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142話 落ち着いたら世界の秘密へ!

 メイとガーディアン騒ぎから数日後、ようやく落ち着いたって感じだわ。


 ガーディアンの方は工場があったせいで流石に大騒ぎ、他のダンジョンからちょっとした洞窟まで、工場がありそうな所を徹底的に調べたみたい。

 しかも国の垣根を越えて、レグラス主導でやっちゃうとはねぇ。


 その甲斐あって、建設中の工場と、維持できずに廃棄された工場がいくつも見つかったみたい。

 幸いだったのは稼働中の工場が無かったってことだね。まぁあの世界からの転移を完全に封じるのは難しいようだから、ガーディアンの脅威と奴らの侵略が無くなったわけじゃないけど。


 メイの方は予想通りだった。

 冗談抜きに毎日電話なりメールなり、必ず一回は連絡してくるんだもん。

 とはいえ長時間拘束はなく、長くても1時間程度。メイはメイで、色々とやらなきゃいけないことがあるみたいだからねぇ。





「ところで、あの、お母様?」

「な~に?」

「えっと、どうしてわたしはずっと抱きしめられてるのかなーと」


 情報共有も兼ねて、実家の書斎にてお母様に報告してたけど、なんか変なことになったわ。

 何があったか報告し終わるなり、お母様がわたしをぎゅーっとしてきたんだもん。突然のことでちょっとびっくり。


「そうね、簡単に言っちゃうと、ユキちゃんが不安になっていたから、かしら」

「わたしが、ですか?」

「ゼイラムって子に言われたこと、結構気にしてるんじゃない?」

「えっと、まぁ、その、はい……」


 気にしないつもりだった。

 だけどなんかモヤモヤが残ってる。


「大丈夫ですよ、ユキちゃんが私の娘なのは誇っていいことです」

「でもわたし、すっごい弱いですよ?」

「確かに家族の中ではちょっと弱いかもしれないわ。だけど強さなんてすぐに何とかなるわよ」

「だけど……」

「それにね、お母さんたちは今のユキちゃんじゃないとダメなの。他の子だった場合とか、絶対に考えたくないくらいユキちゃんじゃないと嫌なのよ」


 そう言ってお母様がぎゅーっとしながら頬ずりしてくれる。ちょっと照れます。

 だけどそうきっぱり言われちゃうと、なんかいろいろ吹っ切れた。わたしってほんと単純だなぁ。


「なので、ユキちゃんはこれからもずーっと私の娘なのを誇っていいんです。誰かに何を言われても気にしなくて大丈夫よ」

「は~い。ねーねーお母様」

「なにかしら~?」

「わたし、お母様の娘に生まれてすっごく嬉しいです! だってお母様やみんながすっごい大好きだから!」

「ふふっ、そうね、私もユキちゃんが大好きよ~」


 さらにぎゅーっとされる、なでなでもしてもらう。はふぅ、気持ち良すぎてほんとダメ、お母様から離れたくないです。





 お母様とイチャイチャしていたら、お父様が書斎に入ってきた。


「おや? 今日はなかなかすごいことになっていますね」

「遅かったわねタツミさん。何かあったのかしら?」

「えぇ、ちょっと面白いものが届きまして」


 そう言ってお父様は近くに座り、わたしの頭を撫でてくれながら懐から何かを取り出す。はふぅ、お母様とお父様によるダブルなでなで、もうヤバすぎます。


「王家に対し、このような親書が届いたのですよ」

「あらまぁ、これは凄いわね」

「ふぇ? 何かあったんですか?」

「そうね、これはきっとユキちゃんのおかげね」

「ふぁい?」

「簡単に言いますと、これまで国交がなかった大国との友好関係が一歩前進したのです。同盟関係も視野に入るくらいですね」

「その大国というのがね、メイちゃんが住んでいる国なの。ね、ユキちゃんのおかげでしょ?」


 な、なんだってー。これはあれですか、わたしがメイと仲良くした効果ってやつですか?

 だとしたら、なんていうか、メイのお父さんも親バカな気がする。たぶんメイがわたしに会いたいからとかを優先して、それじゃ国交も結んじゃおうかーなんて話になった気がするわ。


「なんていう国なんですか?」

「その国は〝エリュシオン〟って言うの」

「ほえー、なんか、あれですね」

「ユキさんの思っている通りです。このエリュシオンは転生者が建国し命名した国なのです。転生者がよく使いそうな国名なのはそのためですよ」

「そしてメイちゃんのお父さんが現国王なの。3代目だったかしら?」

「メイってほんとーにお姫様なんだ。あれ? でもでも、そんな名前の国、今まで聞いたことすらなかったんですけど」


 確かにこの星にある全部の国を知っているわけじゃないけど、大国だったら多少は聞いているはず。でも一切聞いたことないんだよねぇ。


「そうね、せっかくだからこの星について少しお話しするのも良いかしら」

「ですね。ではサユリさん、例の地図をお願いします」

「わかったわ~」


 そう言ってお母様が亜空間を開き、世界地図を取り出した。ほんと便利そうだなぁ亜空間収納、わたしも使えるようになりたいな。


「それではユキさん、この地図で何かおかしな所はないでしょうか」

「んーっと、んー……? あれ? なんかおっきい」


 地図を見たけど、なんかわたしの知らない地形がいっぱいある!?

 しかもうちの国が地図だとすっごく小さい!? もっと大きかったはずなのに、なんで?


「順番に説明しましょう。そもそもですが、この世界には太陽が4個あります、なぜだか分かりますか?」

「んー、太陽が分裂しちゃったとかですか? スライムとかみたいにポーンって」

「可愛い答えですが違います。正解は『4つの世界が交わった』からなんです」

「4つの世界?」


 いやいや、ほんと聞いたことないんですけど。精霊界とかそういう世界のことなのかな?


「元がどういう世界だったのかは不明なのですが、人が住んでいた世界が4つあったようなのです。並行世界が4つと考えた方が良いかもしれませんね」

「その4つの世界が何かの影響で重なって、一つの大きな世界になっちゃったのよ。世界が重なった際、住んでいた惑星も統合されて一つの大きな惑星ができたの。それがこの星なのよ。ちなみに、4つの太陽はそれぞれの世界からやってきた太陽なの」

「な、なんかすっごいファンタジーのようなサイエンスのよーな」

「ふふっ、そうね。しかも大きくなったのに、なぜか重力も時間の流れも変化が無いそうだから不思議なのよね」


 たしかに。惑星が大きくなればそれだけ重力も、そして時間の流れも変化するはず。だけど昔からこの重力で、しかも時間も同じだったってこと? とゆーか


「えっと、どうしてそんなことが分かっちゃうんですか?」

「それはね、私のお母さん、つまりユキちゃんのおばあちゃんが、統合した世界が正しく維持できるよう改変した術者の一人なの」

「えぇぇぇぇぇぇ!?」


 いやね、そりゃね、お母様のお母様、つまりお祖母様(おばあさま)が居るのは分かるよ。

 だけどなんですかその超常現象やっちゃいました風な人は。とゆーかそれこそ神様じゃん。


「おや、ユキさん、その考えは正解に近いですよ」

「あぅ、さっくり考えが読まれちゃった」


 ほんとうちの家族ってみーんなわたしの考えお見通しなんだよねぇ。

 アリサやエレンにもバレバレになってるし、困らないけど困っちゃうわ。


「あの方は私の師匠でもあるのですが、他の転生者が言うような似非神ではない、本当の神のような方なのです。とはいえ崇める対象ではなく、たまたま世界の創造に携わっただけですけどね」

「精霊神に近い存在と考えて良いわよ。それにおばあちゃん以外にも同じような人が何人も居るの。生きるのに飽きて転生した人が大勢だけどね」

「ほぇ~、なんか壮大になりすぎて唖然としちゃいます」


 すごすぎるの一言なんだもん、他の表現を思いつかないくらいだし。


 でも納得することもあるなぁ。

 お母様がすっごく強いのは、おそらくお祖母様(おばあさま)からの遺伝。そしてお父様が強いのは、お祖母様(おばあさま)に鍛えてもらったことも関係しているっぽいね。


 それにしても、お祖母様(おばあさま)ってどんな人なんだろ?

 強いのはわかるけど、どういう性格なのかな? 優しくしてくれるかな? 色々と気になるし、会ってみたいなぁ。


「少し休憩しましょうか、ちょうど新作を持ってきましたから」

「キャー新作のケーキ! さすがお父様、大好きです!」

「そう言ってもらえると、私も作った甲斐がありますね」


 そう言ってお父様が笑顔でケーキを取り出し、並べていってくれる。しかも色とりどり、いろんなのがいーっぱい。見てるだけで幸せになっちゃうわ。

 単純だけど、ほんとわたし、このうちに生まれてよかったです!

糖分補給のお時間

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