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183話 地球もヤバい?

 店員さんを待つ間、他の商品も見てたけど


「地球の物ばかりだなぁ」

「これが地球の物ですか。なんて言いますか」

「見た目が魔道具とはかけ離れてますわ」

「それに使いにくそうですし、機能が劣ってるかんじですねー」


 確かに、この世界にある魔道具より優れた物はない感じだね。

 年代にもよるんだろうけど、それ以前に


「今の魔道具ってママ様たちが長い時間かけて作り上げたものだからね。歴史が違いすぎるよ」

「ユキちゃんの言う通りだね~。普段使っている簡単な魔道具でも、数万年の技術が注ぎ込まれている物だからねぇ」


 お姉様のその一言で、みんなすっごい納得した。

 ここにある地球の製品は、長くても2000年くらいしか技術の積み重ねがない。

 対する魔道具は、明かりをとるよう簡易な物ですら数万年の技術が積み重なってる。歴史が違いすぎます!





 そんなことを話してたら、店員さんがやってきた。

 見た目は普通のオッチャン、異世界人じゃないみたいね。セイリアス生まれの人かな?


「お待たせしました。当店の商品について、何かご質問があるとお伺いしましたが」

「えっと、ここの商品って異世界から輸入してるんですか?」

「その仰りよう、こちらの商品が地球の物であることをご存じという事ですね」


 ふむ、別に隠す必要も無いのか、あっさりと答えてくれそうね。

 ヤバいところから仕入れてるとかじゃないのかな?


「こちらの商品ですが、地球から輸入しているのではなく、地球産の再現機で作成した物となります」

「レプリカってことかな? それにしては日本で売っていた物と遜色なくて驚いたけど」

「おや、お客様は地球からの転生者様でしたか。転生者様にそう言って頂けますと、販売する我々も自信が持てます」


 レイジが驚いたことを喜んでる感じだね。転生者のお墨付きって感じになるのかな?

 それにしても〝地球産の再現機〟かぁ、気になっちゃう!


「その再現機、見せてもらうことはできるかしら? 私の妹がすっごく興味があるみたいだからね」

「はい、すっごく気になってます!」


 手をビシッと上げてそう答えちゃう。ほんと治らないなぁ、この癖。

 まぁ破壊力もそこそこだったようで、店員さんに他のお客さんとか、ちょっと悶え気味な人が多いね。さすがわたし、魔性の女!





 気を取り直すためか、店員さんが〝コホン〟と咳をした後、少し真面目な顔になった。


「見学とのことですが、申し訳ありませんが、こちらはセイリアスの中でも機密扱いでして」

「レグラス王家からの依頼でもダメかしら?」

「申し訳ありませんが……」


 店員さんが申し訳なさそうに言うけど、そこまで機密なのかぁ。

 だってレグラスからの依頼もダメって相当だよ? もしかしてヤバい技術を使ってるのかな。


「見学は無理ですが、仕組みでしたらご説明できます」

「だそうだけど、ユキちゃん、それでいい?」

「はい!」


 実物を見たかったけど、そこは諦めよう。

 本当は観察しまくって、その再現する機械を複製したかったんだけど、しょうがないので諦めよう。


「お嬢様、また国際問題になりそうなこと、考えてませんでしたか?」

「そ、そんなことないよー」

「本当ですか?」

「ちょ、ちょっぴり考えてました、はい」


 ほんとアリサの勘が鋭いから、悪いことできなくて困るわ。いや、困らないのか?

 まぁいいや、いつかばれずにこっそりやってみせるわ! ……あ、いや、考えただけだから、やらないから。だからほっぺつねらないでー!





「むぅ、アリサが完全に保護者枠になってる」

「皆様からお嬢様の教育も任されてますので!」

「もちろん私もお願いしたんだよ~」

「お姉様まで賛同者だったとは……不覚」


 そりゃね、わたしって歳の割に子供っぽいからね、いろいろ問題起こしそうになるからね。

 となると常に一緒なアリサが目を光らせて、馬鹿なことをしないように叱るというか、教育するというか、そういうのは理にかなってるわ。

 ただ、うん、自分がお子様なのを再認識。大人になれなくてほんと困ります。


「あ、あの~」

「ごめんなさい。それじゃ説明、お願いできるかしら」


 うん、店員さんがすごく困ってたね。

 そりゃ目の前でイチャコラされたら、どうしたらいいのか戸惑うよね。ちょっと申し訳なかったです。


 だけどなぁ、お姉様、この状態も店員さんが困る原因のひとつだと思いますよ?

 真面目な対応とは違い、後ろからわたしをぎゅーっとしてるんだもん。わたしはうれしいけど、店員さんへの申し訳ない気持ちがさらにマシマシ。

 ほんと、わたしが絡むと時と場所とかお構いなしに、いつもの生活の延長状態になっちゃうねぇ。





「それで再現する方法ですが、地球で作られた再現専用の装置を使用しております」

「地球で作った?」

「はい。ある転生者の方が召喚時に、地球の物を再現する装置を所持していまして」

「転生ボーナスで手に入れた装置ってわけかぁ。とゆーことは、その転生者さんが居なくなったら消えちゃうんですか?」

「いえ、装置自体は地球歴の4000年代でしたか、そこで作られた物でして、その方は道具として転生時に所持していただけなのです」


 ほほー。つまり武器や防具でなく再現する装置、おそらく機械かな? それを転生ボーナスとして受け取ったってわけか。

 となれば、装置自体を複製しておけば壊れても大丈夫だし、更なる増産もできるってことね。


 それにしても4000年代ねぇ。わたしの前世が2000年代だったから、相当未来だね。

 そしてそんな未来には、過去の物を完全再現できる機械があるってことか。


「細かい仕組みは私も存じておりませんが、材料を装置に入れ設計図を選択するだけで、製品が存在した当時の技術で再生産できると聞いております」

「なーるほど、当時の物を1か作り直してるってことかぁ」


 素材を分子分解して再構築とかではなく、金型とか印刷機とか、そういう〝作る側〟を再現して、当時と同じように作ってるってことなんだろうね。

 それなら当時と全く同じ物ができるのも納得だよ。

 未来の地球やこの世界の技術で再現しちゃったら、技術レベルが低い時代特有のムラとか歪みまで再現することは無理だからね。

 まぁそこまでして当時を再現したいとか、未来の地球人の考えってちょっと謎だわ。


 でもそっか、当時の設計図と素材の一覧表を手に入れちゃえば、わたしも同じようなことが……


「お嬢様?」

「や、やらないよ!」

「本当ですね? こっそりもダメですよ?」

「うっ!? ……はい」


 むぅ、ほんとバレバレ。

 こっそりやればバレないはず! ってちょっとだけ考えたけど、あっさり阻止されちゃったよ。さすが専属メイドですね。


 それにしても、地球の物を完全再現かぁ。

 う~ん、なんとなく危険な感じがするんだよなぁ。


 確かにこれらは娯楽的な物ばかりだけど、たぶん兵器なんかも作れると思う。しかも、4000年代の地球にあった兵器も生産できる可能性がある。

 この世界の技術より高いってことは無いと思うけど、自然を破壊するようなヤバイ兵器に関しては地球の方が上な気がするんだよなぁ。


 悪いことを考える人が居なければいいけど、所持してるのがセイリアスだしなぁ。

 バカな転生者が暴走して兵器大量生産するとか、傭兵敵国に装置本体を貸し出すとか、奪われちゃう可能性もあるんだよねぇ。

 メンドクサイ事件、このままずっと起きないといいなぁ。

当時の物を輸入したのではなく、完全なレプリカを販売しているだけという真実

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