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186話 機械ってやっぱりビミョー

v 昨日はお姉様たちとの観光を満喫し、今日はミツキたち前世の幼馴染パーティとの観光です。

 幼馴染以外の面子は観光したり図書館行ったり、セイリアスの兵士に鍛えてもらうなど、各々が気ままに過ごしている。

 なんだかんだで神聖王国から解放され、ようやく自由になれたからね。今までの分、好きなように生きてみたい、そんな気持ちもありそうだわ。


 しっかしちょっと残念だなぁ。

 できればお母様たちとも一緒に観光したかったけど、お母様とお姉様はセイリアスの王城に用があるのでそっち。

 アリサもセイリアス側にわたしとの橋渡しに関する通達と、シズクさんから仕事を学ぶため王城側になっちゃった。

 さらにエレンも今日は弟君に付き合うそうで、レイジとアリサも当然そっち。なかなか全員一緒ってならないものだねぇ。


 まぁ気をとりなおして、今日は一般街の方に向かう。

 セイリアスは階級ごとに大雑把な区分けがある。昨日は貴族街と言われるちょっと高級志向の街だったからね。今日は一般向けの方にするのだ。

 まぁ貴族街に一般の人が入っちゃダメとかはなく、高級な物が多くて貴族の人が主に買うから貴族街って名前が付いただけらしいけど。


「それにしてもユキ、その恰好で行くの?」

「そうだよ~。かわいいでしょ!」


 マナミが少し心配そうな顔をしながら言ってきますね。ミツキもかな?

 でも心配するってことは、何か変なのかな?

 ちょっとした学生気分を味わいたくなったので、ブレザーにスカートという、いわゆる学生のテンプレ衣装にしたんだけど。


「可愛いには可愛いけど、ちょっと短すぎない?」

「見えちゃう、よ?」

「そうかな? 巫女服もこのくらいだから、気にするほどでもないんだけど」


 そう言ってクルッとその場で回って見せる。うん、マジ? って感じの驚いた顔してますね。

 それもそのはず、この程度の長さであれば、動きによってどの程度スカートがめくれ上がり、空気抵抗がどのように働くなど、すべて頭に入っているのだ。

 ゆえに、絶対に中が見えないように動くなんてお茶の子さいさいです!


「あんたって、変なところまで器用なのね」

「そんな、照れちゃいます」

「いや褒めて無いから、呆れてるだけだから」


 あら手厳しい。

 どんなことでも才能を活かす、それがわたしってだけなんだけどな~。





 そんなやり取りをしつつ、観光を開始する。

 一般街って言われるだけあって、貴族街よりもお店の物は普通というか、庶民的な物ばかりね。


 ただ、こっちでも機械製品が多く、魔道具はあまり見かけない感じだわ。

 これは国として機械化を進めているからだろうねぇ。


 機械製品は地球、というか日本に居たみんなには馴染みやすいようで、少し説明を聞くだけで、店頭にある試供品を器用に操作していた。

 そういえば他のクラスメイトもだけど、魔道具の操作がちょっとおぼつかなかったよね。未知の道具なので、頭がうまく働かないって感じかな?


「便利だな、これ。スマホ代わりになりそうだ」

「だな。しかも日本の最新機種に近い性能なのに、価格が日本円で2万円弱なのもいいな」


 コータとトースケが少しはしゃぎながら操作しているのは、セイリアスで作られた機械式の通信機。空間ディスプレイにはなっているけど、ほぼ地球のスマホと同じ機能を搭載している。

 筐体自体はガラケーみたいな折り畳み式なので、地球の人なら抵抗なく使えるみたいね。


 ただなぁ


「それ、買う気なの?」

「性能の割に安いし、これなら良いかなって思ってるけど、まずいか?」

「ん~、みんなに渡したお金は自由に使っていいけど、その機械のためかぁ」


 軍資金としてクラスメイト全員に、一人あたり金貨10枚ほど渡してある。

 まぁ白金貨を渡そうとしたら、日本円換算した額がヤバすぎるってんで、みんなが一斉に拒否してきたのには驚いたけど。

 とはいえ金貨10枚もあれば2.3日位は余裕で生活できるから、様子見としてはこの方が良かったのかもね。


 なので、渡したお金をどう使おうが各自の勝手なんだけど、でもなぁ。


「コータの持っている機械だけど、うちの国だと使えないの」

「そうなのか? でも説明書に全世界対応って書いてあるんだが」

「えっと、対応はしているんだけど、うちの国の通信機は主に魔道具なの。なので、魔道具側で受信できるようにする変換機が必要になるの」


 魔道具を使った通信は、魔力を使って対象と接続する形になる。

 対する機械式の通信機は、地球同様に電気を使って電波を飛ばし、それを受信する形になっている。


 この二つには互換性が全くないので、互いが通信できるようにするには変換機が必要。

 そしてその変換器は高いくせに、すぐに壊れる物ばかり。うちの国が変換器を作っていないから、技術の進歩が遅いだけではあるけど。


「簡単に言うと、魔力でできた糸電話方式が魔道具、電波を飛ばす形式が機械製品ってとこだね」

「それだと、機械の方が優れてねーか?」

「それじゃトースケ、電波を使う通信機の場合、通信端末以外にも必要な物があるんだけど、それってわかる?」

「さすがにオレでも分かるぜ。電波塔とか基地局って、あーそういうことか」


 うん、トースケだけでなく、みんなも分かったようだね。

 電波は便利なようで、飛ばすためのアンテナと、それを中継してくれる装置がないと通信できない。

 だけど魔道具の場合、必要なのは魔力だけなので、地下だろうが海中だろうがどこからでも繋がる。もちろん国とかも関係なく繋がる。


「しかもね、レグラスで買える物なら、ここの端末とは比較にならないほど高性能で高品質なんだよ」

「なるほどなぁ。でもよー、それって高いんだろ?」

「安いのもあるよ。それに冒険者登録すれば廉価版をレンタルすることもできるの。レンタル料金もすっごく安いから、お試し感覚で使うこともできるよ」

「試せて出費も抑えられるのか。ヤバいな、そう聞くとコイツを買う意味ってマジでないな」


 ほんとそうなんだよね。

 そもそも魔道具による通信の方が一般的だから、機械式を選ぶ利点ってほんとないんだよねぇ。

 まぁセイリアス内には普及してるから、セイリアスで生活するって考えたらアリだけど、みんなは違うからね。





 その後も機械製品をいくつか見てたけど、コレだっていう製品は無かった。

 魔道具に慣れちゃうとダメだね。どうしても見劣りする感じに見えちゃうから、購入意欲ガクッと下がっちゃうわ。

 ミツキたちも、気にはなるけど購入するまで至ら無いって感じだし、そろそろ別のお店に行きましょう。


 とゆーわけで散策再開。

 せっかくなら屋台で何か甘いものを買って、食べながらいくのもいいかな~。


 って、あれ? みんなが急に止まったと思ったら、路地裏っぽいところを見ている。どうしたんだろ?


「ねーねー、どうしたの?」

「あ、ユキくん、あれって……」


 ミツキが指さした先を見たけど、なるほどね。

 そこには貧困にあえぐ人が何人かおり、他者からの施しを受けようとしている。

 こういうのも日本の創作物の定番かな? だとしたら、ちょっといろいろと説明した方が良さそうだなぁ。

 対応を間違うと、ほんとヤバいことになるからねぇ。

機械は魔道具の劣化みたいな世界

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