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200話 異世界の子供事情?

少し突っ込んだ話になってます

 はふぅ、天気が良く景色もいい外で食べるお菓子もやっぱ良いですねぇ。

 惜しいのは桜の季節じゃないってことかな? 団子や饅頭、どら焼きに羊羹といった和菓子が大量状態にしたこともあり、なんとなくお花見セットな感じになっちゃったからねぇ。


「それにしても、ほんとよく食べるわね」

「あむ?」


 なにやらマナミがすっごい呆れてるんだけど、そんなにかな?

 今日はまだ抑えてる方なんだけどねぇ。


「それに、どれもこれもサイズ感がおかしいわよ」

「大きい、よね?」


 おっとミツキまでって、あれ? なーんかこのやり取り、昔あったような。

 んーっと……あー、アリサと最初に会った時か。


 わたしとかは食べ物をカロリーでなく魔力に還元する。そして還元した魔力を使って体を動かしたり魔石に蓄えたり、って体質になっている。魔石の成長にも使うから、どうしても食べる量は多くなる。

 しかも強くなればなるほど必要な魔力も増大するので、右肩上がりに食事量が増えていく。年齢とかも関係ないしね。


 だけど普通の人、とりわけ地球人の場合、そのすべてがカロリーになるので、食べすぎると当然脂肪になる。

 しかも加齢が進むと食が細くなるとかなんとか。


 渡した辞書にもこの辺のことは書いてあった気がするけど、まだ読んでないのかな?

 ならばサクッと説明しておきましょー。説明しておかないと、ただの大食い娘だと誤解されちゃうもん。





「――というわけで、わたしの様な存在は、自然と食べる量が多くなるのです!」

「不思議、だね」

「ほんとねぇ。てことはまさか、ユキたちって暴飲暴食や偏食しても大丈夫ってことなの?」

「そだよー。それに種族にもよるけど、特定の物しか食べられない人もいっぱいなんだ」


 体の構成上、固形物が一切食べられない種族や、野菜だけ、もしくはお肉だけって種族もいる。砂糖類だけって種族もいる。

 地球では動物や昆虫といった人以外の存在がそんな感じだけど、この世界だとそういう特性を持った人も大勢だからねぇ。


「わたしは何でも食べれ……あ、無理なのあったわ」

「ピーマンが駄目とかじゃないでしょうね?」

「ピーマンは克服しました! 今は平気、生でもいけます!」

「いやそれ、自慢する事じゃないから……」


 おっと、また呆れた目で見てきますね。

 だけどしょうがないのです。わたしって味覚がだいぶお子様だから、前世で平気だった物でも若干苦手だったりしたからねぇ。


「ユキくんがダメなのって?」

「んとね、昆虫食だけは無理」

「昆虫?」

「蜂の子とか、イナゴとか?」

「んー、その辺りは何とか。一番無理なのはセミ」

「「セミ?」」

「えとね、こーっのくらい、大きいの」


 両手を広げて大きさをアピール。うん、そんな大きさって嘘でしょ? って反応してるね。

 でもね、本当にあるんだよ……。


「自分より大きなセミが丸ごとお皿に盛り付けられてたのを見たらね、怖くてトラウマになったよ……」


 冗談抜きに、出されたときにマジ泣きしたからね……。怖すぎたから鳥肌ぶわーっとなって、尻尾も完全に逆立ったわ。

 あの時はちょっとした騒ぎになって、お母様が迎えに来てくれたなぁ。


 しかもあれ以来、一人でご飯を食べに行けなくなったし。

 他国からの新規出店のお店巡りは好きだけど、怖い思いはもうしたくないもん。





「そういうの聞くと、ほんと異世界なのねぇ」

「セミは滅ぶべし!」

「ユキくん、それはちょっと過激、だよ?」


 過激なのは分かってるけど、アレを見たらね、恐怖がすごすぎるのです。

 しかも普通のセミの鳴き声を聞くたびに思い出すし……。


「それにしても、食べても太らずに体型維持できるのは羨ましいわね」

「あー、実はこの体質、二人も運が良ければなれるんだよ。これは種族特性じゃなく、開花する能力の一つだから」

「日本人、でも?」

「そだよー。レイジはちょっと変な経緯だけど、元はれっきとした日本人だからね。只人ってくくりなら、アリサもそうだね」


 そういえばショージ君たちも目覚めてたっけ。

 アリサたちのように、レグラスの実家で訓練してたじゃないから時間かかったけど、それでも目覚めたからねぇ。

 なので、ミツキたちにも大いに可能性があるのだ。


「じゃぁその能力に目覚めれば、カロリー気にしないで済むってわけね?」

「そゆことー。だけど、その分食費が掛かるようになるけどね」


 倍なんてものじゃない、数十倍に膨れるからねぇ。

 目覚めたら食費が酷くて死にそうです、なんてことにならないように注意してもらわないと。





「私も、気になること、あるの」

「な~に?」

「えっとね、女の子同士だと、子供ってどうなるの?」

「ゲフッ」


 突然なんつーことを聞いてくるんですかねミツキさん。しかも真剣な目をして。

 そんなのまだまだ先って、あーそっか、ミツキたちって日本換算だと中身は20代半ばになるのか。それならおかしくない質問か。


「えーっと、3種類の方法でできます」

「えらい多いわね。まぁ同性なのにできること自体、異世界って感じだけど」

「かも? んでまぁ一つ目は、互いの魔石を特殊な術で一部摘出し、それを融合させ、肉体となる器に宿らせるの。二人にわかりやすく言うなら人造人間って奴になるかな?」


 魔石の融合は、本来性別が無い種族が子供を作る方法。

 魔石の譲渡と違い、遺伝子情報なんかを含んだ魔石を融合させるので、力だけ受け継いだ人形みたいなものにはならない。

 しかも魔石を宿らせる器も、魔石が持っている遺伝子情報によって再構成されるので、魔石だけでなく肉体面もちゃんとした親子となる。

 なので、変な目で見られるとか、人モドキみたいな差別は当然無い。そういう生まれ方もあるっていう常識が、この世界にはあるからだね。


「二つ目は魔法や術で、性別自体変更しちゃう方法なの」

「性転換ね」

「そそ。でも、これって本来は体と精神の性が一致しない人の治療用なので、一時的でなく恒久的に性が変わっちゃうの」


 男女でうんぬんのためだけに性を変える、みたいなことはできないからね。

 そもそも、そう簡単に性別が変更できる世界だったら、いろいろと問題が起こるわ。ろくでもないことに使おうとする奴は絶対にいるだろうしねぇ。


「最後の三つめは、専用の魔道具を使う方法なの」

「専用の?」

「あー、ウチはなんとなくわかった。たぶん、両性になる魔道具なんでしょ?」

「せいかーい。魔道具を使っている間だけそうなるって物なんだ。同性でも子供が欲しいという意見が多かったので作ったとかだったかな? 結構高い魔道具になってるけど」

「いろいろあるのねぇ」


 二人が納得するように、この世界はいろいろと考えられてる。

 まぁ考えないと問題が起こるくらい、種族がいっぱいだってことなんだけどねぇ。





「まぁミツキが気になった理由はさすがに察したわ。だからあえて言うと、3種類の方法のどれをとっても、わたしが子供をもうける可能性はひっじょーに低いです。ゼロじゃないけどね」

「そう、なの?」


 うん、予想はしてたけど、残念というかショックを受けたというか、そんな感じね。

 マナミの方は単純に驚いただけっぽいけど。


「理由は簡単で、わたしの様な不老不死というか長命種の場合、子供ができる可能性はもともと低いの。なんでか分かる?」

「う~ん……マナミちゃんは?」

「ウチは大体わかったわ。アレでしょ、長命種が子供を産んだら寿命で死ぬ人がほぼいなくなる。さすがにそれは問題だらけなので、神様が調整してるとかなんでしょ?」

「そゆことー。まぁ調整している存在は不明なんだけどね」


 お母様たちも分からないので、本当に謎。

 それに、どうやって調整しているのかも不明なんだよなぁ。

 いつかは解明したいけど、糸口が何もない完全お手上げ状態なのがちょっと悔しいわ。


「わたしがお兄様と1000歳以上離れてるのも、そういうわけなんだ。まぁエレンのように、両親が天魔にすらなっていない存在であれば、子供が生まれにくいってことは無いの」

「あくまでユキの家のように、両親とも長命で、天魔に進化している家限定ってわけね」

「なの。まぁそういう意味もあって、わたしは可愛がられてるわけです!」


 わたしが生まれる確率って、ほぼゼロだったらしいからねぇ。

 なのに、偶然なのか奇跡なのか生まれちゃったので、お祭り騒ぎにもなったようだし、いつまで経っても過保護にもなるわけで。


 お姉様も似た条件ではあったけど、わたしよりも高い確率だったかな?

 これはたぶん、お母様がとんでもない存在だからだろうねぇ。とんでもない存在の子供なんて絶対に量産させない! って言う意思が神様って奴とかに広まってそうだわ。


 でも年下の弟や妹、ちょっと欲し……いや、そういうことを考えるのは止めよう。

 そんなこと考えてると、メイがすっごく怒りそうだわ。あの子なら絶対に『妹はあたしだけ!』って言いそうだもんねぇ。

ちなみに男同士でも作れます(そういう展開は予定してないですけど)

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