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十一ノ巻
「……入学式で見た時から好きでした!
「……ごめんなさい」
「先輩の事はとても頼りにしています。けれど私、好きな人が出来たんです」
「好きな人?」
「はい……あの逞しい赤鬼さん……」
「赤……鬼?」
「それって、こう……筆みたいな剣持った赤色の?」
「はい!」
焔の剣を振る素振りを見て
「ああ、私の事を守ってくれた気高き守護者! 私、貴方にもう一度会いたいのに……お互いに名前も分からずに去ってしまって……まずは、お友達から始めていって……」
「え……あ、ああ! 逢えたら伝えておくよ」
「わぁい! 先輩、よろしくお願いしますね!」
「……」
「あはは……何て言うか……これは……」
「人間、簡単に正体を明かすなよ。もししようものなら神隠しは逃れられないと思え」