七日目 再会
どうも、伊達幸綱です。それでは早速どうぞ。
「……今日であの人がいなくなって何日が経ったんだっけ……」
公園のベンチに座りながら快晴の空を見上げて私はポツリと呟いた。あの人というのは、一歳上の恋人で私にはもったいない程に素敵な人だった。だけどある日、彼は突然姿を消した。ご家族もお友達も何も知らず、試しに携帯に掛けてみても全く通じず、警察の捜査も難航していた。そんな中、私も色々な人に話を聞いたり先輩が行きそうな場所を調べてみたけど、やっぱり先輩は見つからなかった。そして、時間だけが無駄に過ぎていき、今日に至るまで先輩に関する情報は何も得られずにいた。
「先輩……うぅ、会いたいよぉ……」
その内、私の目から次々と涙が溢れだし、私は誰もいない公園で静かに泣き始めた。泣いたところで何も変わらないし、先輩が見つかるわけでもなかったが、何故か突然もう先輩には会えないという予感がし、寂しさと悲しさから涙が溢れだしたのだ。
「先輩……先輩……!」
そうして一人で泣き続けていたその時、「何泣いてるんだよ」と声をかけられ、その懐かしい声に私はハッとしながら顔を上げた。するとそこには、いなくなったはずの先輩が制服姿で立っていた。
「せん……ぱい?」
「そうだよ。仲間や和解した魔王達と協力してようやくこっちに戻ってくる方法を見つけられたよ」
「…………」
「あ、そうだ。せっかくだから、俺の仲間達と会ってみないか? まあ、その内の一人は他に会いたい人がいるから、今はそっちに行って──」
私はスッと立ち上がると、先輩の言葉を遮るように先輩へと抱きついた。
「お、おい……?」
「バカ……先輩の大バカ! 私やご家族、お友達がどれだけ心配したと……!」
「……そうだな。本当に突然ではあったけど、姿を消す事になってゴメン。でも、寂しかったのは俺も同じだぜ? 他の奴が恋人や家族と仲良くしてるのを見て、俺も本当なら家族やお前と色々な思い出を作ってるはずだと思ってたからな」
「……そうですよ。だから、約束してください。もう勝手に私達の前からいなくならないと」
「……ああ、約束するよ。絶対にお前や家族の前からもう突然いなくなったりしない」
「……それなら良いです」
「ああ、ありが──って……なあ、よく考えたら俺がいなくなってた間、結構時間が経ってるよな……?」
「はい。それはもちろんですけど……」
そう答えると、先輩は絶望しきった様子でその場にしゃがみこんでしまった。
「ヤバイ……出席日数とか大丈夫か……? 下手したら留年だぞ、俺……」
「……帰ってきて早々、その心配ですか?」
「だって、留年になったら家族やダチから何を言われるかわかったもんじゃ──」
「私は……先輩ともっと長く学校生活を送れるのでそれでも良いような……」
「あ、たしかに……って、おい!」
「……ふふ、半分冗談です。とりあえず、ご家族に顔を見せに行きましょう。皆さん、とても心配なさっていましたから」
「……そうだな。それじゃあ……」
そう言うと、先輩は私に手を差し出し、私はその手を静かに取り、先輩の温かさを感じながらゆっくりと握り込んだ。
「……温かい。そういえば、前よりも手がゴツゴツとしている気がしますけど、何かあったんですか?」
「ん……ちょっと最近剣を握ってたからな。さてと、それじゃあ行こうぜ」
「……はい」
そして私は、最愛の人と再会出来た喜びを感じながら頭上の空と同じくらい晴れ渡った気持ちで先輩と一緒に歩き始めた。
いかがでしたでしょうか。これからも書き続けていくので読んで頂けると幸いです。
そして最後に、今作品についての感想や意見、評価などもお待ちしているので書いて頂けると嬉しいです。よろしくお願いします。
それでは、また明日。