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167話 捕虜の問題も解決しましょー

 朝食はあまりにも酷かったので、結局私がちゃちゃっと作りなおした。

 チャレンジ精神は認めるけど、まずは野営の基礎を学びましょうねって本気で思ったわ。


 そんな朝食が済んだところで、そろそろ後回しだった問題に手を出す。

 そう、捕虜にしている他のクラスメイトについて。


「とゆーわけで、捕虜が居るの」

「そしてそいつらは、ボク等の元クラスメイト、ってことなのか」

「そゆこと」


 軽く説明したら、やっぱりみんな複雑な感じになっちゃったわ。

 そりゃ日本からの同志とでもいうか、同じ環境で過ごした仲間が他にも居るのは、ちょっとはうれしいんだと思う。

 だけど、その仲間が襲ってきた、しかも命を狙ってきたのはショックだろうね。


「わたしとしては、管理が楽になるからこっちに持ってきたいんだけど」

「その言い方、ユキは特に思うこととかないの? ウチは怒りどころか、少し悲しい感情すらあるんだけど」

「あーそれね。何度も言ってるように、わたしはユキであってカズヤじゃないの。前世のクラスメイトに対して、特に強い気持ちとかは無いの。まぁミツキみたいな子は別だけど!」

「特別、なの?」

「そうなりますね!」

「そう、なんだ。うふふ」


 あらまぁ喜んじゃって。

 と同時に、マナミが『状況を考えなさいバカップル』って意思が込められた目で睨んできたわ。コワイコワイ。


「なぁ、捕虜にしているメンツの詳細ってわかんねーか? オレも複雑なんだけど、その、仲の良い奴が居たら受け入れたいなって考えちまって」

「たしかに、な。それに全員悪いのではなく、扇動した奴が悪いって、ボクは考えるな」


 そう二人が言ってきたけど、なるほど、そういう考えもありますか。

 全員連れてくるより、改心とでもいうか、問題にならないのだけ受け入れるのは良いかも。


 まぁとりあえず


「んじゃ捕虜全員の状況を映すから、それ見て判断して」

「え? 映すって、あんたそんな遠距離撮影みたいなことまでできるの?」

「余裕です! わたしのヒトガタは万能なのです!」


 ドヤァ!

 わたしの周囲に待機しているヒトガタも一緒にドヤァ!


 あっ、すっごい奇怪な物を見る感じになっちゃった。

 でもね、ここまで規格外なのが今世のわたしなので! むしろまだまだ序の口よ~。





 その後、捕虜全員の姿を映したけど、反応は様々だわ。

 そりゃね、全員が全員仲良しじゃないからね。嫌いな人もいれば好きな人もいる、助けたいという考えがあれば、助けたくないって考える人もいる。

 わたしとしては、意見が一致しないものは現状維持を優先する。だけどみんなは違うようで、多数決で決めだしたわ。


 こりゃぁ決定するまで時間がかかりそうだし、暇つぶしに魔道具でも作ってようかな。

 さ~て、何を作ろって、あら?


「ミツキは多数決に参加しなくていいの?」

「私は、その、えっと」

「あー、そゆこと」


 ミツキが少し俯きながら答えようとしたから分かった、捕虜のやつら、ミツキが嫌いな子たちだわ。

 特に捕虜の中いる二人、小学校からの幼馴染みたいな関係だけど、いわゆるいじめっ子な奴だったね。しかもミツキに対して結構やってきてたよなぁ。


 まぁね、いわゆる『好きな子をいじめちゃう』って奴なのはわかってます。

 ただ、相手を選ばないとダメだよね。ミツキのような子は真に受けるだけで、進展どころか後退と険悪の一途です。

 それが分からないお子様だったのは確かだけど、ミツキの様子からして、歳をとっても同じことしてたみたいね。バカというかアホというか、ほんとダメダメです。


「それじゃミツキには、わたしの助手になっていただきましょー」

「助手?」

「うん。暇つぶしに何か作ろうと思ったんだけど、何を作るか決めて無かったから、何かいい案を貰おうかなって」


 暇つぶしとはいえ、せっかくなら目標を定めたい。

 それになぁ、無計画のまま作りだすと、結構とんでもないもの作っちゃうわたしが居るからね。気付いたら殲滅兵器になってましたとか、マジでやったことあるし……。


 とはいえ、まずはっと


「ねぇミツキ、ちょっとネックレス貸してくれる?」

「これ? いい、よ」


 そう言ってミツキが近寄ってきて……あーはいはい、わたしに外させようてことですね。

 こりゃあれだなぁ、少女漫画か何かの影響で、こういうことに憧れてたわね。しかもそれを実際にやっちゃうとか、アリサやエレンとは違う積極性ですねぇ。


 んではミツキの首に手を回してっと。

 とゆーかこの格好、抱きついてるようにしか見えないな。こんな状況見られ……マナミがすっごい睨んでる!?

 まてまてまって、えっちぃことしてたんじゃないです! ネックレス外そうとしてただけなんです!





 なんやかんやあったけど、ネックレスを外すことができた。

 それじゃ早速作業を開始しましょー!


 最初に、見た目はそのままで、使っている素材を変更していく。現状のままだと、結界などの術式が付与できないからね。

 せっかくなので精霊石を粒子状にしたものを練り込み、ガラス部分も精霊石に変更していく。思い切って留め金部分も精霊石を加工した物にしちゃう!


 あとはわたしが使える範囲の状態異常耐性や結界、所持者指定とかを付与していく。

 ちゃんとしたのはお母様に頼むしかないけど、とりあえずなら大丈夫かな?


「はい、かんせーい!」

「前よりも、綺麗になった」

「中身を変えて、ちょっと磨いたって感じになるかな? んじゃつけてあげるね~」


 そう言ってミツキの首に手を回し……あの、マナミさん、そう何度も睨まないでください。

 イチャイチャしてるのは否定しないけど、えっちぃことはしてないから!


「これでよしっと。まだ完全な状態じゃないけど、一応魔道具になったよ」

「これが?」

「うん。付与されている機能だけど――」


 ミツキにサクッと説明。機能を説明するたびに驚いちゃって、ほんとかわいいですね!

 でもまぁ日本の考えで行くと、ネックレスをつけていれば毒が癒されるとか、麻痺になりにくいとか、さらには第三者が勝手に外せないなど、とんでもない現象といえばそうかもね。この世界、というかうちだと当たり前だけど!





 その後もミツキの提案から、小道具などの魔道具化作業をしてたら、ようやく話がまとまったみたいね。マナミが手招きしてるわ。

 さてさて、どうなったのやら。


 ミツキと共にみんなのもとに向かう。

 しかし、こんなちょっとの移動でも手を繋ぐんですね。そうとう……って、これは前世と同じか。むしろ手を繋いでいない時の方が少なかった記憶だわ。


 そんなわたしたちを見て、マナミが呆れてますね。

 いやね、わたしも逆の立場なら呆れるよ。状況お構いなしにいちゃついてるんだもん、怒るどころか呆れちゃうよね。


「それで、結局どうなったの?」

「結論だけど、全員受け入れることにしたわ」

「ふーん。でも、マナミは不満っぽい顔してるよ?」

「そりゃね、ウチとしてはクラスメイトって感情より、命を狙ってきた敵、って感情のが強いから」


 マナミの意見はもっともだわ。

 同郷のよしみを優先して、自分たちが危機になるとかバカバカしいからね。

 だけどマナミとは異なる意見が多かったようで、多数決の結果、全員受け入れることになったと。


「まぁ決まったことは決まったから、ユキ、頼むわ」

「ほーい。んじゃサクッと連れてくるね~」


 ヒトガタを操作し、捕虜をこっちに運ばせる。

 これで管理が楽になるけれど、要らぬトラブルに発展しそうな気もして、ちょっとだけ不安だわ……。

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