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6.初めてのチーム狩り

7日目朝。


まだ開いてないギルドだが裏庭には入れる。木刀の素振りをする。

ギルドには木刀を卒業した人たちが後輩のためにと、たくさんお古が寄付されて置いてある。

赤毛の子が話しかけてきた。


「お?久しぶり。」

「えーと?どなたでしたっけ。」

「ジョン爺さんとこで会っただろ。レッドだよ。ほれ、この赤い髪思い出さないか?」


そういえば赤い髪の子がいたような気がする。

どうも僕は名前をすぐ忘れるたちのようだ。気を付けないと。


「裏庭に来てないから様子を見に行ってくれってジョン爺さんに頼まれたんだ。ちょうどよかったぜ。」

「宿屋に泊まってました。」

「おおーすげなショウ。俺なんてまだここの裏庭住まいだぞ。」

「地面だと敷物があるとはいえ寒くって眠れないんだ。お金があるときは泊まるようにしてる。」

「まあ人にも体調ってものあるからな。俺なんて頭以外は丈夫だって言われてるんだ。ワハハ。」


面白い奴。これから大ネズミを倒しにいくという。僕はまだ講習の時に倒しただけだ。

人がいたほうが助かるっていうのでついていくことにした。


渓谷の崖の上にいるそうだ。

タマちゃん元気かなと思いながら一緒に移動する。


木々から日は射してるが結構さむい。

そもそも上着はこれ一枚しかない。買うと荷物になるしどうしようかな。


「レッド、冬服とかどうしてるの?」

「あん?そりゃ箱にしまってあるぞ。」

「箱ってなんだ?」

「なんだよ。ギルドねーちゃんに説明されてないのか。自分専用の箱無料で貸してもらえるぞ。

管理料は一年1銀貨だったかな。てかショウ、お前持ち物どうしてるんだよ?」


知らなかった。ロッカーみたいなものがあるらしい。

これで着替え類は持ち歩かなくてよさそうだ。冬物も買うことができる。


「ジョン爺さんの言うとおりだな。言葉は丁寧だしこの辺の人間じゃないだろ。

俺の知ってる範囲なら教えてやるぜ。」

「マジか。助かる。」



レッドがいきなり立ち止まってシーッと人差し指を口に当て、手ぶりでそろそろ動く。

ギルド講習で倒したことのある大ネズミだ。

落ちた木の実を探してるのかずっと地面を探りながら動いている。


木の槍をもってるレッドは反対側に移動してとびかかる。

一撃とはいかないがうまく槍が背中に刺さった。

よろよろしながら僕のほうに逃げてきたのでダガーで仕留める。


調子よかったのはここまでで、ダガーにべっとり付いた血とか、肉がちぎれてピクピク痙攣している獲物とか。


「うぐっ!」慌てて口を押える。吐きそうだ。

「おい大丈夫か?気持ち悪いなら吐いてしまえよ。楽になるぞ。」


胃がグルグルするし涙があふれてくるし、クラクラして気持ち悪い。

ギルドで皆で倒したときはこんな気持ちにならなかったのに。


水をもらって落ち着いてきたころには、レッドが解体もおわらせていた。



「狩り初めてだったのなら無理するなよ。ネズミも苦しませちゃったかな?こういうのは一撃で倒さないとな。」

「レッドって顔に似合わず優しいことを言う。」

「うるせー。常識だよ。それよかショウはいい武器持ってるな。」

「ダガーだよ。街に来る前に家族タマちゃんにもらったんだ。」

「いい家族だな。」

「うん。」


「俺もいい加減、銅や鉄の武器を使ってみたい。」

「ああ。それで節約してたのか。」

「まあな。冒険者として生きていくにはまず武器がないとダメだからな。」



それからしばらく僕たちは大ネズミを倒しまくった。


「ショウが追い立てて俺が一撃で倒す。結構いいな。一人だとよく逃げられちまうんだ。」

「うん。僕も初めて獲物が倒せてうれしいよ。」

「俺たちヒヨッコは練習が大事だよな。」


そういいつつさくっと倒す。

倒した獲物をレッドがさばいていく。

こういうのは僕苦手だったみたいだ。レッドは毛皮と肉を包んで袋にいれると、残りは土に埋めた。

埋めとけばどこからかスライムがきてたべてくれるそうだ。

この世界ではゴミを分解する菌のような存在なんだな。



「ショウって動きは遅いが力が結構あるから盾とかいいかもな。」

「そういうレッドは動きが速いから斥候とか。」


話しながら大量の獲物をもってギルドに戻る。

ギルドの受付は狭いので、解体してあっても解体所のほうにもっていくのが普通だ。


「そういや取り分決めてなかったな。荷物はほぼショウに持ってもらったんだが半分づつでもいいか?」

「うん。かまわないよ。倒して解体したのはレッドだしね。」

「悪いな。金欠過ぎて余裕がないんだ。」

「いいよいいよ。また誘って教えてほしい。」

「ほんとか。お前いい奴だな。もちろんまた誘うぜ。」


いい奴なのはレッドのほうだ。

僕は山ネズミを追い立てて逃げられないようにするだけでやっとだったのだ。


さっそく受付に頼んでギルドの箱を借りる。

ロッカーぽいのだけど意外と大きいな。日本で言う一畳くらいはあるんじゃないか?

鍵が付いていて、ギルド営業時間ならいつでも出し入れ自由なんだそうだ。小銭も重いので余った分は入れておく。

お金はギルド銀行というのがあるのだが、保証人がいないと利用できないそうだ。


保証人か。さすがにレッドじゃダメだろうなぁ。

明日はゴールさんの店によってダメもとで頼んでみるかな。



今日も素泊まりの宿屋で眠る。

夜になるとなんとなく思い出されて食事をする気もおきなかった。

寝てしまうに限る。おやすみなさい。



お読みいただき、ありがとうございます。


少しでも続きが気になる、と思っていただけたら、

『ブックマーク』と【☆】何卒応援よろしくお願いします。


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