇ。これも人に対する好き嫌いが激しいからかな?


「ん~、そもそも命取られるとかそういう危険なことじゃない、ただ我慢すれば良いだけだから、会いますかねぇ」

「その方が良いかと。断った後に後悔され、落ち込まれるお嬢様の方が、私も嫌ですし」

「そっか~」


 ひょいっとソファから降り、そのままアリサの傍に行き、抱きつき!

 はふぅ、この感じ、たまりませんなぁ。


「もう、急にどうしたんですか?」

「なんとなく? とりあえず決めたよ、一応会うことにする」

「わかりました。では、サユリ様たちに伝えておきますね」

「あ、でもね、アリサと一緒に会うことにする! エレンたちはダメって言われる気がするけど、アリサはわたしの専属メイドだからね、向こうも承諾すると思うんだ」

「私もですか? あ、そういう事ですか」


 うん、察してくれた様で、アリサがニコニコしながら撫でてくれる。むふぅ、これもたまりません。


 アリサが察してくれたように、やっぱね、一人で会うのは嫌だからね。

 なので、癒しであるアリサも一緒にという条件を付けるのだ!

 もしもアリサの同伴はダメって言われたら、バッサリ断ろーっと。

突然のお見合い発生

ちなみにお見合い自体はよくある世界です(貴族あるある)

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