194話 帰る前の衝撃的事実?
※前話ですが、ニュアンスが少し変わる修正をしてます
95行目の装備を作った奴うんぬんの考察で
あのヤバイ存在が作ったと考えるのが自然だわ
→あのヤバイ存在が直接指示をして作ったと考えるのが自然だわ
に変更しました(当人が作っちゃダメでしょう)
捕獲ついでに、この部屋にある悪魔関係の品は全部回収しておきましょう。
追いはぎみたいで嫌だけど、悪用されるのはもっと嫌だからね。
ヒトガタを使ってゴミから装備をはいだり、部屋に置いてある装備を回収したり、隠されている物が無いか探していく。
むぅ、結構ありそうでちょっと困る。地味に時間かかりそうだわ。
部屋の中央に配置されている、ちょっと趣味の悪い椅子に座って5分ほど、ようやく完了したわ。結構かかっちゃった。
それにしても、ふ~む、こうなりますか。
ヒトガタが集めた装備を数えると、10人分くらいかな? しかも剣に盾、槍と弓、全身鎧から胸当て程度の簡易な物まで多種多様だわ。
これは用意周到って言うより、誰に装備させるか決めていないので、まんべんなく用意することにしたって感じかな。
装備をよく見ると、どうやら同じ人が作った品のようね。既製品に悪魔の力を付与したのではなく、一から作ったってことか。
質は既製品よりもちょっと上程度だけど、多種多様に作れるとは、そこそこ腕のある職人ですね。
もったいないなぁ、悪魔の力に魅せられてなければ、武具職人としてそこそこ売れてたよ。
まぁいいや、封印が施せる箱に全部詰め込んで、細かい調査は専門の人に丸投げしよう。
それじゃヒトガタを使って……むぅ、思ってた以上に多い。これ、詰め込むのも時間かかりそうだわ。
よっし、回収完了! ちょっと時間かかったけど、悪魔の力に触れないように注意してだったから、しょうがないか。
それじゃみんなと合流しましょー。
捕虜はヒトガタを使って引きずることにする。だって触りたくないもん!
そのまま引きずりながら、部屋を出て階段を下りていく。
うん、コータたちも無事救出できたみたいね。階段を下りる途中、ホールに集まってるのが見えたわ。
だけどまぁ、やっぱそうなるよね。
「まーた返り血浴びたみたいね」
「回避はまだまだ無理だわ。まぁオレの場合、突っ込み過ぎてるだけな気がするが」
さっきほどじゃないけど、二人ともそこそこ返り血を浴びてるんだよね。
試行錯誤を繰り返してるからしょうがないとは思うけど、これは人質救出なんだから、もうちょっと考えてもらいたかったかな?
にしても、捕まっていたのはネネのお姉さんであるナナだけじゃなかったのか。
男3女4で、種族もバラバラ。進化の度合いも魔力量の差も激しいから、健康体であれば誰でもよかったって感じかしら。
バラバラだけど、共通しているところもある。
それは、全員戦えないってこと。欠損は無いけれど手足が不自由になっている人や、魔石を砕かれ修復中なのか、魔力がすごい不安定な人も居る。
ただまぁわたしが見るかぎり、全員治療できる症状なんだよね。だけど、その治療費が払えるかは別問題なわけで。
全員の格好を見た感じ、とてもお金があるようには見えない。ちょっとボロボロな装備や、少し痛んだ服を着ているからねぇ。
まぁいいや、ここでウダウダ考えてもしょうがないし、さっさと外に出ましょー。
だけどその前に
「ところでコータ、それはどういうこと?」
どういうわけかネネのお姉さんであるナナを、コータがお姫様抱っこしたままなんだよね。しかもナナの方は少し紅潮してるし。
「あ、あぁ、これは……」
「ユキも覚えているだろ、コータのヒーロー癖。その結果がこれだ」
「なるほど納得」
トースケが少し呆れた感じにそう言ってきたけど、たぶんアレだね、ゴミに襲われかけたところをコータが颯爽と助けたってやつだね。
それにおそらく『もう大丈夫だ、君のことはボクが守る!』という、ちょっとそれすごく恥ずかしくないですか? って台詞まで言っちゃったんだろうなぁ。
で、おそらくナナも助けてくれたことで好意が、ってやつですね。すっごいテンプレだなぁ。
「まぁ自己紹介とかはミツキたちと合流してからにしましょう」
「そうだな、オレもさっさと外に出たいぜ」
「コータはもう少しこの方が良いかしら?」
「なっ!? い、いや、ボクは、その、これは」
あらま、すごい慌てっぷり。
もしかしてコータ、お付き合いしたことないの? モテそうな感じなのに?
あー、でもそっか
「ミツキを狙うのに必死だったから、経験がないってことか」
「あー、マナミから変な説明されてそうだが、ボクはその気は皆無だぞ?」
「そうなの?」
コータが少し呆れた顔してるけど、違ったのかしら?
だってマナミ曰く、ミツキに話しかけることが増え、デートに誘うようなこともあったって聞いたんだけどな。
「ボクは単純に、ミツキが心配だっただけだ。ユキ、まぁあの時はカズヤか、居なくなってからミツキが見てられない感じでな」
「あぁ、それはオレも思った。それこそ後を追おうとしたくらいだぞ?」
「後を追うって、マジかぁ……」
わたしが思ってた以上に、ミツキはわたしへの依存度が高いてことなのねぇ。
う~ん、ミツキには冗談でもわかれる系の話は振らない方が良さそうだわ。
「そもそもだ、カズヤが居なくなったのでミツキを狙うとか、そんな最低なこと、ボクがするわけないだろ?」
「タシカニ」
「だけど心配なのは事実だから、少し会う機会を増やしただけなんだ」
なるほど、それをマナミはミツキへのアピールだと勘違いしたわけね。
いや、マナミのことだ、それは分かってたはず。だけど意図的に曲解し、ミツキとコータをくっつけようとした。
それはおそらく、ミツキが〝ぼく〟が居なくなったことから立ち直るどころか、危うい状態が続いたとかなんだろうね。
やれやれ、ようやく謎が解けたわ。
コータがミツキに対し恋愛的な感情があったら、わたしに対して嫉妬なりするはずだけど、おかしなことにそれが皆無だったからね。
それにコータ自身が言うように、コイツはそういう抜け駆け的なことをするような奴じゃないから、余計に謎だったし。
「そもそもな、今もそうだが当時の二人の間に入ろうとしたり、奪おうとしたりする奴は、それこそ勇者か魔王だぞ?」
「なんですと!?」
でもコータだけでなく、トースケも少し呆れ気味だけど頷いてる。
「そんなにだった?」
「そんなにだ。クラスメイト全員が夫婦呼びしてたのはそういうわけだ」
ナンテコッタ、当時のわたし、そこまでミツキといちゃついてる感じだったのか。
これ、割と衝撃的なんですけど。わたしとしては普通に仲良くしてるだけだったけど、それ以上に見られてたとは……。
ヤバイ、前世の事だけど、ひっじょーに恥ずかしいです。
今世のわたしのことなら気にしない。だって自覚できるくらい、イチャイチャしてるもん!
だけど前世のオタク少年でもそうだったとは……。
「うん、これ以上は後にしよう。ミツキたちも心配してるだろうし」
「話を変えようとしてるの、バレバレだぞ?」
「うっさいわ!」
ったくトースケがニヤニヤしながら的確な指摘をしてくるあたり、ほんとーにこれ以上はまずいわ。
男同士、まぁ今のわたしは女の子だけど、ふかーい話をしようかとかマジで言ってきそうだし。
当時のわたしに対する周囲の、特に男性陣の見解など聞きたくないです!
「それじゃ小さい旗をだしてっと」
「なぁ、どうして旗を持つんだ?」
「ん? だって見ず知らずの人を先導するならこうでしょ!」
小さい旗を持って先頭を歩く、これは定番です!
「ツアーの案内感覚かよ……」
「そうともいう!」
だって手ぶらで先頭を歩くとか、つまんないもんね。
おっと、みんな少し呆れた表情になりましたよ。しかもコータとトースケは『何やってるんだよ』ってぼやいてますね。
まぁ、うん、気持ちは分かります。
でもね、なぜかこういうことしたくなっちゃうの。それが今のわたしなのです!
バレバレですが、コータとナナでフラグが立ってます




