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179話 新しい敵の登場なの?

 殲滅用の術式を放ったからか、あっけないほど簡単に終わったね。

 それじゃ解除してっと……あらまぁ、丸焦げ状態だわ。そして髪の毛はアフロみたいになっているとか、ちょっとギャグっぽいです。


「殺しちゃった、の?」

「んーん、ちゃんと手加減したよー」


 焦げてるけどピクピクしてる。ギリギリの瀕死状態にするとか、さすがわたし、手加減も完璧です。

 もっとも、生きているだけって感じの方が強いけど。


 でもしょうがないよね。わたしのミツキを攫うだけでなく汚い手で触れてたんだもん、当然の報いです。

 本当は塵一つ残さず消滅させたかったけど、一応主犯の可能性があるのと、そこまでしちゃうとミツキが悪い思考になりそうだからね。自分のせいで殺すことになったとか、そういう感情は持たせたくないのです。





 さてさて、用は済んだしアリサと合流しましょうか。

 糞女を倒してるとは思うけど心配だからね。アリサがピンチで傷つくような状況は絶対に嫌なのです。


「それじゃ警戒しつつ外に」

『やれやれ、こうも邪魔されるとはな』

「ふぁい?」


 変な声が急に聞こえてきたんですけど!?

 周りを確認するけど人の気配はないし、通信機のような物も見当たらない。


「ユキくん……」

「だいじょーぶ。ミツキのことはちゃーんと守るから!」


 突然のことで不安になったのか、ミツキがさっきよりも強めにぎゅーとしてきたので、安心させるために頭をなでなでする。

 あたりまえだけど、ミツキも気配を感じとれないようね。


 危険な可能性もあるので、とりあえず防御用の隔離結界をサクッと展開する。

 それと同時に探知の術式も発動する。これで場所を特定……できない!? 探知できないとか、この声の主はホントどこに居るんだろ。





『ふむ、結界か。残念だが、その娘は諦めるしかないな』

「さっきからいやったらしい声で、いいかげん姿を見せなさい!」

『威勢はいいが、経験が足りんな。まぁよかろう、貴様にも分かるようにしてやる』


 そんな声が聞こえと思ったら、なんかイヤーな感じのする魔力が部屋に満ち始めた。

 いや、これは魔力じゃないわ。魔力に近いけど別の、そう、悪魔化した奴の力にそっくりだわ。


「ユキくん、あれ……」

「えっ!? か、仮面が宙に浮いてる!?」


 ミツキが示した先を見たら、さっき倒した仮面の男が付けていた仮面が宙に浮いてる。

 男の方を急いで見たけど、壁に埋もれたままの状態。つまり、あの男が浮かせたのではなく、あの仮面自体が浮かんでるってことなの?


 だんだんわかってきた。どうやら仮面からこの嫌な力が溢れ出してるわ。しかも仮面が喋ってるというトンデモ現象付きだし。

 となると、あの仮面は普通の魔道具とかじゃない、何者かが操っている、それもわたしのヒトガタのような特別な存在ってことか。


 だけどやることは決まった。


「ミツキ、絶対にこの結界から外には出ないで」

「う、うん。でも、ユキくんは?」

「わたしはアレをぶっ壊す! なんかヤバそうだし、手遅れになる前に破壊した方が良さそうだからね」

「だいじょうぶ、なの?」


 うん、ミツキがすっごい不安そうな顔をしちゃった。

 なので、安心させるためミツキをぎゅーっとする。オマケで頭も撫でておきましょう、なでなで。


「だいじょーぶ、わたしって化け物だから! だから安心してね~。さてと、それじゃ行くね!」


 精霊力を高め、仮面に向かって飛びかかる。

 勢いそのままに、仮面に対し月華を振りおろ


『やはり未熟だな、精霊に対する特効を舐めすぎだ』

「げっ!?」


 仮面からは今までの比じゃない、とんでもない力の波のようなものが発生し、わたしの力が一気に奪われる。

 その影響で、斬るどころか飛行能力まで消失し、地面に落ちた。

 それだけじゃない、全身を激しい痛みが襲ってきてかなり苦しい。立つことすらできない。


 幸いなのは、結界で隔離しているミツキには影響がないってこと。

 わたしは何とか耐えられるけど、これをミツキが直でくらったらどうなるか分からない。とっさに結界を張ったわたし偉い!





「うぅ、このままじゃまずい。どうにかしないと」

『ほう、まだ意識があるのか。しかも術装の維持もしているとは、さすがは我が障害となる一族の娘といったところか』

「な、なんか上から目線でムカつくんですけど!」

『威勢も良いようだな。鳥や猿の後継者とは違うわけか』


 さっきからよくわからない事を言ってるけど、ほんとどうにかしないと。

 だけど、精霊力を上げれば上げるほど体への痛みが増していき、力もどんどん奪われる。しかも、こいつの力を上回る精霊力を出そうとしているのに、どうにも底が見えない。


 このままだとわたしの方が音を上げちゃう。

 となると、危険だけど精霊力でなく、魔力のみで挑んでみるか。

 悪魔に対し魔力が通じるのは分かっているから、魔力ならいける可能性がある。天衣がまだ使えないのは痛いけど、なんとかする!


 そうと決まれば急いで精霊神衣を解除し、魔衣の顕現を


「がはっ!?」

『未熟と言っただろ? 我が力に貴様程度の魔力で耐えられるわけがなかろう』


 めっちゃ上から目線で言ってくるけど、その通りだったわ。

 精霊神衣を解除して魔衣を顕現させた一瞬は軽かったけど、すぐに仮面の力が強くなり、さっきよりもとんでもない力の波が襲ってきて、一瞬意識を失ったわ。

 しかも内部から破壊する力なのか、体の内側を切り刻まれたような感触まであった。血は吐いてないけど、かなりヤバい。


「魔石への負荷を考えてる場合じゃない、もっと魔力を高めないと」

『ほう、まだ戦意を失わないか。やはり貴様のような存在は危険、ここで排除しておきたいところだが』


 そう言うなり、仮面が黒焦げになった糞男の傍まで移動する。何をする気か分からないけど、まずいのは確か。


 だったら


「きっついけど、絶対に阻止するんだから!」


 ありったけの魔力を全身に流し込み、月華を杖にしながら何とか立ち上がる。

 だけど腕が重くて月華を振るえそうもないし、術式を起動するための魔力も維持できない。出来る攻撃といったら体当たりくらい?

 むぅ、全身へのダメージもそうだけど、魔衣の状態じゃこれが限界か。天衣であれば、もっとまともな攻撃に移れたかな? そう考えると、かなり悔しいわ。





『立ち上がったのは褒めてやろう。だが、そこまでのようだな』


 そう言うなり、仮面が糞男の顔に張り付いた。

 すると糞男が一瞬びくーんとはねたと思ったら、急に立ち上がった!?

 いやいや、マジですか? 身体機能ズタボロのはずだから、立つことは不可能なはずなんだけど。


『こいつを奪われるわけにはいかないからな。本来であればその女と、外の女も手に入れたいところだが、やむをえまい』

「外のって、まさか!?」


 たぶん、コイツの言うのは糞女じゃない、アリサのことだ。糞女だったら手に入れたいなんて言わない、連れて帰るって言うはずだし。

 ミツキだけでなくアリサも手に入れようとするとか、ほんとふざけた奴ですね!


「こうなったら魔石が損傷するのを覚悟して、天衣を顕現させるしか」

『まだ抗う気か。まぁよい、貴様とはいずれ決着をつけてくれよう。だが今は』

「な、なに、これ」


 一瞬仮面が光ったと思ったら、さっきまでとは桁違いの力を放出され、思わず膝をつく。

 というかヤバい、意識が朦朧としてきた。かすかにミツキの声が聞こえるけど、どんどん遠くなる。


『貴様とは、いずれ我自身の手で決着をつけてやる。その時こそ貴様だけではない、精霊の最後としてくれるわ!』


 朦朧としているのに、なぜかはっきり聞こえてきた仮面の声。

 そして仮面が転移魔法らしきものを発動させたのか、仮面と糞男の姿がブレて消えいった……。

仮面はちょっと大ボスっぽい存在の予定

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