表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Poppy Town  作者: 右京虚宇
新人編
4/6

現着


 後部座席に加納が乗り込んだのを見て、スキンヘッドが車を出した。


「加納さんすぐ着きますぜシートベルトしっかりね」瀬崎がパトランプを乗せる。


「行きますぜ」


 スキンヘッドがアクセルを踏み込む。パトカーはそのスピードを上げていく。


「オラオラどきやがれそこの車ども警察車両のお通りだってんだよー。」


 殆どがドロイドによる自動運転だから良いものを。グロウラの外でやったら即懲戒免職だろう。


「毎回思うのだが、ここまで急がなくても事件は逃げないぞ。それに今回は犯人の目撃情報はないんだろ?」


加納が嗜める


「いやいや〜、またあいつが1番乗りだってのは悔しいでしょ?」

スキンヘッドはスピードを全く落とさずコーナーを曲がる。


「俺は事故さえ起こさなければ構わないが…」


「が?」


「隣を見てみろ。」


ミラー越しに隣を見るように指差す。


「隣?」


スキンヘッドが隣を見ると、瀬崎が気絶していた。


「…分かりました。安全運転で向かいます。」


諦めたようにスキンヘッドはスピードを落とした。

 

 現場に到着したところで瀬崎が目を覚ましました。


「あれ?浦本さん早いですねぇ、もうついたんですか?」


 スキンヘッドは瀬崎に三角絞めを極めながら怒鳴る。


「おめぇが寝てなきゃもっとはやかったってーの!」


「え、えぇ、すみません。死んじゃいます、死んじゃいますぅー!」


 瀬崎の必死なタップでスキンヘッドはやっと瀬崎を開放した。


「遊んでないでいくぞ」


 加納の言葉で2人はやっと仕事を思い出したようだ。黄色いテープで囲まれた現場に向かった。

 

 そこにはまだ近隣住民の姿は見えなかったが、テープが貼られているあたり、もう先客があるようだ。

加納がその先客に声をかけた。


「これは塩谷警部補お早い到着ですね。今回も…」


 塩谷と呼ばれ振り返ったその男は、まだ少年それも小学生と言っても良いぐらいの容姿だった。ただ、小学生にしては憎々しい目つきをしてをしている。


「あーこいつはどうも。確か、カノーサンでしたっけ?アツミサンとこの。えーと、現場保存しといたんで後は頼んますわ。んじゃ」


「んじゃ。じゃねーよ」


と帰ろうとした塩谷をスキンヘッドが止める。


「てめぇ、第一発見者に話聞いてねぇわけじゃねぇだろうが。」


「えー、でもあんたらどうせもう一回話聞くんでしょ?後でLINEで送りますから。そういうことで、ほんじゃまた。」


 言い捨てて塩谷は立ち去ろうとしたが、瀬崎とすれ違ったところで足を止めた。


「あれー、あれー?セザキじゃ〜ん、まだやってたんだ、警察官。むかねーから辞めろっていったのによー。いや、今年から正規だっけっか?まーいいや。重大なミスする前にさー辞めとけ」


ずっと俯いて聞いていた瀬崎は何か言おうと顔をあげたが、すでに塩谷はいなかった。


「直哉…」


 キーーー!


 佇む瀬崎の前に一台の警察車両が急ブレーキで止まる。


「いやー、早紀さんって結構無茶するんですね〜。もっと清楚な人だと思ってましたよ〜。」


 助手席から1人の細身な少年が出てくる。次いで運転席から早紀が降りて来た。

 

 降りて来た少年は集まって来た加納とスキンヘッドを含めた3人の方を向く。


「本日より捜査一課第4係渥美班に配属になりました。

神薙惣太郎です。よろしくお願いします!」


神薙はそう言うと、敬礼をした。

 

 それはそれは綺麗な敬礼だった。左と右が違うことを除けば。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ