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173話 救出作戦、開始!

 マナミたちからさらに詳しいことを聞いたけど、なんだかなぁ。


 糞女が解放された後、ディアムとか言う糞男がミツキを人質に取ったらしい。

 これはまずいと思ったマナミが全力で駆けだして、コータとトースケを叩き起こして助けを求めたようだけど、どうしてわたしじゃ無かったんですかね?


 まぁ気持ちは分かるんだよ。

 これはある意味、クラスメイト間でのいざこざみたいなもの。部外者のようなわたしには迷惑を掛けたくなかったんだろうね。

 しかも裏切り者が現れちゃったから、酷い負い目とかが出ちゃったんでしょう。あとは、わたしに依存している状態なのも重くのしかかってそうだわ。

 その結果、わたしでなくクラスメイトでも頼りになる二人に助けを求めた、って訳ですね。


 ただなぁ


「その判断ミスの結果、糞女を逃がしただけでなくミツキまで攫われて、さらには怪我人も大量になったってことだよね?」

「その通りね……」

「マナミを責めないでやってくれ。むしろ問題はボク達の方だからな」

「だな。マナミはユキにも声を掛けようと言い出したが、オレ達が、その、くだらないプライドで拒否っちまったんだ。こうなることも予想できたってのに、ほんとスマン」


 ふむぅ、三人が猛省って感じになってるわ。となると、これ以上言うのは逆効果かな? 追い込んで三人を破滅させたいわけじゃないしね。


 なにより、わたしもちょっと甘かったしね。

 万が一を考えて四肢を麻痺させておくとか、接触が無いよう完全隔離しておくという手もあったわけで。

 クラスメイト同士で話したいとか、捕虜を雑に扱わない方が良いって意見を、わたしが納得して受け入れた結果でもあるからね。そこまで鬼になれなかったのもあるかな?





「逃走を阻止しようとしたが、全然歯が立たなくてな。ミツキだけでも取り返そうとしたけど、無理だった」

「あの女が強いのは百も承知だったが、ディアムにも敵わないとは思ってなかったぞ。オレの打撃とか、簡単にいなしやがったし」


 なるほど、糞男の方は封印とかの解除能力だけでなく、身体能力の方も何らかの力を手に入れたってことね。

 ひょっとすると糞男も進化済みかな? 悪魔化していなくとも、魔人くらいにはなってる可能性もあるか。雑魚ではあるけど、少し注意した方が良さそうね。


 そんなことを考えていたら


「ちょっとユキ? えらい冷静なんだけど、どういうことなの?」

「そうかな?」

「だってミツキが攫われたのよ? その割には焦ってないって言うか」

「あぁ、そのこと。大丈夫、ミツキの状態は把握してるから」

「「「把握している?」」」


 あら、三人ともよくわからないって顔してるね。

 ならわかりやすいように魔道具操作していき、空間ディスプレイを表示する。


「ここに表示されているのがミツキの現在の状態、ステータスって言えばわかるかな? んで、一緒に表示されている地図と、動いている光点がミツキの現在位置ね」


 実は身長や体重、胸囲や腹囲なんかも表示できるけど、それは非表示にした。さすがに見せて良い物じゃないからねぇ。

 まぁわかったのは、毒とか催眠の類は受けていない、健康体ってこと。体への傷とかもなさそうね。

 そして連れ攫った先は神聖王国内のどこかってこと。まだ移動しているようだけど、速度からして馬車だね。つまり、転移を繰り返しての移動は無理ってことだね。


 冷静に状況を分析してたら、あらまぁ今度はヤバい者を見る目ですか。


「ねぇユキ、それって、完全にストーカーじゃないの?」

「かも?」

「かも? じゃなくて、あんたさぁ……」

「あー言っておくけど、これはミツキも了承済みだよ」


 ミツキと魔道具を作っていた時、ちゃんと許可はとった。許可をとってからミツキのネックレスに、現在状態と現在位置をわたしの魔道具に通知する機能を盛り込んだ。さすがに無許可ではやりませんよ?


「それにまぁ正直なとこ、わたしと仲良くしていると拉致される危険性が高くなるの」


 わたしを直接狙う輩もいれば、仲の良い人物を拉致して脅そうとする輩もいる。

 それだけわたし、というかうちの家族を妬む敵は多い。レグラス内での立場だけでなく、他国にも影響を及ぼす巨大な力を持っていればそうもなりますね。


「なので、拉致されてもすぐ発見できるようにしただけだよ」

「そういう意図があるのね。ただ、なんていうか」

「プライバシー、無い感じだな」


 気持ちはよーくわかる。とはいえこの機能は、拉致されたとき以外は使わない緊急的な物。普段は使いませんよ?

 それに、わたしのプライバシーさんなんてほぼ居ないようなものだし……。





「いろいろとわかったけど、それにしてもあんた、ずいぶんと平静ね」

「だな。ボクなんて悔しさもあるし、すぐにでも助けに行きたいんだが」


 ほほう、三人にはそう見えてるのか。なるほど、わたしのポーカーフェイスさんもそこそこ機能しだしましたね!


「表に出していないだけだよ。そもそもだけど、わたしのミツが攫われて、なにも思っていないと思う?」

「「「なっ!?」」」


 ちょっと感情を抑えるのを止めたら、三人とも真っ青になっちゃったわ。

 いかんなぁ、怒りと殺意がすごすぎるのか、それだけでも人を殺せちゃいそう。ちゃんと抑えておかないとほんとダメだね。


「ま、そういうわけなので、これからミツキを取り戻しに行ってきます!」

「これからって、どうやってよ!?」

「もちろん飛んでいきます!」


 出し惜しみ無し! 月華と精霊神衣を顕現させ、全力が出せる状態にする。

 とはいえ一人で行くなんてことはしない、念には念を入れておくのです! なにより、わたしを抑えてくれる人が重要なのです。


 なので~


「起きてくれるかなぁ……あ、繋がった」

『お嬢様、どうかされたのですか?』

「こんな夜中にごめんね~。えっとね、アリサにお願いしたいことがあるの」


 さすがわたしの専属メイド、夜中なのにちゃんと起きてくれたよ。

 しかもメイド服の状態とか、ほんと徹底してるなぁ。これもシズクさんの教育の賜物かな?


 なにはともあれ、現状をアリサに説明する。

 ミツキがわたしにとってどういう存在か、すこーし深く聞かれた気もするけど、まぁ大丈夫でしょう。細かいことを後で聞かれそうな気もするけど。


「――というわけなの。本当はエレンにもお願いしたいのだけれど」

『エレン様は立場上難しいですね。私はお嬢様の専属メイドなので何とかなりますが』

「だよねぇ。ちょっと残念」


 神聖王国への殴り込みみたいなものだからね。

 今回は、わたしがミツキにあげた術装と魔道具を取り戻すためっていう名目がたつけど、エレンをそこに巻き込むのは難しい。

 これは術装と魔道具はレグラスの機密扱いにできるから、わたしたちレグラスの民が取り戻しに行くのはどうにかなる。

 だけどエレンはアルネイアの貴族様なので、巻き込むためにはアルネイアにも関わる事態にしないと難しい。関わってないのにエレンが出て来たら、それこそただの侵略になっちゃうわけで。


「無理を言って問題を起こしたらダメだし、わたしとアリサだけで行くよ!」

『わかりました!』


 おや? アリサがちょっとだけ嬉しそうな顔してますね。頼られたのが嬉しかったのかな?


「座標はアリサの魔道具に転送したからそれを見てね。移動に関しては……あの試作型を使って!」

『!? お、お嬢様、あの試作型はレグラスの最高機密ですよ?』


 すごい驚いてるけど、当然か。

 試作型とは一人乗り用の超小型飛空艦のこと。一人乗り用の飛空艦自体は既に存在しているけど、それをレグラスの最新技術で作っているから相当ヤバい。巨大な飛空艦並みの攻撃力に防御力、さらに推進機能まで備えてるからね。

 さすがに性能が高すぎるのもあって、レグラスの最高御機密になっている。量産時にはもっと出力を抑えた物になるようだし。


 そんな試作型をわたしは何台も貰ったので、アリサたちにも1台ずつあげた。

 さすがに使用はレグラス内での移動用に限定してたけど、こうなったら話は別、持っている道具は全て活かします!


「わかってる。だけど、アリサが一番早く動けるのはアレしかない。だから使っちゃって」

『わ、わかりました』

「あーでもでも、もしもお母様やママ様に怒られることになったら、一緒に怒られてくれる?」

『ふふ、その心配はないと思いますけど、わかりした』

「それじゃアリサ、向こうでね!」


 アリサとの通信を終了してっと。うん、これで準備は万端だね。

 それじゃミツキ救出作戦の開始だよ!

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