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156話 あっさりバレた!

 いやぁ、全力で飛んできたけど、けっこう危なかったね。

 遠くで『あ、魔物の群れはっけーん』なんて思ってたら、予想以上に囲まれてるんだもん。


 とはいえ、わたしの敵じゃないですね。

 かるーく氷結の術式を使ったら周囲の敵をほぼ殲滅、余裕です!

 まぁ奥の方にまだまだ居るっぽいけど、しばらくは時間稼げるでしょう。


 さてさて、とりあえず降りますか。念のため精霊神衣は維持したままでいよう。





「ちゃくち! って、なんか思いきり見られてるんですけど?」


 視線も気になるけど、まさかこうなってるとはね。

 ミツキだけじゃない、マナミやコータ、トースケ、その他前世のクラスメイトまでいるとは。


 てことはアレ、やっぱり夢じゃ無かったってことかぁ。

 う~む、もしもわたしが夢オチだと思ってたら、ちょっとヤバかったね。


 それにしても、どうして小精霊のみんなが居るの?

 え? ミツキに呼んでもらったって、ちょ、急に抱きつかないの! ほんとあなたたち、わたしのこと大好きだねぇ、わたしも大好きだけど!


 って、まてまてまてい! ミツキが、呼んだ? しかも本体を? どういうことよこれ……。誰かに説明してもらいたいわ。


『ではお答えしますね』


 おっと、そこに居るのは精霊神たちですね。つまり、何かしたね?


『その通りです。我らはユキ様の幸せのため、この娘に〝雪姫〟を授けました』

『光のが言う通りじゃ。なによりあの娘、ユキと同じく精霊が好む精霊力を初めから持っておったしの』


 まじ? 日本には精霊力自体無かったから、召喚時に得た力なのかな?

 あーでもだからか、雪姫が使えるのって。


『ですね。ユキ様がご自身の精霊石の一部を使い、新たに作り上げた術装。使えるのは、精霊が好む精霊力を無意識に生み出せる者』

『そして妾たち精霊の友となりえる存在、じゃな』


 だねぇ。物がものだけに、いろいろ条件付けたもんね。


 まず、進化していない存在であること。

 進化した人だと、術装が定着する確率だいぶ下がるし、なにより術装を複数持つ可能性が出てくる。そう言うのは問題になるから避ける。


 次に、わたしみたいに無意識でも精霊が好む精霊力を生み出せる人。

 これは術装が強力なのもあるけれど、いつぞやのミスト君みたいな失敗をすると大変だから。


 そして一番重要なのが、精霊と友達になれる人。

 友達じゃないと、精霊が危ない時に助けてくれないだろうし、悪いことに使おうって考える可能性まである。そう言うのはダメです。


 そんな条件に合う人を見つけたら、その人と精霊を守るための巨大な力、すなわち術装を渡すって決めていた。

 友達のためなら、過剰とかやり過ぎとかは無いのです!


 だけど、あれ? 雪姫が使えたのはわかるけど、どうしてこの子たち、本体で顕現しちゃったの? 相当なことなんだけど。


『どうやら、あの娘からユキ様の精霊力に近い力を感じたようなのです。何か覚えはありませんか?』


 わたしに近いの? んー……、魔石はあげてないし、精霊力の譲渡もしてないしなぁ。


『ならば贈り物とかはどうじゃ? ユキは気に入った相手にはよくやるしの』


 贈り物……まさか、ネックレス?

 いやでも、あれはわたしじゃなく〝ぼく〟があげた物だから、直接関係ないか。


『なるほど、ネックレスですか。となると、やはり変わってしまったようですね』

『じゃな。どうやらユキとあの娘を過去へ送った際、多少の変化があったみたいじゃ。しかも光のがあの娘を過去に送ったゆえ、別の世界が生まれたのではなく、あの娘自身も含めた過去が変わったようじゃ』

『些細な改変ですが、おそらく〝ユキ様が作られた贈り物〟という状態になったと思われます』


 なるほど、あのネックレスは〝ぼく〟が作った物だから、それが〝わたし〟が作ったことになぜか変化したってことね。どうしてそうなったのかは謎だけど。

 そういえば前世でも物作りが好きだったこともあり、ミツキの誕生日プレゼント用にがんばって作ったんだったかな。ちょっと懐かしいわ。


 って、もしかしてあのネックレス、魔力や精霊力が付与されちゃってるの? わたしが作るものって、大体わたしの魔力や精霊力を含んだ状態になっちゃうから。


『おそらくその予想が正解ですね。その結果、あの娘は長い期間ユキ様の魔力と精霊力を浴びて過ごした、という歴史になったかと』

『しかもあの娘、肌身離さず所持していたようじゃしの』


 うはぁ、これは完全にやってしまったわぁ。

 簡単に言えばこれ、魔力とか精霊力を持たない存在に魔力と精霊力を付与し続け、強制的にわたしに近い力を持つ存在へと変化させたってことだよね。だからこの子たちも警戒せず、本体で顕現しちゃったと。


 わたしに近い力を持つのは一見良いことのようだけど、種族改変に近いから、そういう意味ではかなりマズい。

 う~む、お母様たちに報告しないとダメな気がしてきた。大事にならないといいなぁ……。


『問題は無いと思いますが、あの娘にもユキ様からしっかり説明してあげてくださいね』


 あー、やっぱしないとダメだよね。前世が絡んでるから少し億劫になるけど。

 それはともかく、ここにみんなが居るってことは、過去に送るだけでなく、わたしが来るまでミツキが生き残れるように、関われる範囲で助けてくれたんでしょ? みんながやりそうなこと、大体わかるからね~。

 だから、助けてくれてありがとーね!





 さてさて、精霊神たちとの会話はそこそこに、こっちだね。

 とはいえどうしたものか。まぁ別に、わたしの前世うんぬんは言わなくていいか。どうせ気が付かな


「カズ、くん?」

「な~に? って、いや、あの、えっと」


 ちょ、なんですかミツキさん、急に前世の名前を出すとか。あわてて返事をしって、うひゃ!?


「また、またあえた……」

「あー、うん、そうだね」


 あちゃぁ、抱きついたかと思たら泣きだしちゃったよ。

 死にそうになったからか、それとも再会できたからか、そこはちょっとわからない。だけど泣きたくなるくらい、いろいろあったみたいだね。


 本当なら気のきいたセリフでも言えたらいいけど、イマイチ思いつかない。

 なので、とりあえず頭を撫でて落ち着かせましょう、よしよし。


 しっかしこの状態、完全に周囲の空気を無視してますよね。

 こりゃぁもろもろの説明とか、結構大変なことになりそうだわ……。





 1分くらいかな、撫で続けたら少し落ち着いてくれた。わたしのなでなでも大したものですね!


「とゆーか、なんでわかったの?」

「えっと、なんとなく?」

「なんとなくでわかっちゃうとか、女の子ってすごい」


 恋する乙女はうんたらかんたら、ってやつですかね。

 あと考えられるのは、過去から戻るとき、わたしがミツキの状況を一瞬見たように、ミツキもわたしが見えたんじゃないかな?


「ね、ねぇお嬢ちゃん、えっと、申し訳ないのだけれど、お姉さんたちに説明してくれるかな?」

「ぷぷっ」

「ちょ、なんで急に噴き出すのよ!?」

「いや、なんかマナミのそういう口調、すっごい違和感あるなーって」

「え? いやまって、ウチ、自己紹介してないよ? というか、お嬢ちゃんとは初対面でしょ?」

「ふむふむ、つまりわかってるのはミツキだけってことだね」

「私だけ……ふふっ」


 うん、自分だけ特別って知ったからか、喜んでますね。

 とゆーか、ミツキもえらいあっさりと認めてるなぁ。普通は『なんで女の子?』とか『人間じゃない!?』とか、何かしら言ってきそうなのに。まぁいいけど。





「えっとね、マナミちゃん、この子、カズくん、だよ」

「はい?」

「なのです! あ、今はユキって名前です!」

「まって、どういうことなの?」

「んー、簡単に言うと、別の世界で死んでこっちに転生ってやつだね」

「はいぃぃぃ?」

「そのありえないようなモノを見る目、わかるよー。わたしも転生初日、そう思っちゃったからね!」


 ほんと、なんでこうなったって思ったからなぁ。

 今じゃ転生に感謝しかないけど。


「え、えっと、つまり、君はあのカズヤなのか?」

「そうですよ、ヒーローパジャマを中学に入っても着ていたコータ君!」

「な、その秘密は!?」

「どういうことだ?」

「わたしとコータしか知らない秘密ってやつだよ、親に漫画のお色気シーンを切り抜いていたのが見られたトースケ君!」

「ぐはっ」

「ほんとにそうなの?」

「ならマナミの秘密も言おうか? 一番ダメージ少ないのは、服の中にかくし」

「!? わかった! 確かにあんたはあのカズヤだ!」


 どうやら分かってもらえたようで、わたしは満足です!

 まぁ三人が複雑な目で見てきたけど。


 だけどとりあえず


「念のためもうちょっと安全確保しておくかぁ。とゆーわけで」


 胸元からヒトガタを取り出す。

 ふっ、さすがお母様の娘、身長は無いけどなかなかの発育で、今じゃこれができるのだ! まぁもうちょっと大きいほうがカッコいいけど、そこは今後に期待。


 ではではヒトガタを展開っと。100体いれば十分かな?


「な、なにそれ? カズヤ、説明!」

「ん? これ? ヒトガタだよ」

「かっこいい……」

「だ、だが、なんていうか」

「巫女って言うか陰陽師、になるのか?」

「いいえ、わたしは巫女です! それじゃ一気に殲滅するよー」


 サクッとヒトガタを操作し、殲滅に向かわせる。

 念のため人っぽいのは生け捕りにしておこう、情報が得られるかもしれない。


 にしても、うん、ミツキ以外あんぐりしすぎ。そんなに異常かな?

 対するミツキは、なんていうか、エレンみたいにキラキラしながらすっごく抱きしめたままですね。

 まぁしょうがないか、死んだはずの人間が目の前に戻ってきたら。


 さてと、他のクラスメイトとも情報共有しないとダメだろうし、お茶とか用意しますかね。

 とはいえ、とりあえず救出任務完了、かな?

救出任務もだいぶあっさり

しばらくミツキたちとの話が続きます

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