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166話 恐怖の朝食

 メイのグラビアショー的なのを堪能したところで今日のお話しは終了となり、そのままお風呂から上がる。

 しっかし、わたしもメイのこと言えないなぁ、大量に写真撮っちゃったわ。つい調子に乗っていろいろやってもらったけど、まぁいっか!


 さてと、さすがに昨日からずっと起きてるからだいぶねもい。

 本当は今日も寝ずの番をするつもりだったけど、無理だわ。


 とはいえ何もせずに寝るなんてことはしない。

 サクッとゴーレムを作って防御網を固める。今日のゴーレムは厳つい顔をした巨人タイプよー。

 ヒトガタだけでも大丈夫だとは思うけど、念には念。

 なにより、大きなゴーレムが居れば脅しになるから、低級の魔物は近寄ってこなくなる。無駄な戦闘の回避は重要です!


 ゴーレムの配置が終わったので、自分用のテントにのそのそと。

 さすがに自前のテントを出すのは自重し、みんなと同じ一般向けのテント。一人だけ豪華なテントを使うのにちょっと負い目を感じそうなのもあるからだけど。


 テントの中は特筆することも無い、いたって普通。簡易証明と簡易ベッド、あとは小物入れがある程度で、ほんと最小限って感じ。

 う~ん、寝られなくはないだろうけど、わたしの求める快適性は皆無だね。まぁ数日だけだし、我慢しよう。

 ではではベッドに入って、さー寝ましょー。





 うにゅぅ、外が少し騒々しい。

 危険とかじゃなく、朝食の準備に戸惑ってるような会話が聞こえてくる。その声で目が覚めてきちゃったよ。


 う~ん、相当眠かったからか、微妙なベッドでもすぐに寝ちゃった。

 微妙なはずなんだけど、この抱きまくらが良い感じですね! ちょうど良い暖かさにフワフワで……抱き枕?

 はて? わたし、抱き枕なんて出したっけ? 眠気が酷くてベッドにすぐに入ったはずなんだけど、備え付けのでもあったかな?


 まぁいいや、なかなかだしコレはもって帰ろう。

 アリサやエレンとは違う感じだけど、これも好きな触り心地ですね! ん? アリサとエレンとは違う感じ?


 う、う~ん、まさかのまさかなのかなぁ……。

 恐る恐る目を開け……あちゃぁ。


「あ、おは、よ」

「お、おはよう……って、ちっがーう! どうしてミツキがわたしのベッドに潜り込んで、それでわたしに抱きつかれてるの!?」

「ユキくん、大胆だった、よ?」

「あの、顔を赤くしながらそう言われると、すっごい意味深なので勘弁してください」


 朝が弱いわたしでも、さすがに眠気が一気に覚めたわ。

 これはアレかなぁ、何か相談しに来たけどわたしが寝ていて、そのまま潜り込んできたとかそんな感じかな。


 とりあえずさっさと起きないと、まーたマナミに何か言われるわ。


「いろいろ言いたいことがあるけど、とりあえず起きましょー」

「……ざんねん」

「残念って、ほんと吹っ切れてるねぇ」

「だって、積極的にいかないと、ユキくん、またどっかに行っちゃいそう、だから」


 そう言ってミツキの方からぎゅーってしてきたけど、これはちょっとマズイかな。トラウマがあるのはわかるけど、少し異常というか、歪な感じになってきてる。

 何とかして正しい、というかトラウマ解消させたいけど、どうしたらいいものか。時間が解決してくれるのを待つべきか、ほんと難しいわ。





 問題は先送りにして、とりあえずミツキが落ち着いたところで外に出る。

 さてさて、どんな状態かな~っと。


「あら、ようやくお目覚めざ……め?」

「あ、マナミちゃん」」

「おはよーマナミ、ってどーしたの?」

「ごめん、ウチの見間違いじゃ無ければ、今二人で出てきたよね?」

「……出てきたかもしれない」

「はぁ……」


 おーっとマナミさん、そのすっごい呆れた表情は何ですか?

 言っておきますけど、なにもしてないですよ? ちょっといちゃついてただけですよ?


「まぁいいわ、とりあえずウチらで朝食作ってるから、あんた達は座って待ってなさい」

「え!? マナミたちがご飯を!?」

「そうよ、って、何よその恐ろしいものを見るような顔は」

「だってここに居る面子で料理が得意なの、コータだけだよね?」


 全くダメってわけじゃないだろうけど、ここは日本と違うどことか野営地です。食材って言っても、魔物とか動物を狩ったり、野生の植物を使ったりが主になるわけで。

 そんな食材を使っての料理とか、すっごい無理があると思うんですけど。


「だ、だいじょうぶよ! ほら、新鮮な物はそれだけで美味しいって言うでしょ?」

「新鮮って……あー、嫌な予感してきた」

「まぁ見てなさいって」


 そう言ってマナミは自信満々な感じでみんなのもとに行ったけど、安心できないわ!

 昨日のバーベキューですら、わたしが食材の下処理しなければ酷い状態になりそうだったのに。


 どうしよう、まずいご飯とか食べたくないんですけど。

 いや、もしかしたら奇跡的に美味しくできる可能性が! そうに違いない!


「ねぇミツキ、マナミたちって、昔と違って料理上手になったとか、あるんだよね?」

「ない、よ? 私は、頑張った」

「なるほどー、ほんとミツキは良い子ですね~、なでなで」

「うふふ」


 あらまぁすっごい喜んじゃって、ほんとかわいいですね!

 まぁ冷静に考えると、ミツキが料理をがんばった理由って、前世のわたしの影響なんだよなぁ。

 死んだということを認めたくないのと、別のことに打ち込んで忘れる、というか平常を保とうとした結果。そう考えると、ちょっと複雑だわ。





 不安なままミツキと二人で待っていたら、ついにできたみたい。だけど、うん、見た目と匂いがもうね、ヤバイ。

 血が滴るような赤というか、本当に血が付いたままのとか、とろけるというよりぐちゃっとした感じのとか、こんがりというか真っ黒な物体まである。

 しかも焦げ臭かったり、生臭かったり、なんとも食欲が減る香りまでする。できることなら、わたしが全部作りなおしたいです。


「生き残れるかな……」

「た、たぶん、大丈夫、だよ?」

「でもさぁ、この見た目と臭いは……」

「二人とも心配し過ぎよ。大丈夫、味見はしたみたいだから」

「みたいって、あれ? マナミはしてないの?」

「う、ウチはほら、指示する方が得意だし?」


 そう言ってマナミが明後日の方を向きながら配膳してるけど、これはそう言うことですか。

 残念ながら、マナミの女子力は思いっきり低い! 料理もインスタントですら失敗するくらいのへっぽこ!

 まったく、ミツキみたいに女子力あげていれば、もうちょっと男受け、あ、いや、そんな睨まないで?


「まぁいいわ、さ、食べてみて?」

「え? これを?」

「見た目と臭いはヤバいけど、たぶん味は良いはずよ!」

「どこからくるのよ、その自信は……」


 相変わらず自信満々だけど、この料理という名の別物は流石に……。


 まぁね、わたしにおんぶにだっこじゃあれだから、せめて料理くらいはって気持ちでみんな頑張ったんでしょう。

 ただ、うん、慣れないことはするものじゃありません!


 はぁ、わたし、生き残れるかな……

生死にかかわる食事ですが、死にはしません……たぶん

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