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101話 いざ、ダンジョン対決へ?

 尻尾増えちゃった問題も解決したので、わたしも学園に向かう。ただし保護者付きで!

 参観には許可証が必要だけど、すでにシズクさんが学園長から参観許可証を貰ってきてるんだもん。ほんとうちメイド長は優秀すぎです。


 馬車はエレンに貸してあるのでどうやって行こうかなって思ってたら、こんどはお母様がサクッと転移門を開いてくれた。

 でも転移門も許可がないと使っちゃダメな、え? 転移門の使用も学園長に許可を取ってきたので大丈夫ですか……。ホントはんぱねーです。


 学園に着いたのでまずは冒険科を目指す。

 ただなぁ、お母様が居るからすっごい人目を引いてる。だって9本の尻尾を隠さないで堂々としてるんだもん、目立たないわけないよねぇ。


 まぁお母様の意図はわかる。わたしに変なちょっかいを出したら、レグラス最強の狐族が報復しますよって言う意思表示なんだよね。未来のわたし問題のせいで、きっとお母様も神経質になってるんだろうなぁ。





「お、来たな。話は聞いて……、は? いや待ってくれ、オレの見間違いか? とんでもない人物がいるように見えるんだが」

「私のことは気にしなくていいわよ。ちょっと早い母親参観日ってとこかしらね」

「参観日って……マジかよ」


 あらまぁ、マクレン先生が頭抱えて項垂れてるわ。

 無理もない、この国でも有名なお母様が目の前に現れたらそうもなるよね。でも別に先生をいじめに来たわけじゃないから、そこは安心してもらいたいね。


「えっと、それで先生、エレンたちは?」

「あ、あぁ、転移門の方にいる。ただな、ちょっと揉めてる状態だ」

「交互に潜るのを向こうが飲まなかったんですか?」

「それもあるんだが、昨日お前さんの家に冒険者を放ったこと、奴さんは認めない状態でな。そしたら嬢ちゃんたちが責めだして、それを受けた奴さんの女連中も反論しだしての泥沼状態だ」


 泥沼状態になるとは予想してなかったわ。まぁ冒険者たちは捕まえてるから、決定的な証拠ってやつも簡単に用意できるんだけど。それでも適当なことを言って絶対に認めない気がするなぁ。

 だけどこれはちょっとまずい。だってお母様が居るから……


「……そう、ふざけたゴミ虫ね。ユキちゃん、ちょっとお母さんはお掃除してこようと思うんだけど」


 やっぱりこうなったぁぁぁぁぁぁ。しかも殺気を隠そうとしないあたり、ほんとーに殺る気だよ。

 さすがにお母様が手を出しちゃうのはまずいので、抗議の意味を兼ねて抱きつく! こうすることでお母様はゴミ虫の掃除なんかより、わたしをなでて甘やかす方を優先するのだ! ……まぁお母様以外にも通じるけど。

 案の定、抱き着いたとたんにお母様からは殺気がなくなっていつもの優しい感じになる。間一髪だわ……。


「えっと、お母様に助けてもらうのはちょっと情けなくなっちゃうので、ここはわたしたちに任せてもらいたいのです。この程度は余裕で解決できないと、お母様の娘として恥ずかしいですし」

「あらあら、それはなんとも可愛らしい宣言ね。ユキちゃんがそう決めたのなら、私とシズクは見守るだけにするわね」


 実際、何でもかんでもお母様に頼ってたら、わたしってただの可愛い女の子になっちゃうんだよね。それはそれでアリなのはわかってるけど、あくまでわたしはお母様と同じ強い狐族が目標だし。なにより、両親の力をしっかり受け継いだ恥ずかしくない存在になりたいもん。


「それじゃわたしとアリサはエレンたちのところに行ってくるので、お母様とシズクさんはここで待っててください。さくっと終わらせてきます!」

「ふふっ、わかったわ。そうね、せっかくだから尻尾は隠さなくていいわよ。そして策や小細工など無意味、圧倒的な力の差を見せてあげなさい」

「はーい」


 尻尾の偽装を解除っと。念のため学園内だと尻尾は隠しておく予定だったけど、そうも言ってられなくなった感じだしね。

 どうせ目立つなら、逆に圧倒的な存在なのを見せつけて、馬鹿な真似をするゴミがこれ以上出ないように釘を刺す方向にもっていくわけですな。


 まぁ案の定、偽装解除したらちょっと騒がしくなった。この歳ですでに尻尾が5本もあるとか、騒ぎになるのも当然ですね。





 アリサと二人で学園ダンジョン入り口に繋がる転移門の方へ向かう。

 転移門は初級、中級、上級、の3つに分かれてるので今回は中級の方に。上級には初等部在籍中は入っちゃダメなのが残念ね。わたしたちの場合、中級じゃ物足りないと思うからなぁ。


 それにしても


「どうしたのアリサ? なんか普段よりも顔が赤くない?」

「こ、これは、しょうがないんです! だってお嬢様が昨日よりもすごく可愛く見えて、ちょっと見惚れてしまうといいますか」

「……マジ?」

「大マジです。こうやって手を繋いでるのも危ないんですよ? 気を抜いたら襲いたくなるというか……」


 ……はい? なんかすっごい危ない発言してませんかアリサさん。

 しかも襲いたくなるって、ちょっとマジですか?


 あーそういえばお母様に〝魅了〟について注意されてたなぁ。


 もともと狐族には、術や魔眼を使わなくとも相手を軽く魅了する能力がある。魅了といっても多少好感度が上がりやすい程度の弱い力。しかも対象となる相手も限られていて、自分が好ましいと思う相手に限定される。

 この能力は、たしか魅了した相手に守ってもらうためだっけ。本来の狐族は最弱な種族ゆえ、生き残るために会得した種族特性に近い能力とかなんとか。


 この能力はお母様にも、当然わたしにもある。

 もっともお母様は完全に制御してるようで、好ましくない相手でも魅了することができる。さらに思考や感情を誘導して、意のままに操ることまでできる。魔眼無しでそこまでできるとか、ほんとすごいわ。


 わたしは魅了能力をそこまで制御できない。

 そもそも魅了能力に頼って仲良くなるのは嫌だから、使わずに抑えることばかりしてる。使っていないんじゃ制御も向上しませんよね。


 だけど進化の影響で、その抑えが甘い状態になってるみたい。

 そして甘い状態だからか、アリサに対して魅了が発動してると。しかも魅了能力がちょっと強くなってるようだし、気をつけないとまずいなぁ。


 でもそっかぁ、にゅふふ


「じゃぁじゃぁ、こうしたらどうなるのかな~?」

「お、お嬢様!? 急に抱きつくとか、ほんとまずいんですって!」


 ちょっと腕に抱きついただけでこのあわてっぷり、予想以上にやばそうね。

 しかもわたしってまだ6歳なんだよねぇ、まだまだ幼女なんだよねぇ。それなのにこの反応とか、数年後がちょっと恐ろしいわ。





 アリサとイチャイチャしながら転移門の前に来た。ちょっとやりすぎたか、少しアリサがふにゃけてるけど、まぁ大丈夫でしょう。


 さてと、気持ちを切り替えてエレンは、あーいたいた。

 確かにエレンが向こうの女性陣にキレ気味で噛みついてるなぁ。レイジとノエルは加勢した方がいいのか悩んでるね。


 向こうの勇者は……うん、エレンがキレかかってるのも納得。なに堂々と取り巻きの女たちとイチャイチャしてるんですかね? しかもお触りまでしてるとか、完全に見せつけてますね。これはもうあれだ、ハーレム勇者だわ。


「お待たせしましたよっと」


 とりあえずエレンの傍に向かう。

 案の定、わたしの尻尾を見て口論は中断、妙なざわめきが起こった。昨日までは尻尾が1本だったのに、今は5本だからなぁ。口論そっちのけで気になるのも無理ないわ。


「で、提案は受け入れたの?」

「残念ですけど、完全に平行線ですわ。しかも提案を受けないどころか襲わせたこと自体認めず、あろうことかわたくしたちを嘘つき呼ばわりですのよ」

「当たり前さ。襲わせたなどということは事実無根だし、なによりオレ達にはその提案を受けるメリットが何もないからな。メリットがあるなら考えてもいい」


 どうやらエレンは冒険者に襲わせたことは水に流すから、代わりに提案を受けろって方向でやってたみたいね。

 でも相手はそれに乗らず、あろうことか逆に挑発してくるから口論になったと。


 それにしてもメリットねぇ。なんとなくだけど、奴にとってのメリットを作るためにわざと引き延ばしてたんじゃないかな。そうでなければ意固地になる意味がないわけだし。

 さてさて、何を言い出してくるやら。


「それじゃ何を条件にすればいいのかな?」

「簡単さ、オレ達が勝ったら君がオレの女になること。他の子たちも惹かれるんだが、欲をかくと手痛いしっぺ返しに会うかもしれないからな」


 やっぱそうなるよね。わたしだって珍しい種族の子が居たら、その子とどうやって友達になろうか考えるもの。こいつの場合は下種な考えからだとは思うけどさ。


「それでいいよ。で、先に潜るのはどっちから?」

「オレ達から行かせてもらおうか。先に潜られて罠を仕掛けられても困るからさ」


 そんなめんどくさいことしませんよー。というか配信されてる時点で罠なんて無意味でしょうに。

 むしろ後を選んで先駆者の順路を確認し、そこから最短距離を考えるのがダンジョン攻略での基本でしょうに、馬鹿だねぇ。


 まぁいいや、どんな実力かじっくり見させてもらおっと。

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