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129話 解析もいいけどモフモフもね!

 ミスト君問題はカイルに任せたので大丈夫でしょう。カイルがミスト君を連れて帰る際、ショージ君とアンジーさんがちょっと心配そうな顔してたけど。

 おそらく今までミスト君だけを外泊させるとかしなかったんだろうねぇ、ちょっと過保護すぎな気がするわ。


 さてと、それじゃわたしはお仕事をがんばりますか。

 っと、その前に


「それじゃショージ君とアンジーさんは昨日の延長で、わたしが2体のゴーレムを作り出すのでそいつと戦ってください。倒しても自動で復活するので気を抜かないようにね」

「了解した。それじゃいっちょやってみるか」

「ですね、私もがんばります」


 二人とも気合十分って感じで、わたしの作ったゴーレムとの模擬戦を開始した。

 わたしとアリサが直接相手したほうが良いんだけど、お仕事があるからね。まぁゴーレムのコアにはヒトガタを組み込んだから、単調にはならず臨機応変な戦いができると思うし。





 ではでは、お仕事を開始しましょー。


 やるのは

 ・その1 あの勇者の誘い声をわたしは感知することができなかった理由

 ・その2 わたしとミスト君だけ転移させた方法

 ・その3 学園ダンジョンの罠に転移を割り込ませた方法

 この3つの原因を探り、対策をねることだね。まぁ原因については大体予想がついてるけど。


 声の方はおそらく催眠魔法の一種だね。

 しかもミスト君のような『状態異常に対する耐性が低い人』を狙い撃ちしたものだと思う。

 そんな魔法をわたしが全く感知できなかったのは、感知する必要もないヨワヨワ魔法だっただけ。耐性強化しなくても無効化できちゃうくらいヨワヨワ魔法とか、だいぶ舐められたものですね!


 次に転移の方法だけど、これはガーディアンの機能が原因。

 たしかガーディアンには強制転送の装置があったはず。弱い者を強制転送して集め、一気に殲滅するためだったかな? おそらくその装置が転移の原因。

 二人だけだったのは、たぶん保有魔力を見たんだろうね。ミスト君は魔力がダメダメだし、わたしも魔力のほとんどを魔石の修復に充ててるから、保有魔力ってほとんどないような状態だからねぇ。


 罠への割り込み、これもおそらくガーディアンの機能。

 たしか転送を妨害し、別の場所へ転送させる機能があったはずだから、それを使ったんだろうね。

 しかもガーディアンの転送機能って、惑星半分をカバーできるくらい広域。誰かを指定したのではなく、転送があったら片っ端から割り込み、そのまま拉致してそうだわ。


 あとはこの予想が正しいのかの立証と、正しければその対策か。

 勇者の使う催眠魔法はレイジに任せておこう。予想した内容を連携しておけばサクッと済みそうだし。


 残るはガーディアンだけど、こっちは地道に調べていくしかない。術を使ってポンって感じに解析できないのは厄介だねぇ。 

 まぁいいや、それじゃじっくりこねこね調べていきましょー。





「むぅ、みつかんない」

「ずいぶんと分解されましたが、目当ての装置が無かったのですか?」

「そうなの。内蔵装備だと思ってたんだけど、違うのかなぁ。もしかして外付け装備だった? だとしたら完全に破壊しちゃったし、う~ん……」


 アリサに手伝ってもらいながらガーディアンの部品を分解したり、組み立て直したりしてたけど、それらしい装置が一切見つからないとは。

 前世の記憶だとたーしか内蔵してたはずなんだけど、どういうことなんだろ。記憶違いなのかなぁ。


「お嬢様、少し休憩されては?」

「そうしようかなぁ、ちょっと疲れてきちゃった」


 ガーディアンの分解と組み立ては、正直あまり疲れない。機械弄りって結構好きだし。

 だけど精神が疲れてきた。これはたぶん、ガーディアンという前世の敵が目の前にあるから、今回の騒動ってわたしが原因なんじゃ? って考えちゃうせいだね。

 たまたま前世で戦った勇者が転移してきて、偶然ガーディアンもいただけ……なんだけど、妙に不安になっちゃうし。


 そんなウジウジモードになりかけてたら、急にアリサが後ろからぎゅーってしてきた。


「ちょ、アリサ!?」

「大丈夫ですよ、お嬢様のせいじゃありませんから」

「えっと、もしかして顔に出ちゃってた?」

「えぇ、ハッキリと」

「むぅ」


 ちょっとの不安ですら顔に出ちゃうとか、何年経ってもこの体質は変わんないなぁ。これはもう隠し事とか一生できない気がしてきたわ。


「そもそもですが、お嬢様は考えすぎです」

「かなぁ。でも、ほんとに偶然なのかなぁって、ちょっと不安に」

「偶然です、偶然以外ありえません。なので不安になる必要は全くありません」

「断言しちゃうの!?」


 バッサリ言われるとはちょっと想定外。

 でもアリサが断言してくれたから、だいぶ落ち着いたかな。自分以外の人に言ってもらうのって効果てきめんなのかも。


「どうやら大丈夫そうですね」

「うん。ダメだねぇわたしって。精霊さんの暴走とかでちょっと滅入ってたからか、バカなことを考えてウジウジし、アリサに甘えようとしてたわ」

「つまり、お嬢様は甘えたかったわけですね?」


 あっ、なんかわたし、余計なことを言った気がする。

 だって一瞬アリサの気配が……うにゃぁ!?


「ま、まってアリサ、思いきりぎゅーってされると、その、近いし、えっと、あの、いろいろとマズいんだけど!?」

「いつものお返しです。お嬢様はいっつも私の方を照れさせようとするんですから、たまには反撃しませんと」


 自分からするのは平気なんだけど、逆にやられるのはちょっと恥ずかしくて、あぅあぅ。

 何より自分が好意を持ってる子だとさらに恥ずかしくて、ちょっと、うぅぅぅぅ。


「おや? お嬢様、お顔が真っ赤になってますよ?」

「しょ、しょうがないじゃん! というか知ってるでしょ、わたしは攻められる方は弱いってことを!」

「それはもうバッチリと。でもそうやって照れているお嬢様もかわいいですよ?」

「あうぅぅぅぅ」


 完全にアリサが小悪魔モードだよ。

 ちょっ、まって、この状態で尻尾もモフモフとかだめぇぇぇぇぇぇ。





「うぅ、人前で女の子があげちゃいけない声を出してた気がする」

「か、かもしれないですね……ちょっと調子に乗ってしまいました」


 小悪魔モードのアリサ、強いです、勝ち目がないです。


 それにしても、わたしって尻尾の反応が両極端すぎるなぁ。

 嫌い、というか興味ない相手に触られるのは吐き気がするくらい嫌だけど、家族や好意のある相手だと無意識にもっと触ってもらおうとしてる。しかも耐性とか抵抗とか一切なく、されるがままになってるみたいだし。

 そのせいでこんな状況にしょっちゅうなるとか、ほんと困ったものです。


「まぁいいや、それじゃアリサ、これからガーディアンのコアを再起動させるから、念のため術装出して構えてくれる?」

「もしも襲ってきたら倒すわけですね、わかりました」


 コアだけなら再生はしないはずだけど、念には念。それじゃ再起動用の術式を展開してっと。


『…………ガーディアン、タイプコマンダー、リブート、カンリョウ。コレヨリ、セルフチェック、ヲ、カイシ…………カンリョウシマシタ。ゲンザイ、ノ、ソンショウリツ、90パーセントイジョウ。キテイ、ニ、シタガイ、トウロク、ヲ、ショキカシマス…………カンリョウシマシタ。サイド、マスタートウロク、シテクダサイ』

「おー再起動した再起動した。ちゃんとマスターの再登録が必要な状態に遷移してなにより。それにコマンダーという大当たりのガーディアンも引き当てたとは、ちょっとついてるわ!」

「どういうことですか?」

「えっとね、ガーディアンには階級があるの。このコマンダーってのは、その名の通り指揮官機ね。だから情報もいっぱい入ってると思うんだ」

「なるほど。それにしてもこのガーディアンの声? と言っていいのか、なんとも変な感じですね」

「これはあの世界で使われてる機械音声だからね。決められた単語を流してるだけだから、妙な感じになっちゃうの」


 この方がカッコいいとかって、製作者の勇者は思ってそうだけど。


 それにしてもこの欠陥、まだ直してなかったのか。むしろ直せない方なのかな?

 損傷率が高いガーディアンをコアだけの状態で再起動すれば、どういうわけかマスター登録が強制解除されるとか、かなーり致命的な気がするんだけど。しかも再登録すれば情報を引き出せる端末に早変わりというオマケ付きだし。


 まぁいいや。それじゃじっくり調べていきましょー。

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