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199話 今後に向けてのアレやソレ

 やれやれ、マナミをおちょくるのほどほどにしよう。

 別にダメージとかは無いけれど、やり過ぎるとミツキがね、嫉妬しちゃうからね。

 まぁ前世でもわたしはマナミに対し、そういう感情は一切持ってないし、マナミ側も当然皆無だけど。


「ところで、二人はここでなにしてたの?」

「えっと、魔法や術の本を、探してた、の」

「貰った魔道具にはその辺りは説明だけで、実際に覚えようとするのは無理だったからね」

「なるほどねぇ。それで、今後を見据えて魔法や術が使えるようになる本を探してたってことね」


 たしかに渡した魔道具では、この世界の知識は学べるけど魔法や術は覚えられない。

 というか、意図してその辺りの内容が入っていない辞書を渡したけど。


 魔法や術は間違った覚え方をすると、その後が非常にヤバい。

 発動しないだけならまだしも、自身の魔石だけでなく、眠った魔力なんかにも悪い影響を与えることがある。

 発動したとしても、制御を誤って何らかの被害をおこすこともある。


 そんな危険なものを、ちゃんと監督してくれる先生や師匠的な人が居ない中、独学だけで覚えさせるなんてことはしません。

 神聖王国で学んだ程度の弱い魔法や術ならまだしも、殲滅魔法を独学で覚えました! とかなった場合、運よく発動できても、自分を巻き込む自殺魔法になるって感じだしね。

 覚えるための環境はすっごい大事なのです!





「魔導書って言えばいいのかしら? あるにはあったけど、持ち出しは禁止されてるみたいだしね」

「受付の人に、止められた、よ?」

「あー、それはね」


 二人に先生や師匠が居ないで覚えようとした時のリスクを丁寧に説明する。最悪な事があったら嫌だからね。


「――とゆーわけで、こういった図書館の場合、魔導書を持ち出せるのはそれなりの術者に限定してるの」

「そう、なんだ」

「てことは、ユキなら持ち出せるわけ?」

「もっち!」


 胸を張ってドヤっちゃう。

 そもそもわたしの場合、レグラスの王城にある王家専用の書庫から、禁術とか秘術、封印されしナントカみたいなものが書かれたもっとヤバい書物でも、お願いすれば全部持ち出しできちゃう。

 なので、ここにある書物くらいは許可不要で持ち出せちゃうどころか、同じ物を持ってたりするからねぇ。


「てか、わたしが教えようか?」

「「良いのっ!?」」

「わっぷ、二人ともすごい食いついてきたね」


 なんとなく手を貸すようなことを言ったら、ずいっと迫ってきたよ。少し気圧されたわ。

 もともと学園とかに丸投げでなく、わたし自ら教えるのもアリかな? って考えてたから、食いつかれて問題は無いけど。


 無いんだけど、この反応はちょっと予想外。

 これってやっぱり、わたしの立場とかを知れば知るほど、甘え続けて良いのだろうか、とか、そんなことを気にしだしたのかもね。

 わたしの様なすっごい上の立場の者から直接教えを乞うとか、分不相応なのでは? って考えてそう。


「わたしが教えるのは良いんだけど、割ときつくて厳しい訓練主体になるのと、失敗すると酷い目にあうけど、それでもいい?」

「「酷い目?」」


 キョトンとしている二人に、具体的な例をあげて教えていく。

 まぁ例がミスト君ってのがなんとも言えないけど……。


 そう言えば、ミスト君たちも今回の修学旅行に参加してるんだっけ。カイルとルーヴィちゃんは上級生なので不参加だけど。

 んー、ひょっこり街で遭遇するかもだし、少しフォロー気味に話しておいた方が良いか。

 特にミツキは、アリサと同じかそれ以上に、ミスト君に対しきつくあたりそうだからねぇ。





 一通り説明が終わったところで、二人とも色々と納得してくれたみたい。

 となれば


「それでも構わないなら教えるけど、どうする?」

「私は、ユキくんがいい」

「ウチもそうね、知らない人に教わるのは少し抵抗あるし、なによりユキってすごく強くて知識もあるんでしょ? なら好意に甘えて教わる方が良いわよね」

「きつい修行になるかもなのに、割とあっさり決めてるねぇ」


 そこまでして強くなりたいのか、それとも機会を逃したくないだけか、はたまた別の理由があるのか、正確な所は分からない。

 だけど冗談やその場の勢いで決めたわけじゃなく、しっかりとした意思を持って決めたみたいね。ならば問題ないいです!

 まぁミツキの場合、単純にわたしから離れたくないって理由な気がするけど。


「あー、それで悪いんだけど、コータとトースケも誘ってもいいかしら。あいつらも気にしてるからさ」

「わたしは構わないけど、男どもの修行はかなーりきつくなるよ?」

「そこは大丈夫、あの二人も根性だけはあるから」

「神聖王国の時も、がんばっていた、よ?」

「なら大丈夫かな?」


 きついとは言っても、ショージ君が泣かずにちゃんとできるくらいだしねぇ。

 とゆーか本人たちの希望もあるけれど、アリサたちとの模擬戦主体の修行の方がきついからなぁ。上には上があるってことを知ったら、弱音なんて吐かなくなるよね。


 しっかしこれはアレかなぁ、マナミたちは『幼馴染は一緒に』的な想いが強いのかもしれないねぇ。

 日本に帰れないから、余計そういう気持ちが強いのもありそうだけど。


 まぁいいいや、しばらくはショージ君とアンジーさんと同じ修行をさせて、その先は様子を見ながらしよう。

 ついでに、神聖王国の集団召喚によって召喚された勇者がどこまで強くなるのか、そのデータ収集もさせてもらいましょー。


「ユキくん、何か企んでる?」

「企んでないよー。ただ、どういう成長するのか、そのサンプルとしてですね」

「あんた、それはちょっとマッドな研究者っぽいわよ?」


 おっと、呆れ気味に指摘されちゃったわ。発言には気をつけないとダメだねぇ。わたし、怪しい研究者じゃないので!





 それから何を伸ばしいたいか聞き、方針をある程度決める。

 とはいえ今日からガッツリやる気は無いので今日は方針だけ、実技は明日からにけってーい。さすがに救出作戦で疲れてるだろうしねぇ、わたしは平気だけど!


 まぁ方針もさっくりと決まったので、図書館を離れ、中庭でお茶にすることに。

 室内でもよかったけどレグラスが管理する大使館だけあって、ここの中庭も木々や花々といった自然が豊富だからね。何もせず、ぼーっと眺めてるだけでも癒される憩いの空間なのだ。

 しかも芝生がキレイに生えてるので、そのままゴロンしちゃいたいくらい。まぁここは大使館、うちじゃないので、さすがにゴロンできないけど。


 そんな中庭にて、少し木陰になる場所でレジャーシートを敷き、お茶とお菓子をポーチから取り出す。

 ではでは、中庭で本日2回目のお茶会開始だよー。

何となくミストが負の象徴みたいになってますが、気のせいです

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