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178話 救出はサクッと

 アリサに糞女は任せたので、わたしはこのまま一気に中央の馬車というか、でっかい乗り物に突っ込む!

 本丸へのカチコミよー!


「おじゃましまーす!」

『なっ!?』

「そして、さようならーっと」


 中には兵士が数人いたけど、一気に殲滅。もちろん返り血も浴びません!

 さてさて、それじゃいつものよーに


「ミツキ~、助けに来たよー」

「ユキくん……来て、くれたんだ」

「くそっ、こんなはずじゃ!」


 ちょっとうるっとしているミツキと、そのミツキを捕まえてる糞男、名前はディアムだっけ?

 そして傍にいる、なんとなく強キャラっぽい雰囲気の仮面をつけた男が居る。


 し一かしこの馬車、えらい広いね。

 これはアレか、拠点制圧用に作られた馬車なのかな? 兵を何人も待機させておいて、そのまま突撃って感じができそうだし。





「さてと、ミツキを返してもらおうかな?」

「世迷言を、ミツキはワタシのモノだ!」


 おっと、えらい剣幕で吠えられたよ。

 コイツに関する情報はほとんどないけど、まぁミツキにぞっこんなのは分かったわ。ミツキの方はそう言う気持ちは一切無いみたいだけど。


 あとはなんていうか、妙に芝居がかってる感じがする。

 異世界にきて勇者になったから、自分が主人公とかって思ってるのかしら?


 それにしても、どういう経緯で糞女と手を組んだんだろ? もともと裏で通じていたのか、それとも偶然なのか。

 まぁどうでもいっか。一番大事なことはミツキを助けることだもん。


 なにより


「ミツキはお前のモノじゃないし、なによりミツキが嫌がっている。そんな奴を、わたしが許すと思う?」


 精霊力を高め、殲滅の準備をする。

 ミツキが捕まっているから少し難しいけど、だいじょうぶ、わたしならできる!


「なめるなよ! 先生、お願いします!」

「任せろ」


 そう言って、仮面の男が向かってきた。詳細は分からないけど、結構強そう。

 となると~


「ひょいっと」

「き、消え!?」

「そしてドガッと!」


 一気に後ろに回り込んで、後頭部を月華で思いっきりぶっ叩いたけど、あっけないね。

 勢い余って壁に激突し、そのまま体ぶらーんって感じに頭だけ壁にめり込んだ状態になったわ。ぴくぴくしているから生きてはいる、うん、絶妙な手加減です!


 殴った時に分かったけど、コイツも悪魔化しているわ。念のため烈破発動状態のまま殴って正解だったね。烈破発動していなかったら、特効能力のせいで月華が耐えられなかったわ。

 先生ってことは、コイツが悪魔化を広めてる張本人なのかな? あとで尋問した方が良さそうね。





 さてさて、糞男にとっては想定外だったようで、あんぐりしてるね。

 対するミツキはすっごい目がキラキラしてるなぁ。ミツキたちじゃ敵わない相手だったとは思うから、それをあっさりと倒しちゃったからだね。


「んで、頼みの先生は倒れたけど、どうする気?」

「くそっ、ワタシの予定をどこまで狂わせる気だ! このままでは、ワタシが粛清せれる」


 粛清される?

 ん~む、コイツは主犯じゃなくて下っ端ってことなのかな? もしくはそそのかされた間抜けってとこか。


 だけど、どうにも繋がらない。

 どう考えても、ミツキを攫うって言う命令が下りたとは思えないんだよね。そりゃミツキも美少女で可愛いから、一線を越えて攫いたくなる気持ちはわからなくもないけど!


 術装狙いってのも考えたけど、悪魔化するような奴らが欲するとは思えない。

 それに精霊との結びつきが強まっているから、ミツキを悪魔化させるのは不可能。敵がそのことを知らないとは思えない。


 それなのにミツキを攫おうとした。しかも糞女も同調していることから、何らかの理由があるのは間違いない。

 となると残された理由は……


「生贄用、か。悪魔化の儀式に使うとか、そういうろくでもない事のためか」


 悪魔化への進化条件は不明なことが多いけど、生贄を用いた儀式で進化する方法があるとかなんとか。

 しかも生贄は誰でもいいってことは無く、何らかの条件があるみたい。

 とはいえ詳細な条件は不明で、わかっているのは〝若くて見込みのある者〟ということだけ。生体エネルギー的な物を使ってるんじゃという憶測はあるけど、実際はどうなのやら。


 それとわかっているのは、生贄となった者は必ず死ぬ、それも輪廻転生できない状態で消滅するってこと。

 自分のために他者を利用するだけでなく、魂も踏みにじるとか、ほんと悪魔って感じですね。


 そして、その対象にミツキがなってしまい、あわや最悪の結果になったかもしれないと。

 うん、許す理由は一つもないね。殺してくれと泣きわめくくらいの地獄を見せた方が良い気がしてきたわ。





「ワタシを無視するな!」

「あー、なにか叫んでたのね。どうでもいい話だったから無視してたわ」

「いい度胸だな、貴様!」


 わたしに対する罵詈雑言を始めてきたから無視して状況を分析してたけど、だいぶお怒りのようで。

 しっかしなぁ、逆に罠なんじゃ? って勘違いしちゃうくらい隙だらけなんですけど。


 まぁ絶好のタイミングなのは間違いないので~


「一気に接近し~」

「ぬわっ!?」

「ズバッと斬って連れ去っちゃう!」


 ミツキを掴んでいた汚い手をバッサリ切断し、そのままミツキを抱えて距離をとる。

 さすがわたし、こういうことも余裕ですね!


「な、な、なんだよこれはぁぁぁぁぁぁ!?!?!?」


 痛みが一気に襲ってきたようで、斬られた腕を押さえながら呻きだしたわ。

 う~ん、速くて鋭い攻撃をしちゃうと、こういう残虐なことになるのがほんと困りますね。わたし、そう言う趣味無いんだけどなぁ。


 そんなことはお構いなし、ミツキがちょっと強めに抱きついてきたわ。しかもキラキラした状態のままですね。


「ユキくん、凄い」

「ふっふっふ、わたしって結構な化け物だからね~。これくらい当然なのです!」


 えっへん!

 おっと、ミツキがさらにキラキラ状態になったわ。

 やっぱあれかな、囚われていたお姫様を助け出す的な効果もありそうだねぇ。


 念のためじっくり確認したけど、うん、怪我とかは一切ないね。精神面も大丈夫みたいで一安心。

 まぁあの糞男がミツキに触れていたとか、すっごい腹立たしいんですけどね! あとで徹底的に洗ってあげましょー。





 このままミツキを抱いたままイチャイチャしたいところだけど、そうもいかないね。

 さっさと糞男の戦意を奪って捕まえちゃいましょー。


「それじゃミツキ、ちょっとはなれ……ないのね?」

「だめ、かな?」

「うっ!? そ、そう言われると、ダメと言えないわたしが居る」


 好意が大部分なのは分かるけど、これは連れ攫われた恐怖を癒すためもありそうね。

 糞男のことは普通の友人と考えてたと思うから、裏切られた悲しみとかもありそうだわ。


 ならしょうがない、このまま戦いますか。

 それになんていうか、これだけでも糞男にダメージありそうだね。少しイチャイチャしてたら、震えながらすっごい睨んできてるもん。

 ミツキのことが好きなのはわかるけど、コイツも相当ですね。


「ならミツキ、わたしから絶対にはなれないでね?」

「うん」


 そう頷くなり、ミツキがわたしにぎゅーっとしてきたけど、うん、ちょっとヤバいね。

 やっぱねぇ、好きな子に抱きつかれると、わたしもクラッとなるわけでして。アリサとエレンとは違う感じで、戦闘どころじゃなくなりそうだわぁ。





「ワタシのミツキをいつまでたぶらかす気だ!」


 おや? ちょっとお花畑状態だったら、糞男が思いきり叫んできた。

 傷は治癒用のポーションを使ったみたいね。完治はしてないけど、止血されてるわ。痛みもだいぶ引いてそうね。


 しっかし、その発言を聞いたミツキがすっごい嫌そうな顔してる。

 相当嫌なんですね、さらにわたしをぎゅーっとしてきたよ。気持ちはすっごいわかるので、頭をなでなでしながら、わたしからもぎゅーっと。うん、普通にいちゃついてるだけですね!


「いい加減にしろと言っている!」

「そう言われても? というか、止められる筋合いないし?」

「ふざけるな! そもそも貴様はミツキの何なのだ!」


 なるほど、コイツはわたしが居なくなってからの転入生だから、わたしのことをよく知らないわけか。

 知っていたら邪魔しようなんてしないか。冗談抜きにあの頃、夫婦扱いされてたからねぇ。


 とはいえ説明するのはめんどいし、ちょっと恥ずかしい。

 なにより、ミツキの救出に来ただけなので、コイツの相手をまともにする必要なんて皆無なわけで。


 となれば


「面倒だから、あとで誰かに聞いてちょうだい。とりあえず、お前はぶっ倒れてなさい! 術式展開、断罪の雷!」


 ミツキを抱いたまま片手の月華を使い、術式を発動させる。

 するとあっという間に糞男は隔離され、雷の嵐に呑まれてる。


 多少やり過ぎな気もするけど、かまわない。

 だってね、わたしのミツキを攫ったんだからね。絶対に許す気なんて無い、本当の地獄を見せてあげるわ!

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