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158話 説明たーいむ

 しばらくして、ようやくみんな落ち着いた。やれやれ、結構時間がかかった気がするわ。


「さてと、それでえっと、わたしが何者か、だっけ?」

「そうそれ! 普通の女の子じゃないんでしょ? その、獣人って言うんだっけ? モフモフだし、すっごい可愛いし、身に着けている服も高そうだし」

「あーこの巫女服に関しては、わたしの精霊力で作った服だよ。わかりやすく言うなら防具ね、買った物じゃないよ」

「精霊力で作ったって、ほんとファンタジーな世界なのね」

「すごいなぁ」


 マナミは呆れて、ミツキは目がキラキラしている。昔とかわらず、ほんと対照的だねぇ。


「まぁ精霊神衣ってちょっと強すぎるから大変なんだけどね。とりあえずもう大丈夫そうだし、魔衣にしておくかな」


 サクッと魔衣を顕現させる。やっぱね、精霊神衣のままだと力を抑える必要があるから、けっこう疲れちゃうもん。


「んで、わたしの家柄とかだけど、まぁ、その」

「まさかどこかの王女様、なんて言わないわよね」

「それは無いよー」

「だよね。さっきの人たち、ちょっとすごそうだったけど」

「王女様はお姉様、つまりさっき映っていたエルフさんね!」

「……嘘でしょ?」

「マジです! ちなみにお母様、さっき映っていた狐族の人ね、あの人はレグラスで一番偉い人です。王様と王妃様はお父様とお母様の親友で、家族ぐるみの付き合いをしています。ちなみにお姉様の彼氏がわたしのお兄様です!」


 うん、みんな唖然としちゃったわ。

 それと『あの若さで人妻かよ……』とか『彼氏いるのかよぉぉぉぉぉ』といった魂の叫びもあった。気持ちは分からなくもないけど、諦めたまえ。


「ということは、ユキくんは、レグラスで偉い人、なの?」

「偉いといえば偉いかなぁ。みんなわたしに甘くて、国際問題だろうが何だろうが、わたし優先で動いちゃう感じかな。ちなみに国王様はパパ様って呼んでいて、王妃様はママ様って呼んでるよ~」

「あんた、それってつまり、お姫様のようなものじゃない……」

「そうともいう!」


 ドヤァ

 うん、またマナミが呆れてミツキがキラキラ、他は……まぁいいか。





「あんたがヤバい人だってのは分かったわ」

「ヤバくないよ~、かわいい狐さんですよ~」


 そう言って狐耳をピコピコ、尻尾をフリフリ。我ながらなんともあざとい仕草ですね!


「うっ、あんた、本当にあのカズヤだったの? なんていうか、その」

「すっごくかわいい!」

「わかってるねぇミツキ。そう、わたしはかわいくなるよう教育されてます!」


 ドヤドヤァ

 まぁマナミの気持ちもわかる。わたしだって前世に一瞬戻った時、すっごい違和感あったもん。

 だけど、これが今のわたしだからね、前世とは全然違うのだよ。


「ところでカズヤ」

「だからユキだって言ってるでしょう、ヒーローオタクのコータ君」

「す、すまない。えっと、さっきのヒトガタって言ったか? あれを見る限り、君は強いのか?」

「かなーり強い、というか化け物だよ。まぁお母様たちには逆立ちしても敵わないけど、ここに居る全員なら1秒未満で倒せるくらいには化け物」

「そんなにか……。なんか逆になっちゃったな」


 そう言ってコータが苦笑いする。

 確かになぁ、一番強くてみんなを守るっての、コータの役だったからね。

 だけどこの世界では違う。わたしの様な化け物がうじゃうじゃ居るから、コータは一番にはなれない。それをふまえ、これからどうするのかはコータしだいだね。


「オレからも良いか?」

「言ってみたまえ、ドエロ―スケ君」

「お、お前、その仇名、忘れてねーのかよ。まぁいい、えっとだ、なんでそんなに小さいんだ」

「がふっ」

「ちょ、どうした、急に項垂れて」

「お、お前、わたしが気にしてることを……」


 アリサたちに言われるのは良い。だけどこいつに言われると非常に傷つく。言っていい相手とそうでない相手が居るんです!


「ま、まぁ、8年くらい前にちょっとあったせいで、身長が伸びてないだけだよ」

「じゃぁ何歳なんだ? やっぱオレたちと同じか?」

「えっと、今年12歳だけど?」

「マジかよ……」


 おっと、今度は驚く者が多数、というか全員!?

 どうしてそんな反応……あぁ、うん、そういうことね。


「みなまで言うな。それにお母様を見たでしょ? わたしがこうなのは、すべて遺伝だ」


 なんとなくそういう目でジロジロ見られるの、嫌です。

 わたしだって見られたい相手は限定します。不特定多数に色仕掛けなんて死んでもしません。





「はぁ、なんかすっごいキャラになったわね」

「そうかも? でもわたし、今の自分が大好きだけどね」

「なるほどねぇ。てかミツキ、どうすんの? 想い人がこうなったけど」

「わたしは、ユキくんが、良い」


 おっとミツキさん、超ドストレートに言ってきましたね。完全に吹っ切れたようで、奥手なんだけどほんとグイグイって感じですね。


「良いって、そりゃ同性でも惹かれるくらい可愛いけど、でもさぁ」

「あー、マナミ、この世界って同性婚とか、普通にあるよ?」

「マジ?」

「超マジ。ちなみに性別が無い人だっているから、あまり性別うんぬんは拘らない方が良いよ。種族によっては男女で決めつけるのは無礼にあたるときがあるから」

「はぁ、ほんと異世界なんだねぇ」


 確かになぁ、日本じゃ抵抗ある人もいたからね。

 だけどこの世界、同性婚とか普通過ぎて拘る方がおかしい。まぁ只人族は同性婚に抵抗がある人が多めだけど、この世界って只人以外の種族が多いからねぇ。


「あとはそうね、一夫多妻も一妻多夫もあるよ」

「お、それは夢が広がるな!」

「トースケよ、夢を持つのは良いが、養うのもその分苦労するからね? 生半可な気持ちでやらない方が良いよ」

「……一気に夢から現実に戻された感じだぜ」


 がっくり項垂れてるけど、当たり前のことです。

 旦那さんやお嫁さんが複数居たら、当然それだけお金が必要です。むやみやたらとハーレムを築いていいものではありません!





 その後も細かい説明を繰り返したけど、だいぶ落ち着いたようね。

 だからかな


「ちょっと、なにこの紅茶!?」

「口に合わなかった?」

「逆よ逆、なんでこんなに美味しいのよ!」


 マナミがすっごい驚いてる、珍しいですねぇ。

 マナミだけじゃない、みんなも同じように驚いてる。なんでだろ?


「いたって普通の紅茶だよ。100グラム金貨10枚、日本円だと10万かな? 専門店なら簡単に買えるものだよ」

「は? つ、つまり、この一杯って……」

「んー、この茶葉は2杯目に使えない品種だから、4000円くらいになるのかな? おいしいのに結構安いでしょ」

『高いわ!』


 お、おぅ、全員から一斉に言われてしまったわ。確かに日本の価値観だと高いかな?

 でもそっか、今後はお金を稼ぐ方法を模索しなきゃいけないのか。


 ぱっと思いつくのは冒険者だけど、安易に勧めて良いのかちょっと疑問。

 わたしは転生してだから、この世界での生き方が染みついてる。だけど、こいつらは突然異世界に放り込まれたって方になる。きっと日本での感性のままだから、いろいろと違っているだろうし。

 そんな人を戦いが当たり前な世界に投げ込んでいいものか。まぁ戦うこと以外の依頼もあるから、完全にダメじゃないけど、難しいなぁ。


「どう、したの?」

「いやね、これからみんなってお金を稼がないと生きていけないじゃん。その方法をちょっと考えてたの」

「どういうことだ? オレたち、日本に帰れるんじゃないのか?」

「あーそっか、そのあたりの説明もしないとダメか……」


 言った後の反応が想像できるから、ちょっときつい。

 特にミツキは泣くだろうなぁ……。家族仲良かったし、弟君をかわいがってたし。


 そんな心配をしていたら、あれ? ミツキが苦笑いしてる。

 もしかして?


「ミツキは知っているの?」

「うん。神様、ううん、光の精霊神様に教えてもらった、よ」

「なるほどねぇ」

「ちょっとカズ、じゃなかったユキ、説明!」

「ごめんごめん。えっと、実は――」


 マナミに睨まれちゃった、コワイコワイ。


 ではでは、じっくり説明していきますか。この世界はどういう世界で、どういった種族が居て、勇者とはどういう存在なのかてことを。

 そして、召喚された者は帰れないっていう最悪の事実も……。

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