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一日千文字のストーリーズ  作者: 伊達幸綱
22/29

二十二日目 開花

どうも、伊達幸綱です。それでは、早速どうぞ。 

「はあ……」


 ある日の昼休み、一人の男子生徒が昼食を食べながらため息をついていると、それを向かい側から見ていた女子生徒が頬杖をつきながら声をかけた。


「またため息? ため息をついていると、幸せが逃げていくよ?」

「ため息もつきたくなるって。最近、付き合い始める奴が多いのに、未だ独り身なのを考えたらな」

「そういえば、たしかに最近カップルの成立数が多いって聞くね。うちのクラスの音楽部の男子も先輩と付き合い始めたらしいし、あんたのお姉さんだってサッカー部の顧問の先生と付き合い出したんでしょ?」

「ああ。そのせいで毎日その先生の良いところを話されてこっちは飽き飽きしてるんだ」

「あはは、そうかもね。あ、それで思い出したんだけど……その大量のカップル成立の裏にある存在がいるって噂知ってる?」

「ある存在?」


 女子生徒の言葉に男子生徒が不思議そうに首を傾げると、女子生徒はコクリと頷いてから話を続けた。


「なんでも、うちのクラスの子が関わってるらしいんだけど、どのカップルもその子の言葉で背中を押されたとかその子からの頼みがきっかけで出会ったとか言われてるんだって」

「へー……」

「それで、その子は実は人間じゃなくて、下界を愛で溢れた世界にするために遣わされた天使なんじゃないかって噂されてるよ」

「天使、ねえ……んで、その天使様は誰なんだ?」

「それは──」


 その時、教室のドアがガラガラっという音を立てて開き、一人の女子生徒が入ってくると、教室中の視線がその生徒に注がれた。


「……あ、あの子だよ」

「アイツか……けど、アイツってあんまり他の奴と話すようなタイプじゃないだろ?」

「うん。いつも一人で読書してたり、行間中もふらっとどこかに行ったりして、誰かと話してるところは見た事無いね」

「だよな。んじゃあ、やっぱり噂は噂なんじゃないのか?」

「うーん、やっぱりそうなのかな……」


 女子生徒が男子生徒の言葉に対してまだ納得がいっていない様子で答えていたその時、不意に女子生徒の体がぐらりと揺れ、女子生徒が床に向かって倒れそうになると、男子生徒は慌てて女子生徒の手を取った。


「……っと、大丈夫か?」

「う、うん……大丈夫。えっと、ありがと……」

「ど、どういたしまして……」


 女子生徒が頬を赤くしながら言うのに対して男子生徒がドキッとしながら答えていると、二人の様子を見ていた女子生徒は静かに微笑みながらポツリと呟いた。


「これで、恋の花がまた一輪咲きましたね」


 そして、二人の生徒が熱っぽい視線を送り合う中、女子生徒は踵を返して教室から静かに出ていった。

いかがでしたでしょうか。これからも書き続けていくので読んで頂けると幸いです。

そして最後に、今作品についての感想や意見、評価などもお待ちしていますので、書いて頂けると嬉しいです。よろしくお願いします。

それでは、また明日。

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