零話
西暦2052年日本企業manikaは人工知能SORTの開発に成功した。SORTは遺伝子情報を調べることにより、その人物の危険性、職業適性、人物の優劣を判別すると言う物だった。
manikaの代表である奏美洋斗〈かなみようと〉はSORTを活用した人事登用、そしてSORTでの全幼児の遺伝子検査の実施、進路決定、それを前提とした上で優秀な遺伝子たちによる完全自治、育成実験型都市グロウラの創設を時の政府に提言した。
それは勿論政府に許可することのできないもので、妄言であると一蹴された。
企業でも人事登用AIとして圧倒的なシェアを誇りながらも、生まれると同時の遺伝子検査で全てが決まるグロウラ計画には反対的な意見が多かった。
そんな中、当時メディア露出の増えていた奏美洋斗はSORTの判別として、政治家の汚職を次々と予言していった。
驚くべきはその正確さであった。彼の予言により、5人の閣僚が辞任に追い込まれ、当時人気の絶頂にあった政権の支持率は急降下、総理は解散を決断。政権交代へと追い込まれた。
新たに政権を手に入れた自衆党の泉田総理は一躍時の人となっていた奏美を国家成長担当大臣として登用、多くの反対の中、グロウラ計画を進めることを決定した。