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180話 いろいろ残ってるけど後回し!

 うにゅぅ、体がすごく重いし、まだ意識が朦朧としている。

 これ、あの仮面の力が相当ヤバかったってことかぁ。ほんと参っちゃうわ。


 それにしても、う~ん、このふわふわで素晴らしい感触は……まさか!?

 もそもそと瞼を開けると、やっぱり!


「お母様だ!」

「はい、ユキちゃんのお母さんですよ~」


 そう言ってなでなでしてくれる、はふぅ、最高ですね!

 状況を確認すると、うん、お母様に膝枕してもらってたわ。まずいなぁ、素晴らしすぎて甘えたくなっちゃう!


 と、それはさておき


「えっと、わたしってどのくらい意識失ってたんですか?」

「2時間くらいかしら? ちなみにユキちゃんが今いるのは、セイリアスにあるレグラスの大使館よ」

「大使館? でもわたし、神聖王国に居たはずじゃ?」

「実はアリサちゃんが連絡してきたの。『ユキちゃんが意識を失っている』って慌てていたから、無理を通して転移門を使い、ここに運んできたのよ」


 無理を通しって、まさか脅してないよね? お母様だけでなく、うちの人ってちょくちょく力で解決するからねぇ。

 まぁ緊急時だけっぽいから問題にはなってないようだけど。


「ある程度はアリサちゃんたちから聞いたけど、詳細は分からないの。だからユキちゃん、説明してくれるかしら?」

「は~い。えっと、そもそもなんですが――」


 なぜか過去に飛ばされたこと、ミツキたちは前世との繋がりがあること、そのミツキがちょっと変化し、さらに術装を渡したことを説明していく。

 そして今回の敵についても説明していくけど、うん、お母様がなでなでしてくれるから、ちょっとふにゃけちゃいます。これじゃ真面目モードとか無理ですね!





「――という事があったんです」

「なるほど、悪魔化、ね」

「やっぱり悪魔って相当ヤバいんですか?」


 お母様が何となくピリッとしたから、つい気になっちゃうのだ。

 いつもの『厄介だけどそれだけの敵』って感じじゃないしね。


「そうねぇ、私たちの天敵、かしら」

「それって、精霊に対する特効能力のせいですか?」

「そうよ~。さすがユキちゃん、ちゃんとわかっていて偉いわぁ」

「えへへ~」


 やっぱね、お母様に褒めてもらえるのはうれしいのです。むしろ、褒めてもらうために頑張ってるようなものだし。


「私やユキちゃんのように、精霊力が高い存在に対しては本当に厄介な存在なの。確かに魔力である程度は緩和できるのだけれど、完全無効化は無理なの」

「それって、わたしとお母様が半精霊の身になってるのも関係してるんですか?」

「その通りよ。半精霊と言っても、どちらかといえば精霊に近しい存在なの。そのおかげで、巨大な精霊力でも自由自在に操ることができるのよ」


 確かに、わたしやお母様って普通の人とは桁が違う精霊力を持ってるし、それを精霊と同じように自由自在に操ってる。天魔に進化した普通のエルフ族以上の精霊力も持ってるね。

 まぁママ様やお姉様、フローラさんやフルーレ先生みたいに、普通じゃ無いエルフ族なら精霊力もすごいんだけど。


 ただ、悪魔に関してはその精霊力が仇となるのがねぇ。

 悪魔以外には万能なだけに、ほんと厄介です。





「とりあえず悪魔に関しては、ユキちゃんは魔石の修復を待ち、天衣を再顕現できるようにするしかないわね」

「むぅ、結構大変そう」

「そうねぇ。だけど、ユキちゃんにはエレンちゃんとレイジ君がいるでしょ?」

「あ、そっか!」


 エレンも高い精霊力を持っているけど、竜族だからか魔力の方が圧倒的に高い。まぁ高いどころか、わたし以上の魔力を持っているけど。

 レイジなんて魔力じゃない、勇者力という謎の力まで持っている。もしかしたら悪魔に対する特効なんかも持っているんじゃないかな?


「だから、困ったらみんなを頼るのよ? 自分一人で全部やろうとしない事」

「は~い」


 確かにそうなんだよね。わたしが厳しければ、厳しくない人に任せればいいだけなのだ。

 これが普通の力比べなら任せたりしないけど、悪魔は違うからね。


 そりゃ自分の力で全部解決したい気持ちはあるけれど、無理をし過ぎてお母様たちに迷惑をかけるのはダメ。

 なので無理をせず、できる範囲内だけでがんばるのだ。





 その後、細かい内容をお母様に話しつつ甘えていたけど、むぅ、体がだるだる。

 起きたときから少し怠いな~って感じだったけど、それが全然癒えないわ。ちょっと困ります。


「あら? ユキちゃん、体のことが心配なのかしら?」

「そうなんです! なんか体がだるーって感じなのです」

「それは悪魔の力を全身に浴びた影響なの。精霊に対する特効は力だけでなく、毒を持っているからそうなっちゃうの」


 そういえばそうだったわ。しかも最後の方、思いっきり浴びてたからなぁ。

 でもまぁ体が怠いだけで、他は何……も?


「な、なにこれ?」


 ふと自分の手にかかった髪を見たら、いつもの金髪じゃなく、赤錆みたいな色をしている。

 ちょっと慌てちゃったのか、お母様がなでなでして落ち着かせてくれるけど、でもでも!


「お、お母様、こ、これっ!」

「大丈夫だから、ね? そうね、このままじゃ分からないだろうし、見たほうがいいかしら」


 そう言ってお母様がどこからともなく手鏡を出してくれたけど、そこに映ったのは


「マジ、ですか……」


 数本じゃない、全部の髪どころか尻尾まで赤錆みたいな色になってる。

 しかもいつものように、髪がキラキラ光る面白現象すらない。


 ……ヤバイ、今までで一番ショックだわ。

 わたし、お母様とお揃いの金髪がすっごく自慢で、ほんとーに大好きなのに、今はその欠片すらないんだもん。ちょっと本気で泣きたいです……。


 思いっきりへこんだからか、お母様がぎゅーっとしてくれる。

 そのおかげかな、泣かないで何とか耐えられそう。





 少し落ち着いたところで、お母様が説明してくれる。


「簡単に言ってしまうと、これは悪魔の毒でユキちゃんの体が汚染された結果なの」

「だからこんな色、なんですか?」

「それだけじゃないの。ねぇユキちゃん、どうしてこの部屋には、ユキちゃんとお母さんだけなのか、分かるかしら?」

「んー……隔離のため?」

「その通りよ。実はね、今のユキちゃんは悪魔の力をまとっているの。私は平気だけど、アリサちゃんたちだと逆に汚染されちゃうくらい、ちょっと強い力なの」


 お母様がすっごく真剣な目をして言ってくる。

 むぅ、他の人まで汚染するとか、冗談抜きにやばい力だわ。


 あれ? とゆーことは、アリサたちは大丈夫なのかな?

 たぶん、わたしが倒れたときに色々と頑張ってそうだし……。


「ふふっ、そんなに心配しなくても大丈夫よ。アリサちゃんたちの汚染は比較的軽かったから、明日には元気になるわよ」

「そうなんですね! ふぃ~、ちょっと安心」


 やっぱね、自分も大事だけど、それ以上にアリサたちが大事なのです。

 すぐに元気になるようで、ほんとよかったわ。





「でもね、残念だけどユキちゃんは、アリサちゃんたちとは比べ物にならないくらい汚染されているの。だから、完治するまでに少し時間がかかっちゃうの」

「あれ? 完治ってことは、この髪の色も治るんですか?」

「治るわよ~。そうね、ほら、この髪をよーく見たらわかるわよ」


 そう言ってお母様が、わたしの髪を一本手に取って見せてくれる。

 ん~……ん?


「ちょっと金色っぽい?」

「ね、元に戻ってきているでしょ? 今は悪魔の毒をユキちゃん自身の力でどんどん浄化しているの。この赤錆色の状態は、毒をだいぶ除去できた証拠なのよ」

「こんな色なのに?」

「こんな色なのによ。体から追い出した悪い物が集まったのが、この赤錆色の物って感じかしら」


 老廃物みたいなものなのね。

 そう考えると金髪に戻ってきてる髪も、なんとなく赤錆部分がはげ落ちたようにも見えるわ。


 だけどよかった、完治するんだ。

 ほんと、赤錆色のままだったら間違いなく不幸どん底状態になってたよ。


「この様子だと3日くらいかしら? それまでは残念だけど、この部屋からは出ちゃだめよ?」

「は~い。あ、でもでも、その間ってお母様は一緒に居てくれるんですか?」

「もちろん一緒に居るわよ~」

「やったー!」


 そう言ってお母様に抱きつき! うん、お母様もぎゅーっとしてくれて、ほんと幸せですね!


 悪魔対策とか糞女問題とか、いろいろと面倒なこと残ってるけど、今は全部忘れちゃう。

 だって3日くらいはお母様を独占できるってことなのです。これはもう、めいっぱいお母様に甘えるしかないのです!


 ほんとわたし、お母様のこと大好きすぎるなぁ、困らないけど!

これで第5章は終わり、次回から第6章となります。

セイリアス観光とかは6章に持ち越しです(観光だけで終わらせるかは未定)

6章も好き勝手に書いていきますが、引き続きお読みいただけたら幸いです。

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